ホームシック
原題:HOMESICK
2000年ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品作品 道北日報社創刊50周年記念事業協賛作品
☆ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/index.htm
1999年/カラー/16mm/上映時間60分/配給:スローラーナー
2001年4月13日ビデオ発売 2000年4月1日(土)BOX東中野にてレイトロードショー!!
初日舞台挨拶情報!::http://www.nifty.ne.jp/rforum/fcinema
公開初日 2000/04/01
配給会社名 0048
解説
故郷に向かう孤独な老人と恋人に置き去りにされた若い娘。
さすらう二人の静かな交流に、心がキリキリと痛みはじめる…。
「行く先々に死のイメージがつきまとう旅なのに、とてもかわいい映画になりました」水戸ひねき
どこまでも真っ直ぐな道。無人の駅。廃屋の中にある死体。すっとぼけたな歌のテープ。僕たちが生きている宇宙と出会いについての本…。北海道の故郷の街を目指し、孤独な老人、中村は、車で一人旅をしていた。恋人と些細なことで喧嘩して置き去りにされた若い娘、明美と出会う。終わってしまったような世界をさすらう二人の静かな交流。ゆっくり走る中村の車と、後悔して明美の行方を追う恋人の車。そんな二人は、大金を持って逃げている中年女、静子と、自殺未遂を繰り返す元刑事、豪と出会い一夜を明かす。そこで語られるのは真実のような、でも嘘のような身の上話と、それぞれのホームシック。そして中村が目指した故郷とは…。晩秋の北海道を舞台に人それぞれの郷愁とブラックユーモアで綴るロードムービーの誕生。
切ない優しさ、深い孤独、そして捻れたユーモア。
新鋭、水戸ひねきが描く、小さな世界は、2000年ヘルリン国際映画祭に出品され、
世界の人々の前に送り出された。
監督の水戸ひねきは、『ストレンジハイ』がPFFアワード’93グランプリを受賞。『脳の休日』はトロント国際映画祭を始め国内外の映画祭で上映されている。彼の映画は、小さなものを小さいままに描き出す。その小さな世界に流れている孤独と感情は、驚くほど深く、切なく、そして捻れているのだ。シリアスだけど小気味いい、清々した映像とブラックなユーモア。そんな水戸ひねきの世界を支えるのは、これまで〜をしてきた撮影の田宮健彦、『洗濯機は俺にまかせろ』の照明矢部一男といった気鋭+ベテラン・スタッフ。音楽はピチカートファイブのアレンジや篠原哲雄監督作品のサウンドトラックを担当している村山達哉。出演は、孤独な老人中村を、映画にテレビドラマに欠かせない名パイプレイヤー奥村公延が、女優として歩き始めたばかりの小野原亜希が恋人に置き去りにされた若い娘、明美を、鶴見辰吾が中村の青年時代を演じている。フライヤーのイラストレーションと映画の中で明美の読んでいる文庫本『宇宙にひとりぼっち』の装画を手がけているのは、『えの素』のマンガ家榎本俊二。
ストーリー
北海道の故郷の街を目指し、孤独な老人、中村は、車で一人旅をしていた。
恋人と些細なことで喧嘩して、置き去りにされた若い娘、明美と出会う。
驚くほどゆっくり走る中村の車。明美は、中村に近くの駅まで送って欲しいと頼んだ。
終わってしまったような世界をさすらう二人の静かな交流。どこまでも真っ直ぐな道。
明美がいつも読んでいる僕たちが生きている宇宙と出会いについての本…。
やっとたどり着いた駅は廃線で、また旅を続ける二人。ガス欠でガソリンを借りに立ち寄った家の中には、ひとりきりで死んだ老人の遺体が横たわっていた。その枕元にあったすっとぼけたな歌のテープ。
明美は、ふと思い出した。
幼い頃、祖父の膝の上で宇宙の本を読んでいた。
いつか眠ってしまった明美が、ふと目を覚ますと彼女を抱いたまま祖父は静かに亡くなっていたのだ。
ゆっくり走る中村の車と、後悔して明美の行方を追う恋人の車。
そんな二人は、大金を持って逃げている中年女、静子と、自殺未遂を繰り返す元刑事、豪と出会い一夜を明かす。そこで語られるのは真実のような、でも嘘のような身の上話と、それぞれのホームシック。
中村は、故郷で教師をしていた頃、恋に落ちてしまった女生徒ととの思い出を話す。
それが元で、故郷の村には住むことが出来なくなってしまった。
その町で残りの人生をおくりたいのだと。
思わず涙ぐんだ三人に中村が照れたように言った。
「そんなに泣かれると、困っちゃうな。嘘なんだよ」
その夜、明美は後悔して追いかけてきた恋人の車で、中村たちと別れた。
でも、また喧嘩を繰り返す二人。再び置き去りにされ、雨に濡れそぼったまま途方に暮れる明美の前に、また中村の車がゆっくりと現れた。
「また喧嘩したのかい?」
明美は、中村の故郷の町が見たいと言う。
北海道の山奥へと車を走らせる二人。
しかし、たどり着いたその場所には、もう町はなかった。
壊れた橋、家の残骸。
そこには、鉢植えから野生化したような花が咲いている。
しゃがみ込んだ中村は、やがて明美言った。
「さ、行こうか」
「どこへ行くんですか?」
中村は、笑いながら言う。
「どこだっていいさ!」
中村の車は、今までのスピードが嘘のように勢いよく走り出す。
故障した車を前に手を振る明美の恋人の前を、墓地の横を通り過ぎ、丘を越えていく走り去る中村の車。
スタッフ
製作:ムーヴァーズ・エンターテーインメント
プロデューサー:宮崎剛、水戸英宣、波多野ゆかり
監督:水戸ひねき
脚本:水戸ひねき、田宮健彦
撮影:田宮健彦
照明:矢部一男
音楽:村山達哉
編集:西岡容子
美術:吉田ひでお
ヘアメイク:諸橋みゆき
衣裳:小田切陽子
イラスト:榎本俊二
録音:臼井勝
製作担当:安田憲邦
製作進行:西島ひろあき
撮影助手:三浦耕
照明助手:松山寛裕
助監督:横井有紀、小笠嘉士
キャスト
中村:奥村公延
明美:小野原亜希
静子:山梨ハナ
豪:近藤誠人
ひろし:小宮山浩
中村の青年時代:鶴見辰吾
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