原題:PEUT-ETRE

きっと未来はこんなハズ?ウーズ!

☆第8回フランス映画祭横浜2000出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/france2000/index.htm

(フランス1999年11月10日公開)

1999年/フランス映画/カラー/シネマスコープ/上映時間109分/ドルビーSRD/ 配給ポニーキャニオン/キネティック

2001年6月20日DVD発売/2001年6月20日ビデオ発売&レンタル開始 2000年12月09日より恵比寿ガーデンシネマにて公開

公開初日 2000/12/09

配給会社名 0068

解説

砂丘のかなたに蜃気楼のようにエッフェル塔がのぞく、砂に埋もれてしまった2070年のパリ。天変地異?異常気象のせい?!そんなことが現実に起こる確率がまったくないとは誰にも書い切れない。でも、大丈夫、人々の愛はまだ砂に埋もれてはいない、Peut-etre、Maybe、たぶん…ね。
『百貨店大百科』(91)『猫が行方不明』(96〉『家族の気分』(96)など、さらりとした話術でフランス人の日常的気分の核心をつくセドリック・クラピッシュ監督待望の最新作『パリの確率戯は、ぽっかりと砂漠の上空に浮かんだ「?」マークみたいな大らかさで人々を包み込む心優しいSFファンタジー。フランス映画界久々の大作に挑みながら、ハリウッドのデジタル・ハイテクとは対極にある手作りのロ一テク感覚の現代のデジタル文明に疲れた人々に心のオアシスのような感動を呼び覚まし、フランス全土で350館規模の拡大公開を行い、大ヒットを記録している。もうすぐ21世紀。なにか新しい人生をスタートさせたい気分。たとえば好きな人の子供を作るとか…。主人公のアルチュールは、ガールフレンドのリュシーに、新しい時代を祝う大晦目のSF仮装パーティの最中に「子供がほしい」と迫られる。典型的なモラトリアム世代の現代青年であるアルチュールはおおいに動揺。パパになるなんて想像もできないし、未来のことを思えば不安なことばかり。そんなまだ大人になりきれない主人公が、もし70年後の世界を見てしまったら?自分たちが産むことになるかもしれない未来の息子と出会い、さらに自分が何歳で死ぬかを知ってしまったとしたら?

文明は進化というより、むしろ退化してしまっているような未来。交通は馬やロバにたより、人々はかつての文明の形見のような廃物を利用して生活を営んでいる。パーティ会場のトイレの天井から2070年のパリにワープしてしまう主人公がそこで出会う白髪の老人アコ。アルチュールは彼に「パパァ!」と呼びかけられ、自分の家族のために、絶対に今夜子供をつくってくれと懇願される。かつて存在したSFの傑作はみな、未来を描きながら実は作者の生きている現在の普遍的な表現であったとクラピッシュ監督は言う。『パリの確率』は、70年後の世界というファンタジーの枠組みを借りながら、自分の未来を垣間見てしまうアルチュールのショックや絶望や感動をリアルに瑞々しく描き出す.これから生まれるかもしれない子供がし親に向かって自分を存在させて欲しいと願うという、奇想天外な、それでいて人生に対する蓄定的な愛のメッセージが、心に不思議な温もりを残すのである。主人公のアルチュール役には、クラピッシュ作品の常連であり、フランス映画界でいまや人気・実力若手No.1俳優のロマン・デュリス。アルチュールの恋人リュシー役は、『IP5』(91)のジェラルディン・ペラス。孫くらい年下のアルチュールの息子役という奇妙なシチュエーションにリアリティを与えているのは、名優ジャン=ポール・ベルモンド。J=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』(59)以来の伝説的俳優ベルモンドの存在感が映画を引き締め、デュリスとペラスのナチュラルな演技をしっかり受け止めている。

主題歌「Maybe」で、未来にファンキーな味付けを加えているのは最近他界した音楽界の怪人スクリーンミン・ジェイ・ホーキンス。現代のパーティ・シーンには、ファット・ボーイ・スリムの「ROCKAFELLERSKANK」を起用。クラブ的な音楽が、楽しさいっぱいのポップなムードを演出している。

クラピッシュ流朱来世界では物質文明は退化しているのに、皮肉なことに人々はそれほど不都合な様子には見えない.ここには監督の進化に対する皮肉と大らかなユーモアが溢れている。一方、映画の冒頭にはいかにもキッチュなSFスペースものを映画内映画として挿入され、宇宙船で外敵と戦闘するステロタイプな未来イメージを笑い飛ばしている。その中で、人々は小指をキリッと立て「ウーズ!」と挨拶を交わすのである。

そんな遊び心を忘れてしまわなければ、未来はきっと大丈夫、「ウーズ!」

ストーリー

明日で新世紀を迎えようとしている大みそか.テレビではお決まりのシチュエーションのSFモノが流れていて、宇宙船がワープしている。21世紀はこんな感じなのかなと想像していたけれど、別になんてことのない普段の生活。24歳のアルチュールの大みそかは静かにやって来た。
 それでも新しい時代の幕開けをハデに祝おうと、全員SFファッションに身を包んだ友人宅のパーティにガールフレンドのリュシーと出かける。みんなが大騒ぎしているリビングを離れて、パウダールームで抱き合うふたり.ところが、その最中に「子供が欲しいの」とリュシーに打ち明けられたアルチュールはおおいに動揺してしまう。”カネの安い仕事、今は転職も楽じゃない、大気汚染で生まれた子供はどうなるんだ?”等々、色々な書い訳が頭をかすめる。まだパパになる気のないアルチュールは、彼女を避けてひとりトイレに座り込む。ふと、異変を感じて天井を見上げると、継ぎ目からサラサラと砂がこぼれ落ちてくる。何気なく天板を押し上げた途端、大量の砂がアルチュールを襲う。どうにか天井の上にはい上がってみると、屋根裏にぽっかりと天窓が開いている。そこから顔を出してみると、なんと外は見渡す限り砂に覆われた町だった…

スタッフ

監督:セドリック・クラピッシュ 
製作:アイサ・ジャブリ 
  ファリッド・ラオアッサ 
  マヌエル・マンツ 
脚本:セドリック・クラピッシュ 
  サンティアゴ・アミゴレーナ 
  アレクシス・ガルモ 
  クリスチャン・ヴァンサン 
撮影:フィリップ・ル・スール 
編集:フランシーヌ・サンベール
美術:タイエブ・ジャルリ
音楽:ロイク・デュリー 
 

キャスト

ロマン・デュリス 
ジェラルディン・ペラス 
ジャン=ポール・ベルモンド 
ジュリー・ドパルデュー 
エマニュエル・ドゥヴォス 
バス・デム
レア・ドリュッケル
マチュー・ジュネ
リトン・リプマン 
オリヴィエ・グルメ

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