原題:kitchen

吉本ばななのベストセラーである同名小説『キッチン』と 『満月 キッチン2』を原作に、香港に舞台を変えて映画化。

第1回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭にてグランプリ受賞

ヨーロピアンビスタ/カラー/110分/日香合作/モノラル

2003年12月05日よりDVD発売開始 97年12月13日より渋谷シネ・アミューズにて公開!!

情報提供:アミューズ

公開初日 1997/12/13

配給会社名 0325

解説

喧噪に包まれた街・香港で、一人キッチンの床に横たわり、自分の殻に閉じこもる少女アギー。彼女に差し伸べられたルイとエマのぬくもりの中で、少しずつ生きることへの喜びを取り戻し、人と人とのふれあいを学んでいく。エマもかつて最愛の妻を亡くし、自らの性を捨て、忘れ形見の息子の母親として生きていくことで生きる道を見つけた。そしてまたルイもエマの死を乗り越え、一人の男として成長していく。

“死”というものを実感して初めてわかる“生きる”ということ…。これまで「ホームカミング」「息子の告発」など社会的テーマ性の高い作品を作り続けてきたイム・ホーが、今回は“生と死”という永遠のテーマに、ほのかなラブストーリー仕立ての柔らかい映像美で子守歌を聞かせるかのようにいざなっていく。
原作のもつキッチンという“場所”への執着、みかげ・雄一・えり子が織りなす“人間関係”、そして“食こそ生の証明”という主たる要素の中で、イム・ホーは特に3人の人間関係に重点を置き、さらに視点を男の側ルイから描いている。
また、劇中随所に見られる雨の描写が、観る者の心の渇きを潤すかのように染み込み、安らぎを与えてくれる心優しい映画である。

ストーリー

最愛の祖母を亡くし、天涯孤独の身となったアギー(富田靖子)は、祖母の葬儀でルイ(陳小春)と出会う。大仰な仕種で祭壇の前で泣き崩れ、その後もなれなれなしく話しかけるルイを迷惑そうにつき放すアギー。
 それから数日経ち……立ち退きを迫られたアパートの台所で、独りぼっちで殻に閉じこもり横たわるアギーのもとにルイが訪ねてくる。無表情に何も答えないアギーに自分は美容師でアギーのおばあさんが常連客だったこと、そしてとても自分に親切にしてくれたことなどを語るのだった。そんな風にルイが訪ねてくるようになったある日、ルイは冷蔵庫の中にうづくまっているアギーを見つける。半ば無理矢理、自分の家に連れて帰るルイ。バーを経営する母エマ(羅家英)とルイ、そしてアギーの三人の暮らしが始まった。始めはルイの部屋で寝起きするはずだったアギーだが、居間におかれた居心地のよいソファーに自分の居場所を見つける。しかし二人の優しさに包まれながらも、心を閉ざしたままのアギー。ある夜、店から帰ったエマはアギーがいないことに気づき、慌ててルイと探しに行く。
 と、二人が見たのは、夜景が見渡せる公園のしかも一番高いところで夜空に両腕を伸ばし、必死に月をつかもうとしているアギーの姿だった、それから二人の心配をよそに、アギーは死んだように三日三晩眠り続ける。が、目覚めたとき何かが少しふっ切れたかのように言葉を取り戻したのだった。

スタッフ

監督・脚本: イム・ホー
原作: 吉本ばなな(ベネッセコーポレーション刊)
撮影監督: プーン・ハンサン
美術: ジェームス・レオン
ジェイソン・モク
編集: プーン・ハンユウ
音楽: 大友良英
内橋和久(オリジナルサウンドトラック:東芝EMI)
サウンドトラック・プロデューサー: 鈴木清文
製作総指揮: 徳間康快
エグゼクティブ・プロデューサー: 大里洋吉
レイモンド・チョウ
プロデューサー: イム・ホー
森重 晃
アソシエイト・プロデューサー: ロジャー・リー

キャスト

富田靖子
チャン・シウチョン
ロー・ガーイェン
カレン・モク
ラウ・シゥミン
ロー・コンラン

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