原題:THE BATTLING ANGEL

心を抱いて

2003年/日本/119分 配給:ワーナー・ブラザース

2003年12月21日よりビデオリリース 2003年12月21日よりDVD発売開始 2003年8月23日より渋谷東急ほか全国 松竹・東急系にてロードショー

公開初日 2003/08/23

配給会社名 0085

公開日メモ 強大な麻薬組織に射殺され、殉職してしまう女刑事明日香。しかし彼女の心は同時に打たれた麻薬王の情婦に引き継がれていた。かって恋人だった男刑事とともに明日香の新たな闘いが始まった…。原作は『新宿鮫』の大沢在昌によるベストセラー。

解説



 『天使の牙』は、切なすぎる愛を胸に、男たちの壮絶な戦いの渦中に飛び込んでいく一人の女を主人公にした、上質で斬新なサスペンス・ラブストーリー。原作は、『新宿鮫』シリーズで知られる大沢在昌の同名小説で、単行本、新書、文庫あわせて90万部を売ったベストセラー。原作者自身がヒロイン・アスカに愛着を持ち、映画化を強く望んでいた作品だ。
 24歳の巡査部長・河野明日香(黒谷友香)は、コンビを組む警部補・古芳(大沢たかお)と恋人同士。女であることのハンデを乗り越えようと、弱音を吐かず過酷な捜査に打ち込む明日香だが、その奥には、古芳に認めてほしいという思いがあった。そんな彼女が、ある日突然、女であることを唯一の武器に、麻薬王・君国(萩原健一)の愛人として生きてきた神崎はつみ(佐田真由美)という女の身体で生きることになる。はつみの警護中に殉職した明日香の脳は、脳死したはつみの身体に移植されたのだった。
 はつみと、はつみの身体に脳を移植されてからの“アスカ”を演じるのは、若い女性たちにカリスマ的な人気を誇るモデル・佐田真由美。『ViVi』の専属モデルでシンガーとしても活躍する彼女にとって、本作が映画初主演作。和製ミラ・ジョヴォヴィッチとも評される硬質で野性的な美しさは注目の的だ。
 恋人だったアスカを殺され、復讐に燃える刑事・古芳を演じるのは、テレビ、映画、舞台など、幅広く活躍する大沢たかお。傷だらけになりながらも復讐のために戦い抜く男を鮮烈に演じている。はつみの愛人で、麻薬組織に君臨する冷酷非道な男・君国には、萩原健一。『羊たちの沈黙』のレクター博士をもしのぐ悪のカリスマを演じるその威圧感と存在感は圧倒的だ。そのほか、黒谷友香、佐野史郎、西村雅彦、永井大、嶋田久作、小木茂光など、演技派・個性派が脇を固めている。
 監督は本作が映画デビュー作となる西村了。テレビCMや、『踊る大捜査線 THE MOVIE』、テレビドラマ『ショムニ』『やまとなでしこ』『ナイトホスピタル』『らせん』など、数々のヒット作のオープニング・タイトルを手がけてきた彼が作り出す斬新でスタイリッシュな映像は、まさに衝撃的。従来の日本映画にはないスケール感あふれる緊迫した美しさが、観る者を画面に釘付けにする。
 撮影は、MISIA、椎名林檎のPVなどでその非凡な才能を見せつけた河津太郎。音楽は、同じくMISIAの「エヴリシング」で知られるベテラン、松本俊明。そして主題歌は、洋楽新人アーティストとして、デビューアルバムがオリコン・チャート初登場1位という日本史上初の快挙を成し遂げたt.A.T.u.の「ノット・ゴナ・ゲット・アス」。二人のクールで激しい歌声が、アスカと古芳の切ない心のすれ違いと絡み合う。
 ただひとつの使命のために、生かされた心。別人の肉体をまとい、正体を明かせないまま女は戦う。彼女が使命を果たすためには、愛する男の敵として生きるしかない。壮絶で哀しい愛のかたちを描いたサスペンス・アクション大作『天使の牙』。圧倒的なスピード感とテンションで、驚愕の幕開けから衝撃のラストまで突っ走る、従来の日本映画のスケールをはるかに超えた未曾有のエンターテイメントがここに誕生した。

ストーリー




女だということに甘えるわけにはいかない。女だからといってバカにされたくない——。典型的な男社会である警察組織の中で、明日香(黒谷友香)は常に自分をぎりぎりまで追い込んで捜査に当たっていた。唯一の心の支えは、パートナーでもある恋人の古芳(大沢たかお)だった。
優秀な刑事でありながらも、捜査や組織に対してどこか醒めている古芳は、クラインとの対決で何人もの同僚が命を失う中、明日香に言う。「俺たち二人とも、いつ死ぬかわからない。自分以外の誰も信じるな。そうすれば俺はお前を信じる」と。明日香にはその真意がはかりかねた。
そんな時、クラインのボス・君国(萩原健一)の愛人であるはつみ(佐田真由美)が、警察に保護を求めてくる。明日香ははつみの警護を担当することになり、はつみと接触するが、君国の部下によって二人は銃撃を受ける。
身体に重症を負いながらも脳には損傷のない明日香。ただ一発の銃弾が脳を貫通し、身体には傷ひとつないはつみ。明日香の上司、芦田(佐野史郎)は、はつみの身体に明日香の脳を移植するという医師団の提案を受け入れる。明日香ははつみの肉体を借り、“アスカ”としてこの世に蘇ったのだった。
彼女の使命は、麻薬組織クライン摘発のために、はつみとして組織に潜入し、君国と接触することだった。古芳は、銃撃事件以来、姿を消しており、クラインとの内通者だと目されていた。アスカは銃撃されて意識を失う直前、はつみに銃口を向ける古芳の姿を見ていた。明日香が警護するはつみを撃ったのはなぜなのか? 本当にクラインと通じていたのか——?
混乱するアスカの前に、古芳が現れる。彼は、死んだ明日香の復讐のために、単身クラインに乗り込んできたのだ。しかし、古芳の目に映るアスカは、恋人を殺した憎むべき男・君国の愛人・はつみである。「私は明日香よ……!」。そう古芳に伝えることのできないアスカの心は乱れる。君国の手から命をかけて古芳を守ろうとするアスカ。しかし、古芳には、なぜ彼女が自分を助けるのかわからない。
やがて、アスカの目の前で、古芳と君国が直接対決する時がやってきた……。

スタッフ

原作:大沢在昌
脚本:寺田敬雄
   落合正幸
音楽:松本俊明
監督:西村了

キャスト

大沢たかお
佐田真由美
萩原健一
黒谷友香
豊原功補
永井大
嶋田久作
佐野史郎
要潤
小木茂光
西村雅彦

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