素敵な歌と船はゆく
原題:ADIEU,PLANCHER DES VACHES!
1999年カンヌ映画祭アウト・オブ・コンペ正式出品/ルイ・デリュック賞 ヨーロッパ映画アカデミー国際批評家連盟賞受賞
1999年/フランス=スイス=イタリア合作/カラー/35mm/117分/1:1.66/ドルビーSRD 配給:ビターズエンド
2004年6月19日より渋谷シネ・アミューズにてロードショー 2002年09月04日よりDVD発売開始 2002年09月04日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年1月12日よりシネセゾン渋谷にてレイトショー公開
公開初日 2002/01/12
配給会社名 0071
公開日メモ グルジア出身の巨匠オタール・イオセリアーニ。独特なユーモアの感覚、ゆったりとした作品の雰囲気など、オタール・イオセリアーニのノンシャランとした作風は、本作『素敵な歌と舟はゆく』でも健在だ。
解説
数学と音楽と絵画。オタール・イオセリアーニの作風に活かされるすべての要素。ヨーロッパではすでに絶大な評価を集め、日本でも新作の劇場公開が永らく待たれて’いた、グルジア出身の巨匠オタール・イオセリアーニ。独特なユーモアの感覚、ゆったりとした作品の雰囲気など、オタール・イオセリアーニのノンシャランとした作風は、本作『素敵な歌と舟はゆく』でも健在だ。一見、フリーハンドのようにみえるこの作品の軽やかさは、決していきあたりばったりではなく、周到な計画に基づいたものであることは、トラベリングを伴う長回しの見事なカメラワークを観ればわかることだろう。こうしたカメラワークを実現するために、イオセリアーニは全カットについて細かいストーリー・ボードを作成し、撮影に望む。ストーリーボードには絵コンテに加え、カメラの動き、役者の立ち位置が明示されている。自らのアドレス帳からキャストを探す、と言われるように、イオセリアーニは知り合いの素人をメインキャストとして映画に登場させることで有名だが、演技経験のない彼らにシナリオではなく、ストーリーボードに台詞を書き込んで渡すことで、余分な芝居をすることが防がれ、あの絵画のような美しい画面が登場するのだ。
ストーリー
家族のみなさん、さようなら。一足お先に出発します。ワインでも飲みながら友達と素敵な歌を歌って。あとはかわいい犬がそばにいてくれれば、もうなんにもいらない!
パリ郊外に城のような屋敷があり、そこにはこんな家族が住んでいます。母親(リリー・ラヴィーナ)は少しの時間も惜しんでヘリコプターで忙しく移動し、仕事を片づけるやり手の実業家。派手でパーティが大好き。毎晩、客を招いては十八番のシューベルトの「さすらい」を披露しています。もちろん、お気に入りのペット、マラブー(大型コウノトリ)の自慢も忘れません。父親(オタール・イオセリアーニ)はお酒が大好き。お気に入りのものがあふれる部屋で、愛犬のラブラドール・レトリバーと一緒に、ワインを傾けて歌を口ずさんだり、趣味の鉄道模型を眺めて過ごします.奥さんが仕事に出かけると、こっそり射撃に出かけたり、かわいいメイドにいたずらしたり…なかなか人生を証歌している様子です。この2人には、まだ小さくてかわいい3人の娘と、ニコラ(ニコ・タリエラシュヴィリ/声の吹替:マチュー・ドゥミ)という息子がいます。ニコラは色々な才能にあふれていて、好奇心旺盛なお年頃。毎朝、スーツ姿で屋敷を出てはモーターボートに乗り込んで、ラフな格好に着替えながらパリ市内へ向かいます。身分を隠して、物乞いやアルバイトに明け暮れるうちにカフェの看板娘ポーレットに恋してみたり…。でもそんな彼の好奇心が災いして、ついには大きな事件に巻き込まれてしまうのですが。こんな家族が出会うのは拾ったネクタイでおしゃれして、借り物のハーレー・ダヴィッドソンを乗り回しナンパにいそしむ鉄道清掃員(フィリップ・バ)。ちょっと気が強くて美人のカフェの看板娘、ポーレット。優雅に暮らすひげの浮浪者。彼の愛犬で、人なつっこいコーギーのイジドール。母親の商談相手でもあり、美しい愛人を何人も抱えている好色な中年実業家。その部下で、なにをやっても失敗ばかりしているドジな黒人。ニコラの友達の物乞いの青年。マラソンランナーの夫婦・パリヘやってきたばかりのアフリカ人。盗品らしき聖像画を売りさばく移民の女たち。古物商。ビストロの女主人と眼鏡の息子。獣医にヴァイオリンを習う生意気な男の子などなど。こうしたすべての登場人物(動物)が架空のパリを舞台に繰り広げるさまざまなエピソード。それらをなめらかなカメラワークが、まるでしりとりのようにつなげてゆきます。ぜひ、くすくす笑いながら観てください。きっと、面白いだけじゃない様々な感情があなたの中にわき上がり、人生の本当の豊かさに気付かせてくれるはずです。
スタッフ
監督・脚本:オタール・イオセリアーニ
撮影:ウィリアム・ルブシャンスキー
美術:ノマニュ・ド・ショヴィニ
衣装:コーリ・ダンブロージョ
編集:オタール・イオセリアーニ/エヴァ・レンキェヴィチュ
音編集:ヴァレリー・デローフ
音楽:ニコラ・ズラビシュヴィリ
録音:フローリアン・アイデンベンツ
進行:ヌザール・タリェラシュヴィリ/ナナ・イオセリアーニ
芸術協力:ニコラ・フルニエ
製作:マルティーヌ・マリニャク
音楽演奏:ニコラ・ズラビシュヴィリ(ピアノ)、ジャッキー・デカン(アコーディオン)、
ジェラール・イグレシア(ギター)、ベアトリス・ゴゲ(ヴァイオリン)
キャスト
息子ニコラ:ニコ・タリエラシュヴィリ(声の吹替)マチュー・ドゥミ
母親:リリー・ラヴィーナ
列車清掃員のバイク乗り:フィリップ・バ
カフェの娘ポーレット:ステファニー・アンク
金髪のメイド:ミラベル・カークランド
ひげの浮浪者:アミラン・アミラナシュヴィリ
乞食の青年:ジョアサン・サランジェ
好色な実業家:マニュ・ド・ショヴィニ
父親:オタール・イオセリアーニ
老婦人:ナルダ・ブランシェ
召使い:ヤニック・カルパンティエ
ドジな黒人:アルベール・マンディ
古物商:アリックス・モンテギュ
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