介護をめぐる三世代家族が織りなす葛藤。愛と希望そして出発(たびだち)−−−。 西村晃の演技・遺作。 ありがとう、いのちの最後の輝き。

1997年製作/カラー作品/スタンダード/122分/配給:「黄落」全国普及委員会・T&Kテレフィルム

提供:T&Kテレフィルム

公開初日 1998

配給会社名 0053

解説

平成9年芸術祭放送部門優秀賞、日本民間放送連盟賞優秀賞に輝いた西村晃最後の作品。
作品の完成を観ることなく遺作となった。
この作品は、テレビ東京・総合ビジョン制作のTVドラマスペシャルで1997年に制作され、テレビ放映時に大反響を呼びました。
原作は、佐江衆一の私達が現実問題として先送りできない介護の在り方を取り上げた物語です。急速度で高齢化社会に向かっている日本。今後さまざまな問題が身近に起こっています。
主人公・佐藤定吉を演じる2代目水戸黄門の黄門役でおなじみの名優・西村晃の気迫のこもった演技は観客に身震いを起こし、わき役に愛川欽也・市原悦子、痴呆症の老母に丹阿弥谷津子とベテラン俳優陣の磨かれた演技も見物です。

脚本は、向田邦子賞・放送文化基金賞などを受賞した寺内小春。演出の深町幸男とは、テレビドラマ「永井荷風・踊子」「あにいもうと」等でコンビを組んでいます。このコンビで制作される作品は、シーンやカットごとに人間の息づかいを感じさせる丁寧な絵作り、脚本に対する解釈と表現力に定評があります。
演出家の深町幸男さんは、今回の作品において次のように語っています。「放送前に亡くなられた俳優、西村晃さんとは、私の大切な戦友とも言える方でした。その死は、哀しく、鮮烈な戦死にも似ていました。私達は、愛をこめて奥深い人間ドラマを創りました。このドラマの抱えているテーマは、決して他人の問題ではなく、皆様一人一人の前に突きつけられた現実なのです。ご覧下さる皆様に心から感謝と敬意の念を捧げます。

ストーリー

蕗子(ふきこ:市原悦子)は、59歳の主婦。2人の子育てを終え、料理教室を開きながら作家である友明(愛川欽也)と共に悠々自適の老後を迎えようとしていた。近所に暮らす友明の両親、定吉91歳(西村晃)、キヌ82歳(丹阿弥谷津子)ともうまくやってきたが、昼は、身勝手な父、夜は、痴呆症の母の介護に不満がつのってきた蕗子も精神的・肉体的に追い詰められ、不満を友明にぶつけるようになっていた。
そんな母をみて長女の波子の励ましの言葉をかける、「そんなに頑張ることないって、正直に悲鳴をあげなさいよ」。長男の健も波子と介護の一員に加わった。しかし、「ありがとう」の言葉を残し、キヌは生涯を閉じる。

スタッフ

原作: 佐江衆一「黄落」新潮社刊
脚本: 寺内小春
演出: 深町幸男
プロデューサー: 大野晴雄、橋本かおり、近藤 晋
音楽: 福井 峻
美術デザイン: 川口直次
撮影: 宮本幸夫
製作: テレビ東京・総合ビジョン
配給: 「黄落」全国普及委員会・T&Kテレフィルム

キャスト

市原悦子
愛川欽也
那須正江
高津知巳
河原崎長一郎
丹阿弥谷津子
西村晃

LINK

□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す