原題:Rock'n'Roll Mishin

“奇跡のような日々”が奏でる喜びと切なさを深い共感で描き出す。 行定勲監督最新作!

2002年/日本/カラー/35mm/120分/ 配給:ギャガ・コミュニケーションズ Kシネマグループ

2010年06月01日よりDVDリリース 2002年9月28日より渋谷シネ・アミューズにてロードショー公開

公開初日 2002/09/28

配給会社名 0025

公開日メモ 原作は第12回三島賞受賞作品。サラリーマンの賢治(加瀬亮)はコンピューター会社のエンジニア。自分の人生、このままでいいのかと疑問を抱いて日々を過ごしていた。そんな彼が久々に会った旧友・凌一(池内博之)は、椿(りょう)らとインディーズ・ブランドを立ち上げ自分のやりたいように生きている。賢治は彼らの作業場に出入りするようになるが…。

解説



夢は、まだ実現しない。
“ストロボラッシュ”
それは、ここから飛びたつために、ぼくらが背中につけた羽だった。
会社員・賢司は、仕事も恋愛もなんだか上手くいってない。そんな時だ、高校の同級生凌一と出会ったのは。凌一は、仲間と一緒に自分たちのデザイナーズ・ブランドを立ち上げようとしていた。賢司は、そんな凌一たちの自由さが羨ましい。ひょんなことから上司を殴って会社を辞めた賢司は、凌一のブランド“ストロボラッシュ”の立ち上げを手伝うようになった。最初はボタンすら縫いつけることが出来なかった賢司。
アパートの一室で、彼らのミシンがまるでロックンロールを奏でるように響いている。悩ましくも奔放な日々。ぼくらは、こんな奇跡のような日々を、どこまで、続けていけるのだろう?
『GO』で日本アカデミー賞最優秀監督賞など各映画賞を総なめにした行定勲監督の最新作は、あたため続けてきた『ロックンロールミシン』。
“奇跡のような日々”が奏でる喜びと切なさを深い共感で描き出す。
監督は、『Love Letter』『スワロウテイル』など多くの岩井俊二作品や、林海象、大願大介、山本政志、ハル・ハートリーなど興味深い作品に助監督として参加してきた行定勲。『ひまわり』で監督デビューして以来注目を集め、2001年『GO』で日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ各映画賞を総なめ、若手実力派監督としての評価を不動のものとした。次々と意欲的に映画製作を続けている行定勲監督が、惚れ込み、あたため続けていた作品。それが本作『ロックンロールミシン』である。原作は、コムデギャルソンに勤め、文化服装学院で教えもしていたキャリアを持つJ文学の旗手、鈴木清剛の第12回三島由紀夫賞を受賞した同名小説。これまで、二度と戻らない時間、取り返しのつかない言葉や経験、そんな記憶が醸し出す切なさや、人が抱えざるを得なかりた痛みを、瀞かに見つめる行定監誓は、誰もがまだ“何者”でもない頃に経験する“奇跡のような日々”を、時には深い共感をこめ、そして、時には監督自身の若い頃に感じた“苦さ”を重ね合わせ、そして何よりも、さらに若い世代ヘエールをおくるかのように作り上げた。
行定組ともいうべきスタッフ、キャストと池内博之、りょう、加瀬亮、水橋研二、SUGIZO、宮藤官九郎をはじめとする初顔合わせの俳優たち。作品にかかわるすべての人のコラボレーションが、青春映画の傑作を紡ぎだす。
そんな『ロックンロールミシン』を支えるのは、監督の“目”であり、『ひまわり』『閉じる日』『贅沢な骨』でもコンビを組む撮影の福本淳。篠田昇、クリストファー・ドイルといった名匠に師事した彼は、手持ち移動やクレーンを多用しながら、美しさのなかに内に秘めた感情を映像として描き出した。また、林海象作品のサウンドトラックで知られる、めいなCo.が、映画に登場する4人の喜びや不安を包み込むように音楽を奏で、スピッツなど多くのミュージシャンのプロデューサーとしても知られる石田小吉が率いるScudelia Electroがエンディングテーマである“Rock’n roll missingI”を、この映画のために書き下ろしている。出演は、清水浩監腎『チキンハート』(今夏公開)でも注目を浴びる池内博之、本作を含め出演作6本が公開待機中、映画俳優として将来を嘱望されている加瀬亮(五十嵐匠監督『みすゞ』)、ファッションリーダーとしてだけでなく、女優としても映画、テレビドラマにと活躍するりょう(是枝裕和監督『ディスタンス』)、水橋研二(塩田明彦監督『明光の囁き』)をはじめ、『GO』の脚本家でもある劇団大人計画の宮藤官九郎、ミュージシャンであり映画『サウンドトラック』にも主演したSUGIZOといった初顔合わせの俳優たちに加え、もはや行定組の常連とも言うべき粟田麗(『ひまわり』)、津田寛治(『ひまわり』『贅沢な骨』)、戸田昌弘(『ひまわり』)、つぐみ(『贅沢な骨』)などが総出演している。

ストーリー




会社員・賢司は、仕事も恋愛もなんだか上手くいってない。高校の同級生凌一と出会ったのは、そんな時だ。高校の頃、凌一は高校球児で、野球を続けると言っていたのだが、今は髪を金髪に染め、仲間と一緒に自分たちのデザイナーズ・ブランドを立ち上げようとしていたのだ。
休日、賢司は、ふと凌一たちの部屋を訪ねてみる気になった。
そこは、蔦のからまる古いマンションで、違法滞在の外国人が住んでいた。
凌一の仲間は、専門学校の教師をしている椿とロンドン帰りのカツオ。3人は、自分達のブランドの名前を決めている真っ最中だった。コンピューターをさわれるのが、賢司だけだったこともあって、いろいろなブランド名を打たされる賢司。そして、あっけなく“ストロボラッシュ”に決定した。盛り上がる3人。
これからが3人の船出なのだ。賢司は、そんな凌一たちの自由さが羨ましい。出来上がったロゴをプリントしたTシャツを着て、クラブで踊る4人。賢司は、なんだか居場所のないような気がして階段に佇んでいた。
「あたしも不安だらけ。だから、こんなモノに頼っちゃわないと。ハイにもなれない…試してみる?」
椿は、クスリの錠剤を流し込んだ。そして、朝帰りの道でも、カツオが言った。
「おれ、最近思うんっすよ。服なんて本当はどうでも良くて。なんていうかホントにイケてる人はどんな服着てたってカッコイイじゃないですか。俺、なんでこんなに服に金かけてんだろって考えたんっすよ。きっと、自分が飾らなきゃ、見るに耐えないんだって…だから、最近の僕が目指しているオシャレは、心に太陽を、ってやつなんです」
脳天気に見えても、みんな、それぞれに不安を抱えているのだった。

そんな3人に魅力を感じていたからだろうか、無断欠勤や遅刻が多くなった賢司は、ひょんなことから部長を殴ってしまうのだった。その夜、ストロボラッシュで辞表を書く賢司。でも、それは何度書き直しても、イメージしてた立派なモノにはならなかった。辞表を胸に会社に向かう賢司を、椿が見送るのだった。こうして賢司は、凌一のブランド“ストロボラッシュ”を手伝うようになった。最初はボタンすら縫いつけることが出来なかった賢司。アパートの一室で、彼らのミシンがまるでロックンロールを奏でるように響いている。そこにはいつも笑顔があった。自分たちが着たいと思う服を追い求める真撃な背中があった。愚痴を言うやつもいない。綬やかで厳しい時間が過ぎていく。腎司にはその作られていく服の価値はわからなかったけど、3人のしていることに何か夢みたいなものを感じて、ここが自分の居場所のような気がしていた。

しかし、現実は厳しかった。なかなか思うように売れない服。賞金は、すぐに底をついた。そして、かつて椿の恋人であり、凌一の先輩でもある売れっ子デザイナー柘植が、ふいにストロボラッシュを訪ねてくる。
柘植は、凌一を自分の会社に誘い、「仲間は選んだ方がいい。命取りになる」と言って去った。

凄一は、焦っていた。
賢司の提案で参加することになった展示会に間に合わせるために服を作る4人。みんな疲れていた。そして、それぞれに焦りを感じてもいたのだ。凌一は、椿が作った服に厳しいダメをだした。ストロボラッシュの中に嫌な空気が流れることも多くなった。
「あのさ、金庫の金さぁ、尽きたんだけど・・・・生地貰う金、もうないんだけど」
賢司の言葉を聞き、凌一は黙って出ていった。行く先は、柘植のところだった。柘植から資金を借りたのだ。

その次の朝、椿は、歩道橋の上で、地面いっぱいに凌一が描いたデザイン画を目にするのだった。
賢司もまた、支社に栄転していく恋人の由美子から別れを告げられていた。
そして、携帯に連絡を受けて駆け付けて賢司が見たのは、展示会への出品を取り止め、今まで作った服を鋏で切り刻む凌一の姿だった。
椿の悲鳴と、床につもっていく色とりどりの残骸…。
彼らの悩ましくも奔放日々。
どこまで、続けていけるのだろう?

スタッフ

監督:行定勲
製作:案納俊昭、馬上伸一、黒澤満
プロデューサー:長谷川真澄、鈴木裕光、松井俊之
アソシエイトプロデューサー:坂本公孝、水上繁雄
企画協力:佐谷秀美、石田幸一
脚本:佐藤信介、行定勲
原作:鈴木清剛(河出書房新社/新潮文庫)
撮影:福本淳
美術:林田裕至
編集:今井剛
音楽:めいなCo.
照明:市川徳充
ストロボラッシュ衣装デザイン:Future eyes
柘植衣装デザイン:ルルカンパニー
音楽プロデューサー:津島玄一
エンディングテーマ:“Rock’n roll missing” Scudelia Electro
special thanks to:おちまさと
制作協力:SEP,lNC.
特別協力:バンタン芸術学院
配給:GAGA Communications,Inc.
制作:SUPLEX INC.
製作:SPACE SHOWER NETWORKS INC.
GAGA Communications,lnc.
東映ビデオ株式会社

キャスト

中山凌一:池内博之
椿めぐみ:りょう
近田賢司:加瀬亮
カツオ:水橋研二
由美子:粟田麗
柘植のモデル:川合千春
カオリ:永田めぐみ
重松:津田寛治
ビデオの中の男:戸田昌弘
ビデオの中の女:つぐみ
コンビニの女:三輪明日美
部長:松重豊
柘植:SUGIZO
小暮:宮藤官九郎

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