トータル・フィアーズ
原題:The Sum of All Fears
巨匠トム・クランシーの最高傑作、ついに完全映画化!
2002年5月31日全米初公開
2002年/アメリカ/カラー/122分/ パラマウント・ピクチャーズ/共同提供:博報堂 東宝東和「恐怖の総和」文春文庫刊 配給:東宝東和
2004年11月25日よりDVD発売開始 2002年12月21日よりDVD発売開始 2002年8月10日より日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー公開
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公開初日 2002/08/10
配給会社名 0002
公開日メモ ベストセラー作家トム・クランシーのジャック・ライアンシリーズ「レッド・オクトーバーを追え!」「今そこにある危機」「パトリオットゲーム」に続くサスペンスアクション最新作。
解説
スーパーボールのお祭り騒ぎに沸くボルチモアで、核爆弾が炸裂した。何万人もの命が失われる事態に、アメリカは高度の警戒態勢に入る。爆弾の出荷元は、チェチェンに対して毒ガス兵器による攻撃を行ったばかりのロシアだった。果たしてボルチモアの核爆発もロシアの仕業なのか!? たがいに牽制球を投げ合いながら、警戒レベルをあげていく米ロの首脳陣。やがて始まる核攻撃のカウントダウン。世界崩壊の序曲が流れるなか、恐怖の総和を打開する役目は、CIAの若き情報分析官ジャック・ライアンの手に委ねられる!
テロの脅威がごく身近に感じられるようになった21世紀。1個の核爆弾が招く第三次世界大戦の恐怖を、リアルに描きあげたサスペンスの巨編が誕生した。監督に『フィールド・オブ・ドリームス』の名匠フィル・アルデン・ロビンソン、主演に『アルマゲドン』『パール・ハーバー』のベン・アフレックを迎えた『トータル・フィアーズ』は、600万部以上の売り上げを記録したトム・クランシーのベストセラーの映画化。アメリカ、ロシア、イスラエル、シリア、オーストリア。世界中に散らばる危険の火種が邪悪な企みのもとに寄せ集められたとき、平和の微妙なバランスが崩れ去る。その一触即発の危機が高まっていく模様を、アメリカ本土での核爆発という未曾有の事態を中核に据え、壮大なスケールで描き出した本作は、緊張に次ぐ緊張が全編を埋め尽くすハイ・テンションのスペクタクルだ。
主人公のジャック・ライアンは、『レッド・オクトーバーを追え!』でアレック・ボールドウィンが、『パトリオット・ゲーム』『今そこにある危機』でハリソン・フォードが演じたキャラクター。明晰な頭脳と大胆な行動力で一介のアナリストから合衆国大統領にまで上り詰めていく彼は、アメリカの良心を代弁するハートと勇気を持ちあわせた知性派のヒーローだ。そのライアンが、原作者クランシーをエグゼクティブ・プロデューサーに迎えた本作ではグッと若返りを果たした。今回の彼は、CIAでも新米の部類に属する情報分析官。たまたまロシアの新大統領に関するレポートを書いていたことからCIA長官キャボットの右腕に抜擢された彼は、世界を緊張の渦に巻き込む陰謀の真相究明に乗り出すことになる。イスラエルからロシアへ、ロシアからアメリカへ持ち込まれた核爆弾は、誰が仕掛けたものなのか? 米空母へのミサイル攻撃は誰が命じたのか? 2大強国の大統領がたがいに一歩も引けない立場に追い込まれ、核攻撃の発射ボタンに手をかけようとするなか、真実の追求に奔走するライアン。全面核戦争の危機を、身を挺して防ごうとする彼の懸命な活躍ぶりは、過去のシリーズには見られなかった新鮮さだ。恋人キャシーの心が離れていくのが怖くて、自分の職業を打ち明けられない。そんなシャイな一面も持つライアンの等身大の魅力が、ここでは躍動感あふれるタッチで描写されていく。演じるベン・アフレックにとっても、これは生涯のキャリアを代表する当たり役となりそうだ。
そんなアフレックと息ぴったりの共演を見せるのが、ライアンの導師となるキャボットを演じるモーガン・フリーマン。オスカー候補になった『ドライビング・ミス・デイジー』から近作の『スパイダー』『ハイ・クライムズ』まで、存在感たっぷりの名優ぶりは今回も健在。自分が見込んだライアンの成長をハラハラしながら見守る役どころに、威厳と軽いユーモアがないまぜになった独特の持ち味を光らせている。
このふたりを支える共演陣にも、いずれ劣らぬ達者な顔ぶれが揃った。核戦争の引き金を引くか否かの決断を迫られる合衆国大統領ファウラーには、『L.A.コンフィデンシャル』のジェームズ・クロムウェル。ファウラーと共に危機対策にあたる国防長官ベッカーには、『マグノリア』のフィリップ・ベイカー・ホール。そのベッカーとギリギリの場面で意見を衝突させる国務長官オーウェンズには、『交渉人』のロン・リフキン。国家安全保障問題担当大統領補佐官の重責を担うレヴェルには、『アリ』のブルース・マッギル。ホワイトハウスの首脳陣にふさわしい風格を備えた彼らのアンサンブルが、ドラマの現実感をいやがうえにも高めていく。いっぽう、若手では、腕利きの現場工作員ジョン・クラークに『ザ・ハリケーン』のリーヴ・シュライバーが扮し、ハツラツとした個性を発揮。また、ライアンの恋人キャシーには、『セレンディピティ』の新人ブリジット・モナハンが扮してクール・ビューティの魅力をふりまいている。さらに、米ロの対決を仕組むオーストリア人の実業家ドレスラーにアラン・ベイツ、国内外での駆け引きに苦慮するロシア大統領ネメロフにシアラン・ハインズと英国のベテランが要所を占め、映画にいっそうの深みを与えている。『クイズ・ショウ』『フェイク』でオスカー候補になったポール・アタナシオと、『エニイ・ギブン・サンデー』のダニエル・パインが共同で執筆した脚本を、臨場感満点のドラマに仕立てあげたのは、『フィールド・オブ・ドリームス』のフィル・アルデン・ロビンソン監督。サスペンスでは『スニーカーズ』という佳作を放っている彼だが、今回は、緩急のツボを心得たリズムに名匠の腕を発揮。核攻撃のカウントダウンと、ライアン、米ロの大統領のホットラインが絡み合うクライマックスのたたみかける演出で、見る者を大いに魅了する。撮影は、ロビンソン監督と3作で組んでいるほか、『ユー・ガット・メール』などのノーラ・エフロン監督作でも活躍するジョン・リンドレー。ホワイトハウスやCIA本部を忠実に再現したプロダクション・デザインは、『カラー・オブ・ハート』『LA.コンフィデンシャル』でオスカーにノミネートされたジニーン・C・オプウォール。編集は、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』でオスカーを受賞し、過去2作のジャック・ライアン・シリーズも手がけているニール・トラヴィス。オペラやアフリカン・リズムを効果的に配した音楽は、アカデミー賞18回ノミネートの記録を誇る大ベテラン、ジェリー・ゴールドスミスが担当している。製作は、『レッド・オクトーバーを追え!』以来、ジャック・ライアン・シリーズを世に送り続けてきたメイス・ニューフェルド。彼が原作者トム・クランシーを製作陣に加えて放った本作は、21世紀のヒーローとして蘇ったライアンの新たな門出を祝福するにふさわしい傑作となった。
ストーリー
第四次中東戦争が勃発した1973年。エジプトとシリアの奇襲攻撃に対してイスラエル軍の発射した戦闘機が、ゴラン高原上空で撃ち落とされた。搭載されていたのは、一発の核爆弾。以来29年間、それは砂漠の砂に埋もれて眠り続けていたが、偶然にもこの場所へ井戸を掘りに来たパレスチナ遊牧民によって発見される。彼には知る由もなかった。クズ鉄同然の不発弾だと思いこみ、400ドルで武器商人に売りつけたものが、世界崩壊の序曲の引き金になることを……。
その朝、ジャック・ライアン(ベン・アフレック)は、ポケットベルの呼出音で目覚めた。同じ毛布にくるまっているのは、眼科医の恋人キャシー(ブリジット・モイナハン)だ。彼女とあわただしくディナーの約束をかわしたあと、ライアンが向ったのは、ラングレーにあるCIA本部。キャシーには内緒にしていたが、彼はここでロシア担当の情報分析官をしているのだ。この日、彼に緊急の招集がかかったのは、ロシアの現職大統領が急逝したことが原因だった。新しく大統領の座についたのは、ライアンがかねてから次期大統領候補と予言していたアレクサンダー・ネメロフ。CIA長官のウィリアム・キャボット(モーガン・フリーマン)からネメロフの人格分析を求められたライアンは、キャボットに同行して諜報委員会に出席。さらに、キャシーとの約束をすっぽかす形で、核兵器査察に向うキャボットと共にロシアへ飛ぶ。
到着早々、クレムリン宮殿に招かれたライアンたちは、新大統領のネメロフ(シアラン・ハインズ)に謁見。その後、核弾頭の解除作業が行われているアルザマズの研究所に向う。ここでライアンはおかしなことに気づいた。アルザマズに勤務しているシニア科学者の数が、報告書よりも3名少ないのだ。さっそくその点について質問したライアンに対し、「ひとりは病欠、ひとりは休暇中、ひとりは交通事故で死んだ」と答えたのは、KGB出身でネメロフの政治顧問をつとめるアナトーリ・グルシュコフ(マイケル・バーン)だった。まるで用意されていたような答えに不審を抱くライアン。彼とキャボットは帰途につくが、その機上で、「スピネーカー」の暗号名を持つロシア国内の協力者から3人の科学者が行方不明になっているとの情報を得たキャボットは、腕利きの工作員ジョン・クラーク(リーヴ・シュライバー)をロシアに派遣し、科学者たちの行方を追わせる。
翌晩、キャボットの粋なはからいでホワイトハウス主催のパーティの招待状を手に入れたライアンは、美しく着飾ったキャシーを連れて晩餐の席についていた。居合わせた男たちの携帯電話が一斉に鳴り出したのは、ファウラー大統領(ジェームズ・クロムウェル)のスピーチが始まってまもなくのこと。顔色を変えて会場を後にする政府高官たち。同様に席を立ったキャボットと共にホワイトハウスへ駆けつけたライアンは、ロシアがチェチェンの首都に毒ガス兵器による攻撃を仕掛けたことを知る。状況説明を受けたベッカー国防長官(フィリップ・ベイカー・ホール)、オーウェンズ国務長官(ロン・リフキン)、国家安全保障問題担当大統領補佐官のレヴェル(ブルース・マッギル)ら危機対策チームは、チェチェンへの平和維持軍の派遣を主張。その席で、キャボットに発言を求められたライアンは、「この攻撃はネメロフの指令ではない」と断言する。だが、数分後、TV画面に映し出されたネメロフは、「チェチェン攻撃は自分の決断だ」とコメント。的はずれな分析を行ったライアンは面目を失ってしまう。
しかし、ライアンの読みは正しかった。チェチェン攻撃はロシア軍の不満分子が命じたもので、ネメロフは、自身の指導力が疑われるのを恐れ、あえて自分の決断だというコメントを発したのだ。平和維持軍の派遣に対しネメロフが何も行動を起こさないことから、ネメロフの真意を理解するライアン。そんな彼に、キャボットから新たな任務が下された。ロシアで3人の科学者の行方をつきとめたクラークと合流し、情報を持ち帰れというのだ。現場の潜入任務に抵抗を示すライアンだったが、キャボットに逆らえるはずもなく、彼とクラークは漁船に乗ってウクライナの旧軍事基地に赴く。そこでふたりが発見したのは、無惨な科学者たちの死体と、イスラエルからの積み荷が置かれていたことを示す木箱だった。その木箱には不発の核爆弾がおさめられていて、殺された科学者たちは復元作業のために雇われていたらしい。
すぐさまクラークは木箱の発送元を追ってイスラエルのハイファへ。いっぽうアメリカ行きの専用機に乗り込んだライアンは、CIAの仲間との交信から、ウクライナを出た荷物がボルチモアに向ったことを知る。
そのボルチモアの街は、スーパーボールの熱狂に包まれていた。スタジアムに詰めかけた大観衆のなかには、ファウラー大統領とキャボットの姿もある。そして、スタジアム内の駐車場には、ウクライナからの「荷物」をおさめた自動販売機が……。ジェット機からヘリに乗り換え、ボルチモアへ向ったライアンは、街に核爆弾が持ち込まれた可能性があることを伝えようと、キャボットの携帯電話のベルを鳴らし続ける。その音にようやく気づいたキャボットは、ライアンの報告を聞くなり、大統領をリムジンに乗せて出発。それからまもなく、スタジアムの上空には巨大なキノコ雲が浮かび上がった。衝撃波を浴びて横転する大統領のリムジン、突風にもまれて墜落するライアンのヘリ。想像を絶する阿鼻叫喚が街全体を覆い尽くすなか、海兵隊員に救出された大統領はエアフォース・ワンに乗り込み、閣僚たちと合流。いっぽう、からくも命拾いしたライアンは、墜落ヘリの無線で救援を求め、爆発物の正体をつきとめるべく爆心地へ向う。
そのころ、ボルチモアの惨劇の知らせを受けたネメロフは、すぐさま事件にロシアが関与していないことを表明した。だが、爆弾がウクライナから持ち込まれたこと、さらにはチェチェン攻撃の一件から、エアフォース・ワンに乗る首脳陣のあいだでは、ロシアに対する疑いが強まっていた。ファウラーは、ホットラインを通じてネメロフと交信。その語調から、犯人扱いされていると感じたネメロフは、全軍に警戒態勢の強化を命じる。このタイミングで、北大西洋上の米空母がロシア爆撃機に攻撃される事態が勃発。ネメロフは「自分の命令ではない」と否定したが、ファウラーは、ロシア空軍基地に対する反撃に出た。もはや両国の警戒態勢は最高レベルにまで引き上げられ、ふたりの大統領は、核攻撃の発射命令を下すか否かの決断を迫られるところまで追いつめられていく。
同じころ、爆心地にいたライアンは、プルトニウムの分析結果から、爆弾が’60年代にアメリカからイスラエルへ渡ったものであることを知る。仲間から寄せられる断片的な情報を手がかりに、事件の真相に迫るライアン。彼がつきとめたのは、ドレスラー(アラン・ベイツ)というオーストリア人のネオ・ファシストが、米ロを衝突させる目的で、ボルチモアに爆弾を持ち込んだというものだった。そのことをファウラーに伝えようとするライアンだが、核攻撃のカウントダウンに入ったエアフォース・ワンに電話はつながらない。このままでは世界が破滅する。意を決したライアンは、イチかバチかの覚悟を決めて国防総省に乗り込んでいく。
スタッフ
監督:フィル・アルデン・ロビンソン
製作:メイス・ニューフェルド
製作総指揮:トム・クランシー、ストラットン・レオポルド
原作:トム・クランシー「恐怖の総和」文春文庫刊
脚本:ポール・アタナシオ、ダニエル・パイン
撮影:ジョン・リンドレーA.S.C
編集:ニール・トラヴィスA.C.E.
プロダクション・デザイナー:ジャニーニ・オッペウォール
衣装:マリー・シルヴィ・デュヴォー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
キャスト
ベン・アフレック
モーガン・フリーマン
ジェームズ・クロムウェル
リーヴ・シュレイバー
アラン・ベイツ
フィリップ・ベイカー・ホール
ブルース・マッギル
ジェイミー・ハロルド
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