人生には開けてはならないドアがある。

第13回東京国際映画祭特別招待作品::http://www.tokyo-filmfest.or.jp/

2000年/日本映画130min/カラー/全10巻/ヴィスタビジョン/ドルビーデジタル 制作プロダクション:共同テレビジョン 製作:フジテレビジョン、東宝、ポニーキャニオン、イマジカ、共同テレビジョン、日活

2000年11月3日より全国東宝系にてロードショー! 2001年5月1日DVD発売/2001年4月24日ビデオ発売 『世にも奇妙な物語「雪山」「携帯忠臣蔵」の特別編(ディレクターズ・カット)』 2001年5月1日DVD発売/2001年5月1日日ビデオ発売

公開初日 2000/11/03

配給会社名 0001

解説

●「奇妙」の最初の10年が過ぎた…
1990年4月、『世にも奇妙な物語』がフジテレビで放送を開始した。それから10年、ついに『映画の特別編』の劇場公開が決定した。

『世にも奇妙な物語』は、89年に深夜帯で放映された『奇妙な出来事』が前身である。日常にまつわる奇妙なドラマを一話完結で描く30分番組(89年10月〜90年3月全10回)が、深夜枠でのドラマではめずらしく、内容も斬新で、すぐに若者の熱狂的な支持を得た。

翌90年4月、タイトルを『世にも奇妙な物語』と改め、ゴールデンタイムに時間帯を移しての放送が開始される。番組の形式も拡大され、1時間の放送枠に、正味15分の3本立て。ストーリー・テラーとしてタモリがキャスティングされ、いまや知らぬ者はいないあのテーマ曲と共にタモリが登場するオープニングが確立された。内容はホラーあり、ラブストーリーあり、SFあり、感動あり。共通するのは“奇妙”というキーワード。現在まで続くスタイルだ。

第1シリーズの最終回(90年9月)には視聴率は20%を越え、91年1月から12月ばで第2シリーズ、92年4月から9月までは第3シリーズが放送された。平均視聴率も20%を超える人気番組となり、放送回数は66回に及び、計198話が作られた。

レギュラーシリーズと併行する形で2時間の特別編も開始された(90年10月〜)。期末、期首、正月などの特別枠で放送、2000年10月の放送まで、計27回、131話が製作された。平均視聴率も常に20%を越えている。また再放送されても常に高視聴率をマークする。数多いフジテレビ製作の番組の中でも、最も長期に亘り、最も支持されているソフトといえる。

●「奇妙」以前、「奇妙」以後
製作の方法もユニークだった。数多いエピソードを次々に製作するため、多くの脚本家、演出家、そしてプロデューサーが議論を重ね、企画を選定していくシステムが取られた。その結果、クリエイター主導の極めて作家性の強い作品が生まれていき、その中から90年代のテレビドラマを担う逸材が育っていった。

その代表的存在が、この映画を監督した落合正幸、鈴木雅之、星護、小椋久雄である。共同テレビに所属する4人は(鈴木雅之は94年にフジテレビへ移籍)、「奇妙」で作品を発表しつつ、次第にその才能を開花させた。そして90年代のドラマ、映画をリードする存在に成長し、代表作を発表していく———落合正幸(映画『パラサイト・イヴ』『催眠』)、鈴木雅之(『ショムニ』『王様のレストラン』映画『GTO』)、星護(『古畑任三郎』『いいひと。』『ソムリエ』)、小椋久雄(『コーチ』『ニュースの女』プロデュース作品『ショカツ』)。

彼ら以外にも多くのクリエイターたちが「奇妙」に作品を発表してきた。北川悦吏子、三谷幸喜、岩井俊二、飯田譲治、君塚良一、戸田山雅司……現在のテレビ・映画を支える才能たちが、「奇妙」の10年の歴史を作り上げてきたといえる。

「奇妙」以後、日本のテレビドラマが変わった、と評することも出来る。それまでの脚本家の作家性のみを重んじてきたテレビドラマが、「奇妙」以降、演出家の個性が前面に出るスタイルが増えていき、俳優中心のドラマ作りから、ストーリー重視へと変貌してきたという。

●実現不可能な4つのエピソード ついに映画化
放送開始から10年目を迎えた2000年、長年テレビシリーズを手がけてきたプロデューサーたちは映画化を決定する。監督には「奇妙」を代表する4人のディレクターがあたり、テレビでは実現不可能だったジャンル、エピソードを映画化することが即座に決まった。

プロデューサーと監督たちが選んだ作品は、テレビシリーズの「奇妙」らしさを継承しつつ、映画でしか成立し得ない、全く違うジャンルの4作品である———あまりにショッキングなホラー描写ゆえに製作できなかった『雪山』(監督 落合正幸)。膨大なスケールと予算でついに撮影に至らなかった『チェス』(監督 星護)。「奇妙」史上初の本格時代劇『携帯忠臣蔵』(監督 鈴木雅之、脚本 君塚良一『踊る大捜査線』)。脚本を練りに練ったラブストーリー『結婚シミュレーター』(監督 小椋久雄)———4人の俊英ディレクターは、それぞれの得意ジャンルの脚本を得、映画界の実力派をスタッフに迎え、30分の奇妙な世界をスクリーン・サイズで創造する。

ストーリー

『雪山』30min

ジャンボ旅客機が墜落、雪山に不時着した。生き残ったのは美佐(矢田亜希子)ら5人。このまま救助を待っても凍死してしまう。5人は近くの山小屋へ向かうが、足に怪我を負った美佐の親友・麻里を吹雪の中、見殺しにしてしまう。寒さと眠気との戦い。そして…… 映画史上最も怖い30分。

『携帯忠臣蔵』30分

「ああ、やだやだ!」大石内蔵助は迷っていた。出来れば討ち入りなどせずに、愛人のかると遊んですごしていたい。死ぬなんてとんでもない!……見たこともない銀色の小さい箱が足元に落ちていた。携帯電話だった。 内蔵助の運命が動きはじめる。コミカルで、実は感動する30分。

『チェス』27min

チェスに殺される!チェスの元世界チャンピオン・晃(武田真治)は、大金持ちの老人(石橋蓮司)に呼び出され、対戦に応じる。しかし老人の仕掛けた勝負とは、現実の世界が盤になったチェスだった。駒同士が本当に殺し合い、狂気の世界で晃は追い詰められていく……どんでん返しの連続とサスペンスの30分。

『結婚シミュレーター』28min

もしも結婚にもお試し期間があるなら……ふたりのDNA、生い立ち、性格分析などのデータをコンピューターに入力し、シミュレートされた結婚生活を体験する結婚式場の新サービス。相思相愛のふたりにも、予期せぬ出来事が山積みだった……30分のハートウォーミング・ラブストーリー。

スタッフ

作:宮内正喜
製作統括:島谷熊成、高野力、武政克彦、市村佳生、豊忠雄
企画:河村雄太郎、石丸省一郎、植原正人
プロデューサー:小牧次郎、石原隆、岩田祐二、井口喜一
アソシエイトプロデューサー:瀧山麻土香、関口大輔
ラインプロデューサー:廣瀬雄
テーマ音楽:配島邦明

『ストーリーテラー』
監督:鈴木雅之
脚本:三谷幸喜
撮影:高瀬比呂志 (J.S.C.)
照明:本橋義一
録音:小野寺修
美術:清水剛
装飾:鈴村高正
編集:田口拓也
助監督:加門幾生

『雪山』
監督:落合正幸
脚本:鈴木勝秀、落合正幸
音楽:配島邦明
撮影:藤石修 (J.S.C.)
照明:栗木原毅
録音:小野寺修
美術:清水剛
装飾:鈴村高正
編集:深沢佳文
助監督:杉山嘉一

『携帯忠臣蔵』
監督:鈴木雅之
原作:清水義範
脚本:君塚良一
音楽:配島邦明
撮影:栢野直樹 (J.S.C.)
照明:長田達也
録音:小野寺修
美術:吉田孝
編集:田口拓也
助監督:南光
制作協力:東映株式会社

『チェス』
監督:星 護
脚本:中村樹基、星 護
音楽:佐橋俊彦
撮影:高瀬比呂志 (J.S.C.)
照明:本橋義一
録音:横野一氏工
美術:清水剛
装飾:鈴村高正
編集:山本正明
助監督:加門幾生

『結婚シミュレーター』
監督:小椋久雄
脚本:相沢友子
音楽:佐橋俊彦
撮影:藤石修 (J.S.C.)
照明:栗木原毅
録音:横野一氏工
美術:清水剛
装飾:鈴村高正
編集:深沢佳文
助監督:七字幸久

キャスト

『ストーリーテラー』
中年紳士:タモリ
大学生風の青年:山本耕史
サラリーマン風の男:相島一之

『雪山』
木原美佐:矢田亜希子
結城拓郎:鈴木一真
山内義明:大杉漣
真辺春臣:宝田明

『携帯忠臣蔵』
大石内蔵助:中井貴一
かる:奥菜恵
りく:戸田恵子
男:八嶋智人

『チェス』
加藤晃:武田 真治
友田誠一:甲本 雅弘
加藤クミ:岡元 夕紀子
老人:石橋 蓮司

『結婚シミュレーター』
高城千晴:稲森いずみ
徳永有一:柏原崇
高城小枝子:高樹沙耶

LINK

□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す