アラクニッド

南海の孤島で繰り広げられる、巨大なクモ型エイリアンと人間の死闘！絶対の人気を誇るジャンル、モンスター・パニック注目の最新超大作の登場だ。監督はＳＦアクションの快作として歴史に残る『ヒドゥン』のジャック・ショルダー。『ＺＯＭＢＩＯ／死霊のしたたり』のブライアン・ユズナが製作を務め、『スピーシーズ』『ヴァイラス』等のチームがＳＦＸを担当。巨大モンスター“アラクニッド”をはじめとするクリーチャーを、精巧なロポトロクス技術で創造。ＣＧＩ、特殊メイクなどあらゆる最新ＳＦＸテクノロジーが投入されている。製作のFILMAX社はミラマックス共同製作の『ダークネス』など、ハリウッドも注自の大作をたて続けに発表。同社か展開するＳＦアクションのプロジェクト“ファンタスティック・ファクトリー”第１作がこの『アラクニッド』だ。
（第２弾『ＦＡＵＳＴ』２００２年アルバトロスより発売）

【チェック・ポイント！】

　ステルス機が透明宇宙船との接触事故により墜落。その透明宇宙船に乗っていたＢＥＭタイプのエイリアンは、蜘蛛状の生物に寄生されていた。なんか、ウルトラマンの冒頭を思わせる展開だと思っていたら、アメリカ版ウルトラマン（笑）とも囁かれた、お懐かしや『ヒドゥン』(87)のジャック・ショルダー監督作品でした。
　ブライアン・ユズナがスペイン資本と手を結び、スタッフ・キャストの大半はスペイン人を起用して、ファンタジー系作品を製作していく“ファンタスティック・ファクトリー”製作による異常進化蜘蛛怪獣映画。蜘蛛科の生物という意味のタイトルは、『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)でも、地球に総攻撃を仕掛けるエイリアンの名称として使われていたもの。
　ここ最近の巨大生物系襲撃モンスター・ムービーは、その脅威を描くに際し、専らＣＧＩが用いられてきたが、大胆にも本作では昔ながらのアニマトロニクスによる実物大モデルが多用されている。この手法は一歩間違うと、『ジャイアント・スパイダー／大襲来』(75)のような観るに耐えない作品に成り兼ねないところだが、本作では地球上の蜘蛛とは似て非なる形に進化したデザインで、その口の周りの牙や触覚を動かし攻撃を仕掛ける様のギミック感覚がなかなか楽しい。多分、昔ながらの特撮ファンには琴線にふれまくりだろうその姿は、東宝怪獣映画に登場したクモンガあたりを思いっきり連想させてくれる。特殊効果を担当したのは、『ヴァイラス』(99)のゴライアスや『スピーシズ』シリーズ(95・98)のシルなどのモンスター・クリエイターのスティーヴ・ジョンソンと、スペインの特撮工房ＤＤＴ。なお、このＤＤＴは、“ファンタスティック・ファクトリー”製作作品以外にも、ギレルモ・デル・トロ監督のゴースト・ストーリー『デヴィルズ・バックボーン』(00・公開待機中）などのスペイン製ファンタに参加していて、これからが注目される工房だ。巨大蜘蛛以外でも、人間の皮下を食い荒らし成長する殺人ダニや、繭から孵化する蛇のような胴体をしたナナフシ状の生物など、グロテスクだがオリジナリティを感じさせる変異体の数々も魅力的。
　後半は、ジャングルを舞台にした『エイリアン２』系モンスター・バトル・アクションの様相を呈するのだが、最後の対決が綱引きというのは思わず（苦笑）。
（殿井君人）