原題:LOS SIN NOMBRE THE NAMELESS

2000年ブリュッセル国際ファンタジー映画祭グランプリ 2000年ジュラルメール国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞、国際批評家賞、観客賞 2000年ファンタスポルト国際映画祭最優秀監督賞、観客賞 2000年ローマ・ファンタフェスティバル最優秀作品賞 2000年モントリオール・ファンタジア国際映画祭最優秀作品賞、観客賞 1999年シッチェス国際カタルーニャ映画祭    ヨーロッパ最優秀ファンタジー映画賞、最優秀女優賞、最優秀撮影賞

2000年8月23日フランス初公開

1999年/スペイン映画/カラー/ドルビー・デジタル/1:1,85/102min 配給・宣伝:オンリー・ハーツ

2002年09月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年7月27日より8月30日まで俳優座シネマにてロードショー公開

公開初日 2002/07/27

公開終了日 2002/08/30

配給会社名 0016/0127

解説


スペインの若き才能に、国内外の映画祭で絶賛の嵐!

『アザーズ』のアレハンドロ・アメナーバル監督を生み出したスペイン映画界から、またひとつ新たな才能が誕生した。国内外の映画祭で多くの賞を受賞した2本の短編を経て、本作で長編デビューを果たしたハイメ・バラゲロ監督である。デヴィッド・フィンチャーを紡佛とさせるスタイリッシュな映像と、観る者を恐怖のどん底に突き落とす演出は、デビュー作ながら圧倒的な才能を感じさせる。本作は各国のファンタスティック映画祭で上映されるやいなや、観客を熱狂の渦に巻き込み、グランプリや最優秀監督賞など数々の賞を総なめにした。鮮烈なデビューを飾ったバラゲロの次回作は、早くもハリウッドに招かれて制作した『DARKNESS』(アンナ・パキン主演、2003年公開予定)。ホラー映画界の今後を担うホープとしてますます目が離せない存在だ。

死んだはずの娘からの電話。それが悪夢の始まりだった…。

物語は少女の惨殺死体が発見されるところがら始まる。誘拐され、想像を絶する残酷な殺され方をした少女。判別不能の死体に対面することも拒まれ、母親は悲しみのどん底に沈んでいた。5年後、心の傷が癒えないまま一人で暮らす母親のもとに、1本の電話がかかってくる。「ママ、あたし生きてるの。助けに来て」——娘は生きているのか、生きているならどこにいるのか。母親の必死の捜索は、やがて恐ろしい悪夢に繋がっていく。鍵を握るのは“ネームレス”というカルト教団。自らの名前を否定し、暴力や蛮行によって絶対悪を作り上げようとする狂気の集団である。娘は“ネームレス”に誘拐されたのか?彼らの目的は一体何か?スクリーンの中の母親と一緒に、息を詰めて事の成り行きを追う観客は、やがて用意されている驚愕のラストシーンに言葉を失うだろう。

ホラー小説の巨匠、ラムゼイ・キヤンベル原作を映画化!

原作の『無名恐怖』は、“英国のステイーヴン・キング”と称されモダンホラー小説の権威ともいわれるラムゼイ・キャンベルの代表作である。60年代半ばから作家活動を始め、これまでに短編200編以上、長編20作を発表している。英米モダンホラー界でのキャンベルの評価は非常に高く、世界幻想文学大賞やブラム・ストーカー賞などを何度も受賞しているにもかかわらず、日本では残念ながら長編第一作の『母親を喰った人形』とアンソロジーに含まれる短編20作ほどを除いて、彼の著作はほとんど訳出されていない。だが、ステイーヴン・キングが「いい作家どころか傑出した作家だと断言してもいい存在」と手放しで絶賛するキャンベルの才能は、作品を読めば誰もが認めるところであろう。
『無名恐怖』は彼の著作の中でも、最も恐ろしく、読者の心をかき乱す作品として知られている。映画では堕落・狂気・邪悪といったモチーフを生かし、原作中に漂う恐怖と緊張感を見事に映像化している。

ストーリー

出版社で働くクラウディアは、5年前に最愛の娘アンヘラを失った。当時6歳だったアンヘラは、誘拐された後、身元を確認できないほど無惨な死体となって発見されのだ。左右の足の長さが違うということと、名前の入ったブレスレットが発見されたことで、警察は遺体がアンヘラのものであると断定した。娘の死を受け入れられず、夫とも別れたクラウディアは、心に大きな傷を抱えながらも少しずつ立ち直ろうとしていた。
ある日、クラウディアのもとに1本の電話がかかってくる。「ママ、あたし生きてるの。助けに来て」——それは、死んだはずのアンヘラからの電話だった。半信半疑ながらもアンヘラから教えられた海岸の保養所跡へ向かったクラウディアは、そこで娘が足に付けていた義足を見つけた。
クラウディアは5年前に事件を担当した元刑事・マセラに連絡を取り、共に娘の行方を捜し始める。やがて、捜索の過程で“ネームレス”というカルト教団の存在が浮かび上がってくる。天使を教団のシンボルとしながらも、その実態は暴力と蛮行によって悪を昇華させ、絶対悪を作り出すことを目的とした狂信的な集団だ。アンヘラが“ネームレス”に誘拐されたと確信した二人は、彼らの居所を突き止めようと必死に追跡調査を続けた。
“ネームレス”の教祖・サンティニについて調べていたマセラは、サンティニが重罪を犯して収監中であることを知る。一方クラウディアのもとには、雑誌記者キロガから連絡が入る。匿名で雑誌宛てに送られてきたビデオに、クラウディアの電話番号が記されていたのだ。ビデオには一人の人間が集団に暴行を受けている映像と、保養所跡の家でアンヘラを捜すクラウディアの姿が映っていた。
事件の調査に協力することになったキロガは、数年前に“ネームレス”の記事を書いた記者と会い、情報源がドイツの医師であることを聞き出した。サンティニはその医師を教団へ招き入れ、人体実験を強要したという。サンティニが投獄された後も彼らを恐れ、家に閉じこもっているという医師を訪ねたキロガ。怯え、必死で助けを求めるその医師は、キロガに“ネームレス”の居場所を教えた。
一方、クラウディアとマセラは、独房に収監されているサンティニと面会できることになった。「娘の居場所を教えてほしい」と頼むクラウディアに、次々と謎めいた言葉を口にするサンティニ。「きみの娘は全てが始まった場所に連れて行かれた。記憶を使うんだ」というサンティニの言葉の意味を必死で考えるクラウディアだったが、答えが見つからず苛立っていた。
クラウディアの部屋に戻った二人を待っていたのは、彼女の昔の交際相手だったトニーの死体だった。壁には血で書かれた「娘は生きてる」というメッセージが残されていた。それは“ネームレス”の脅しなのか?なぜ彼女を脅すのか?混乱するクラウディアを連れて、マセラは部屋を出た。
キロガから“ネームレス”の居所を突き止めたという連絡を受け、北部にある廃業したホテル跡へ向かう二人。突然、クラウディアは思い出した。昔、別れた夫とそのホテルに泊まったことがあったことを。そして、そのホテルで娘アンヘラを身ごもったということを…。
クラウディアを残し、建物の中へ入っていくマセラ。すると、車の中で一人待つクラウディアに電話がかかってくる。「ママの友達殺されたわ。助けて」というアンヘラの声を聞いて、中へ入っていくクラウディア。そこで彼女を待ち受けていたのは、悪夢のような光景だった…。

スタッフ

監督・脚本:ハイメ・バラゲロ
製作:フリオ・フェルナンデス、ジョアン・ジナル
製作総指揮:ジョアン・ジナル
撮影監督:ジャビ・ヒメネス
編集:ルイス・デ・ラ・マドリッド
音楽:カルレス・カサス
原作:ラムゼイ・キャンベル『無名恐怖』

キャスト

クラウディア:エマ・ビララサウ
マセラ:カラ・エレハルデ
キロガ:トリスタン・ウリョア
トニー:ペップ・トサル
アンヘラ:ジェシカ・デル・ポソ
サンティニ:カルロス・ラサルテ
学者:ジョルデイ・ドデル

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