80's インディペンデント・フィルムメーカーズ特集上映::http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=6298 2000年ベルリン国際映画祭アルフレート・バウワー賞(新人監督賞)受賞作品

2000年/日本映画/35mm/配給:サンセントシネマワークス

2001年3月25日ビデオ発売 2001年3月3日よりシブヤ・シネマ・ソサエティにて凱旋上映決定 2000年10月28日よりお台場シネマメディアージュにて公開

公開初日 2000/10/28

配給会社名 0095

公開日メモ J・MOVIE・WARSからまたも世界を沸かせた。'70年代を背景に合唱部員の少年2人の友情と成長を描き、ベルリン国際映画祭アルフレート・バウアー賞を受賞。監督は期待の新鋭、緒方明。

解説


『萌の朱雀』(97年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール賞/ロッテルダム国際映画祭国際批評家連盟賞)
『M/OTHER』(99年カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞)
と世界に感動と衝撃を与えてきた「J・MOVIE・WARS」からまた新しい傑作の幕が開く!

1970年代初頭。緑豊かな北の町にある全寮制中学校を舞台に、合唱に情熱を燃やす少年二人。 しかし、学生運動という時代の波が彼らの日常にも残酷な影を落とし始める・・・。 少年たちの友情を思春期特有のナイーブで情緒的な調べに乗せて、心揺さぶる歌声とともに描く。 2000年・新ミレニアム最初のベルリン映画祭で絶賛!アルフレート・バウアー賞を受賞した合唱と友情の物語。 「70年代の少年たち」の歌声に酔いしれてください!

監督は「40歳の新人」緒方明。
ベルリンで、カンヌで、話題独占の仙頭武則がプロデュース!

 監督は「40歳の新人」緒方明。81年の「ぴあフィルムフェスティバル」で注目を集めた後、同じく本作でスクリーンデビューした原作・脚本の青木研次とともに「驚きももの木20世紀」(ABC)を手がけるなど、TVドキュメンタリーを主な活動の場としていた。監督・脚本の二人が劇場用長篇映画デビューとなる作品でのベルリン映画祭コンペティション部門受賞は日本映画初の快挙だ。プロデューサーは、『萌の朱雀』『M/OTHER』『EUREKA(ユリイカ)』と世界に感動と衝撃を与え、『リング/らせん』など国内メガヒット作も手がけた仙頭武則。「世界三大映画祭」のうち、カンヌ映画祭で河瀬直美(『萌の朱雀』カメラ・ドール賞受賞)を鮮烈デビューさせたのに続き、ベルリンでも新星を登場させた。

実力派・異色派そろうキャスティング
切なく美しい少年たちの歌声と池辺晋一郎の弦楽合奏

 主人公の少年道夫に、かつて“チビ・ノリダー”としてお茶の間の人気をさらった伊藤淳史(いとう あつし)、彼を合唱へ誘う美少年康夫を藤間宇宙(とうま そら)。そして、少年たちに合唱の魅力を教える牧師を今年ベルリンだけでなくカンヌも沸かせた香川照之が静かに熱く演じている。脇を固めるのは『ポストマン・ブルース』の滝沢涼子、『カオス』『EUREKA(ユリイカ)』の光石研、『萌の朱雀』『五条霊戦記』の國村隼といった実力派。また、多方面で活躍するミュージシャン泉谷しげる、日本アカデミー賞最優秀監督賞受賞の大ベテラン岡本喜八など異色のキャストも話題である。合唱は、猛訓練を積んだ「独立学院グリークラブ」役のキャストたちが実際に歌っている他、高校合唱界の雄である大阪の淀川工業高校男子合唱部と京都の加悦谷(かやだに)高校女子合唱部も参加し、爽やかな歌声を披露している。音楽は、オペラ楽曲による国際エミー賞優秀賞などで国際的に知られる池辺晋一郎が担当。映画全篇を通して流れる弦楽合奏の切なく美しい調べが俳優陣の演技と絶妙の合唱(ハーモニー)を紡ぎ出している。 また、四季を追い8ヶ月に渡った撮影は、『眠る男』や『月とキャベツ』の舞台にもなった群馬県中之条町の伊参(いさま)スタジオを中心に行われた。木造の校舎と緑豊かな風景が1970年代の雰囲気を効果的に演出している。

ストーリー



「大昔、人はしゃべる前に歌うことを覚えた」

 1970年代のとある北の町。写真館の息子道夫(伊藤淳史いとう あつし)は、父親を亡くし山の中の全寮制中学校「独立学院」に転校することになった。吃音症の道夫は転校初日から試練を迎える。田舎の学院に娯楽は少ない。寄宿舎で集団生活をする同級生たちは“わが意を得たり”とばかりに少年特有の残酷さを発揮して道夫をいじめた。「ど・どもり」という同級生たちの声の嵐が寄宿舎を包む。毛布で頭を覆ってみても消えることのない悪魔の合唱。そこから道夫を救ってくれたのは、この日の朝、偶然音楽室で出会った美しい面立ちをした康夫(藤間宇宙とうま そら)という少年の天使のようなソプラノだった。

 康夫の説得によって学院からの脱走を思いとどまった道夫だったが、相変わらず同級生たちに馴染めない。悩む道夫になにかと世話を焼く康夫。やがて、二人の間には“友情のようなもの”が芽生えていく。

 そんなある日、康夫は自分が所属する合唱団の指導者で学院の牧師である清野(香川照之かがわてるゆき)に道夫を引き合わせた。歌っているときは「どもっていない」ことを、清野から告げられた道夫は驚いて横にいる康夫の顔を見た。ニコニコと微笑している康夫。道夫は合唱団に入団することを決めた。

 合唱団での毎日が道夫を変えて行く。いつしか学院の廊下で同級生とすれ違っても「オッス!」と自然に声が出るようになっていた。歌うことで自分に自信を与えてくれた康夫との“友情のようなもの”はますます親密になっていく。

 「僕の声なら大丈夫って言ってくれたんだ!」

 二人きりの夜の音楽室で康夫は自慢げに道夫に話す。小学生のときに会ったというウィーン少年合唱団の少年から自分のソプラノは太鼓判を押されたというのだ。彼は自分の夢が「ウィーン少年合唱団に入団すること」だと道夫に告げた。

 しかし、康夫には思春期の宿命が迫っていた。“声変わり”だ。合唱団員にはどうにか悟られずに過ごしてきたが、夏休み恒例である近在の女子中学校との合同練習時に、ある少女から「ボーイソプラノは声変わり前が一番美しい」と告げられ愕然とする。不安な気持ちをぶつけたいが、道夫は別の女子部員と話し込んでいる。それが気に入らない康夫は道夫に石を投げつけて、異性との交歓にはしゃぐ同級生たちの群れを一人離れた。

 長かった夏休みが終わり、みんなが戻った学院からは康夫の姿が消えていた。寄宿舎のベッドに人間の頭くらいの石を残して。気味悪がる同級生たちを横目に、道夫は肌身離さずその石を持ち歩いた。数日が過ぎ、ある晴れた日の授業中、康夫はひょっこりと帰ってきた。

 「久しぶりっ!」

 はじけるような笑顔で康夫に話しかける道夫だったが、康夫から返ってきたのは「声がでなくなった」と書かれたメモ書きだった…

スタッフ

監督:緒方明
原作・脚本:青木研次
プロデューサー:仙頭武則
音楽:池辺 晋一郎
撮影:猪本 雅三
録音:細井 正次
美術:花谷 秀文
編集:掛須 秀一
合唱指導:清水 敬一

キャスト

伊藤淳史
藤間宇宙
香川照之
滝沢涼子
國村隼、
泉谷しげる
岡本喜八
光石研

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