原題:BLACKOUT

大・停・電・発・生!暗闇の地獄を生き延びろ!! 夜の大都会、都市機能完全破壊。停電パニックの恐怖をリアルに描く最新作! シリコンバレーに大打撃を与えた、カリフォルニア州の実際の停電事件 それはこの映画のプロローグにすぎなかった——

2001年/アメリカ映画/104min 発売・販売:アットエンタテインメント(DVD税抜4,800/ビデオ税抜:16,000)

2001年10月5日DVD発売/2001年10月5日ビデオ発売&レンタル開始

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解説


都市破壊ビジュアルで観るものを圧倒する“パニック・アクション”最新作。実際に起きたロサンゼルス一帯の停電大パニックは、東京でも起こりうる!いつ起こってもおかしくない!大都市機能を破壊する停電パニックの恐怖とサスペンスを『ヘンリエッタに降る星』のジェームズ・キーチが監督。

【チェック・ポイント!】

 毎月のようにリリースされる未公開パニック映画(orテレフィーチャー)ですが、今月の御題は停電です。長雨が続く大都会で、発電所はオーバー・ロードで操業不能の状態に陥りつつあり、また地下の送電線も各地で電力の供給に耐えられなくなりつつあった。そして、とうとうある送電線が火をふいたことにより、都会への供給は完全に断ち切られてしまい、人々は暗闇に包まれパニック状態になっていく…。
 ってことで、今回も解説&物語&ジャケットはちょっとオーヴァー…なんてことは書かなくても、皆承知してるよね(笑)。観る者を圧倒する都市破壊ヴィジュアルは…強いて言えば腐った地下送電線が爆発する一場面ってところでしょうか。都会のビルの灯りが落ちていくところは、『ライトニング』の同様の場面の大都市ヴァージョンではあるのだけれど、正直やはりそんなに派手なもんではない。
 でも、この作品はパニック映画を観るという意識じゃなく、ある役者さんの魅力を楽しむという点では、なかなかの逸品だと思います。彼女の名は、ジェーン・シーモア。多分、日本では映画ファンよりもテレビ・ファンの方の方が知名度が高いかも。69年の『素晴らしき戦争』でスクリーン・デビュー。73年『007死ぬのは奴らだ』でエキゾチックなボンド・ガールをつとめたり、77年の『シンドバッド虎の目大冒険』のお姫様役などに出演するが、ほとんど表面的に綺麗なだけのお飾り的な扱いで、彼女の魅力が活かされていたとは言えない。そして、80年に彼女の劇場作品としては間違いなく代表作であり、タイム・トラベル・ファンタジーの逸品『ある日どこかで』のヒロインを演じる。現代の青年リチャードが古き良き時代の佇まいを残したホテルで目に留めた、美しい女性のポートレートに心を奪われ、彼女との愛を成就させるために過去の世界を訪れるというこの作品は、公開当時日本では残念ながらほとんど評判になることもなく終わってしまったが、名画座(が未だかろうじてあった頃だね)やビデオで徐々に人気を呼んで、今ではカルト・ムービーとして人気を誇っている。実は、個人的なオール・タイム・ベスト作品であったりもするのだ。この作品で、30年代の舞台女優エリーズを演じたジェーン・シーモアの美しさといったら、僕の拙い筆力ではとても表現できるものではないが、相手を軽くにらむようなその視線、舞台で嫣然と微笑む表情、そして二人がいよいよ結ばれる前にアップにした髪を下ろすしぐさなど、一つ一つが見る者を魅了せずにはいられない。監督のジャノー・シュワークはユーモラスな描写を挿みつつ、売り出し中の新進女優の道を進みつつも、自らの運命を変える相手との出会いを予感していたエリーズと、ポートレート以外ではあったことがない(これは正しくはないんだけど、まぁ機会があったら観て確かめてください)エリーズのために時の壁をも越えるリチャードの、狂おしいまでのラブ・ストーリー見事に演出していた。続いて81年には、テレビ・ミニ・シリーズ版『エデンの東』でも、その美貌と存在感を活かして魔性のヒロインを演じ、その後もテレフィーチャーを中心に数多くの作品に出演、93年からの長寿テレビ・シリーズ『ドクター・クイン 大西部の女医物語』で主役を演じた。多分、多くの方はこのテレビ・シリーズで彼女のことを記憶しているんじゃないかな。因みに、やはり今回取り上げている『監禁』の劇中で映し出されるテレビのシット・コム番組で、彼女の名前が台詞に使われていたりすることからも、アメリカのお茶の間でも思いっきり知名度が高かったことが判るってもんだ。
 …と前置きが長くなりましたが、そんな彼女の単発テレフィーチャー新作が、この『ダーク・インフェルノ』だ。彼女の役柄は、メインとなる家庭の主婦。弁護士資格を得ようと週2回大学に通い、夫のことを愛してるんだけど、夫の仕事が巧くいっていないせいかなんとなくギクシャクしている。長女からは「子ども扱いしないで」と煙たがられ、小学生の長男も生意気盛りだ。まぁキャラクターとしては、わりと平凡なそんな一家が停電に遭遇。ショッピング・センターに出かけていた母子は、暗闇の中で諍いと和解を繰り返し(このあたりが、地味ながら自然な感じで飽きさせない)ているうちに、サイコ野郎にまで付け狙われる。彼女は子供たちを救うために戦うクライマックスでは、白いノー・スリーブの上着姿で犯人と格闘まで演じてしまうのだ。彼女は、51年生まれですから間もなく50歳。『ある日〜』の頃に比べれば当然齢を重ねてはいるが、それでも清楚な美しさは健在でとてもそんな年齢には見えない。一見身近にいそうなリアルさと親しみやすさを感じさせながら、実はまず日常では出会えないであろう奥さんぶりがいい。
 本作の監督は彼女と『マーダー・イン・ザ・ミラー/夫の素顔』でも組んでいるジェームズ・キーチ…っていうか、この人は彼女の現在の旦那さんだったりするわけだ。自分の妻の魅力は一番よくわかっているんだとばかりの演出ぶりに、ちょっとあてられてる気分にもなるけど、実際素敵なんだからしょうがないね。なお、本作では夫婦揃って製作総指揮としてもクレジットされています。
(殿井君人)

ストーリー



降り続ける豪雨の影響で遂に発電所が爆発し、電気を供給するために都市中枢の地下に張り巡らされたパイプ管も次々と爆発を起こした。次々に消える街の光。高層ビル、エレベーター、信号、道路の街灯。
至る所で事故や火災が発生し、街中がパニックの渦に陥った。
発電所の職員たちは必死に電力回復を試みるが、余りの規模の災害の大きさになすすべもなく時間はたつばかりだった。
そして2人の子供を連れ、デパートに来ていたキャシーもその混乱に巻き込まれていた。娘のブレアとはぐれたキャシーは、暗闇の中、出口を探して逃げまどう人々をかきわけ、娘を捜す。
しかしブレアには思いもよらない危険が迫っていた。ブレアにつきまとう1人の男が、ブレアと弟のイアンを、止まっているエレベーターのシャフトこ縛り付けてしまったのだ。
停電が解消されると共に子供たち二人の命は奪われてしまう!
果たしてキャシーは混乱の中、子供たちの居場所を突き止められるのか!

スタッフ

監督:ジェームズ・キーチ『ヘンリエッタに降る星』『偽りのプロファイル』
脚本:ビル・ウェルス
製作総指揮:スタンリー・M・ブルック『薔薇の記憶』『ワイルド・ウェスタン/荒野の二丁拳銃』
衣装デザイン:ジュリー・オブライエン
美術:エヴァン・ウェバー

キャスト

キャシ一・ロピンス:ジェーン・シーモア『007/死ぬのは奴らだ』
ブレア・ロビンス:アレクサンドラ・ピカット
エリック・セションズ:コリン・ネメック『ドロップ・ゾーン』
デピツド・ロピンス:ウィリアム・ラス『赤い殺意』
イアン・ロピンス:エリック・ヌドセン
クリス:ジョン・ヘンリー・キャナヴァン

LINK

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