原題:DEEP CRIMSON

1996年ヴェネチア映画祭:脚本賞、撮影賞、音楽賞受賞

初公開:1997年01月29日フランス公開

1996年/フランス+メキシコ映画/110分/ 配給:ケイブルホーグ

2001年10月5日ビデオ発売&レンタル開始 2000年12月23日よりシアター・イメージフォーラムにてオープニングロードショー!

ビデオ時に変わった場合の題名 ディープ・クリムゾン/深紅の愛

公開初日 2000/12/23

配給会社名 0029

公開日メモ この映画を見終わって、「ああ幸せだ」と満足げにつぶやくことなどできない。 『深紅の愛 DEEP CRIMSOM』は、自分に絶望している人、不幸な記憶から逃れられない人、孤独に胸が張り裂けそうな人、そんなすべての寂しい人たちのためにある。

解説

今年はなぜこうもラテン系映画の傑作が相次いで公開されるのだろう。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『オール・アバウト・マイ・マザー』に続いて、黙った子も泣いてしまうメキシコ映画の名作『深紅の愛 DEEP CRIMSON』まで見られるとは、贅沢で幸福な年であるとしか言いようがない。
いや、この映画を見終わって、「ああ幸せだ」と満足げにつぶやくことなどできない。
『深紅の愛 DEEP CRIMSOM』は、自分に絶望している人、不幸な記憶から逃れられない人、孤独に胸が張り裂けそうな人、そんなすべての寂しい人たちのためにある。
ラテン系の良質なメロドラマとは、自分ではもはやどうにもできないつらい気持ちを、カタルシスでもって昇華し、現実を耐えていくためにあるのだから。
この作品は、アメリカ映画『ハネムーン・キラーズ』のリメイクだと一応、言えるだろう。
それまで男とは無縁だった太った看護婦が、文通を通じて知り合った結婚詐欺を常習とするスペイン男と凄絶な恋に陥り、二人で共謀して次々とカモの女から金を巻きあげては容赦なく殺していく。
実際にアメリカで起きたその4件を忠実に映画化した『ハネムーン・キラーズ』は、感傷を排した平板な画面で、出来事を寒々しく乾ききったものとして描いていた。
そこから感じられるのは、社会が高度に成熟すればするほど、内側に空洞が広がるというアメリカの病理だった。

ストーリー

少し太めだが、とても気のいい者看護婦のコラルは、二人のかわいい子供たちと慎ましやかな毎日を送っていた。コラルは、フランスの俳優、シャルル・ボワイニの大ファンだ。
文通相手募集の記事で、自称”シャルル・ポワイエ似のスペイン人”ニコラスと知り合いある日、ニコラスがコラルを訪ねて来る。確かに少しボワイニに似ていてるハンサムなニコラスに優しい言葉をかけられコラルは、すぐに恋に落ちてしまう。しかし、ニコラスの方は、コラルに子供がいることを知ると、彼女に深入りするのを避けようとする。
それでもコラルは、ニコラスに夢中で、彼が結婚詐欺師で元妻も殺害したことを知っても、全然動じない。そして愛する子供たちまでもニコラスの愛を得るために捨てることを選択するのだった。
「ずっと、一緒にいたいの!」「放り出すなら死んでやる!」命がけで自分を必要とするコラルに、ニコラスは、初めての真実の愛にめざめるのだった。
コラルはニコラスの妹になりすまし、二人の危険な仕事がスタートする。
最初のカモは、フアンの中年女性で、とても慎重なタイプだ。保証人のいないニコラスはすぐに追い返されることになる。しかし、コラルはちゃっかり、彼女の全財産を盗んでいたのだった。
次は、グリンゴの未亡人で夢見がちな中年の女。待ち合わせ場所は、忘れ去られたような同伴喫茶。
タンゴを踊る二人にやきもちをやくコラルは、思いあまって未亡人の酒にネズミ駆除の薬を盛ってしまう。コラルとニコラスは、瀕死の状態の女を駅に置き去りするのだった。
ショッキングな出来事のあと、ニコラスは偏頭痛がして、つい自分の体の一部といってよいカツラを車から投げ捨ててしまう。切れて怒りまくるニコラス。カツラを取った姿をコラルに見られて本当に屈辱を感じるのだ。
その後、壊れてしまったカツラを自分の髪を切って直すコラルに、ニコラスは心から感動する。ニコラスはコラルに誓う。”浮気はしない。キスぐらいしてもセックスは絶対しない”と。
さて次のカモは?!カトリックの同郷人を求めるスペイン出身のイレーネだ。スペイン人になりすまし、信仰を持つふりをする二人をイレーネの友人は、偽物と見破るのに、イレーネは素直にニコラスとコラルを信じるのだった。
賛美歌を一緒に歌ったり、信仰の話をするうちに、イレーネはニコラスに恋し、二人は結婚をしたいとコラルに告げる。
墓地で、三人だけで結婚式をあげた日、モーテルで別々の部屋にされたイレーネはニコラスとのセックスを求めて、彼の部屋へ行く。そこでまたコラルのやきもちは爆発し、大声をあげるイレーネを聖人の像で殴り殺してしまう。
死んでしまったイレーネにコラルは化粧を施し、翌朝、三人?は、モーテルをなにごともなかったかのようにチェックアウトする。
次のターゲットは、筆跡からすると年輩と践んでいた未亡人レベッカ・サン・ペドロ。
しかし実際は、とても若く美人の子連れ未亡人であった。何もない村で若後家でいるとまわりの男たちが露骨な目で見るのだと彼女は、言う。
そして、アメリカ車の機械に強い仕事のパートナーを探しているのだと。ニコラスは彼女も彼女の幼い娘もまんざらではないようだ。
時々本気で楽しそうにしている姿に、コラルのイライラは強くなる。そんなコラルの態度もあって、レベッカは、コラルを追い出すようニコラスに頼む。
そして、ニコラスと二人きりになったレベッカは、彼を誘惑し、二人は激しく愛し合ってしまう。そんなこともあった後、レベッカは、ニコラスの秘密を知ってしまう。例によって偏頗痛がしたのでカツラをはずしているところを、レベッカは目撃してしまう。馬鹿にされ、激しく怒り狂うニコラス。
レベッカは石油に頭を突っ込まれてしまう。ニコラスにとってカツラのことは本当に深い傷なのだ。その後コラルが再び戻ってくるが、レベッカの妊娠を知り、コラルも怒りを抑えることができない。ニコラスのカツラを食いちぎたりする始末。だが、それでもコラルはニコラスを愛し抜いているため、レベッカに嘘を告げ薬を飲まし殺害する。
レベッカの娘は、それを目撃してしまう。しかたなく、涙ながらに、コラルはレベッカの小さな娘までも殺すのだった。
もう、おしまいである。ふたりは、自らの罪を償うべき警察に出頭する。ふたりに未来などない。
しかし、ふたりは、永遠に結ばれる。処刑直前、コラルは言う。「何てこと、私、いまが一番幸せ」。

スタッフ

プロデューサー:ミゲル・ネコエチェア/パブロ・バレバチャノ
共同プロデュース:マルティン・カルミッツ/ホセ・マリア・モラレス/フェルナンド・サリニャナ
監督:アルトゥーロ・リプステイン
脚本:パス・アリシア・ガルシアディエゴ
撮影:ギリェルモ・グラニリョ
音楽:デビッド・マンスフィールド
録音:カルロス・ファルオロ/アントニオ・ベタンコール
美術:マカレナ・フォラチェ/マリサ・ペカニンス/モニカ・チリノス
衣装:モニカ・ネウマイェル
編集:ラファエル・カスタネド
エグゼクティヴ・プロデューサー:ティタ・ロンバルド
製作担当:イボン・クレン

キャスト

コラル・ファブレ:レヒナ・オロスコ
ニコラス・エストレリャ:ダニエル・ヒメネス・カチョ
イレネ・ガリャルド:マリサ・パレデス
未亡人ルエラス:パトリシア・レジェ・スピンドラ
フアニタ・ノルトン:フリエタ・エグロラ
シべルマン夫人:ロサ・フルマン
レベッカ・サン・ペドロ:べロニカ・メルチャント
テレサ:シェルリン・ゴンサレス
カルリトス:ジョバンニ・フロリド
メルセデス:ビアンカ・フロリド

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