原題:Brown's Rquiem

待望の「L.A.コンフィデンシャル」ジェームス・エルロイ処女作の映画化!

1998年/アメリカ映画/上映時間1時間45分分/配給:日本ヘラルド映画

2001年2月21日ビデオ発売&レンタル開始 2000年7月1日よりシネマスクエアとうきゅうにてロードショー

公開初日 2000/07/01

配給会社名 0058

解説

 アカデミー賞に輝いた「L.A.コンフィデンシャル」の原作者であり、当代一のミステリー作家ジェイムズ・エルロイの処女作『レクイエム』の映画化である。
 『レクイエム』はエルロイがまだ生活のためにゴルフ・バッグを持ち歩き、酒を断とうと努力していた頃の作品。人生を立て直そうとしているエルロイの無骨さと主人公フリッツ・ブラウンの独創的キャラクターにハリウッド中が映画化を取得するために殺到した。しかしエルロイが認めたのは、本作がデビューとなるジェイソン・フリーランドだった。フリーラントは、エルロイの世界を映像にするため、脚本・監督を担当し、見事全米スマッシュ・ヒットとなった。フリッツ・ブラウンにしがみつかなくてはならないものが、これまで何かあったとしたら、それは警官という身分だけだった。そして警察を免職になった後、ブラウンはらせんを描くようにゆっくりと自滅の深みへと落ちていく。警察バッジのない彼はただの酒飲みの名はかりの私立探偵でしかない。アル中講座に通ったり、コークで気を紛らしていたが、ファット・ドッグが事務所を訪れる。太ったキャディのファット・ドッグの依頼は溺愛する17歳の妹ジェインを同棲している犯罪組織のボスから守って欲しいという内容だった。簡単な仕事だと引き受けたが、やることなすこと失敗の連続で遂に、従兄妹のウォルターを死なせ、ファット・ドッグも行方不明になる。やけになって久し振りに飲んだウィスキーは彼を2日間虜にし、元のアル中に戻した。捜査を進めるうちに彼を免職にしたLA市警の警部ヘイウッド・キャスカートの汚職に辿り着く。そして、ジェインをめぐる男たちが汚職に関係し、10年前の放火事件の謎へと事件は思いがけない方向に進んでいくのだった。
 本作は、主人公のフリッツ・ブラウンの魅力的な性格描写に溢れ、このセンチメンタルで狂暴な探偵にひきこまれていく。そして、『L.A.コンフィデンシャル」と同じく登場人物たちの溢れるような賑やかさに目を奪われるだろう。ファット・ドッグ(太った犬)のニックネームを持つ巨漢で、金ならしこたまあると口叫ぶキャディ、彼と似ても似つかないほど美しい17歳の妹ジェイン。犯罪組織で金を儲け、ジェインを溺愛する老人ソル・カプファーマン(ソリー・K)。ブラウンの宿敵、LA市警の警部、ヘイウッド・キャスカート。巨乳好みのアル中、ウォルター。ヤク中で腕の注射の跡が痛々しいエドワーズ。でか竿とよばれるノミ屋の仕切屋ラルストン。登場人物はどれも一癖もふた癖もある連中だ。ブラウンを中心にこれらの人物の陰謀と愛憎が絡み合う見事な作品が、この「ブラウンズ・レクイエム」である。キャストにはブラウン演じるマイケル・ルーカー。彼は「JFK」「クリフハンガー」「冷たい一瞬(とき)を抱いて」、高い評価を得た「ヘンリー ある連続殺人鬼の記録」での衝撃的な演技で絶賛を浴びるなど、数多くの名作に出演している実力派俳優。本作の謎を握る美少女ジェインには「危険な関係」のセルマ・ブレア。これによってハリウッドで最も売れっ子の若手女優となることは必至。ブラウンに金をもたらすマルゲリータのヴァレリー・ペリンは「レニー・ブルース」でダスティン・ホフマンと共演してドラマティックな役を演じ、カンヌ映画祭主演女優賞、ニューヨーク映画批評家協会賞受賞、そして、米アカデミー賞主演女優賞ノミネーションを受けた。暗黒街の顔役、ソリー・Kは「スティング」「ウディ・アレンの愛と死」のハロルド・グールド。スタン・ザ・マンは「ザ・ファーム/法律事務所」のトビン・ベル。
 「フィフス・エレメント」「ブレードランナー」のブライオン・ジェイムズ、「エイリアン4」「ミシシッピー・バーニング」「カッコーの巣の上で」(アカデミー賞ノミネート)のブラッド・ドリフ。
 原作者である、ジェイムズ・エルロイは自分の中の悪魔と遊戯した作品だと語っている。「ブラウンズ・レクイエム」は、観客がそれぞれの心の悪魔と遊戯する傑作クライム・サスペンスである。

ストーリー

 これはフリッツ・ブラウン(マイケル・ルーカー)の物語。彼は失うものは何もないのに、それでもすべてを失おうとする男。ブラウンはロサンゼルス市警で酒浸りの日々を送った後、今はオンボロの私立探偵事務所を構え、酒を断ち車の回収業をしたり、べ一トーベンに耳を傾けたりして過ごしている。そんなある日、ファット・ドッグ・ベイカーが事務所のドアをノックした。彼はキャディーをしている頭のおかしい男で、自分の内臓ほどもあろうかというくらい百ドル紙幣の札束を持っていた。その時からブラウンの人生は永遠に変わってしまう。
 ファット・ドッグ(ウィリアム・サッソー)は、17歳のセクシーな少女ジェイン・ベイカー(セルマ・フレア)の救出をブラウンに依頼する。ファット・ドッグによれば妹はマフィアの関係者で70歳になるソリー・K(ハロルド・グールド)と、赤のロールス・ロイスが2台止めてある彼のビバリー・ヒルズの豪華な屋敷で暮らしている。
 ブラウンは仕事初めにジェニーの尾行をする。彼女は運転手付きの赤いロールスロイスで音楽学校に通っていた。しかし、事もあろうかジェインに話し掛けられ顔を知られてしまう。夜にソリーの邸に忍び込むと犬に吠えられ、危うくガードマンにつかまりそうになる。酒を断ったので、ヘマをするのかと思うほど、ブラウンは最低だった。やがて、ソリーを尾行すると、古巣ロサンゼルス市警の警務部長ヘイウッド・キャスカート(ブライオン.ジェイムズ)と密会の現場を目撃する。彼は鼻もちならないクズで、ブラウンは警察を辞めたのもこの男のせいで、長いこと彼に復讐する機会を狙っていたのだ。
 いとこで同じくアル中のウォルターが部屋にやってくる。ウォルターはいい奴だが、酒に溺れる気の弱い奴だ。ブラウンはウォルターの為なら何でもやる覚悟があった。
 ソリー・Kとヘイウッド・キャスカートの接点をつかんだブラウンは、依頼人のファット・ドッグに経過を告げる為に彼の勤めるゴルフ場や飲み屋を捜す。彼の知り合いから聞くファット・ドッグはゴルフだけは誰よりも芝を見る目があるが、私生活は外で寝るという変人だった。
 ソリーの過去を調べると、犯罪組織の金庫番で儲け、80年代に放火されたクラブ・ユートピアのノミ屋で儲けていた。その放火事件の犯人のキャディ3人が逮捕されたが、真犯人はどうやらファット・ドッグだった。思わぬ展開にブラウンは手を引こうかと思うが、いつか復讐したかったキャスカートが絡んでいたので、それも出来なかった。しかし、それがすべての失敗で、ブラウンの身代わりにいとこのウォルターが殺される事になってしまうのだ。
 クラブ・ユートピアを仕切っていたのはキャディのラルストン。彼はジェインの愛人でもあった。彼はユートピアの帳簿を必死に探し、ブラウンの留守中に侵入し偶然居あわせたウォルターを殺害し、次はファット・ドッグを捜していた。ファット・ドッグはエンセナーダの寂しい小屋で腐乱死体で見つかったが、帳簿は見つける事が出来なかったようだ。ブラウンはファット・ドッグが外に寝るという事を思い出し、庭を捜し、帳簿を手に入れた。それは不正に生活保護を手に入れる小切手を偽造し、ソリーの酒屋で現金にした事を記していたものだった。
 調査が進むにつれ、フリッツはヘイウッド・キャスカートとの対決コースヘと入り込んでいく。そして、ファット・ブラウンとジェインの過去を知る事になるのだった。

スタッフ

監督・脚本:ジェイソン・フリーラント」
原作:ジェームス・エルロイ(早川文庫刊)

キャスト

マイケル・ルーカー
ケビン・コリガン
ヴァレリー・ペリン
セルマ・ブレア

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□IMDb
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http://us.imdb.com/Title?0171135
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