原題:GIRL,INTERRUPTED (中断された少女)

どうしてあんなところに入ったのか、と人は尋ねる。 役らが本当に知りたいのは、自分たちもそこに入るなんてことがあるだろうか、ということ。 本音の方の質問に、私は答えられない。言えるのはこれだけ…入るのは簡単よ

1999年/ビスタ/上映時間2時間7分/SR・SRD・SDDS/字幕翻訳:太田直子 提供:コロンビア映画 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

2007年07月25日よりDVDリリース 2002年08月01日よりDVD発売開始 2001年7月13日ビデオ発売&レンタル開始 2000年9月2日より恵比寿ガーデンシネマ他にてロードショー予定

公開初日 2000/09/02

配給会社名 0042

解説

《寂しさと不安につまずいた、17歳のスザンナ》
夢と現実が混乱したことはある?お金があるのに万引きしたり、落ち込んだり……。私が異常だったのか、時代のせいなのか。ありがちなただの“つまずき”だったのか。ただ、とても寂しかった……。
時は1967年。17歳のスザンナ・ケイセンは、ごく普通のアメリカのティーンエイジャーだった。混乱し、不安に苛まれ、自分の周囲でめまぐるしく変わる世界に意味を見出そうと必死になっていた。
彼女はアスピリンを大量に飲んで自殺を図り、親のすすめで精神科に入院する。そこで診断された病名は“ボーダーライン・ディスオーダー(境界性人格障害)”。切れてしまいそうな神経を抱え、とまどい、揺れ動くスザンナ。けれど、この病院で出会った風変わりな女性たちは、彼女の親友になるだけでなく、見失っていた自分自身を取り戻す道を明るく照らし出してくれた———。

原作にすっかり惚れ込んだウィノナ・ライダーは、主演だけでなく製作総指揮も買って出た。自らも20歳のときに「発作的不安に襲われて」入院した経験を持つ彼女は、そうした混乱や自暴自棄は誰にでも起こり得るし、人を狂気に追いやりかねないということを身をもって知っていた。それゆえに、この映画に対する思い入れは深く、実の伴った総指揮となった。過去に2度もオスカー候補になった迫真の演技に加えて、主人公に対する理解とシンパシーをもってスザンナの心の動きをビビッドに表現。それは観る者の心に染み入り、胸を打たずにはおかない。

監督は『コップランド』『君に逢いたくて』のジェームズ・マンゴールド。彼はこの作品のコンセプトを「オズの魔法使い」と結びつけた。つまり、スザンナは“家(人生)に帰る道を探そうとしている女の子”。何が彼女たちを不安に陥れたのか?という安易な謎解きにたよることなく、誰もが心に傷を負っている、だから皆で“黄色いレンガ道”を歩いて行く、という発想のもと、狂気の本質を真摯に見つめている。この映画を観れば、人は誰だってどこか不完全なんだと気付き、生きる勇気がわいてくるに違いない。
 製作は『ワーキング・ガール』『ウルフ』のダグラス・ウイックと『コップランド』『スクリーム』のキャシー・コンラッド。ウィノナ・ライダーとともに製作総指揮に当たったのはキャロル・ボディ。原作者スザンナ・ケイセンはプロデューサー補も務めている。また、撮影監督は『許されざる者』でアカデミー賞候補になったジャック・グリーン。『デッドマン・ウォーキング』で知られるプロダクション・デザインのリチャード・フーバー、『ラリー・フリント』を手がけた衣装デザインのアリアンヌ・フィリップスら一流スタッフが結集した。

ストーリー

スザンナには自分の気持ちがわからなかった。4日前、彼女はアスピリン1瓶とウォッカ1本を飲んで病院にかつぎ込まれた。自殺するつもりではなかった。何かにいらだっていた。何かが不安だった。世の中が見えてしまって、妙に悲しかった。高校で大学に進学しないのは自分だけ。作家になるつもりだったが、世間体のことしか考えない両親には理解してもらえなかった。
父の友人である医師は、スザンナが周囲の人間を傷つけているという。そして、両親の了解のもと、クレイムア病院に送られる。出迎えたのは看護婦のヴァレリー。入院同意書にサインしたスザンナは、“自らの意志”によってこの世界へと足を踏み入れた。
初めて見た患者は、顔に火傷の痕を負ったポリー。両親からアトピーの原因である犬を捨てるように言われた彼女は、顔の発疹部分にガソリンをかけたのだという。ルームメイトは空想虚言症のジョージーナ。そして、2週間ぶりに保護されて病院に戻ってきたリサは、反抗的でエキセントリックな脱走の常習者。いつも個室のドアに“進入禁止”の張り紙をしているデイジーは甘やかされた“パパっ子”で、ローストチキンしか食べられず、下剤が何よりの好物だった。
病院では強制的に睡眠薬を飲まされる。部屋は数分おきに安全確認のためにチェックされ、入浴のときにすら監視がつく。スザンナの心には怯えと絶望が広がっていった。彼女は精神科医ポッツ博士との初めての面談で、ボーイフレンドのドビーがベトナム戦争に徴兵されることが心配だと訴える。けれど、なぜ自分がここにいるのか、彼女にはわからない。ただ、家に帰ったところで何も変わらないこともわかっている。
リサはこの病棟のリーダー格だった。スザンナは薬を口の中に隠す方法を教わり、彼女が召集した真夜中のパーティで自分のカルテを盗み見た。“気分不安定、目標不明確、衝動的、カジュアル・セックス、自傷行為、反社会性と悲観的態度……”。最終的に博士がくだした病名は、境界性人格障害というものだった。
ある日、スザンナたちは看護婦に引率されて町へと出かけた。アイスクリーム・パーラーに入った時、一人の中年女性がスザンナに近づき「一生入院しててね」と吐き捨てるように言う。彼女は、以前スザンナが求められるまま肉体関係を持った父の友人である大学教授の夫人だった。リサが先頭に立って、彼女らはこの夫人を撃退する。翌日、デイジーが退院していった。テレビではキング牧師暗殺のニュースが流れていた。
スザンナがクレイムアに来てから1年が経とうとしていた。そんなある日、トビーが面会にやってくる。すぐに彼を部屋に招き入れて抱き合うスザンナ。ニ人だけの時間を作ってやるために、看護婦の部屋チェックを邪魔するリサ。1週間後にベトナム出征を控えたトビーは、スザンナに愛を告白しカナダヘの逃避行に誘った。しかし、スザンナは踏み切れない。彼女にとってリサやポリーやジョージーナはかけがえのない友人になっていた。
その夜、ポリーが顔の傷を悲観して発作を起こした。スザンナとリサは婦長を睡眠薬で眠らせ、看護士のジョンを誘惑。芸術室からギターを持ち出し、歌を口ずさんでポリーを落ち着かせる。翌朝、ジョンと寄り添って寝ているところを発見されたスザンナは主任精神科医ウィック博士に呼び出された。「何人の男と寝れば淫乱と定義されるんですか?」と博士に詰め寄るスザンナ。「今、あなたは人生の岐路にあって大きな決断を迫られている」と諭す博士。しかし、部屋に帰されたスザンナは、ためておいた睡眠薬を一気に飲んでしまう。そんなスザンナを、ヴァレリーは怠け者でわがままで自分を壊したがっている子供と決めつけ、「あんたは何なの?」と非難する。
ある夜、スザンナはリサに誘われて一緒に病院を抜け出した。二人が辿り着いたのはデイジーのアパートだった。相変わらず精神安定剤を欲しがり、手首のためらい傷も生々しいデイジー。リサは彼女が父親から性的虐待を受けていることを看破し、意地悪く責めたてる。スザンナはいたたまれない思いを抱きながらもリサを止めることができない。翌朝、彼女が見つけたのは、バスルームで自殺しているデイジーの変わり果てた姿だった。
「死ぬ口実を欲しがっていた」と平然としているリサ。そのままズラかった彼女と別れ、スザンナはデイジーが飼っていた猫を連れて病院に戻った。「デイジーのために何もできなかった。けれど死にたい気持ちはわかる。笑顔の苦しさや、うまくやれない辛さ。心の痛みを消すために体を傷つける気持ちは……」。そう、自分の心をヴァレリーに告白するスザンナ。「それがわかれば病気に立ち向かえる」とヴァレリー。スザンナは初めて素直な気持ちで、ヴァレリーに「ごめんなさい」と言うのだった。スザンナはヴァレリーに薦められて日記を書くことにした。何かを感じ始めていた。リサがいないのは寂しいが、何だかホッとした。ウィック博士と面談し、思いつくままを語った。「オズの魔法使い」のドロシーのように、人は誰でも自分で家に帰る力を持っているはず。自分探しとは、遠くを旅することじゃない……。そう気付いたスザンナは、ようやく退院することを認められた。
しかし、その頃になってリサがクレイムアに戻ってくる……。

スタッフ

共同製作:ジョージア・カカンデス
音楽:マイケル・ダナ
衣装:アリアンヌ・フィリップス
編集:ケビン・テント
美術:リチャード・フーバー
撮影:ジャック・グリーン
原作:スザンナ・ケイセン
製作総指揮:キャロル・ボディ、ウィノナ・ライダー
脚本:ジェームズ・マンゴールド、リサ・ルーマー、アナ・ハミルトン・フェラン
製作:ダグラス・ウイック、キャシー・コンラッド
監督:ジェームズ・マンゴールド

キャスト

スザンナ:ウィノナ・ライダー
リサ:アンジェリーナ・ジョリー
ジョージーナ:クレア・デュバル
デイジー:ブリタニー・マーフィ
ポリー:エリザベス・モス
トピアス・ジェイコブス(ドビー):ジャレッド・レト
ポッッ博士:ジェフリー・ダンバー
ウイック博士:バネッサ・レッドグレープ
ヴァレリー:ウーピー・ゴーノレトノ、一グ
ジャネット:アンジェラ・ベティス
シンシア:ジリアン・アルメナンテ
ジョン:トラヴィス・ファイン
ギルクレスト教授:ブルース・アルトマン
バーバラ・キルクレスト:メアリー・ケイ・プレイス
ボニー・キルクレスト:ケイディ・H・ストリックランド

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