ダムド

『死霊のいけにえ』の製作＆監督コンビが再び組んだホラー。大統領暗殺を目撃した夫婦が、身辺保護のために連れて来られた屋敷には亡霊が！狂った護衛官に命を狙われる二人の運命は…？特殊効果として活躍するヴィンス・ディ・メッリオとティム・ラスムッセンがコンビを組んだ、『ポルターガイスト』『ホワット・ライズ・ビニース』に続く超常現象ホラー最新作！若手スタッフが、サンドラ・ブロック主演の『デンジャラス・ビューティ』を手掛けたＳＦＸスーパーバーザーのチャド・Ｂ・コールとともに挑む、驚愕のサイキック・ワールド！

【チェック・ポイント！】

　『死霊のいけにえ』の製作＆監督コンビのホラーとのことですが、いかにも順列組合せの賜ッて感じが未公開作品の王道みたいでぷりちぃな（笑）タイトルの前作（前置きが長いぞ＞自分）は、観たことが無いけれど、森のヴィジュアルに『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』モドキ映画だったら嫌だなぁ…と思ったら、侮るなかれ低予算ながらも結構真っ当な怪奇味が味わえるホラー映画でした。
　『サスペリア PART2』や『ポルターガイスト』を思わせる童謡風のリリカル音楽にのせて、その森の中の家で起こった白昼の惨劇が描かれる冒頭からなかなかいいムード。湖（…というよりは、沼って感じだけど）中をゆっくりと沈んでいく白いドレス姿の母娘の姿が、幻想的で美しい。
　というわけで本作は、忌まわしき事件があった場所にそうとは知らずにやってきた若い夫婦と彼らの警護で同行した捜査官が、事件の因縁に囚われた霊が起こす恐怖の体験をするという実に古典的な幽霊譚。主人公夫妻が出来ちゃった結婚で、父親になることの戸惑いを隠せない夫と妻の関係がイマイチギクシャクとしているとか、彼らがそこを訪れた理由が大統領候補暗殺事件の目撃者で証人保護のためであったとか、ドラマ部分に新味をだそうとちょっと変わった設定を盛り込んでいるけれど、もう一突っ込み欲しかった感じかな。特異なシチュエーションの賜と言える夫婦を亡き者にしようと追ってきた暗殺者など、キャラクター的にも事件との関連にしてもほとんど本筋にも絡むことがないのは、ちょっと勿体無いかな。
　母娘の霊等、登場する幽霊の描写は大半がせいぜい顔を白塗り＆隈取りメイクにした、フィジカルな人間そのもの。同じようなメイクであっても傑作Ｂ級映画『恐怖の足跡』のようなモノクロの陰影が怪奇なムードを醸し出す作品…ってわけでもないのだけれど、妻がリアルな目前の出来事として過去に起きた事件を幻視し、それが現実の世界と交錯していく様を描いていくのに案外効果的だ。怪異の比較的多くの部分が、黙っていても無気味になる夜間に限定することなく、陽光溢れる中で展開するのも独特の味わいを醸し出している。霊にとり憑かれ常軌を逸していく捜査官の描写では、その虫歯を巡っての部分が、いゃんな感じで出色だ。
（殿井君人）