原題:Suite de Jeudi

みんなで、殺した? 私の秘密を召し上がれ…。

第7回しんゆり映画祭クロージング作品::http://siff.moon.ne.jp/ (『蝶の棲む家—木曜組曲—』題名で上映)

2001年/35mm/ビスタ/カラー/DTS/113分 製作:光和インターナショナル 配給:シネカノン

2003年05月23日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年10月12日より銀座シネ・ラ・セットにてロードショー公開

公開初日 2001/10/08

配給会社名 0247

解説



4年前、謎の薬物死を遂げた耽美派大女流作家重松時子。時子を偲び毎年時子の館に集う5人の女たち。それぞれが時子の死に割り切れない思いを残し、いまだに彼女の存在から抜け切れていない。
今年の偲ぶ会は謎の花束が届いたところから始まった。花束に添えられた告発メッセージ。“皆様の罪を忘れないために、今日この場所に死者のための花を捧げます”時子の死は「自殺」か「他殺」か?殺人だとしたら殺したのは誰?物書きを生業とする女たちはそれぞれに自分の推理を展開する。しかし推理は二転三転四転、どんでん返し。謎が明らかになると思いきや、振りだしに戻る繰り返し。一癖も二癖もある個性的な女たちの息詰まるような駆け引き。そしてたどりつく真相とは…
監督は『月とキャベツ』でそのみずみずしい感性を世に知らしめ、最新作『命』(原作:柳美里)では「愛の奇跡」を謳い上げた今もっとも、注目される監督のひとり篠原哲雄。
誰もがヒロイン、誰もが犯人?計算しつくされ構築された原作はミステリーの枠を超えた気鋭の作家恩田陸。何度も驚かされ、心地よく裏切ってくれる。
ヒロインたちには日本を代表する女優たちが結集。今乗リにのっている鈴木京香、着実に映画女優として成長している西田尚美、その演技に円執味を増し、もはやベテランの域に達している富田靖子、日本映画に欠かせない女優としての位置を不動にした原田美枝子。『男はつらいよ』以来の映画出演となる圧倒的存在感を誇る大女優浅丘ルリ子。そして芸達者な女優たちの中、一歩も引かない演技を披露している歌手加藤登紀子。これら女優たちの織り成す時に酒脱、しかし息の詰まるような演技戦は見る者を圧倒し、あっと驚<結末までつかんで離さない。 もうひとつ、この映画の見所は5人の女たちの囲む食卓にのほる料理の数々と美酒。瀟洒な洋館で繰り広げられる晩餐会はどのシーンも実に美味しそう。見ているだけでお腹が空いてきてしまうはず。謎解きもメニューのひとつの目にもオイシイ映画なのだ。

ストーリー


みんなで、殺した?

今年もまた、その季節が訪れる。木曜日を挟んだ3日間、5人の女たちが瀟洒な洋館に集まって気ままな宴を繰り広げる。4年前まで太陽のように皆の頭上に輝いていた、今は亡き耽美派作家の巨匠重松時子(浅丘ルリ子)を偲んで。しかし今年は何かが起こりそうな予感が、カサブランカの花束となって届けられた。「皆様の罪を忘れないために、今日この場所に死者のための花を捧げます。フジヒロチヒロ」というカードと共に。時子が青酸カリを飲んで死んだ夜、すぐに刑事(竹中直人)が駆けつけたが、遺書が発見されたため自殺と断定。その場にいたのは時子のデビュー当時からの担当編集者で、同居して身の回りの世話をしていたえい子(加藤登紀子)、時子の異母妹の静子(原田美枝子)、静子の母方のいとこの絵里子(鈴木京香)、時子の姪の尚美(富田靖子)、その尚美の異母姉妹のつかさ(西田尚美)の5人だった。
「あたしが時子姉さんを殺したんだわ」
その一言で最初に秘密の蓋をあけたのは、編集プロダクションを経営する傍ら、エッセイを書いている静子だった。シャンバン・グラスを持つ手も止まり沈黙がおりたテーブル。思っていることを話そうと提案したのは、ノンフィクションライターの絵里子だ。ワインをあけながら純文学作家のつかさが、他殺なら皆が容疑者になるのよと不満そうに言う。チンと、キッチンの奥でオープンの音がする。ほうれん草のキッシュだ。女たちは、忙しくワインを飲み、えい子の料理を味わいながらも、静子の話を待っている。あの日、全員が2階の時子の部屋に入っていないと証言した。しかし静子は誰かがいたのを見たと言うのだ。その時は気づかなかったので、時子を見殺しにしたのも同然だと。静子は冷徹な口調で自分の推理を語り始めた。時子は、自分の名前を誰かに継いでほしいと話していた。遺作の『蝶の棲む家』には、他人の手が入っている。「あの日、時子姉さんの寝室にいたのはあなただったんじゃないの?」
静子が鋭い一瞥を与えたのは、口元にうっすらと微笑を浮かべた、売れっ子ミステリー作家の尚美だった。「ええ、そうよ。勝手口からこっそり2階へ上がったのよ」涼しげな瞳で無邪気に秘密を暴露する尚美。「探していたのはあたしを後継者に指名するという時子さんの手紙よ」尚美の反撃が始まった。時子は彼女を完全に支配しようとするえい子に悩んでいたと言うのだ。「あなたが、時子さんの小説を書き替えていたんです!」
「大した妄想だわ。さすが作家ね」尚美の宣戦布告に、全く動じないえい子。小説を書けなくなっていた時子は、えい子が書き替えているという妄想で、自分のプライドを守っていたと淡々と語るえい子は、「ポトフが鍋にあるから」と言い置いて、客間から出て行く。
とりあえず、一夜目の秘密は出揃ったと、皆が思った。酔っ払った絵里子とつかさが、銅版画の額の中からもっとすごい秘密を見つけるまでは。そして夜明けとともに、2日目の幕が開いた……。

スタッフ

企画・製作:鈴木光
原作:恩田陸『木曜組曲』(徳間書店)
監督:篠原哲雄
脚本:大森寿美男
プロデューサー:山本勉、原田文宏
撮影:高瀬比呂志
照明:高柳清一
録音:橋本文雄
美術:小澤秀高
編集:奥原好幸
音楽:村山達哉
音楽プロデューサー:長崎行男
エンディング・テーマ:“Good-bye”
Performed by roller coaster
監督:篠原哲雄

キャスト

鈴木京香
原田美枝子
富田靖子
西田尚美
竹中直人
加藤登紀子
浅丘ルリ子

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