原題:FRIDA

2002年4月4日オランダ初公開

2002年/アメリカ// 配給:アスミック・エース エンタテインメント

2010年08月27日よりDVDリリース 2003年8月2日よりBunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座 ほかにてロードショー

公開初日 2003/08/02

配給会社名 0007

解説



1907年.革合前夜のメキシコに生まれた情熱の女フリーダ・カーロ。18歳のときに遭った事故が彼女の運命を変えてしまう。瀕死の重症を負った彼女は絵を描くことが生きる希望となった。そして間もなく、人生を変える男に出会う。著名な人気壁画家ディエゴ・リベラだつた。2人はやがて結ばれ、生活と芸術を共にしていく。フリーダの生涯に現れる数々のセレブリテイたちーー亡命中のトロツキー、大富豪ネルスン・ロックフェラー、壁画家シケイロス、女性写真家のティナ・モドッティ、シユルレアリストのアンドレ・ブルトン・・・彼らはみな運命に立ち向かうフリーダの生き横に魅了されていく。だが、フリーダがただ一人愛するディエゴは.浮気の虫がおさまらない。とうとう妹クリスティナにまで手を出したと知ったとき、フリーダはディエゴとの別離を決意する。悪化する一方の病状に耐え切れず日ごと酒量だけが増していく。だが、その心身ともに最も苦碓に満ちた時代にフリーダは次々と傑作を生みだしていく。だが、やがてディエゴから再婚の申し込みを受け、生涯の恋人を取り戻したフリーダは再び輝き始める。

ストーリー

 おびただしい数の自画像、グロテスクな悪夢のような風景、心が鋭くえぐられるような作品群。いつまでも色褪せぬ強烈な印象で見るものを捕らえて離さないフリーダの絵は作家の生き様そのものとともに世界中のアーティストやセレブリティたちを熱狂させている。フリーダ・カーロとはどんな人物だったのだろうか。父の祖国ドイツの言葉で“平和”の意を持つ名を与えられたフリーダ。明朗で快活な少女時代には将来医者になることを夢み、難関の国立予科高等学校に進学する。18歳という娘盛りのときに遭遇した大事故で身体中を骨折。棍棒が子宮を貫通、命を取りとめたのが不思議なほどの重傷を負う。孤独を紛らわす為にはじめた絵はやがて生きることそのものになっていった。
 そして運命の男ディエゴとの恋。ディエゴの際限の無い浮気に心を引き裂かれ、生涯に30回以上の手術、流産と中絶の繰り返しで身を引き裂かれ、それでもなお、いやそれだからこそ自分自身を見つめつづけ、その心の葛藤を素晴らしい芸術にまで昇華させた。フリーダの何ものにも縛られない凛とした精神、自由な生き様はいまこそ輝きを放ち、混迷の時代に生きる私たちを勇気付けてくれる。“VIVA LA VIDA”フリーダは最後に「生命万歳」と題した作品を残した。短かくも過酷な波乱の生涯を通して、フリーダは生きることの素晴らしさを教えてくれる。

 ミュージカル「ライオンキング」や長編映画第1作「タイタス」など強烈なビジュアルイメージで常に斬新なインパクトを与えてきた監督のジュリー・テイモアは「フリーダ」でもその才能を遺憾なく発揮している。絵から実写へ、CGによる見事なモーフィング。病院のシーンではブラザーズ・クエイのパベット・アニメーションを使ったクールな演出をし、ニュースリール風に映像コラージュで見せる軽快なリズム。それらのテクニックもさることながら、本作の一番の魅力は鮮やかで豊穣な色彩、画面から溢れるみずみずしい生命感である。辛い生涯のストーリーなのに見終わった後に感じる不思議なほどの清々しさ。心地よさ、豊かさはテイモアのエンタテイナーとしての度量の深さを物語っている。 
 サルマ・ハエックはこのメキシコ芸術の女王の生涯をどうしても自分で演じたかった。祖国のヒロインであるだけでなく世界のミューズであったフリーダを強じることはハリウッドでサヴァイヴするサルマにとってアイデンティティを確認することでもあったのかもしれない。アカデミーノミネートをはじめ、各賞レースに旋風を巻き起こし、サルマの努力は十ニ分に報われた。そして、そんなサルマの熱意がたくさんの仲間たちを動かした。ディエゴ・リベラを演じたアルフレッド・モリーナは体重を増やした上に詰め物までして“象のような”デイエゴの体型を作りこんだ。小柄なサルマとのツーショットは本物のディエゴとフリーダに迫っている。壁画家シケイロスにはサルマとは「デスペラード」以来共演の多いアントニオ・バンデラス。ロシアの革命家トロツキーにはアカデミー俳優のジエフリー・ラッシュ。女性写真家モドッティにはサルマの親友でもあるアシュレイ・ジャド。壁面を壊してディエゴとは因縁のロックフェラーにはサルマとはプライベートでもパートナーであるエドワート・ノートン。ノートンはクレジットこそされていないが、本作の脚本を実質的に改稿して完成させた。スタッフはハエックとテイモアの意気凧込みに共鳴したメキシコの生え抜きたちを中心に集まった。鮮やかで深みのある撮影は「アモーレス・べロス」のロドリゴ・プリエト。青い家などフリーダゆかりの場所を見事に再現したのは「フロム・ダスクテイル・ドーン」のプロダクション・デザイナー、フエリペ・フェルナンデスと「ブロウ」のアート・ディレクター、ベルナルド・トルージョ。また、ベアトリス・デ・アルパとジョン・E・ジャケスンの2人がメーキャップでオスカーを覆得している。フリーダの衣装をはじめ当時のファッションを蘇らせたのは「アメリカン・ビューティ」「12モンキーズ」で定評のあるジュリー・ウエィス。めくるめく映像を彩る音楽はテイモアの公私にわたるパートナー、エリオット・ゴールデンサル。本作でアカデミー賞作曲賞を受賞したが、テイモア作詞、ブラジル音楽の重鎮カエターノ・ヴェローゾが歌うエンディングテーマでも同主題歌賞にノミネートされた。

スタッフ

監督:ジュリー・テイモア
原作:ヘイデン・エレーラ「フリーダ・カーロ生涯と芸術」(晶文社)
製作:サラ・グリーン、サルマ・ハエック
音楽:エリット・ゴールデンサル
撮影:ロドリゴ・プリエト
編集:フランソワーズ・ボノ
衣裳:ジュリー・ウェス
メイクアップ:ベアトリス・アルバ、ジョン・E・ジャクソン
パペットアニメーター:スティーヴン・クェイ、ティモシー・クェイ

キャスト

フリーダ・カーロ:サルマ・ハエック
ディエゴ・リベラ:アルフレッド・モリーナ
ギジェルモ・カーロ:ロジャー・リース
マティルデ・カーロ:パトリシア・レイエス・スピンドーラ
クリスティーナ・カーロ:ミア・マエストロ
ルペ・マリン:ヴァレリア・ゴリノ
ティナ・モドッティ:アシュレイ・ジャド
シケイロス:アントニオ・バンデラス
ネルソン・ロックフェラー:エドワード・ノートン

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