原題:HEAVEN'S BURNING

工藤夕貴&ラッセル・クロウ共演の日本人狂言誘拐

97年トロント国際映画祭出品 97年ロンドン国際映画祭出品 97年メルボルン国際映画祭出品 98年南アフリカ共和国ダーバン国際映画祭出品 97年プチョン映画祭出品 98年フランス・コニャック映画祭出品

1997年/オーストラリア/英語/100分/8925ft/ カラー/シネマスコープ1:2.35/ドルビーSR 配給:アミューズ

2000年9月30日より渋谷シネ・アミューズにて公開

©1997 Australian Film Finance Corporation Ltd. ©South Australian Film Corporation/Duo Art Pty.Ltd.

公開初日 2000/09/30

配給会社名 0166

解説

●幻の工藤夕貴&ラッセル・クロク主演作!
 「ヒマラヤ杉に降る雪」で一躍ハリウッド女優の仲間入りを果たした工藤夕貴、「L.A.コンフィデンシャル」以来、「インサイダー」「グラディエーター」とヒット作が続くラッセル・クロウ−−−−今をときめく、この二人の幻の主演作が「ヘヴンズ・バーニング」だ!
 本作は、92年12月シドニーで実際に起こった、新婚旅行中の日本人花嫁の狂言誘拐事件にヒントを得て製作された。当時、第2のハワイとなるべく“治安の良さ”をアピールしていたオーストラリア政府にとって衝撃的な事件で、日豪両国のメディアに大々的に取り上げられたこともあり、記憶されている方も多いだろう。念のため記しておくが、狂言誘拐発覚後の展開は、すべてフィクションである。

●「ヒマラヤ杉に降る雪」出演のきっかけ…
 撮影は96年10月から11月の2ヶ月間にわたりシドニー、アデレードを中心に行われた。工藤夕貴にとって海外の作品は「ミステリー・トレイン」「ピクチャー・ブライド」に続き3作目となる。不倫の恋をたちきるために、意に沿わない結婚をしてしまう、“自分の意志をもたない女”から、銀行強盗の片棒を担ぎ、逃亡生活の中で“愛とは?”“自由とは?”ともがきながらも駆け抜けていく女へ…主人公ミドリの心理的な変化をいかに表現していくかという点で、工藤は撮影前の衣装やヘアメイクのプランニングや、撮影中のセリフまわし、演技等において積極的に自分のアイデアを出して参加した。その前向きな姿勢がオーストラリアのスタッフの強い印象を与え、本作の製作後、ちょうど「ヒマラヤ杉に降る雪」のキャスティングを思案していたスコット・ヒックス監督の妻でありアソシエイト・プロデューサーを務めたケリー・ヘイセンの目にとまり、大役をゲット!本作こそ「ヒマラヤ杉〜」出演のきっかけとなった貴重な作品である。
 また本作は、97年のカンヌ映画祭に出品され、カリカチュアされた日本人像が大受けし、製作当初の企画意図とは若干ギャップが生じたものの“ブラック・コメディ”としてオーストラリアはもとよりヨーロッパ各国、カナダ、アジアで映画祭での上映、および劇場公開されている。

●多彩なスタッフ&キャスト
 工藤演じるミドリのひたむきさに惹かれていくコリン役のラッセル・クロウも当時は、“第2のメル・ギブソン”と言われながらも、ハリウッド映画としては「クィック&デッド」「ヴァーチュオシティ」とようやく頭角をあらわしてきたところで、本作の次回作「L.A.コンフィデンシャル」の刑事役でブレイク、いまやトップスターの仲間入りを果たし、これからの活躍が最も期待される実力派である…ただし本作の出来には??のようだとか…。
 一方、花嫁に逃げられ復讐の鬼と化す強烈なユキオ役を演じる磯村憲司は、異色なキャリアの持ち主である。「マッド・マックス」のジョージ・ミラー監督のTVシリーズ「カウラ捕虜収容所」などの海外作品に出演する一方、普段は自動車関係から海外との合作を手がける製作会社まで多角的に事業を展開する実業家である。
 また脇を固めるキャスト陣も、個性派が勢ぞろいしている。コリンの父親役にオーストラリア映画界の重鎮レイ・バレット、ビショップ刑事役にはベテラン舞台俳優のアンソニー・フェランが、トラックのドライバー役のアラン・ダージンはアボリジニ音楽の代表的なプレイヤー、そして車椅子に乗りアコーディオンを弾き鳴らすクレイジーなジョナ役は、なんとロックバンド“メン・アット・ワーク”のコリン・ヘイか演じる。
 監督のクレイグ・ラヒーフは『Fever』でAustralian Film lnstitute Awardsで最優秀監督賞を受賞するベテラン、プロデューサーに「ビギナース」「ゴシック」「プリシラ」を手がけたアル・クラーク、脚本は「心の地図」のルイ・ナウラはじめとしたオーストラリア映画界屈指のスタッフが結集した。

ストーリー

幸せ一杯なはずの新婚旅行先のシドニーで、なぜか物憂げな表情のミドリ(工藤夕貴)がいた。そんな彼女をよそに、新婚旅行というのに勤務先のシドニー支社長にペコペコ頭を下げている夫のユキオ(磯村憲司)。ミドリを先に部屋に帰し、仕事の関係者と飲んだ後、ホテル戻ったユキオは彼女がいないことに気づき慌てふためく。
 “花嫁失踪!誘拐か?!”ポスト・ハワイとして、治安の良さで新婚旅行のメッカとなりつつあるシドニーでのこの事件は、大々的に日豪両国で取り上げられ、TVのブラウン管には「花嫁を返してください」と、犯人に呼びかける悲槍な面持ちのユキオの姿が繰り返し報道された。
 やがて警察の調べが進むにつれ、実は誘拐ではなく、ユキオから逃げるためのミドリの狂言誘拐であり、おまけに結婚前から続いていた職場の上司との不倫の恋があきらめきれず、本当はこのシドニーで彼と落ち合うはずだったことが判明する。ユキオは花嫁を誘拐された悲劇の被害者から一転、新婚旅行で愛想を尽かされた惨めな道化者として扱われるハメになる。
 “許してください。どうか私を探さないで…”というミドリからの手紙が届くが、プライドを傷つけ、自分を笑いものにした彼女を許せないユキオは彼女への復讐を誓う。
 一方、ミドリは行く当てもなく途方に暮れていた。待合わせをしていた不倫相手は土壇場で家族を選び、約束の場所には来なかったのだ。
 とある銀行に入ったミドリは銀行強盗に巻き込まれ、人質として一味に連れ去られてしまう。現金強奪に失敗し、しかも仲間の一人だった弟を殺されたイスラム系マフィアのマフード(ロバート・マノン)は怒りにかられ、人質のミドリを殺そうとする。と、その時マフードに銃が突きつけられた、コリン(ラッセル・クロウ)である。金策に困っていたコリンは“人殺しはしない”という約束で、小遣い稼ぎに銀行強盗の車のドライバーを引き受けたのだった。
 危うく命拾いをしたミドリは、コリンに自分も一緒に連れて行って欲しいと頼みこむ。訳のわからない日本人の彼女を疎ましく邪魔に思うコリンだったが、必死に思いつめた様相で連いてくるミドリを置き去りにするわけにも行かず、二人の奇妙な旅が始まる…。
 ミドリヘの復讐を誓い、拳銃を手に入れたユキオは、暴発とはいえ友人を殺してしまう。笑いものにされたショックでプッツリと神経が切れ、おまけに殺人を犯し後戻りの出来なくなったユキオは、装いも新たにスキシヘッドにし、銃を手にバイクでミドリを追う。
 そしてまた二人の行方を探す一派がいた。自分に銃を突きつけたコリンを許せないマフードは、弟の死をもコリンのせいにし、一族の長である父をたきつけ、コリンの追跡を始める。それは、“目には目を、歯に歯を…”というイスラムのしきたりを守るための見せしめでもあった。
 そんなこととはツユ知らず、奇妙な旅を続けるコリンとミドリ。
 廃屋となった小屋でのひとときの休息。ミドリは新婚旅行で夫を捨て、しかも不倫相手に裏切られたことをコリンに告白する。「日本はイヤ!未来がないわ。偽りの生活をしている人ばかり…。ここで暮らそうと恋人と誓ったの…。でも、夢だった。バカな女…。」
 イスラム系マフィアの怖さを知っているコリンは、シドニーに戻ることは出来ない。苦労知らずに見えたミドリの事情を知った彼は、不思議なシンパシィを彼女に覚えるのだった…。
 だが現実には所持金も尽き、二人は田舎町の銀行を襲い、まんまと現金を手に入れる。しかしそれは、ユキオ、イスラム系マフィアに加え、警察からも追われることになる逃亡生活の始まりなのだった。
 手にした現金で車を買い、ミドリは髪を金髪に染める。「I can breeze!」広大なオーストラリアを疾駆する車から身を乗り出し、叫ぶミドリ。それはあたかも今までの自分との訣別するかのようだった。
 そして二人は、コリンの父親が住むアデレードを目指すのだが…。

スタッフ

監督&エグゼクティブプロデューサー:クレイグ・ラヒフ
プロデューサー:アル・クラーク、ヘレン・リーク
脚本:ルイ・ナウラ
撮影:ブライアン・J・ブレハニー
音楽:マイケル・アトキンソン、クレイム・ヨーネ
編集:ジョン・スコット
プロダクション・デザイナー:ヴィッキー・ニーハス
美術:ヒュー・ベイトアップ
エグゼクティブプロデューサー:ジョージナ・ポープ
製作:Australian Film Finance CorporationLtd.
Duo ArtProductions Pty.Ltd.
後援 オーストラリア大使館/協力 TWENTY FIRST CITY INC.
原題:Heaven's Burning

キャスト

ミドリ:工藤夕貴
コリン:ラッセル・クロウ
ユキオ:磯村憲司
コリンの父:レイ・バレット
マフード:ロバート・マノン
モファット刑事:マシュー・ディクティンスキー
ジョナ:コリン・ヘイ
ビショップ刑事:アンソニー・フェラン

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