人狼 JIN-ROH
原題:Jin-Roh: The Wolf Brigade
押井守の原作・脚本 映画「攻殻機動隊」でキャラクターデザイン・作画監督を務めた 新進気鋭の沖浦啓之の初監督デビュー作
☆ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/index.htm 釜山国際映画祭 ベルリン国際映画祭 ファンタスポルト映画祭:ペストアニメーション、審査員特別大賞
1999年日本映画/98分/カラー/シネマスコープ/ドルビーステレオ/ 製作:パンダイビジュアル、プロダクションIG 配給:バンダイビジュアル
2002年2月25日普及価格版DVD発売 2000年6月3日公開
© 1999 Mamoru Oshii/BANDAI VISUAL · Production I.G
公開初日 2000/06/03
配給会社名 0161
解説
ベルリン国際映画祭・ファンタスポルト、ブリュッセル国際ファンタジー映画祭、シンガポール国際映画祭、アヌシー国際アニメーションフェスティバル、ストックホルム国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭……全世界の国際映画祭で熱い注目を浴びた、長編アニメーション映画「人狼JlN-ROH」が遂に日本で公開されることとなった。
敗戦から十数年後の日本−−−。さまざまな病根を抱えるこの国の治安を維持するために組織された国家公安委員会直属の実動部隊、首都圏治安警察機構、通称『首都警』。その特機隊、俗称<ケルベロス>に属する伏一貴は、上司の命を忠実に実行する反政府組織鎮圧のエキスパートであった。ところが、地下潜伏したゲリラの追跡劇のなかで伏は、思わぬ女性との出逢いを果たす。その女性の名は、雨宮圭。彼女との出逢いが運命的に、主人公である伏の生きざまを左右する。日本が歩んだかもしれない、架空の戦後史のなかで妨がれるのは、伏と圭の密やかな愛。そして、宿命に抗おうとした男と女の居場所を探す旅———。
SFXを駆使したかの様なテンポあるアクションシーンや、時空を超えたストーリー展開などの特徴から、海を越え高い評価を得る様になった日本のアニメーション。だが、「人狼」は、これらのアニメーションの特徴とは一線を画し、より人間ドラマの領域に入り込んでいる。特に着目させられるのは、キャラクターの内面に裏付けされた演出的な手法が行われている事であり、そのため登場する人物は、細部に渡って実にリアルてスタイリッシュである。風になびく髪を掻き上げるその柔らかさ、添えられた手を握り返すその熱さ……。小さなディティールの積み重ねが、決して多くを語らない主人公とヒロインの秘められた想いを伝えてくれる。実写映画と見まがう程の演出の数々が、一瞬一瞬をドラマチックに輝かせているのだ。
そしてまた、ふたりを支える物語の舞台となるのは、いまや忘れられつつある60年代の風景。忠実に再現された路面電車が走る銀座の街並みや、バルーンの上がるデパートの屋上の風景に懐かしさが込み上げてくるはずだ。
原作・脚本は、「GHOST IN THE SHELL/攻殼機動隊」(1995)の押井守。本件品は、実写映画である押井守監督・脚本「紅い眼鏡」(1986)「ケルベロス 地獄の番犬」(1991)と並び[ケルベロス3部作]の位置づけを呈しており、また映画の原典である「犬狼伝説」は1988年にコミック漫画(作画:藤原カムイ メガデザイン:出渕裕)として発表されたものである。また、1999年8月より、少年エース誌上にて「犬猿伝説 完結篇」が連載され、2000年2月に単行本が刊行されたばかりである。監督は、これがデビュー作となる新鋭、沖浦啓之。アニメーターとして若手をリードしながら職人的な実力を発揮する彼は、映画「機動警察パトレイバー2the Movie」(1993)で原画を、映画「GHOST IN THE SHELL/攻殼機動隊」でキャラクターデザインと作画監督を担当した。今回、押井守の推薦を受け、見事にその期待に応えただけではなく、日本のアニメーション界に、新たなるジャンルを誕生させたことは間違いない。音楽には、東京芸術大学音楽学部器楽科を卒業、作曲家およびチェリストとして、ワルシャワフィル、チェコフィルなど世界的なオーケストラとセッションをこなす、溝口肇が担当している。
ストーリー
決定的な敗戦から十数年……
物語は、可能性の戦後史としての昭和30年代………
首都、東京。
その強引な経済政策は、失業者と凶悪犯罪を急増させた。政府は、反政府勢力掌握の為、首都圏に限り治安部隊を設置した。通称「首都警」呼ばれる治安部隊は、加速拡大した。ところが、反政府勢力は、立法措置により非合法化し、地下組織の道を辿った。そして地下組織は首都警との市街戦を繰り返した。
世論は強大な武力で対抗する「首都警」を非難の的にし、結果、「首都警」は、孤立を一層深めていった…………。
青年、伏貫一は、反政府鎮圧部隊「首都警」の一員である。
伏はこれまで、闘争本能のみで生きる一匹の“狼”の様に、人間としての一切の感情を切り捨て、自分を律してきた。
しかし或るとき、伏は、潜伏する地下組織の追跡で、衝撃的な事件に遭遇してしまう。そして、この出来事がきっかけで、彼は、彼自身の、“内なる世界”に変化が芽生え始めた。
更に、その後、一人の女、雨宮圭との出逢いが、彼を思わぬ方向に導いてしまう。運命の様に惹かれあい、ふたりは、恋に落ちた……。
そんな中、首都警を含む体制内部の牽制は、均衡を崩し始め、様々な謀略へと変容する。伏は、その組織的な策略の渦中に呑み込まれた。
ふたりの人生の行方は?
暗躍する謀略は、伏の運命を変えてしまうのか?
路面電車が走るノスタルシックな、昭和30年代の東京と共に、物語は、驚ぐべき終末へと突き進んでゆく。
スタッフ
原作・脚本:仲井守
監督:沖浦啓之
演出:神山健治
キャラクターデザイン:沖浦啓之、西尾鉄也
作画監督:西尾鉄也
副作画監督:井上俊之
美術監督:小倉宏昌
美術設定:渡部隆
銃器設定:黄瀬和哉
車輌設定:平松禎史
色彩設定:片山由美子
撮影監督:白井久男
編集:掛須秀一
音楽:溝口肇
音響監督:若林和弘
制作担当:堀川憲司
アニメーション製作:Production I.G
プロデューサー:杉田敦、寺川英和
エグゼクティブプロデューサー:渡辺繁、石川光久
製作:バンダイビジュアル・lNG
©1999押井守/バンダイビジュアル・production I.G
キャスト
伏一貴:藤木義勝
雨宮圭:武藤寿美
辺見敦:木下浩之
室戸文明:廣田行生
半田元:吉田幸紘
巽志郎:堀部隆一
阿川七生:仙台エリ
安仁屋勲:中川謙二
自治警幹部:大木民大
塔部八郎・ナレーション:坂口芳貞
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