原題:TAMALA 2010/a punk cat in space

ファッキンな1日がはじまりますね

2002年/日本/1時間32分/カラー/ドルビーSRD/アメリカン・ヴィスタ/サウンドトラック:イーストウエスト・ジャパン/配給:キネティック

2003年05月23日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年05月23日よりDVD発売&レンタル開始 2002年10月19日よりシネ・クイントにて開館3周年記念ロードショー公開

公開初日 2002/10/19

配給会社名 0026

公開日メモ 映画、音楽、アート、文学へのマルチな感性がハイブリッドされた、かつて誰も観たことのないCGスペース・ファンタジー。

解説


ネコたちが主役である”ネコ銀河系宇宙”を舞台に、1匹のパンク・キャット、タマラの秘密をめぐってくりひろげられる『TAMALA2010 a punk cat in space』は、映画、音楽、アート、文学へのマルチな感性がハイブリッドされた、かつて誰も観たことのないCGスペース・ファンタジー。パンキッシュなグラフィックと、映画全体をエモーショナルにドライブさせるオリジナル・サウンドトラック。コンピュータの”ベジェ曲線”から生まれた個性的なキャラクターたちが生み出す物語はナンセンス、アイロニーもたっぷり効かせながら、やがて古代から未来へとつづくオリオン座神話へと疾走していく。
愛くるしい大きな瞳と、無邪気な笑顔。しかし、口を開けば暴言連発のパンクなヒロイン、タマラ。タバコを吸いながら、頭の中では破壊的な衝動がウズウズ。オスネコ好きな普通の子ネコであると同時に、永遠に1歳を繰り返すという数奇な運命を背負わされた、いわくつきの存在。お昼寝大好きのタマラが眠ると、夢のなかで恐ろしい世界が起動する。そこは異次元空間に存在するMEGURO-CITY。文明の狼雑な気配はあるのに誰の姿もないコースト・シティの唯一の住人は、超然とした美しさの8頭身ネコ1ロボット「TATLA」。彼女は密集した高層ビルの中空に掛けられたエスカレーターに乗り、絶えず上昇を続けている。2次元世界の合わせ鏡のように存在する別の時空から、現実世界に脅威を与えるタマラの夢。TATLAとタマラのパラレルな関係を通して、やがてネコ銀河系宇宙全域の支配を企む巨大複合企業体CATTY&Co.の復讐と陰謀のメカニズムが浮かび上がる。軽快なサウンドトラックに乗ってタマラとともにネコ地球を飛び立った観客が行き着く場所。そこは誰もがこどものころ、そっと心の奥に隠しておいた小さな悪夢の記憶を呼び覚ます、怖いのにたまらなく懐かしいHellworld。監督・脚本・音楽を手がけるのは、日本のアーティスト・ユニット「t.o.L」。hideのレーベル「LEMONed」にアート・ディレクター、共同プロデューサー、ミュージシャンとして参加したキャリアを持つ。hIdeとのコラボレーションの後、およそ4年の歳月をかけて完成させたのが本作である。今回のサウンドトラックはmikaをヴォーカルとする彼らのプロデュース・バンド「trees of Llfe」から生まれ、全34曲が映画の全編を豊かに彩っている。また、hideとのコンピレーション・アルバム「LEMONed」(96)の中の彼ら自身の楽曲「oneday for maria」が「trees of Llfe」による新アレンジで主題歌として収められている。映画の公開に合わせ「trees of Life」のメジャー・テビュー(イーストウエスト・ジャパン)やサントラリリースもすでに決定、日本のミュージック・シーンに新風を吹き込むことは聞違いない。キャラクターに命を吹き込む声優は、新人からベテランの俳優、女優、バンドのボーカル、ドラッグクイーンなど、リアルな「音」を求めたキャスティング。語り部的な存在でもあるタマラのボーイフレンド、ミケランジェロ役には『御法度』(99)の沖田総司役など、俳優として本格派の実力を発揮している武田真治。ミケランジェロの20年後の姿である老学者ネコ役に、黒澤明監督の多くの作品に出演している文学座の重鎮、加藤武。CATTY&Coに派遣されタマラの行動を監視する郵便配達ネコ役に、異彩を放つロック・バンド「54-71」のヴォーカル、佐藤を起用。また、エレガントさと恐ろしさの共存するTATLAの声をフランスの女優ベアトリス・ダルが担当しているのも話題のひとつ。本編はフルデジタルによる制作であるが、全編に漂うのはむしろ最初期のウォルト・ディズニーや手塚治虫作品のような懐かしさ。アニメーション胎動期の素朴でいて生命感に満ちた表現が、マウスから生まれるベジェ曲線の線画によって再現され既視感を伴った「新しさ」を醸し出している。

ストーリー



2010年、ネコ地球、TOKYO。MEGURO-CITYの権之助坂にあるアパートメント「メグロエンペラードゥエ」。1歳の誕生日を迎えたタマラは、自慢の宇宙船ヴァンデンプラス・プリンセス(2008年後期ターボ仕様)でネコ地球を飛び立った。途中、仲の悪い養母「にんげんのお母さん」から行き先を訊ねる緊急通信が入るが、タマラは「オリオン座に行くの」と答え通信を一方的に切断。オリオン座のエデッサ星はタマラの生まれ故郷。そこには実の母親ネコと兄妹ネコたちがいるはずだった。やがて船内コンピュータがオリオン座へのワープの準備を告げた直後、突然、阻石が彼女の宇宙船を襲った。巨大な幽霊宇宙船から彼女を監視していた「謎の郵便配達ネコ」が放った擬似陽石である。タマラの”ヴァンプラ”は、くるくる回転しながら近くの惑星「Q星」に墜落する。背中にロケットを背追って脱出したタマラは動じるどころか、Q星の郊外をホルスタイン模様の変なポルシェでドライブしていたオスネコ、ミケランジェロをナンパ。絶滅動物ミュージアムでの初デートのあとは、スケボーしたり、タトゥを彫ったり、万引きしたり、ひとり遊びまくるタマラ。コンサート会場では自らステージで踊りまくり、いつしか観客は超満員に膨れ上がる。タマラのパワーにたじたじのミケランジェロだったが、本当はオリオン座の母親に会いたいのに果たせないでいる彼女の素直さに惹かれていく。一方、クーデターやテロが日常茶飯事になっているQ星の政情不安はタマラの出現とともに、さらに拍車がかかっていた。郵便通信事業民有化の改正法案をめぐってイヌ系与党とネコ系野党の対立が激化。市街では手紙が届かなくなったり、携帯電話の誤作動という怪現象と並行して、ネコたちの生活の至るところに今まで見たことのない「CATTY&Co」という商標ロゴとネコ目マークの商品群が増殖していく。さらに奇怪なことは、キッズネコたちが一斉に同じ夢を見始めたことである。それはタマラが何度も繰り返し見る、美しいがどこか恐ろしいロボットネコの夢で、その同じ夢がキッズネコたちの脳裏にも忍びこんでいた。
ネコ地球を拠点にネコ銀河系宇宙全域の経済支配を企む複合企業体CATTY&Co.(キャティ&カンパニー)は、「破壊と再生」への欲望がプログラミングされた「TATLA」というシステムを異次元空間に作り出した。同時にCATTY&Co.によって「TATLAシステム」をプログラムされたタマラは自覚もなしに、彼女が訪れる惑星のネコ世界に「破壊と再生」という運動への欲望をダウンロードしていく。そしてそのメカニズムは、残酷な生賛の儀式を必要とするものだった。檸猛なイヌ警官ケンタウロスが街でタマラを見かけると、タマラのあまりの可愛らしさに発情し、湖にデートに出かけたタマラとミケランジェロの後を追ってきた。危険が迫っているとは知らないふたり。湖畔で相手の顔を舐めあっていると突然、ケンタウロスが襲いかかった。偶然を装った欲望のメカニズムが作動し、あちこちのコンピュータ・モニターに、最終オペレーションが完了間近であることを知らせる数字が浮かび上がる。混乱し、微熱を帯びていく街。ネコ市民の心に忍びこんだ「破壊と再生」への欲望の果て。Q星、全宇宙の未来は?そして、タマラの運命は?

スタッフ

監督:t.o.L
プロデューサー:塚田誠一、三尾和子、t.o.L
原作:t.o.L
脚本:t.o.L
キャラクター原案:根本健太郎、t.o.L
キャラクターデザイン:根本健太郎、t.o.L
編集ディレクター:川村ケンスケ
編集:鈴木大伸(ゴイス)
写真撮影:志村宏
サウンドデザイン:田辺邦明(レスパスビジョン)
サウンドデザインコーディネート:中村滋利(レスパスビジョン)

キャスト

ミケランジェロ:武田真治
レミノス教授・ゾンビネコ:加藤武
タトラ:ベアトリス・ダル
ナゾの郵便配達ネコ:佐藤54-71

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