原題:echoes

ニューヨーク、イースト・ヴィレッジ。 肩にチェーンをかけて、自転車で街を漂流していたレスリー。 仲間といても、いつもひとりぼっちだった。 ある日盗んだ、知らない人の財布から見つけた写真には、6年も会っていない母親の姿。 わたしの知らない、わたしの過去。 彼女は、この街で走り出した。どこにたどり着くのか、まだわからないけど…

第14回東京国際映画祭ニッポン・シネマ・ナウ正式出品::http://www.tiff-jp.net/ 2000年ニューヨーク インディペンデント・フィーチャー・フィルム・マーケット 正式招待 2001年ミュンヘン国際映画祭正式招待(新人監督のためのハイ・ホープ賞ノミネート) 2001年カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭正式招待

2000年/日本・アメリカ合作/16ミリ/白黒/72分/1:1.66 ヴィズタサイズ 配給:スローラーナー

2002年9月14日より渋谷ユーロスペースにてレイトショー公開

(C)2000 VILLAGE PRODUCTIONS

公開初日 2002/09/14

配給会社名 0048

公開日メモ 現代ニューヨーク、行き場のない若者レスリーがイタリア人の仲間と米国東海岸を旅する恋愛ロードムービー。自分の居場所を探し求めるニューヨークの若者の孤独を描く。アメリカ人社会を撮り続ける、日本人映画作家船橋淳の長編デビュー作。

解説


現代ニューヨーク、行き場のない若者レスリーがイタリア人の仲間と米国東海岸を旅する恋愛ロードムービー。自分の居場所を探し求めるニューヨークの若者の孤独を描く。アメリカ人社会を撮り続ける、日本人映画作家船橋淳の長編デビュー作。
言葉をかわしても消えることのない人と人との間の“距離”。
そこに通い合う“微かな響き”を聞きとろうとするニューヨークで生活する映画作家、船橋淳。
そんな人々の“響き”のようなダムタイプの音楽家、山中透のサウンドトラック。
これは、街に生まれては消える無数の物語の、しかし、かけがえのない“ほんのひとかけら”なのだ。
モノクロの詩情豊かな映像の中に、精神的な結びつきを探し求めるニューヨークの若者たちの孤独を描いた作品が誕生した。『echoes』は、日本で生まれニューヨークで生活する映画作家、船橋淳の長編デビュー作。彼は、仲間を集め、雑誌でキャストを募集し、この作品を作り上げた。触れ合っても、言葉をかわしても消えることのない人と人との間の“距離”。それを静かに見つめる写真家でもあるエリック・ヴァン・デン・ブルールのカメラは、そこに通い合う“微かな響き”を聞きとろうとするかのようだ。そして、ダムタイプの音楽家でもある山中透とデイヴィッド・ウルマンのサウンドトラックは、まるでそんな人々の“響き”のように美しく繊細に忍び込む。英語で“住む”と“生きる”は、どちらも“Live”。レスリーは、彼女が住むその街の時間を生きている。イースト・ビレッジには、イースト・ビレッジの、東京には東京の時間があるだろう。そして、生きることとは、「今」という瞬間を、休むことなく紡いでいくことでもある。『echoes』は、そんなこの街の無数の物語の、ほんのひとかけらなのだ。

ストーリー




ニューヨーク。多くの若者が住むイーストビレッジに暮らすレスリー(エデン・ラウントゥリー)は、空虚な関係を渡り歩き、相手の男の財布から金を抜き取ったりしながら、気ままな毎日を過ごしていた。
ある夜のパーティー。混雑したバーカウンターで、レスリーは隣にたった若い女性のバッグを盗む。
翌朝、パーティーで声をかけてきた男と一夜を過ごしたレスリーが自宅へ戻り、盗んだバッグの中身を見ていると、ガラクタの中に、ある写真を見つける。そこには幼い頃の自分と両親、そして何故か、母親と同じ服を着た、見知らぬ少女が映っているのだった。驚いたレスリーは、とっさに実家へ電話してみるが、母親の声を聞いても言葉が出ない。
心を取り乱したレスリーは、イタリア系移民のルカ(ジョー・マリノ)とマルコ(パオロ・パグリアコロ)の車に便乗し、旅に出る。彼らはルカの叔父が経営するペンシルバニアの自動車修理工場で、修理工としての新しい生活を始める為、自分達で直したポンコツ車に乗り込み、NYを後にしょうとしていた。
しかし無事着いてみれば、ルカの叔父は、仕事は一人分しかないと告げる。しかたなくマルコとレスリーは車に戻り、レスリーが運転を引き受けると、マルコはやがて眠ってしまう。するとレスリーは方向を変え、ある場所へと向かう。マルコが目を覚ますと、そこはレスリーが幼い頃を過ごした家、ヴァージニア中部のとある牧畜農場。そこにはレスリーの母親・アナ(アリソン・ライト)と母親の新しいボーイフレンド・ニッタ(ボビー・ソベル)が暮らしていた。
6年ぶりの団欒もそこそこに、レスリーは家の中を詮索し、実は自分には姉がいるのだという真実を突き止める。しかし、それを今まで内緒にしていて、今なお言葉を濁す母親と口論になり、レスリーはそのまま外へ飛び出してしまう。慌てて後を追い、車に乗り込んだマルコが見たのは、運転席で泣きじゃくるレスリーだった。
その夜、レスリーとマルコはモーテルに泊まる。シャワーを浴び、気持ちを落ち着けたレスリーは静かにことの顛末を語り、「姉をみつけないの」という。
翌日、NYへ戻る道すがら、砂浜で語り合うレスリーとマルコ。
「姉さん探し、手伝おうか?」
「手伝ってくれるの?」
「手伝って欲しいの?」
「うん、お願い。」
二人の間に、新たな感情が芽生えていた。
NYへ戻ったレスリーは、街を自転車で走り回りながら姉探しを続けるが、なかなか手がかりは見つからない。
ある夜、マルコが自宅へ帰るとアパートの門の前にレスリーが座り込んでいた。部屋へ上
がった二人は、いつしかふざけあいながら距離を近づけ、キスに導かれながら寝室へと向かう。
翌朝、先に目覚めたレスリーは、ぼんやりとたばこを吸いながら、その煙を見つめていた。
そして、目を覚まし「どこ行くんだよ」というマルコを無視し、また一人で自転車に乗り、街へと出て行くのだった。

スタッフ

製作:ヴィレッジ・プロダクションズ
脚本・監督・編集:船橋淳
製作主任:アリサ・ジョー・ブラック
撮影:エリック・ヴァン・デン・プルール
録音:ベリンダ・スミス
音楽:デイヴィッド・ウルマン
楽曲提供:山中透
配給:スローラーナー

キャスト

レスリー:エデン・ラウントゥり一
マルコ:パオロ・パグリアコロ
アナ:アリソン・ライト
ニック:ポピー・ソベル
ルカ:ジョー・マリーノ
トラヴィス:トラヴィス・J・メイノルフ
レスリーのルームメイト:エリザベス・ヴァレリオ
ジミー叔父さん:エドワード・ウィンロー
ベッド上の男:ジョセフ・メイソネット
イザベル:シェリー・デイグ
バーテンダー:ロドニー・ジャクソン
バーテンダー1:ジェームス・サポ
バー子ンダー2:ブルース・サンダース
パーのボーイ:ナヌ

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