原題:The Royal Tenenbaums

テネンバウム家、天才ファミリー 名前だけが、彼らのつながり。求めるものは、心のつながり。

ニューヨーク・タイムス紙が選んだ「20O1年ベスト・ムービー!」 アカデミー賞脚本賞ノミネート ゴールデン・グローブ賞最優秀主演男優賞受賞 全米映画批評家協会賞 最優秀男優賞受賞 AFI映画賞最優秀男優賞受賞

2001年12月14日全米初公開

2001年/アメリカ/109分/DTS / Dolby Digital / SDDS 配給:ブエナビスタインターナショナル(ジャパン)

2007年09月19日よりDVDリリース 2005年03月18日より2005年5月20日までの限定DVDリリース 2003年04月18日よりDVD発売&レンタル開始 2002年9月7日よりシネスイッチ銀座、恵比寿ガーデンシネマズにて公開

(C)TOUCHSTONE PICTURES

公開初日 2002/09/07

配給会社名 0069

解説


《天才監督》による《天才ファミリー》の物語に全米が熱狂!

ニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする有力メディアがこぞって《2001年度ベスト・ムービー》に選び、世界中の映画ファンの圧倒的な支持を集めた話題作——それが『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』だ。かつては《天才一家》として脚光を浴びたニューヨークのテネンバウム家。父ロイヤルの過ちと裏切りによって離散した彼らは、22年の歳月を経て一つ屋根の下に再会した。「もう永くない」という父の一言で、渋々ながら…。
21世紀のハリウッドを担う《ニュー・パワー・ゼネレーション》の旗手、ウエス・アンダーソン監督のもとに、ハリウッドのオール・スター・キャストが結集。悲劇と喜劇が隣り合わせの《家族の再生》を描く、痛烈にして愛に満ちたイマジネーションが誕生した。

“オーソン・ウェルズの再来だ!いや、ジャン・ルノワールの復活を思わせる!いや、そうじやない、ハワード・ホークスにプレストン・スタージェスを合わせたみたいな奇才だ…!”
『エリン・ブロコビッチ』のスティーブン・ソダーバーグ監督や『マルコヴィッチの穴』のスパイク・ジョーンズ監督といった21世紀の映画界を担う《ニュー・パワー・ゼネレーション》の中心的存在として、全米・ヨーロッパのマスコミをいま夢中にさせているウエス・アンダーソン監督。最新作にして監督第3作目の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で、世界映画史の名だたる鬼才、名匠の〈記憶〉を呼び覚まし、アメリカ映画にウエス・アンダーソンあり、と衝撃の印象を与えた。
人生の機微をおおらかに、たおやかに描写する一方、牧歌的で郷愁的な繊細な演出を見せ、しかしそのまた一方で、原色を強調した画面の色彩設計やストーリー展開における場所と時間の繋ぎを簡潔にした大胆な省略法を用いるなど、ニューウェーブ派を思わせる斬新な技法を披露する。

「大国アメリカが経験してきた歴史上のあらゆる悲喜こもごもの出来事を凝縮したようなストーリー」と絶賛された、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のストーリーとは——
有能な弁護士であるロイヤルと、考古学者である妻エセルには、3人の子どもがいたが、「性格の不一致」を理由に別居した。
3人の子ども、長男チャスは子どもの頃から不動産売買に精通し、10代にして国際金融に並外れた能力を発揮する〈天才〉だった。
長女(養女)のマーゴは少女の頃から戯曲の才にあふれ、10代前半で5万ドルの懸賞金を得た〈天才〉だった。
二男リッチーはテニス・プレイヤーで、全米ジュニア選手権で前人未到のV3を達成し、将来を嘱望されプロデビューを果たした〈天才〉だった。
「天才一家」と呼ばれたテネンバウム家だったが、しかし夫婦・家族による22年間に渡る裏切りと失敗と絶望と悲観と災難で、「天才一家」はいつしか「天災一家」へと変転、流転、流浪の長い長い人生の旅を余儀なくされたのだった。
一族転落の要因は様々考えられたが、最大の病根は家長たるべきロイヤルにあった、と誰もが信じ、確信していた。そして、いま、この「世界で一番自分勝手な男」ロイヤルが「もう一度、家族でやり直したい」と言い出した。22年ぶりの冬、テネンバウム家に思いがけない転機が訪れる。果たして、家族の再生はなるか…。
大国アメリカの抱える様々な問題さながらに、テネンバウム家を次々襲う難問奇問の数々。「オーソン・ウェルズ『偉大なるアンバーソン家の人びと』以来の家族の結合、再生の物語である」と評する人もいれば、「ジャン・ルノワール『ゲームの規則』を思わせる、ブルジョワ社会への痛烈な批判だ」と称える人もいる。60年代のイギリス・ニューシネマ運動を想起させるような社会風刺に満ちた描写も感じさせる。
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』には、世界映画史の〈記憶〉が刻み込まれている。

2001年12月14日に全米で公開された本作品は、5スクリーンという限定公開ながら、第1週の週末だけで27万ドルをあげ、1館あたりのアベレージが5万5,400ドルというハイレベルの成績を記録。同じ週に公開された『バニラ・スカイ』(一館あたり9,100ドル)の6倍近いハイアベレージである。評判が評判を呼び、年明けに早くも740スクリーンに拡大。1月第1週目の週末興行収入ではボックスオフィス第5位にランクイン。1月13日時点で2,994万ドルの興収をあげた。最終的には6,000万ドルが予想され、アメリカ映画にとって記憶されるべき「映画的現象」となった。
全米公開と同時に、各マスコミが「2001年度テンペスト」の一本に数え、話題をさらに煽った。〈ニューヨーク・タイムズ紙>第1位、<サンフランシスコ・クロニクル紙〉第1位、〈ローリング・ストーン誌>第3位、<シカゴ・トリビューン誌〉第3位、と有名紙(誌)はウエス・アンダーソン監督の手腕を大いに賞賛した。 また、各映画賞でも「賞取りの台風の目」となった。ゴールデングローブ賞最優秀男優賞(ジーン・ハックマン)受賞を始め、全米映画批評家協会賞最優秀男優賞、アメリカ映画協会賞最優秀男優賞など各賞を受賞。また、ベルリン国際映画祭でのアメリカ映画正式出品作に選出され、2001年度アカデミー賞ではオリジナル脚本賞(オーウェン・ウィルソン、ウエス・アンダーソン)にノミネートされた。 ウエス・アンダーソン監督が日本に本格的に紹介されるのは、この映画が初めて。BSサテライトチャンネルで放映された監督デビュー作『Bottle Rocket』(96年、TV放映題『アンソニーのハッピー・モーテル』)、日本ではビデオ公開(リリース)となった『天才マックスの世界』(98年)と、いままで日本では〈幻の奇才〉だったが、この『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(O1年)で、ついにその才能の全貌を現す。 ロイヤル・テネンバウムにジーン・ハックマン、妻エセルにアンジェリカ・ヒューストンの2人の大ベテランを起用。3人の〈天才〉には、チャスにベン・ステイラー、マーゴにグウイネス・バルトロウ、リッチーにルーク・ウィルソンを迎えている。他に、マーゴに思いを寄せる隣家の悪ガキ、イーライに脚本も手がけているオーウェン・ウィルソンが絡み、エセルに再婚を申し込むヘンリーにダニー・グローバー、マーゴの夫で神経学者のラレイにビル・マーレー、ロイヤルの親友、ホテルマンのダスティにシーモア・カッセル。また、ナレーションを務めているのは俳優のアレック・ボールドウィンである。 『アンブレイカブル』(00年)のバリー・メンデル、『身代金』(96年)『トゥルーマン・ショー』(98年)のスコット・ルーゲィンがプロデュースを担当。アンダーソン監督のデビュー作から付き合っている『ドラッグストア・カウボーイ』(89年)のロバート・ヨーマンの自在で奔放なカメラがドラマをより効果的に盛り上げている。 3人の兄妹が着こなすアデイダス、ラコステ、フィラなどのコスチュームを発案、ロイヤルとエセル、ヘンリーらの原色ハデハデの衣裳を手がけたのは、新鋭カレン・パッチ。 ビートルズのカヴァーを始め、クラシックからグラムロックまで、幅広い選曲を担当したマーク・マザーズボーの音楽センスも聞きのがせない魅力のひとつだ。 全編にテンポのいいカットを刻み、テネンバウム家の裏切りと猜疑と再生の大物語を見事に構成した編集は、『マグノリア』(99年)のデイラン・テイシュナーが手がけている。

ストーリー

ロイヤル・テネンバウム(ジーン・パックマン)は、妻エセル(アンジェリカ・ヒューストン)と3人の子ども、チャス、リッチー、マーゴと静かに、平和に、いつまでもいっしょに暮したいと望んでいた。
35歳で大邸宅を手に入れた。有能な法律家として、将来が嘱望されている身…と彼自身、そう勝手に思い込んでいた。
しかし、エセルヘの「ほんのわずかな誠実さに欠けていた」ため、2人は別居した。
悲しむ子どもたち…だが、長男のチャスだけはなぜか不機嫌で、冷ややかだった。
エセルは子どもたちの教育に熱心で、空手やイタリア語、バレエを習わせ、子どもたちの才能を育んだ。やがて3人は「天才」と呼ばれるようになり、エセルは「天才一家」という著書を書き、ベストセラーとなった。

〈チャスの部屋〉
チャスは自室で食事を取るほど時間を惜しんではワークセンターへ通った。経済誌を読み漁った。
早熟のビジネスマン、だった。
6年生のとき、ダルメシアン・マウスの交配に成功。リトル・トーキョーで売り出し、財を成した。10代にして国際金融に精通。不動産業に乗り出す。父親の別荘取得に際しては、専属のコンサルタントとして交渉のすべてを取り仕切った。
しかし、あるとき父から左手の甲にBB弾を受けたショックがトラウマとなり、以後、父親不信に陥った。BB弾はいまなお手の甲に残っているが、なぜBB弾だったのか、本人も周囲の関係者もいまだに釈然としない。
現在のチャス(ベン・ステイラー)は2人の子持ち。ウージ・テネンバウム(ジョーナ・メーヤソン)、アリ・テネンバウム(グラント・ローゼンメイヤー)とともに、お揃いの<アディダス>のジャージを着こなし、過敏なまでに危険を避けて暮らしている。妻は飛行機事故で先立った。ビーグル犬のバックレーが、妻に先立たれたチャスの心を癒している。

〈マーゴの部屋〉
長女マーゴは2歳のとき、テネンバウム家の養女に迎えられた。幼い頃から物語を創作するのが好きで、戯曲コンクールに応募し続け、じつに12歳で劇作家デビューを果たした。
早熟の物書き、だった。
懸賞金5万ドルを手にし、天才少女と謳われ、その後も「戯曲図書館」「舞台模型」「暗室」など、彼女いわく「絶望的な不条理劇」を連作した。
創作に息詰まった12歳のとき、タバコの味を覚えた。アンニュイな自分が可愛い、と彼女が言ったかどうか、定かではないが。
そんなある晩、弟リッチーを連れ出し家出。公立図書館のアフリカ棟に侵入。寝袋の中で眠り、クラッカーを食べ、アフリカを舞台にした不条理劇の構想を練った。しかし、図書館泊まり込みが発覚。家に連れ戻される。
「ラコステ」のワンピースを愛用し、目の下に奇妙な化粧をする癖のあるマーゴ(グウィネス・バルトロウ)は、図書館泊まり込み事件から4年後、本当に家出、失踪した。
世界各国を旅し、あるときはヒッピーになり、またあるときは先住民族の仲間になったりと、「創作のためのキャラバン」を続けた。
実の父親を訪ねてある種族の薪割りの儀に出席した際、誤って指を一本失うが、本人は案外けろっとしていて、木造の義指を付け、今日に至っている。現在は神経学者のラレイ・シンクレア(ビル・マーレー)と結婚している。

〈リッチーの部屋〉
リッチーは3年生の頃からテニス界に「リッチーあり」と騒がれた。チャンピオンだった。将来は当然プロのプレイヤーと嘱望され、彼自身、それが「天職」とわきまえていた。
早熟のテニス・プレイヤー、だった。
アマチュア無線にも凝り、ドラムを叩き、世界のあらゆるミニカーを収集していった。
17歳でテニスの国内大会3連覇を達成。前人未到の不滅の大記録だった。テニス・プレイヤーだけに、身につけるのはすべて「フイラ」ブランドという徹底ぶり。
成人したリッチー(ルーク・ウィルソン)は、当然、プロとして活躍。しかし、ある国際マッチの決勝戦という大舞台で、突然、テニスをすることを放棄してしまう。
何が彼をそうさせたのか…
以来、リッチーは〈幻のプレイヤー〉となり、姿を消した。
リッチーの戸惑い…それはマーゴヘの愛だったのだ!幼馴染みで、テネンバウム家の向かいに住む、少々、偏屈な性格のイーライもまた、マーゴへ思いを寄せていた。いまや文学界の名士となったイーライ(オーウェン・ウィルソン)は成人してもなお、マーゴを思い続けていた。

ロイヤルとエセル夫妻と、天才と謳われた3人の子どもたちの、テネンバウム家22年の変転は、裏切りと失敗と奇行の歴史だった。
そして、いままた、新たな歴史が始まろうとしている。
ロイヤルは、永年住み慣れたりンドバーグ・パレスというホテルから追い出されようとしていた。
有能な弁護士だったが、自業自得のある事件がきっかけで資格を剥奪され、以後、流転のような人生を送っていた。
部屋代の滞納によって、追い出されるのは時間の問題だった。エレベーターマンの親友ダステイ(シーモア・カッセル)も、ロイヤルの落ち込みには同情を寄せていたが、もはやどうすることもできなかった。
かつてロイヤルを殺そうとして果たせず、そのまま彼の執事になってしまったパコダ(クマール・パラーナ)もまた、ロイヤルのこのところの元気のなさには心を痛めていた。
そんなロイヤルに追い打ちをかけるかのように飛び込んできた一大事!
なっなんと、考古学者となったエセルに、会計士のヘンリー・シャーマン(ダニー・グローバー)という男性が求婚したというのだ。「彼女はまだ私の妻だ。あんな三流の会計士に勝手させてたまるかっ!」
天下の一大事とばかりに大騒ぎするロイヤル。当のエセルは、シャーマンからの求婚を受けようとしていた。
ということは、ロイヤルと正式に離婚するということ。ロイヤルの心中はますます穏やかではなかった。「君や子どもたちともう一度、いっしょに暮したい」ロイヤルは正気とは思えないことを言い出した。呆れるエセルに対して、さらに追い打ちをかけるかのように、「私は死ぬのだ。あと6週間の命なんだ。最後くらい家族といっしょにいたい」と告げるのだった。
かくして、テネンバウム家は22年ぶり、一つ同じ屋根の下で暮すこととなった。ロイヤルの余命6週間…家族再生となるのだろうか?
「残された6週間で家族の関係を修復しよう。チャンスをくれ」
ロイヤルのその言葉に対し、BB弾の恨みを持ち続けるチャスは冷ややかに反発する。「嫌だ、断る」
テネンバウム家の22年ぶりの生活、前途多難を予感させるのだった…

スタッフ

監督:ウエス・アンダーソン
脚本:ウエス・アンダーソン、オーウェン・ウィルソン
製作:ウエス・アンダーソン、バリー・メンデル、スコット・ルーディン
製作総指揮:ラッド・シモンズ、オーウェン・ウィルソン
撮影:ロバート・ヨーマンA.S.C.
プロダクション・デザイン:デヴィッド・ワスコ
編集:ディラン・テイシュナー
衣装デザイン:カレン・パッチ
音楽:マーク・マザーズボー
音楽監修:ランダル・ポスター

キャスト

ロイヤル・テネンバウム:ジーン・ハックマン
エセル・テネンバウム:アンシェリカ・ヒューストン
チャス・テネンバウム:ベン・ステイラー
マーゴ・テネンバウム:グウィネス・パルトロウ
リッチー・テネンバウム:ルーク・ウイルソン
イーライー・キャッシュ:オーウェン・ウィルソン
ラレイ・シンクレア:ビル・マーレー
ヘンリー・シャーマン:ダニー・グローバー
ダスティ:シーモア・カッセル
パゴダ:クマール・パラーナ
ナレーター:アレック・ボールドウイン

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