原題:THE BEST LAID PLANS

幸せになるための計画は、殺人に変わった。

1999年/アメリカ映画/上映時間1時間33分/カラー/ドルビーSR・SRD/配給:20世紀フォックス映画

2000年4月8日よりロードショー、シャンテシネほか 2000年12月22日よりビデオ発売・レンタル開始

©1999 TWNTIETH CENTURY FOX

公開初日 2000/04/08

配給会社名 0057

解説

それは完璧な計画のはずだった。手に入れた金で、ニックは恋人リサと一緒にこの退屈な町を出ていくつもりだった。けれど、完璧な計画を練っていたのは彼だけではなかった。それぞれの思惑が交錯したとき、彼らの邪悪な心が絡み合って、災いがじわじわと増殖する。そしてニックは、セックスと嘘と犯罪に彩られた“人生最悪の夜”に突入していく——。
 アメリカで公開されるや、若者たちだけでなくシネ・フィルや批評家も興奮の渦に巻き込んだコンテンポラリーなフィルム・ノワール。ダークな味わいの中にユーモアをちりばめ、アクションとバイオレンスの奥にエモーショナルな愛の物語をしのばせる。これぞまさしく「トゥルー・ロマンス」以来久々に登場した、ロマンティックな“次世代のクライム・ラブ・ストーリー”なのだ。

 ニックは憂鬱な町トロピコで、退屈な仕事に就き、夢も希望もない人生を送っている。当てにしていた父親の遺産もゼロ。たった一つの救いは新しいガールフレンド、リサとの恋だけだった。そんなとき、同僚からうまい金儲けの話を持ちかけられたニックは、泥棒の片棒をかつぐことになるが……。
 ニックはリサと新しい生活を始めたかった。ニックの友人ブライスは大学教授としての輝かしいキャリアを目指していた。そして、ニックの同僚バリーは、労せずして金を手中にしようと狙っていた。彼らが自分の人生をちょっとだけ明るくするために、どんなことを思いついたか? 自分の幸せのためなら、友人を騙すのはしかたない? だれもが策略を巡らし、自分の計画は完璧だと思っていた。けれど事態は思いもかけず、裏切り、ペテン、盗み、誘拐、殺人へと発展。リサをも巻き込んで、ニックは悪夢のような窮地にどんどんはまっていく。そしてこの最悪の一夜に、ニックとリサは愛の限界と倫理観を試されることになる。
 スマートな筋書きとシャープなスタイル。皮肉たっぷりでひねりまくった構成。煙草、ピーナッツ、経済学理論、山火事など、細かいディテールから事件の真相のカギを握る設定にいたるまで、全編にちりばめられた伏線や心憎い目配りの数々。どんでんに次ぐどんでん、予想を容赦なく裏切る驚きっ放しの展開。これらすべてが完璧にとけあい、知的に輝いて、見る者の好奇心を強烈に刺激する。
 そして、このイキのいい物語をいっそうピチピチ弾ませるのは、人気上昇中の若手スターたち。ニックには「フェイス/オフ」でニコラス・ケイジの弟を演じ、「アイ・ウォント・ユー」で主演したアレッサンドロ・ニボラ。リサにはロバート・ベントン監督の“Twilight”でジーン・ハックマンとスーザン・サランドンの娘に扮し、話題作「カラー・オブ・ハート」で白黒テレビの世界に迷い込む高校生を演じたリース・ウィザースプーン。ブライスには「ミミック」「ナイトウォッチ」のジョシュ・ブローリン。3人ともハリウッドの次世代“ジェネレーション・ネクスト”の旗手と目されている注目株だ。
 アクションやどんでん返しを満載する一方で、底には温かなハートのこもったこの見事な脚本を手がけたのは、弱冠26歳のテッド・グリフィン。大学時代に書いた短編小説が下敷きになっており、本人いわく「愛する機会を逃してしまった悲しい物語」。
 監督のマイク・バーカーはアメリカ映画を手がけるのはこれが初めてだが、イギリスでは有名な映画人。“The James Gang”、“The Tenant of Wildfell Hall”がプロデューサーのショーン・ベイリーとアラン・グリーンスパンの目に止まってアメリカ進出が実現した。
 製作総指揮を担当したのはヒット作「フォー・ウェディング」「フェイク」で知られるイギリスの監督マイク・ニューウェル。歯切れのいい鋭角的な映像を見せる撮影監督はベン・セレシン。トロピコの憂鬱な雰囲気からブライスの豪邸まで自在のイメージを作り上げたプロダクション・デザイナーはソフィー・ベッカー。衣裳デザインはスーザン・マテソンが担当している。

ストーリー

宙を飛んだ煙草の吸い殻が、リサイクル会社のチラシの上に落ちて、パッと炎が大きく燃え上がる。
 ここは、退屈で憂鬱な町トロピコ。ニック(アレッサンドロ・ニボラ)は地元の大学で経済学の教授をしていた父が病気になって以来この町に戻り、リサイクル会社で働きながら夢も希望もない毎日を送っていた。一方、学生時代の友人ブライス(ジョシュ・ブローリン)は英文学の教授として意気揚々とここへ戻ってきた。久々に再会した二人がバーで思い出話をしていると、一人のセクシーな女が店に入ってくる。
 夜も更けて、先に帰宅していたニックはブライスからの電話で起こされた。途中、山火事の現場を抜けて、ブライスが知人から借りている豪邸に着いたニックは、地下室に案内される。そこには、バーで出会った女キャシー(リース・ウィザースプーン)が猿ぐつわをされて縛られていた。彼女がセックスした後に突然「レイプだ」と言い出したので、ブライスはあわてて監禁したのだという。キャシーに近づいたニックは、なぜか彼女の耳元で「失敗だ」とささやく。

 4ヶ月前。ニックは隣家の猫を車でひき、動物病院に駆けつけた。そこで助手をしていたのがキャシーことリサ。やがてリサとの恋はニックにとって唯一の救いとなった。間もなく死んだ父の遺産も入るはず。そうすればこの町を出ていける。二人はリサイクル会社のダサいCFにも揃って出演し、まずは順調な日々を送っていた。けれどある日、ニックはショッキングな通告を受ける。父親が病歴を隠していたために保険金が下りず、税金を滞納していたせいで遺産もゼロ。そんなとき、ニックの同僚バリーがおいしい話を持ちかける。
 麻薬の金の横取り計画。事は成功したかに見えたが、翌日になって売人が現れた。アジトに連れて行かれたニックは、なぜかアダム・スミスやケインズに詳しいインテリ売人から市場経済原理を壊したこと(つまり売人の金を横取りしたこと)を責められ、金を返すよう脅される。
 ブライスからの電話が入ったのは、ニックが会社に前借りを断られて頭を抱えていたときだった。ニックはブライスの家主がコレクションしている20万ドル相当のリンカーンの署名入り紙幣を見せられて、ある策略を巡らせる。これを盗み、ブライスが盗難届けを出せないようにレイプ犯の汚名を着せること。相談されたリサも、ニックのためにひと肌脱ぐことを決意する。
 その夜、ニックはブライスの待つバーへと向かった。途中、車の窓から投げ捨てた煙草がどうなったかなど知る由もなく。かくして計画は“失敗”し、キャシーの監禁事件へと発展したのだった。

 再び現在のブライス邸。“キャシーを解放したら警察へ行くに違いない。殺すしかない”。そんな深刻な話の最中に、テレビからリサイクル会社のCFが流れ出す。リサ=キャシーと二人で映っているところを見られまいとあわてるニック。やがて、キャシーを殺したと見せかけたニックは、“死体”を車のトランクに入れた。これでリサを救えたと思った途端、ブライスが「お腹がすいた」と言って車に乗りこんでくる。しかたなく一緒に街まで出ると、今度は売人たちが襲ってきてリサごと車を奪っていった…。

スタッフ

監督:マイク・バーカー
脚本:テッド・グリフィン
製作:ショーン・ベイリー、アラン・グリーンスパン、
    ベッツィ・ビールス、クリス・ムーア
製作総指揮:マイク・ニューウェル
撮影:ベン・セレシン
プロダクション・デザイナー:ソフィー・ベッカー
編集:スローン・クレビン
衣裳デザイナー:スーザン・マセソン
共同制作:ナンシー・パローアン=ブレズニカー
音楽:グレイ・アームストロングフィー

キャスト

ニック:アレッサンドロ・ニボラ
リサ:リースウィザースプーン
ブライス:ジョシュ・ブローリン
バッド・アス・デュード:ロッキー・キャロル
チャーリー:マイケル・G・ハーガティ
ジミー:テレンス・ハワード
バリー:ジェミー・マーシュ
弁護士:ジーン・ウォーランド
ベット:ジョナサン・マクマートリー

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