レイジング・ユーバリ
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/
1999年/日本映画/92min/発売:アビタッチ
2001年2月23日ビデオ発売&レンタル開始
解説
怒りの屋台が雪原を燃やす。女は、吹けなくなったサックス・プレイヤー。ラーメン屋に転身した彼女は“ある瞬間”を待ち続けた…。バリバリ夕張のチャルメラ・リベンジ・ストーリー!!
99年で10周年を迎えた北海道の「ゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭」。同映画祭では、自主製作作品を集めたオフシアター・コンペティション部門や映像作家育成プログラム/ゆうぱりシネマ・ワークショップなど、これまでインディーズ映画に目を傾けてきました。そのような流れから、映画祭10周年に夕張で映画を製作する企画がインディーの映画作家から持ち込まれ夕張サイドもこれに賛同。98年11月、夕張でロケするインディーズ映画を応援しようという組織「ゆうばりシネマ・サポーターズ」が発足しました。本作『レイジング★ユーバリ』は、ゆうばり映画祭10周年記念作品と共にサボーターズ第1回サポート作品として記録的な豪雪となった98年の11月に夕張ロケを敢行。厳しい撮影コンディションにもかかわらずサボーターズの“熱き援助”にささえられ、ここに堂々の完成を果たしました。
監督は、インディーズで娯楽色の強い作品を撮り続け『アフタヌーン・ショウ』(’98)で劇場デビューを飾った前島誠二郎。早くも長編第2作を完成させ気迫を漂わせています。ラーメン屋台を営む引退したサックス奏者、主人公・香織に前島監督の『午後のオーバーヒート』『アフタヌーン・ショウ』でも強烈な個性を振りまいたSARUが扮し、今回も熱のこもった演技で冬の夕張を怒りの炎で燃やします。屋台に現れる“最もさえない男”には、田口トモロヲ共演の劇場映画『暴走バスジャック』の公開も待機中の松本航平。極悪サラ金屋に舞台、TVで活躍する紅井ユキヒデ、西岡圭。そして、ゆうばり&東京国際ファンタスティック映画祭の顔、小松沢陽一プロデューサーが“キレた父親”役を怪演し、作品のクレイジーな魅力を高めています。
ストーリー
1本のハイウェイを進む屋台と人影。それは夕張の町にやってくる、さすらいのラーメン屋、安藤香織のサイケなペインティングが施されたラーメン屋台。長身でショートカット、汚れ気味なパンキッシュなTシャツ、黒の皮ジャン、黒の皮ズポンにサングラス、くわえ煙草…香織の風貌は大自然に囲まれたこの辺りの風景にもラーメン屋としてのイメージにも全くマッチしていない、実に珍妙な感じだ。早速、町の中心部に屋台の設置場所を決めた香織は、まずは準備の前に腹ごしらえ。名物、タ張メロンをむさぽる。皮の隅々まで食い荒らす男勝りの豪快な食いっぷりでいくつものメロンをたいらげてゆく。
そこへ、足を引きすりながらやってくる男がいた。後馬敬三。ズポンから飛び出したワイシャツにヨレたネクタイ、無精髭を生やしたその姿は、さえないの一言が当てはまる。重苦しい苦笑い浮かべ屋台に腰を下ろしたこの男は、その様子から絶望の淵に立たされていることがすぐに見受けられた。ラーメンを食べるそぷりも渋々とすすりながら香織に愚痴をこぽし始める。借金地獄に陥り人生にも絶望した男、それが後馬の現状だった。彼は悪徳金融に手を出し多額な利子の請求を迫られているという。
時を同じくして、後馬に金を借している悪徳金融会社社長・田口とその部下である坂巻は明日に控えている大取引の相談をしていた。多額の融資をしている宝石会社社員の男から、現金の代わりにパックにギッシリ詰まった金額にして1億円余りの宝石を返済金に当てるよう懇願されていたのだ。男が会社の宝石をクスネタことは明らかだったが、田口らはそんなことはお構いなしで、宝石をいただきすぐに現ナマ化する腹だった。
田口らの取引構報を仕入れていた後馬は香織にこの話を伝える。それを聞いた香織は決断を下した。セツらの裏をかいて宝石をゲットしようと…実は香織の父親も田口の金融会社に借金をして膨大な利子をつけられていた過去があった。香織の父は数年前に亡くなり保険金により借金は返済できたものの、香織の田口らに対する恨みはつのり、父の仇としていつの日かリベンジ<復讐>を心に誓っていたのだ。「屋台で潰せ、屋台を屋台を守って、待って…いや、守って、つ、つ、つ、漬すんだ、タノンダゾ」、「ギャフンと言わせろ!」。死に際、延々と続くロレツの回らない難解な父の言葉。何年もの強引な分析の結果、言葉全体から香織はこう判断していた。“何よりも仕事道具の屋台と大好物のメロンを愛したラーメン屋の父の跡を継ぎながらセツらへの来たるべきリベンジにこそなえる、そして時が訪れたらヤツらに悪事に対するツケを払わせると共にラーメンとメロンの味の魅カで更正への道を歩まぜる”だ。さらにセツらに「ギャフン」と言わせること、それがリペンジの最終地点と考えていた。父の息を引き取る寸前の一言「ギャフンと言わせろ…」が香織の頭から離れない。彼女は真剣に田口と坂巻の口から心を込めた真の「ギャフン」が聞きたいのである。精根尽き果てたドン底を喰らった人間が最期に吐き捨てる誠心誠意の“まいりました”=「ギャフン」。その中でも頂点を極める“キング・オプ・ギャフン”に香織は生涯をかけていた!!
父の遺言に徹底して突き進む復讐のラーメン屋・番織、汚い手口を使う田口らに恨みを抱き続けている後馬。それぞれ解せない人生を歩んできた香織と後馬のリペンジャ一・タッグ。借金地獄でヤケクソ気味の後馬が、そして父の仇に燃える香織がそれぞれ仕掛ける大博打!かくして北海道・タ張を舞台に壮絶なる宝石争奪&復讐戦が始まる!!
スタッフ
プロデューサー:傳堅雅之、澤田直矢、前島誠二郎
撮影・照明・美術・SFX:西村喜廣
録音:臼井勝
衣装:高橋ハルカ
ラーメン・スーパーバイザー:黒川雅人
音楽スーパ−バイザー:平岡憲(UK PROJECT)
脚本・監督・編集:前島誠二郎
キャスト
SARU
松本航平
紅井ユキヒデ
西田圭
小松沢陽一
LINK
□この作品のインタビューを見る□この作品に関する情報をもっと探す