原題:CRADLE WILL ROCK

ひとりの勇気が時代を変えた! 豪華オールスター・キャストで蘇える アメリカが最も熱くなった夜

1999年第52回カンヌ国際映画祭コンペティション正式出品 1999年ナショナル・ボード・オブ・レヴューベスト10、 スペシャル・フィルムメイキング・アチーヴメント

1999年アメリカ/タッチストーン・ピクチャーズ提供/ ヘイヴォック作品/カラー/ドルビー・デジタル/日本版字幕:松浦美奈 提供:アスミック・エース エンタテインメント/角川書店 配給:アスミック・エース エンタテインメント

2001年12月7日DVD発売&2002年1月月25日DVDレンタル開始 2001年12月7日ビデオ発売&レンタル開始 2000年秋、恵比寿ガーデンシネマほかにて公開

©Touchstone Pictures/All Rights reserved

公開初日 2000/10/07

配給会社名 0007

解説

 1936年、アメリカ全土を大恐慌が襲い、労働者のストライキが勃発していた。ニューヨークでは文化革命の嵐が大きく吹き荒れようとしていた。政府はニューディール政策の一環としてフェデラル・シアター・プロジェクトを計画。職を失った役者や監督、脚本家に仕事を与える計画を進めていた。同じころ22歳のオーソン・ウェルズは、フェデラル・シアター・プロジェクトで採用されたマーク・ブリッツスタインの問題作“ゆりかごは揺れる”の演出を担当していた。しかし政府は計画の資金減を決定、初日前日に軍によって劇場は閉鎖され、舞台は中止となってしまう。はたして“ゆりかごは揺れる”は実現するのだろうか?
 大恐慌の後、多くの人々が失業し暗く沈む1930年代アメリカ。忍び寄る大戦の影、赤狩りの兆しが見え隠れする激動の時代の幕開けに、表現の自由を求めて闘うアーティスト達。ティム・ロビンスが天才オーソン・ウェルズの幻の舞台“ゆりかごは揺れる”をモチーフに、名もなき演劇人からロックフェラー、ディエゴ・リベラ、ブリッツスタインら実在の人物までを縦横無尽に鮮やかに甦らせ、表現する自由と喜びを描く。『デッドマン・ウォーキング』に次ぐ、待望の最新感動作!

ストーリー

1930年代ニューヨークの壮大な人間模様!

1936年、大恐慌がアメリカ全土を襲い、労働者のストライキが勃発していた時代。それはアメリカ史上もっとも興奮と危険に満ちた時代でもあった。

一人の少女がニュース映画を上映している劇場の舞台裏に立ち上がった。彼女の名はオリーヴ・スタントン。放浪者のようなその日暮らしから女優を夢見て、職を求める人々の列に並んだ。アメリカ政府は失業した演劇人を救うため“フェデラル・シアター・プロジェクト”を施していた。しかし、経験のない彼女に俳優の仕事が回ってくるはずもなく、ようやく手に入れた仕事は舞台の清掃と言う理想とは程遠いものだった。

師のブレヒトの幻影に取り憑かれたマーク・ブリッツスタインは苦しんでいた。新しい作品を生まなければいけない。彼がふらりと立ち寄った公園では組合集会が行われていた。そこに警察が無理やり介入し集会を解散させてしまう。理不尽な暴力に巻き込まれた彼は、自分の舞台の主題こそ「権力に立ち向かう表現の自由だ」と思いつく。そこから産まれた『ゆりかごは揺れる“THE CRADLE WILL ROCK”』は“フェデラル・シアター・プロジェクト”で採用され、当時22歳のオーソン・ウェルズがこの問題作の演出を担当することになった。そして俳優たちのオーディションが始まった。そこでウェルズの目に止まったのが、あのオリーヴだった。「彼女はまさに腹をすかせた娼婦そのものだ!」オリーヴ・スタントンは『ゆりかごは揺れる』の主役を見事射止めた。

芸術を支配しようという欲望に駆られる若き大資本家ネルソン・ロックフェラー。上流階級の実業家たちは芸術を金の力で牛耳ることを楽しんでいた。彼はムッソリーニの元愛人で彼の戦争支援を仰ぎ見るマルゲリータ・サルファッティの絵画展のスポンサーとなっていた。マルゲリータは、大富豪にダヴィンチの絵を貢ぎ、ムッソリーニの支援金調達に奔走していたのだった。天高くそびえ立つロックフェラー・センター・ビルのロビーの壁画を描く人物を探していたロックフェラーは皮肉にも資本主義を敵視する共産主義者のメキシコ人画家ディエゴ・リヴェラを紹介してもらい依頼するのだった。

アル中の腹話術師トミー・クリックショー、ショービジネスの縁に必死でしがみつこうとする古ぼけた芸人。彼も仕事を求めて公共事業促進局の窓口を訪ねていた。
そこで彼は後進の育成指導の仕事を任されてしまう。「アカ(共産主義)が芸をダメにした」があ口ぐせの彼は、共産主義に反対するグループに参加していたが、そこで出会った公共事業局の受付嬢ヘイゼル・ハフマンに逢えるのが嬉しくて参加しているのだった。ハフマンは一介の事務員にもかかわらず、促進局内に監視の目を光らせ政府に告発するという立場を逸した行為で、逆に自分の立場を失っていく。

“フェデラル・シアター・プロジェクト”の長ハリー・フラナガンは良質の演劇を手厚く保護していたにもかかわらず、非米的な演劇を広めていると疑われワシントンの公聴会で厳しく避難される。そんな中、『ゆりかごは揺れる』の稽古は続いていた。しかしオリーヴがほとんど素人だとわかりオーソン・ウェルズとプロデューサーのジョン・ハウスマンは喧嘩まがいの口論ばかりでセットは壊れるわ、役者は台詞を覚えないわで、実際に上演までに形になるかどうか全くわからないありさまだった。

ディエゴ・リヴェラの絵は完成に近づいていた。ムッソリーニ、ヒトラーなど独裁者の顔が、資本主義の象徴ともいえるビルのロビーに描かれた。リヴェラの怒りの表現がそこにはあった。ようやくロックフェラーは間違いに気づき始める。この絵は自分のビルにふさわしくない事を。彼はリヴェラに絵を描く事を辞めさせようとする。だが、リヴェラが描く事を辞めるはずはなかった。

結局、政府は“フェデラル・シアター・プロジェクト”の予算削減を決定。ウェルズ達の『ゆりかごは揺れる』はなんと上演を禁止され、初日前日にして劇場を政府軍に封鎖されてしまう。だが、彼らはただでは転ばなかった。「これから上演させてくれる他の劇場を探せ!」。鉄鋼王のグレイ・マザーズの伯爵夫人ラグランジェはこの様子を興味深く見ていた。彼女はどこからかピアノを探し出し、彼らに協力しようと奔走する。中止という政府の指示に従わなければ役者たちは即失業だ。しかし、彼らは立ち上がろうとしていた。自分達の自分達による自分達のための演劇のために。彼らの行進はもう始まっていた。

はたして『ゆりかごは揺れる』は、その幕を開ける事ができるのだろうか?

スタッフ

監督/脚本/製作:ティム・ロビンス
撮影:ジャン・イヴ・エスコフィエ

キャスト

ジョン・タトゥーロ
エミリー・ワトソン
ハンク・アザリア
スーザン・サランドン
ヴァネッサ・レッドグレイヴ
ジョーン・キューザック
アンガス・マクファデン
ビル・マーレイ
ルーベン・ブラデス
チェリー・ジョーンズ
ジョン・キューザック
ケアリー・エルウィズ
グレチェン・モル

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