原題:LOOKING FOR ANGEL

深いやさしさと哀しみに満たされた、静かなラディカリズム…。 奇跡の輝きに満ちた美しい映画が誕生した。 鈴木章浩 第一回監督作品

トリノ国際ゲイ&レズビアン映画祭 MIX ブラジル(サンパウロ) ポップコーン映画祭(ストックホルム) バンクーバー国際映画祭 レズビアン&ゲイ映画祭ハンブルグ

1999年/日本映画/35mm/カラー/上映時間61分/配給:スタンス・カンパニー

2000年7月28日より東京:中野武蔵野ホールにて公開 2000年9月2日(土)〜9月8日(金)まで名古屋シネマテークにて公開 2000年11月より大阪・パラダイスシネマにて公開

公開初日 2000/07/26

配給会社名 0038

解説

薔薇族映画(ゲイ・ポルノ)としての公開を前提に作られながら、ベルリン映画祭のディレクター、ウィーランド・スペックの推薦を受けてトリノで公開され、一躍世界の注目を浴びる存在となった映画「天使の楽園」。8mmフィルムからDVまであらゆる素材を自在に組み合せ、静謐な叙情に満ちた世界を生み出す映像、深いイメージを喚起する繊細な音響、囁くように語られる言葉。それら全てが共鳴し合い記憶のように手繰り寄せられてゆく、生と死の物語…。
監督はこの作品がデビュー作となる鈴木章浩。プロデューサーとして大木裕之、 イアン・ケルコフ、ブルース・ラ・ブルースらの監督と組み、鮮烈な作品の数々を送り出してきた彼は、そこから得た経験を踏まえ、シナリオの放棄、アマチュアリズムやポルノ的クリシェの積極的な採用、オフビートなストーリー展開など、劇映画の常識を覆す方法を積極的に導入し、新しい映画の可能性を追求している。
撮影監督に「猫耳」で世界的に知られる映像作家・黒澤潤。音楽はアンビエント/ミニマル・ミュージックのKUJUN、映像作家・大木裕之、藤島晃一によるオリジナルに加え、角谷美智夫/腐っていくテレパシーズ、宍戸幸司(割礼)などの80年代アンダーグラウンド・シーン秘蔵の名曲をフィーチャー。制作には映像作家・タカシトシコが当たり、この実験的なプロジェクトを成功に導いている。
魅力的な出演者は、タカチに脚本、監督もこなすベテラン、今泉浩一、玲子にピンク映画界で不動の地位を築く人気女優、葉月螢がナチュラルな演技で新たな魅力をみせる。そして、注目の新人、末広あきらと黒岩アキラがスクリーン・デビュー。その自然な存在感で映画に新鮮な空気を吹き込んでいる。

映像作家・大木裕之、人気ドラァグ・クイーンのマーガレット(小倉東)やジャスミン、そして、アキラ(バイターズ)、ツバキ、高知在住のアーティスト藤島晃一、話題のアート集団OBSCUREなど、ゲイ、サブ・カルチャー界のそうそうたるメンバーが特別出演。そのリアルな存在感は見逃せない。
また、東京から高知にまで足を伸ばした壮大なロケーションには、大木裕之の映画「心の中」に関わった現地スタッフが全面協力。その機動力で困難な日程の中での撮影に大きな力を発揮し、映画のスケールを大きく広げることに貢献している。
「天使の楽園」は現在も多くの国際映画祭から招待のオファーが寄せられている。

ストーリー

冒頭、ビルの廃虚に捨てられている半裸の青年の死体が写し出される。ある日の午後、悲しみの眠りから覚めた玲子は、いつまでも待ち続けているタカチの姿を見つける。この作品は人々の記憶と追悼と関係性についての映画である。

タカチが死んだ。タカチはゲイでAV男優をしていた。彼を巡る記憶と追悼の物語りが始まる。タカチはソラオという少年を愛していた。ソラオは自分を売りながら、玲子の部屋で暮らしていた。互いの存在を無視したまま、ソラオとの関係を続けるタカチと玲子。

しかし、ソラオは突然二人の前から消えてしまう。
その空虚な哀しみの中で、タカチと玲子は初めてお互いを認める。
そして、タカチも消えた。

ある日、玲子のもとにタカチから葉書が届く。玲子はシンペイを連れてタカチの故郷、高知へ行く。

シンペイは二十歳。自分の中の揺れ動く感情にとまどいを覚えていた。タカチに出会い、自分に不安を感じるシンペイ。その苦悩を静かに抱きしめるタカチ。玲子は二人を見守る。

三人の間に絆が生まれた。
しかし、タカチのいる場所は、どこにもなかった…。

スタッフ

企画・製作:PISSFACTORY+ENKプロモーション
エグゼクティブ・プロデューサー:小口容子、駒田慎司
監督:鈴木章浩
制作:タカシトシコ
撮影:黒澤潤、鈴木章浩
脚本:タカシトシコ、黒澤潤、鈴木章浩
音楽:KUJUN、大木裕之、藤島晃一
録音:鈴木昭彦、吉松亮子
ネガ編集:金子尚樹(フィルムクラフト)
制作助手:小倉泰忠、石田章
録音助手:増田泰斗
現地制作:内原理恵
スチール:石田章、浜口真吾
スタジオ:シネマンブレイン
リレコ:日本映画新社
現像:東映化学工
フィルム:報映産業
協力:
 成田暁、石川陽一、遠藤一平、辻智彦、中島正博、原田徹
 スタンス・カンパニー、ホワイトライン、映画美学校、
 ニューシネマワークショップ
 映画公論社、バルコニー、プラグ、(株)ブラックブルー、ワゴン

ロケーション:
 藤岡朝子、百瀬幸絵、伊藤聡洋、藤島晃一、長澤茂和
 OBSCURE、若松旅館、割烹中村屋、スタジオM
配給:スタンス・カンパニー

キャスト

今泉浩一、末広あきら、黒岩アキラ、葉月 螢、大木裕之
藤島晃一、モア、小倉 東、ジャスミン、ツバキ、鈴木佳子
荒威勝彦、鈴木章浩、川村五博、川崎為康、新居あゆみ
水原文人、浅沼克彦、東崎曜子、吉松亮子、増田泰斗
藤島等、亀蔵、岩佐浩樹、大久保礼司、白井文章
江見 優、柳瀬有里、小清水 史、鷹野依登久、安彦さちえ
中瀬健次、八反田めぐみ

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