哀しみの時代の生を紡ぐ。

ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式招待作品

1998年/日本/カラー/106分/カラー ヴィスタサイズ 製作:衛星劇場、松竹第一興行・テレビマン・ユニオン 配給:松竹

2002年6月25日DVD発売 1998年11月7日よりシネスイッチ銀座にて公開

公開初日 1998/11/07

配給会社名 0003

解説



1995年の暮れに『幻の光』という作品が公開されました。この作品は<喪失と再生>というテーマを陰影深い映像で描き、ヴェネチア国際映画祭をはじめ国際映画祭での数々の賞を受賞し話題を呼びました。この『幻の光』の企画・製作・宣伝・配給を一手に担い成功させ、第15回藤本賞を受賞したテレビマンユニオンの合津直枝が、自ら脚本・監督・ブロデュースを担当することになる新作映画が、この『落下する夕方』です。本作は、みずみずしい世界観で若い女性読者の圧倒的な支持を得て「第ニの吉本ばなな」と称されている江國香織の同名小説の映画化で、<正と死><喪失と再生>を清新な眼差しでみつめた新しい恋愛物語です。「生きてゆくことは<哀しみ>や<死>の上にこそ成り立っている」と監督の合津直枝は語ります。阪神大震災、地下鉄サリン事件、神戸の小学生殺害…私たちはまさに哀しみの時代の真っ只中にいます。1995年の喪失や哀しみを『幻の光』が癒したように、この『落下する夕方』もまた、新しい癒しの映画として<哀しみ>や<死>を受け入れてゆきたいという願いを込めて、ひっそりと静かだけれども、心にやさしくしみる物語を紡ぐことでしょう。

ストーリー


リカ(原田知世)は4年間共に暮らした健吾(渡部篤郎)からいきなり別れ話を切り出される。健吾は新しい女、華子(菅野美穂)の奇妙で不思議な魅力にとらわれてしまったというのだ。健吾は二人の部屋から出ていった。リカは健吾を責める事も出来ず、ただ健吾が帰ってきてくれる事を信じ孤独な日々を送るだけだった。そんなある日、華子がリカのもとを訪れ、そのまま住み着いてしまう。当然、華子目当てに健吾もやってくるようになり奇妙な三角関係が始まる。だが、リカと健吾は華子のふらりと出ていって、ふらりと戻ってくるという勝手きままな行動に心かき乱されてしまうばかりだった。やがて健吾は華子の心を得られずに憔悴していった。そんな彼の様子を見かねて、リカはついに彼のアパートを訪れる。だがそこでは健吾との関係の修復は叶わぬ夢だという事を思い知るだけだった。そんなある日、華子との激しい口論の末にリカは強引に鎌倉への旅に誘われる。海に静か落ちてゆく夕日を前に華子は心奥深くの傷を話し、リカと華子はやっと心を通わせる事が出来た。だかそんな矢先、華子は突然、自殺をしてしまう…。

スタッフ

監督・脚本 :合津直枝
原作 :江國香織
製作 :鍋島壽夫
プロデューサー :合津直枝、当摩寿史
撮影 :中堀正夫
音楽 :西村由紀枝
照明 :丸山文雄
録音 :木村瑛二
美術 :富田麻友美
編集 :大島ともよ
音響効果 :佐々木英世
挿入曲 :Bonnie Pink
制作:松竹、テレビユニオン、衛星劇場
配給:松竹
協力:角川書店、ヤマハ音楽振興会、ポニーキャニオン

キャスト

坪田リカ :原田知世
藪内健吾 :渡部篤郎
根津華子 :菅野美穂
涼子 :国生さゆり
亜紀子 :初瀬かおる
重藤 :日比野克彦
直人 :田邊季正
老夫 :村上冬樹
老妻 :橋本菊子
和菓子屋の店主 :岡本信人
美容師 :阿知波悟美
ほか弁屋の客 :浅野忠信
可南子 :春名美咲
柴田 :中井貴一
中島 :大杉漣
坪田正枝 :木内みどり

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