原題:LE PLACARD

プチハッピーお持ち帰り 地味で冴えない孤独なリストラ男を救うのは!? “嘘×噂×勘違い”が産んだ“世にも可笑しな物語”

第9回フランス映画祭横浜2001出品作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/france2001/ (「クローゼット」の邦題で上映)

2001年1月17日フランス初公開

2000年/フランス/84分/ 提供:キングレコード、東芝デジタルフロンティア 配給:メディアボックス

2003年05月01日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年05月01日よりDVD発売&レンタル開始 2002年9月7日よりシネアミューズにてロードショー公開

特別上映会ティーチ・インレポート::http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/index3.php?number=160

公開初日 2002/09/07

配給会社名 0099

公開日メモ 二大スター、オートゥイユとドパルデューが共演したNo.1ヒット作品。ゲイであるという噂をたてられた男をめぐる物語。

解説


さえない経理マン、フランソワ・ピニョン氏。妻と離婚し、ティーンエイジャーの子供にもうざったがられ、会社でも言われているのは、「いい人だけど、退屈よね」——。
そんなピニョンに最悪の試煉が訪れる。それはリストラ。絶望したピニョンはベランダから飛び下りようとしたところを隣の老人に引き止められる。そして老人は彼にリストラから逃れるためのある提案をするのだが、なんとそれはゲイだとカミング・アウトすることだった……!

『メルシィ!人生』は、ごくごくフツーの、存在さえ忘れられがちなほど地味な人物が、絶体紀命のどん底から奇妙な手段で立ち直り、周りの人々を巻き込んで大混乱を起すというコメディ。笑うに笑えないこの不況な時代……でもこんな愉快なリストラ対策があったんなんて!
監督は、『Mr.レディ Mr.マダム』の脚本家として知られ、監督作『奇人たちの晩餐会』では世界的大ヒットを飛ばしたフランシス・ヴェベール。今回の作品では、冷酷な企業社会、ゲイ差別、セクハラなどに向けて、ウティ・アレンのように毒の効いた皮肉たっぷりに集中攻撃。噂に振り回されてオロオロする会社の人たちもとてもコミカル。さらには冴えない人にもちやんと愛の手を差し伸べて、人情味たっぷり、思わずほろりのドラマに仕上げている。

『メルシィ!人生』には、フランス映画界のトップスターが大競演。まずは主役のピニョンを演じるダニエル・オートゥイユ。カンヌ最優秀男優賞の『八日日』やセザール主演男優賞の『橋の上の娘』といったシリアスな役柄と180度変わって、ただそこにいるだけで哀しいほどおかしいといった人物を見事に演じている。そしてジェラール・ドパルデューに注目。『シラノ・ド・ペルジュラック』でカンヌ最優秀男優賞、『グリーン・カード』でゴールデン・グローブ賞最優秀男優寅を受賞しているビッグスターが、差別主義のマッチョを演じ、自分のクビが心配でピニョン氏に取り入るうちに愛の告白までする姿は強熱な印象。また『髪結いの亭主』のジャン・ロシュフォールが事なかれ主義の社長を飄々と演じ、『奇人たちの晩餐会』のティエリー・レルミットは狡猾に立ち回る社員を楽しく演じている。また美人上司ミシェール・ラロック(『ぼくのバラ色の人生』)は、上品ながら大胆な行動でピニョン氏をドキマギさせ、作品に華やかな色合いを加えている。
撮影は、ナンニ・モレッテイ、エットーレ・スコラなどのイタリアの監督やバーべット・シュレーダーの作品を手がけているルチアーノ・ヴォリ、音楽は、『ディーバ』『ル・バル』でセザール賞を受賞しているウラジミール・コスマ、美術は『ジャンヌ・ダルク』のユーグ・ティッサンディエ、衣裳はクロード・ミレール作品を多く担当しているジャクリーヌ・ブシャール。いずれもヴェペール作品お馴染みのスタッフ。
舞台はパリ。ピニョンの勤め先には、日本のメーカー、相模ゴムのパリ郊外にある工爆が使われ、またフランス本国での公開時には相模ゴムとの大々的なタイアッププロモーションが行われた。

尚、本作は第9回フランス映画祭横浜2001では『クローゼット』のタイトルで上映されている。

ストーリー

まじめだけがとりえのフランソワ・ピニョン。彼は20年間勤めてきた会社を今まさにクビになろうとしていた。さっそく別れた妻クリスチーヌと17才になる息子フランクの家に電話をするが、相手にもしてくれない。思いあまったピニョンは、その夜、バルコニーから身を投げようとずる。ところが隣の部屋から「飛び下りるなよ、下に駐車してある私の車がだめになるじゃないか」という声が聞こえてきた。
声の主は、ペロン。彼はその日ちょうど引っ越してきたところでピニョンの様子を心配して声をかけてさたのだ。迷いこんだ一匹の子猫をきっかけに二人は話を始めた。
翌朝、以前にカウンセラーをしていたペロンは、ピニョン氏に思いもよらぬリストラ対策を提案する。それは、自分がゲイであるとカミングアウトするというものだった。しかもピニョンの行動は今までと変わらずにいればいいという。驚くピニョン。そしてペロンはレザーパンツで若い男と抱き合っている合成写真をピニョンの会社に送った。
ピニョンの噂はあっという間に会社中に広がって、社長は広報部長のギョームを呼びつけてさっそく対策会議。実はこの会社、コンドームを作っているので、ゲイをクビにすると差別することになり、ポリティカリー・コレクト(道義的公正性)から大切なお客さんの反発をくらうことに。そこで重役会議ではピニョンのリストラは白紙ということに決定。ところが人事部長のサンティニはみんながうんざりするほどの差別発言を連発。その過激さにギョームと仲間は彼をからかってやることにした。
「ピニョンにやさしくしないと次はお前のクビがあぶないぞ」。そこでサンティニはピニョンに愛想を振りまき、高級レストランヘとランチに誘う。でもなんだかぎごちない二人!
職場では女上司のベルトランたちがピニョンの行動を見守っていた。見れば見るほどピニョンがホンモノのゲイに見えて仕方がない。でもベルトランは写真のトリックを見抜いていた。どうしてゲイのふりなんか?そこで残業で二人きりになった時、真意を確かめようとする。ベルトランの鋭い言葉にあせったピニョンは、飲めないワインをつい飲み過ぎてソファにダウン。ベルトランはこっそり彼のシャツを脱がそうとするが……。
この出来事をペロンに伝えると、すぐにも手をうつべきだという。彼こそ本物のゲイだったため、会社をクビになるという苦い過去があったのだ。そこでピニョンは社長に直訴。つまりベルトランかセクハラをしたということで、今度はベルトランがクビになりかけてしまう。
そんなある日、ピニョンは駐車場で覆面をした二人組に襲われるが、実は彼らは工場員でゲイの差別主義者たちだった。傷を負ったピニョンのことを耳にしたサンティニは見舞いに行こうとし、妻に見つかってしまう。結局妻に逃げられたサンティニはなんだかいつもとちがって何を聞いても上の空。その上、ピニョンに「一緒に暮らさないか?」ともちかけて、断られると逆ギレ。ついに神経衰弱で入院してしまうのだった。
ピニョンにはさらに厄介な問題が起こる。会社の宣伝のためにカミング・アウトTシャツを着てコンドーム帽子をかぶりゲイパレードの山車に乗れというのだった。
気の乗らないパレードだったが、ペロンに「今がチャンスだ」と勧められて出てみたところ、一夜にしてピニョン氏はアイドルに。さらに息子のフランクさえ「パパ、カッコイイ」という。
パレードの成功でピニョン氏、ついに部長か?しかし、いい人のピニョンは、ベルトランのリストラ危機を救い、サンテイニ復帰パーティを成功させる。そしてその夜、ベルトランに誘われてピニョンは工場でセックスを!ところがその様子は工場見学者を案内していた社長に見られていた。
「一体、ピニョンが好きなのは、男なのか?女なのか?」と混乱する人々。でもピニョンはいつもと変わらずに会社に通い続け、やがて……。

スタッフ

監督・脚本:フランシス・ヴェベール
製作代表:アラン・ボワレ
製作総指揮:フィリップ・デムーラン、アンリ・ブリシェッティ
撮影:ルチアーノ・トヴォリ
編集:ジョルジュ・クロッツ
美術:ユーグ・ティッサンディエ
録音:ベルナール・バッツ
音楽:ウラジミール・コスマ
衣裳:ジャクリーヌ・ブシャール
キャスティング・ディレクター:フランソワーズ・メニドレイ

キャスト

フランソワ・ピニョン:ダニエル・オトゥイーユ
フェリックス・サンティニ:ジェラール・ドパルデュー
ギヨーム:ティエリー・レルミット
ベルトラン部長:ミシェール・ラロック
ベロン:ミシェル・オーモン
社長コベル:ジャン・ロシュフォール
クリスティーヌ:アレクサンドラ・ヴァンデルヌー
フランク:スタニスラス・クルヴィレン
マチュー:エドガー・ジヴリ
ヴィクトル:ティエリー・アシャンティ
アリアーヌ:アリエル・ドイチェ
マルティーヌ:イリナ・ニノヴァ
シュザンヌ:マリアンヌ・グローブ
サンティニ夫人:ミシェール・ガルシア
モロー:リュック・ハメット
ランベール:フィリップ・ブリゴー
ボンス:ヴァンサン・モスカト

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