原題:Dinner Rush

どんな料理がサーブされるかは、お席についてからのお楽しみ。 グラッパよりもきつい食後酒をご用意してお待ちしております。

2001年9月28日全米初公開

2001年アメリカ映画/35mm/カラー/アメリカン・ヴィスタ/ドルビーSRD/5巻/2,722m/99分 日本語字幕翻訳:石田泰子/ 配給:シネマパリジャン

2003年04月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年04月25日よりDVD発売&レンタル開始 2002年9月14日よりシネスイッチ銀座、横浜関内アカデミーにて公開

公開初日 2002/09/14

配給会社名 0043

公開日メモ どんな料理がサーブされるかは、お席についてからのお楽しみ。グラッパよりもきつい食後酒をご用意してお待ちしております。

解説


ニューヨーク、トライベッカ。最尖鋭アーテイストが集い、個性的なブティックやギャラリーが所狭しと軒を連ねる、今やソーホーを遥かに凌いで、最先端トレンド・セッターとして世界中の注目を集めるカルチャー・スポット。それだけにこの街では、誰もが野心満々、一夜にしてアメリカンドリームを掴もうと、虎視眈々とチャンスを窺う人々がしのぎを削る、生き馬の眼を抜く活気と緊張感に満ちあふれている。
 そんなスノッブさと古き良きニューヨークのノスタルジーが渾然一体となったトライベッカの、趣向を凝らした独創的な四ツ星レストランには、夜ごと、ハリウッドやブロードウェイのスターがショウビズ界の実力者たちと大挙して押し寄せ、常連専用のお気に入りのテーブルを挟んで、商談に社交にと、華やかな魅惑を撒き散らし、常に話題の的となっているのも、有名な話。ゴシップふんだんの“グルメライター”を巻き込んで、「あのスターが昨晩あのレストランで食事をした」が噂を噂を呼び、たちまち数ヶ月先まで予約不可能の人気スポットになることも、あながち珍しい話ではない。
 そんなトライベッカの街の一角で、長年、人々に親しまれてきたイタリアン・レストラン《ジジーノ》にも時代の波が訪れていた。というのも、ヴェテラン・オーナー、ルイスの意に反して、彼の息子であるスターシェフのウードが、この店をトレンディ感覚あふれるヌーヴェル・キュイジーヌヘと変貌させてしまったのである。やがて夜のとばりが降り、レストランは詰めかけた客でごった返す《ディナーラッシュ》の時間を迎える。テーブルの一角を占めるのは、ルイスのビジネスをまるごと乗っ取ろうとたくらむクイーンズのチンピラや、ウードと愛人関係にある女性料理評論家、あるいは鼻持ちならないギャラリーのオーナー、そして謎めいた証券マン・・・・・。果たして、この夜、誰もが予想もし得ない結末を迎えることになる。
 ニューヨーク、トライベッカに実在するイタリアン・レストラン《ジジーノ》を舞台にした映画『ディナーラッシュ』は、昔気質のオーナーと、息子であるスターシェフの世代交代のドラマを縦軸に、野心と陰謀に満ちた殺人事件を横糸に、思いがけない一夜の顛末とユニークな人間ドラマを織りなした新感覚のサスペンス映画である。
 監督は、マイケル・ジャクソンの《ビート・イット》のミュージック・ビデオで知られ、ライオネル・リッチーを起用したペプシのCMで数々の賞に輝いた才人、ボブ・ジラルディ。彼にとって、劇映画は87年の『ウォンテッド・ハイスクール/あぶない転校生』以来、14年ぶりの新作となるが、躍動感たっぷりのアクション描写が好評だった前作とは一転、ひとクセもふたクセもある個性豊かな登場人物たちの交錯から生まれる小粋な台詞の応酬や、斬新な料理の調理風景を舌なめずりするかのように巧みにブレンドさせた流麗な映像センスに、映画監督としての円熟した眼差しを窺わせる。ちなみに《ジジーノ》は、実際にジラルディが経営するレストランであり、撮影はその店内で21日間に渡って即興的に行われた。レストランのオーナーとして培ってきたジラルディの人間観察の妙が、リアルなディテールとなって作品に反映されているのは間違いないところだ。そして、何といっても圧巻なのは、驚きのラストシーン。ロバート・アルトマン監督のマルチプロット映画を彷彿させるその切れ味鋭いストーリーテリングの妙は一見の価値あり、百聞は一見にしかず。存分にご堪能あれ。
 そして、若手からヴェテランまで、実力派俳優たちのアンサンブルの見事さが、このスリリングな群像ドラマを魅力的に形作っていると言っても過言ではないだろう。
 昔気質のレストランのオーナー、ルイスに『ドゥ・ザ・ライト・シング』『レオン』のダニー・アイエロ。彼の重厚な存在感はこのドラマの要として、そのニューヨークの香りをしっかりと画面に息づかせた出色の名演は、特筆に値する。彼の息子で、スターシェフとなった野心家のウードに『奇跡の歌』『ロミオ・マスト・ダイ』のエドアルド・バレニーニ。アメリカ生まれ、イタリア育ちの彼は今、ハリウッドの若手俳優として最も期待されている新世代スターである。アシスタント・シェフでギャンブル狂のダンカンには、テレビシリーズ「OZ/オズ」や「バンド・オブ・ブラザース」で注目度満点のカーク・アセヴェド。彼らふたりから思いを寄せられるウェイトレスのニコーレに『宋家の三姉妹』『ピータr・グリーナウェイの枕草子』のヴィヴイアン・ウーが扮するほか、『彼女は最高』のマイク・マッグローン、『ハドソン・ホーク』のサンドラ・バーンハード、『エスター・カーン/めざめの時』のサマー・フェニックス、『ファストフード・ファストウーマン』のジェイミー・ハリスなど、シネフィルを唸らせる通好みのキャスティングが、見るものの眼を贅沢に楽しませてくれる。
 プロデューサーのルイス・ディジアイモとパティ・グリーニーは、長年、ジラルディのCMやミュージックビデオの製作者としてパートナーシップを続けてきた盟友。脚本のリック・ショーネシーはドキュメンタリー映画の製作&編集者出身で、シカゴのコメディグループの俳優だったブライアン・カラタと組んだ本作が初の映画化作品となる。撮影のティム・アイヴスは初の長編劇映画となった本作をきっかけに、ウード役のエドアルド・バレリーニと意気投合し、バレリーニの監督&製作
デビュー作となる短編映画“Good Night Valentmo”の撮影も手がけている。
 オデオンのカフェテリアに夜明けのセントラル・パーク、マンハッタンやグリニッジ・ヴィレッジの日常の佇まいを、粒子の粗い映像でフォトジェニックにとらえたタイトルバックからも、ニューヨークの街へ捧げるジラルディの思いが感動的にあふれる本作は、昨年のあのニューヨークのテロ事件直後の9月28日に、ニューヨーク限定ながら52館の規摸で公開され、週末3日間で119万ドルの収益を上げるクリーンヒットを記録。《The New York Times》紙は、「ボブ・ジラルディは天才だ!この映画を見終わった後、あなたはきっと食事に出掛けたくなるに違いない」と大絶賛、今なおロングランを続ける話題作である。

ストーリー



クリスマスを2週間後に控えたニューヨーク、トライベッカ。雪がしんしんと降り積もるある冬の午後、ひとりの老人が2人組のギャングに射殺された。被害者のエンリコは、長年、街の食堂として人々に愛されてきたイタリアン・レストラン《ジジーノ》のオーナー、ルイス(ダニー・アイエロ)のビジネスパートナーだった。
 実はルイスはレストラン業の一方、25年間、賭けの胴元として地域に君臨していたのだが、エンリコの殺人の影にこのビジネスの後釜を狙うクイーンズ地区の新興マフィア“ネロ&アズー口(ブラック&ブルード)”の暗躍が隠されていることを、ルイスは直感的に察知していた。
ルイスは、エンリコの娘ナタリー(ポリー・ドレイパー)にこの悲報を告げるが、真実は胸に秘めたままだ。妻亡き後、ルイスはシングルマザーのナタリーに思いを寄せていたのだった。
 ルイスの頭を悩ませているのは、そればかりではなかった。ルイスの息子で、留学先のトスカーナから戻ってきたチーフ・シェフのウード(エドアルド・バレリーニ)が彼の意に反して・店を空席待ちの客が長蛇の列を成す、最新トレンド・レストランヘと大変革させてしまったからだった。そんなジェネレーション・ギャップから生ずるビジネス感覚の確執のせいで、ルイスの気分はまったく優れない。ルイスは、ウードが“批評家専用”の料理にばかりかかずらわっていて、“伝統的な”ミートボールのようなイタリア家庭料理をないがしろにしていることに、不満の色を隠さないのだった。
 そのウードにとってのライバルは、アシスタント・シェフのダンカン(カーク・アセヴェド)だ。ふたりは、セクシーなウェイトレス、ニコーレ(ヴィヴィアン・ウー)の愛をめぐって、夜ごとキッチンで激しい火花を散らしている。しかもダンカンはルイスのお気に入りでもある。というのもダンカンは、ウードが見向きもしない庶民的なソーセージとコショウの料理を得意としているからだ。しかしギャンブル中毒のダンカンが“ネロ&アズーロ”からも借金を重ねていると聞くや、さすがのルイスも激怒してしまう。
 うぬぼれ屋の料理評論家ジェニファー(サンドラ・バーンハード)と肉体関係を結ぶことで一躍、“イタリア料理界の新言語”、ヌーヴエル・キュイジーヌとしてスターシェフの名声を欲しいままにしているウードだが、一方で何とかしてこの頑固な父親に認められたいと躍起になっていた。彼は、父のビジネスパートナーとして、一日も早く経営に参画したい野望を持っていたのだった。その頃、ダンカンは店の裏通りにニコーレを呼び出し、ウードとの情事を追及するが、彼女は「あなたに関係ないわ」と情熱的なキスを交わして、ダンカンの疑念をケムにまくのだった。
 次第に客でごった返すレストランのフロアでは、雑学の天才バーテンダー、ショーン(ジェイミー・ハリス)が客から投げ掛けられる難問に答えチップを稼ぎ、野心的なウェイトレス兼アーティスト、マルティ(サマー・フェニックス)は、芸術家のパトロン気取りで辛辣な言葉を振りまくギャラリーのオーナー、フィッツジェラルド(マーク・マーゴリス)を持ち前の勝ち気な態度でたじたじとさせている。いかにもウォール街の証券マン・スタイルに身を包み、カウンターに陣取ったケン(ジョン・コルベット)は、そんな店内の光景に思わずこう呟くのだった。「いつから料理が見せ物になったんだ」。店内の特等席であるバルコニーには、“ネロ&アズーロ”のチンピラ、カーメン(マイク・マッグローン)と太っちょの相棒が、図々しく居座っている。
今や彼らはルイスの賭けのビジネスだけでなく、長年愛したレストランまでも虎視眈々と乗っ取ろうと、その機会を窺っていたのだった。
 やがて宴もたけなわ、多忙極めるかき入れどきの《ディナーラッシュ》の時間。階下のキッチンでは、見習いシェフがウードからののしりの言葉を浴びせかけられ、まさに戦場さながらだ。ちょうどその時、店内が停電に襲われ、暗闇に陥ってしまう。騒然となる店内だが、たちまちキャンドルサーヴィスで穏やかに照らし出し、ロマンティックな雰囲気を巧みに演出するのは、ニコーレやマルティたち、ルイスの腹心のスタッフたちだ。そしてついにウードが待ちに待っていたジェニファーがレストランに登場、いよいよキッチンの興奮も最高潮に達するのだった。
 やがて夜も更け、階下のオフィスではルイスが店をウードに譲ることを宣言していた。しかし、彼ら親子が世代交代のバトンを手渡した後、この一夜の顛末が思いもかけない事件で幕を引くことになろうとは、ここに顔を揃えた人々はまだ誰も知る由もなかった・・・・。

スタッフ

監督:ボブ・ジラルディ
脚本:リック・ショーネシー、ブライアン・カラタ
製作:ルイス・ディジアイモ、パッティ・グリーニー
製作総指揮:フィル・シュアルツ、ロバート・チーレン
      ロバート・スチュアー、マイケル・ボーモール
撮影:ティム・アイヴス
美術デザイン:アンドリュー・バーナード
音楽:アレクサンダー・ラサレンコ
音楽監修:アレックス・ステイヤーマーク
キャスティング:ステファニー・コルサリーニ
編集:アリソン・C・ジョンソン
衣裳デザイン:コンスタンス・パヴロウニス
プロダクション・マネージャー:ヒラリー・ウォーカー
第一助監督/製作補:ヴィンス・マッジオ
第二助監督:ジョーン・G・ボストウィック
ライン・プロデューサー:マット・ジェーンズ
プロダクション監修:ビリー・ドルーリー
第二助監督助手:カーティス・スミス
プロダクション・コーディネーター:リン・アッペル
主要キャスティング助手:ルー・ディジアイモ・ジュニア
エキストラ・キャスティング:アンドレア・カーツマン、エリカ・カーツマン
セット・デコレーター:オンディーン・カラディ
セット・ドレッサー:ピート・ライト
小道具主任:ジョー・キャルドラード
小道具助手:エリク・ランドル
小道具補:ダン・E・マホーン
プロダクション・デザイナー助手:アレックス・ウェイ
美術助手:メグ・ソーントン、ジェフ・エヴェレット
特殊効果:ドリュー・ジリターノ・スペシャル・エフェクツ
衣裳方:パメラ・キーゼル
衣裳監修:ジャニー・ケリー
衣裳デザイナー助手:リンウッド・アレン
衣裳方助手:テディ・フィリップス
メイクアップ主任:ヌリア・シッジャ
ヘア・スタイリスト主任:ロリー・アン・ドビンス
メイクアップ補:クラウス・ルーラ、レイシー・コペ、フランチェスカ・ブッチェラート
ヘア補:マリー・ロッシ
台本監修:セス・コパンズ
第二ユニット・キャメラ/Bキャメラ・オペレーター:マシュー・ジャンセン
第一キャメラ助手:フィビー・サッドロウ
第二キャメラ助手:ジェイムズ・マローリー
第一Bキャメラ助手:デレク・ウォーカー
第二Bキャメラ助手:ブレット・アルブライト
キャメラ・トラック:リック・ピアーソン
スティディカム・オペレーター:サンディ・ヘイズ、スティーヴ・コンセンティーノ
スティル・キャメラマン:ラリー・ライリー
照明主任:マシュー・ロス
照明助手:マーティン・ノウラン
特機主任:ヴィンス・ビスカイノ
特機助手:ロリー・ジャクソン
音響録音:ゴータム・K・チョードリー
ブーム・オペレーター:ゲイリー・M・パーカー
ロケーション・マネージャー助手:エリオット・ゲイジ・ピアール、ロビン・デイヴィス
ポスト・プロダクション監修:モリー・ブラッドフォード
編集助手:アンナ・ディ・ヌォーヴォ
音響編集監修:ウィリアム・スウィーニー
音響効果編集:ブライアン・ラングマン
音響編集助手:エリック・ストラウッザール
音楽編集:マイジー・ウェイスマン
音楽監修助手:アリソン・ラコウス
音楽プロデューサー:ミシェル・キング、アンディ・ソロモン
アクセス・モーション・ピクチャー・グループ配給
エンターテインメント・キャピタル・グループ・カンパニー
シラルディ=シュアルツ=ディジアイモ・プロダクション提供

提供:博報堂、テレビ東京、シネマパリジャン
特別協力:アーティストフィルム
協力:イゾラ、サンペレグリノ

キャスト

ルイス:ダニー・アイエロ
ウード:エドアルド・バレリーニ
ニコーレ:ヴィヴィアン・ウー
カーメン:マイク・マッグローン
ダンカン:カーク・アセヴェド
ジェニファー・フリーリー:サンドラ・バーンハード
ケン:ジョン・コルベット
ショーン:ジェイミー・ハリス
マルティ:サマー・フェニックス
ナタリー:ポリー・ドレイパー
パイパー:テッサ・ガイリン
フィッツジェラルド:マーク・マーゴリス
ゲイリー:ジョン・ロスマン
パオロ:アレックス・コッラード
ドルリー刑事:ウォルト・マクファーソン
アドマイア:アジェイ・ナイドゥ
ガブリエル:マニー・ペレズ
ハロルド:ジョー・ガッティ・ジュニア
エンリコ:フランク・ボンジョルノ
ルーシー:レキシー・スパードゥト
エイドリアン:ザイナブ・ジャー
アンドレ:リチャードソン・ヘイネス
ニーノ:アンドレ・デレオン
ベッティーナ:アンニカ・ペーターソン
ジョセフ:ホアン・ヘルナンデス
フード・ニンフ:ソフィー・コメ
エレン・ドルリー:エレン・マッケルドフ
キーシャ:マリア・ストーロー=ミラー

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://www.dinnerrush.com/
ご覧になるには Media Player が必要となります