原題:A DESTINY OF HER OWN

失うものは何もない…すべては心のままに生きること。 『恋におちたシェイクスピア』の製作プロが姉蛛編として送り出し、 世界を魅了する愛と官能美の大ロマン!!

1998年作品/カラー/1時間51分/ドルビーSR・SRD/字幕翻訳:古田由紀子 リージェンシー・エンタープライゼス提供/20世紀フォックス配給

2007年11月02日よりDVDリリース 1999年10月23日よりシャンテシネにて公開 2000年04月07日よりビデオ発売開始

公開初日 1999/10/23

配給会社名 0057

解説

98年度アカデミー作品賞ほか7部門受賞作『恋におちたシェイクスピア』を製作したエドワード・ズウィック(『レジェンド・オブ・フォール果てしなき想い』『戦火の勇気』の監督としても有名)ですが、これは彼が主宰するベッドフォード・フォールズ・カンパニーの作品でした。
ズウィックが続いてその姉妹編として製作を担当し出来映えもオスカー作品に劣らないと絶賛されているのが『娼婦ベロニカ』です。
監督はズウィックと長年コンビを組み『みんな愛してる』で監督としても実績があるマーシャル・ハースコビッツで、ベネチア派の絵画を思わせる見事な映像美で愛と官能のドラマに酔わせます。『恋におちたシェイクスピア』は1593年のロンドンが舞台でしたが、『娼婦ベロニカ』はルネッサンス文化の花ひらいたイタリアは1583年のゴンドラと水の都ベネチアが舞台で、実在のベロニカ・フランコの華麗な半生を映画化しています。彼女は詩人としてもイタリア文学史に名を残していますが、当時のイタリアでは女性は男性の所有物としか扱われず、持参金のない娘には恵まれた結婚も出世の道もすぺて閉ざされていました。お金に恵まれない女性に読書や教養人としての道が開かれ、特権階級の男性とも接触でき、大金を手にできる道はコーティザン(高級娼婦)になることありませんでした。…ベロニカは愛する青年貴族マルコとの恋を身分違いのため引き裂かれ、母の手引きでコーティザンの道に入っていきます。コーティザンはただセックスを売るだけの女ではなかった。選ばれた美貌と成熟した肉体はもちろん、芸術教育を受け、教養と礼儀作法を仕込まれ最高位の男性のパートナーも務められる最高のレディとして磨き抜かれた女性でした。ベロニカは誇りにみち、自我にめざめ、詩人としても認められ、ついにはフランスのアンリIII世のパートナーを務め、戦争の危機に直面したベネチアを救う存在にまでなるのですが、彼女がただひとり心から愛し続けたのはマルコだったのです。
これはドラマチックで波乱にみちたラブ・ストーリーで、偏見や屈辱を跳ね返して生き抜いたベロニカの存在は、男性ばかりか女性の意識まで変え、時代の転換期に彼女がいどんだ壮絶な戦いは、あらためて世界に大きな感動を呼んでいます。ベロニカを演じるのはアカデミー作品賞受賞作『ブレイブハート』でメル・ギブソンの相手役を務めたキャサリーン・マコーマック。その官能美、知性と情熱にあふれた名演技は『恋におちたシェイクスピア』のグウィネス・パルトロウをしのぐと絶賛されています。マルコ役には『ダーク・シティ』の主役で、野性的なセックス・アピールで期待の大型スター、ルーファス・シーウェルが抜擢されています。ベロニカをコーティザンの世界に導く母親を『映画に愛をこめて/アメリカの夜』などで特に日本で人気があり、近年は『沈黙の女』などに出演しているジャクリーン・ビセットが演じ、円熟の演技を見せます。
キャサリーン・マコーマックを引き立てる俳優陣は、ベロニカを陥れる策諜家マフィオに『エグゼクティブ・デシジョン』『ブルワース』などで最近活躍しているオリバー・プラット。マルコの妹ベアトリーチェを『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最後の7日間』のモイラ・ケリー、マルコが愛のない結婚をするジュリアを『タンク・ガール』のナオミ・ワッツが演じ、美人スターが華やかに共演します。
『ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女』のフレッド・ウォード、『エバー・アフター』のジェローン・クラッベ、『ブレードランナー』のアンドロイド役で知られるジョアンナ・キャシディ、総督役に『オーランド』の名優ピーター・アイアーなど一級の演技派が脇を固めています。
共同製作者として、97年アカデミー賞をはじめ世界の映画賞をさらった『L.A.コンフィデンシャル』などの秀作、ヒット作を連発している大プロデューサー、アーノン・ミルチャンが加わり、さらにスケールの大きな大作になりました。女性の新人ライター、ジェニーン・ドミニーがマーガレット・ローゼンタールが書いたベロニカの自伝をシナリオにし、『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』でアカデミー衣裳デザイン賞受賞のガブリエラ・ペスクッチが、完壁な時代考証で衣裳を担当。また『未来世紀ブラジル』などで3度美術賞候補になったノーマン・ガーウッドが、見事な16世紀ベネチアのセットをローマのチネチッタ撮影所に再現。ほかに『ブレイブハート』などで2度編集賞候補のスティーブン・ローゼンブラム、『フィッシャー・キング』などで4度音楽賞候補のジョージ・フェントンと、アカデミー賞で業績を評価されている最高のスタッフが結集しています。撮影のポージャン・バゼリは『キング・オブ・ニューヨーク』などインディペンデント作品が多く、今回が最初の大作ですが、苦心した光と照明が独自の絵画的な映像美を生み出し最高の評価を得ています。
ベネチアの運河と町のセットは、近年のチネチッタ・スタジオで作られたものの中では最大級のもので、またロケーションはイタリアに現存する古城やヴィラ・ファルネーゼなどで行われ、初めて映画の撮影が許された貴重なロケ地もあります。

ストーリー

1583年、商業都市として栄えたベネチアだが、女性は男性の所有物としてしか扱われていなかった。ベロニカ・フランコ(キャサリーンーマコーマック)は青年貴族マルコ(ルーファス・シーウェル)を愛していたが、身分違いを理由に結婚できなかった。ベロニカの母パオラ(ジャクリーン・ビセット)の父親が、酒に溺れて資産をなくしパオラはコーテイザン(高級娼婦)の世界に入ってそこで一代を築いた。お金のない庶民階級の女が富と権力者に接近し、出世できる道はこの世界しかないことをパオラは身をもって体験してきた。
ベネチアのコーティザンは、体を売っても王様や最高位の男性のパートナーも務めるため、対等に渡りあっていけるだけの教養を身につけ、洗練された身のこなし、礼儀正しい言葉づかいなどをしっかり仕込まれた最高のレディであった。そのため女人禁制の図書室での読書も許され、教育も受けられた。パオラはベロニカの美しさと魅力をもってすれば、この世界で最高を極めると見抜いていた。母の勧めにベロニカは「修道女のほうがまし」と尼寺をのぞくが、とても耐えられないことに気づく。
マルコの妹ベアトリーチェ(モイラ・ケリー)が政略結婚で年寄りと結婚するのを知ったベロニカは、そのような人生を選びたくなかった。自我にめざめた彼女は自分の運命を賭けてコーティザンの道を選ぶ。コーティザンの第一条件は美貌と豊かな肉体だが「まず男性に快楽を与える喜びを知ることよ」とパオラはいう。若い男性モデルをつれてきてベロニカに性の手ほどきをし、いよいよ社交界へのお破露目の日がやってきた。
美しいベロニカに目をつけたのはランベルティ国防大臣だった。はじめての男性が大臣というのも話題になり、ベロニカが詩を書いている才女であることもその美貌と共にたちまち広まった。艦隊総督、司教なども彼女に関心を寄せた。マルコも叔母が法王の姪だというジュリア・デ・レッゼ(ナオミ・ワッツ)と、愛のない打算だけの結婚をさせられる。ベロニカがコーティザンになったと知って、彼の心はおだやかでない。見違えるばかりあでやかな魅惑の女性へと変身していくベロニカに、マルコは贈物をし接近するが「予約でいっぱいよ」と拒絶される。ベロニカには意地もあり、心では彼を愛しながら夜ごとほかの男に抱かれる身ではマルコを拒んでしまう。マルコのいとこマフィオ(オリバー・プラット)は、ベロニカに反感を持ち総督の面前で彼女を軽蔑して詩を笑いものにする。剣術も習得しているベロニカはマフィオの跳発に乗って剣を抜いて決闘をはじめる。即興詩をお互いに交わしながら、男性に負けない剣さばきのベロニカだったが、彼女は軽い傷を負う。手当てをしたのはマルコだった。やさしさに触れて、ベロニカは彼への愛と思いが堰を切ったようにあふれ、二人は激しくくちづけを交わしベッドを共にしていた。
ベネチア共和国とオスマン・トルコとは長年の宿敵で争いが絶えなかったが、またトルコ艦隊がマルタ沖に出現し、戦争を仕掛けているという情報に総督は頭を痛めていた。反トルコのフランス艦隊の暖助があれば撃退できると、ベネチアの上層部はフランスのアンリIII世にベネチア来訪を求める。大運河を14隻のガレー船を従えて、豪華な絵巻のようにベネチアにやってきたアンリ王を、総督は「寝室でもてなし攻め落とせ」と命じる。選び抜かれた最高のコーティザンたちを前に、王はマルコにエスコートされていた別席のベロニカに強く惹かれる。彼女が詩人でコーティザンだと知った王は、彼女を指名し寝室に呼ぶ。アンリ王は、「自分は性倒錯者だ」とベロニカに告白する。「快楽に酔いましょう」とベロニカは王と」夜を共にした。
翌朝、アンリ王は「艦隊を出す」と宣告するとフランス戦艦100隻の援軍がベネチアを救うが、マルコはベロニカを深く愛すれぱ愛するほどアンリ王への嫉妬と彼女を独占したい苦しみに悩まされていった。ベロニカは救国の人とたたえられる一方で、多くの一般の女性たちからは、夫を家庭から奪う魔女だと非難され告発される。戦争は終わったがペストが蔓延し、ベネチアは死の町と化してしまう。ベロニカの母パオラも、娘をコーティザンにしたことを詫びながら息を引き取っていった。マフィオも、ベロニカや娼婦たちの存在がベネチアを疫病と退廃の町にしたと先頭に立って糾弾。評議会もベロニカを宗教裁判にかけることに同意する。男を誘惑する退廃の根源、と裁かれるベロニカ。いま一筋に彼女を愛するマルコも、法廷で彼女の判決を見守っていた。

スタッフ

監督: マーシャル・ハースコビッツ
製作: マーシャル・ハースコビッツ、エドワード・ズウィック、
    アーノン・ミルチャン、サラ・キャプラン
脚本: ジェニーン・ドミニー
原作: マーガレット・ローゼンタール(自伝“TheHonestCourtesan")
製作総指揮: マイケル・ナサンソン、ステファン・ランドール
撮影: ボージヤン・バゼリ
プロダクション・デザイナー: ノーマン・ガーウッド
編集: ステイーブン・ローゼンブラム、アーサー・コバーン
音楽: ジョージ・フェントン
衣裳: ガブリエラ・ペスクッチ

キャスト

ベロニカ・フランコ: キャサリーン・マコーマック
マルコ・ベニエ: リレーファス・シーウェル
マフィオ・ベニエ: オリバー・ブラット
ベアトリーチェ・ベニエ: モイラ・ケリー
ジュリア・デ・レッゼ: ナオミ・ワッツ
ドメニコ・ベニエ: フレッド・ウォード
パオラ・フランコ: ジャクリーン・ビセット
ピエトロ・ベニエー: ジェローン・クラッベ
ロウラ・べニエ: ジョアンナ・キャシディ
リビア: メリーナ・カナカレデス
セラフィーノ・フランコ: ダニエル・ラペーン
エレナ・フランコ: ジャスティン・ミセリ
アンリ王: ジェーク・ウェバー
ランベルティ大臣: サイモン・ダットン
総督: ピーター・アイアー

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す
http://www.newregency.com/
ご覧になるには Media Player が必要となります