〜手紙を届ける ただそれだけ 手紙は人と人をつなぐ〜

2002年/日本/カラー/ビスタサイズ/106分/ 配給:ビジュアルアート研究所

2003年6月14日、東京・北区赤羽会館にて公開、ほか順次全国ロードショー 2003年6月2日より4日まで東京シアターアプルにて公開

公開初日 2003/06/02

配給会社名 0345

公開日メモ この小さな集落で、配達するはずの郵便物がバイクごとなくなるという前代未聞の事件が起こります。この事件が恒一はもちろんのこと、家族や街全体を揺るがす大きな事件へと発展していきます。「手紙を届けるのが私の仕事」と必死に手紙を探す恒一。果たして手紙は見つかるのか−−

解説



 一通の手紙。そこにはそれぞれの愛情や想いがこめられている。送り手から受け手へと伝えられる“心”。手紙を配達する郵便配達員に託されているのは、そんな心と心を繋ぐ掛け橋としての役割。手紙を届ける、ただそれだけのことが、人と人との心を紡いでいく…。
『手紙』は、小さな町で起こった「手紙」にまつわる出未事と、そこに暮らす人々のドラマを一人の郵便配達員を通して語られる心温まるストーリー。「人は皆、一人ではなく、誰かと関わりつながって生きている」をテーマに、心のこもった「本物の映画」を撮りたいという信念のもと製作された。携帯電話や電子メールの急速な普及で手紙をとりまく環境は変わりつつあるが手紙を読む楽しみはメールの便利さとはまた別のもの。人の手で書かれた文字の美しさ、行間に隠された想い、差出人から相手へと届くまでの時差が生み出すときめき…。手から手へと送り届けられる手紙だからこそ、伝わる何かがある。主人公の郵便配達員、大森恒一を演じるのは、映画やドラマ、舞台で広く活躍する古
谷一行。本作ではプロデューサー業にも初挑戦し、自らロケ地選びや脚本作りに関わるなど、映画製作にも意欲をみせる。恒一を支える妻、早穂子には風吹ジュン。恒一の父で元郵便局長、源司を演じるのは小林桂樹。古谷一行とは時代劇ドラマ『江戸の渦潮』で父と子を演じたことがあり、古谷たっての希望で再共演が実現した。息子からの手紙を待ちわびるすぎ乃を演じる菅井きん、そして、彼女の隣人で喧嘩相手の慶蔵を演じる長門裕之、陶芸家黒沢役に辰巳琢郎、その妻を川上麻衣子、人情味あふれる郵便局長を矢崎滋と、豪華な共演君たちが顔をそろえる。また、シンガーソングライター、イルカの息子である神部冬馬がミュージシャンを目指す恒一の息子役で映画初出演。挿入歌はDragon Ashが担当。古谷一行の息子で、ボーカルの降谷建志も出演しており、父子ツーショットも実現した。監督松尾昭典は、日活時代石原裕次郎や小林旭作品を数多く手掛け、映画界の黄金期を築いたベテラン中のベテラン。登場人物の心理状況から画面の細部に至るまでの繊細で丁寧な演出はさすがの一言。撮影の小野進は、舞台となった金沢・二俣町の豊かな自然や人々の暮らしをオールロケーションで見事にフィルムに刻み付けた。自らを「活動屋」と呼び、『刑事物語』はじめ、多くの映画、テレビ作品を手掛けたプロデューサー富田政男は「心に残る、本物の映画を」と、20年間温めてきた企画をようやく映画化。日本映画界を代表するスタッフと俳優陣が「夢を作る職人、活動屋」としての全てをかけて作り上げた、「愛」にあふれる物語がここに誕生した。だけが車に乗せられ、ピンホールは今度はその場に取り残されてしまい怒りを爆発させた。

ストーリー



 古都の佇まいを残した金沢・二俣町。ようやく春の訪れたある日、町の中学校ではかつて生徒たちが「10年後の自分に宛てた手紙」を収めたタイムカプセルを掘り起こす記念式典が行われていた。式典には、この町で代々郵便局長を務めてきた大森家の長、大森源司や彼の長男恒一の妻、早穂子も出席していた。金沢市内の郵便局に外務員として30年間、配達の仕事に携わってきた大森恒一は、父源司が局長を引退した際も、町の人ひとりひとりと関わる仕事が好きだからと、局長の座は妹二三子に譲り、自分は頑として配達の仕事から変わろうとはしなかった。手紙は送り主の「心」そのもの。恒一には手紙を受け取る人々の笑顔に出会えることが何よりの喜びだった。山道が土砂に埋もれ通行不能になっていても、郵便バイクを残し徒歩で配達に向かう。山に囲まれた集落で一人暮らしをしている年寄りたちもまた、息子のような恒一の訪問を心待ちにしていた。年寄りたちは、町でちょっとした使いを頼みたいときなど、玄関先に黄色い旗を掲げておく。公共料金の支払いや、病院での薬の受け取りなどを頼むのだ。子ども時代から顔見知りの恒一に「お駄賃」と飴玉の包みを手渡しながら…。
ただ、手紙を届けること、だがそれは同時に、人から人へ、手から手へ、優しさの伝わる瞬間でもあった。そんな静かな町の暮らしを一転させてしまうような事件が起こる。配達するはずの郵便物がバイクこと盗まれてしまったのだ。なかにはタイムカプセルから出てきた手紙も含まれていた。バイクを盗んだ若者はまもなく逮捕された。だが、バイクの所在を話そうとしない犯人に、恒一は頭を下げる。「手紙一通にもそれぞれの愛情や想いがこもっているんだ。頼む、手紙を返してくれ」それは30年間手紙をひとつひとつ配り、手紙に込められた想いの深さを誰よりも知っている恒一の心からの願いだった。数日後、谷底に捨てられた郵便バイクは無残な姿で発見される。手紙は川に流され、風に舞い、回収は不可能に思われた。手紙の捜索を開始した恒一は誓う。「手紙を必ず届ける」。受け取る人たちの笑顔に会うために一。

スタッフ

製作:「手紙」製作実行委員会/株式会社ビジュアルアート研究所
企画原案:富田政男(元キネマ旬報映画部製作担当プロデューサー)
プロデューサー:古谷一行、富田政男、
      徳江長政(株式会社ウィッシュカンパニー)
      脇坂嘉紀(株式会社ビジュアルアート研究所)
題字:野呂雅峰
監修:塙淳一
製作アドバイザー:広岡常男
協力プロデューサー横山令(株式会社オフィスマミ代表取締役)
    中村敏夫(「手紙」製作実行委員会石川支部代表)
監督:松尾昭典(元日活株式会社監督)
音楽:三枝成彰
脚本:渡辺喜則
助監督:羽石龍太郎、大野伸介
撮影監督:小野進
照明遠藤克巳
美術:大坂和美
録音:井家眞紀夫
編集:井上治
記録:中田秀子
製作担当仲野俊隆
製作主任:後藤田展幸
協力:石川県、石川県商工会議所、金沢市、二俣町郵便局、北陸郵政局、
   陸上自衛隊金沢駐屯地、ホテル日航金沢、技研システム株式会社、
   株式会社薬栄社、「office24」株式会社スクラム、株式会社エフジー武蔵、
   日本コンピューターグラフィック株式会社、株式会社コクヨ、株式会社光映新社、
   株式会社エイコークリエイティブ、株式会社オフィス・マミ、日本体育施設株式会社、
   株式会社ウエハラ、フレームガードジャパン株式会社、TSK・CCC、
   ヒュンダイモータージャパン株式会社、有限会社フォーチュン、
   株式会社ウィッシュカンパニー

キャスト

古谷一行(大森恒一)
風吹ジュン(大森早穂子)
小林桂樹(大森源司)
辰巳琢郎(黒沢万作)
矢崎滋(佐川局長)
田中隆三(岡倉二郎)
丸山秀美(大森二三子)
川上麻衣子(黒沢千恵美)
長門裕之(宇野慶蔵)
麻田ユリカ(新田由美)
菅井きん(泉すぎ乃)
神部冬馬(大森武志)
斉藤洋介(消防団団長)

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