陰陽師
原題:ONMYOUJI
光と闇が交わるとき、時代は動く。 鳴くよ、物の怪、平安京・・・ 西暦794年——「長岡京」が成立からわずか10年しか経たずに「平安京」 に遷都した年。 それは、以降400年続く「平安時代」の幕開けであった。 京の都、平安京—— その栄華を極めた都の影には真の闇がひろがり、 鬼、魔物、あやかしが、それを恐れる人の心に忍びいり、 しっかりと息づいていた。 鬼たちは時にその姿を現し、牙を剥き、見る者の心を揺さぶり掻き乱す… 。 しかし、暗黒の世を鎮め、これらの鬼、あやかしを 世の理(ことわり)をもって制する者たちがいた。 「陰陽師(おんみょうじ)」と呼ばれる男たちである。 森羅万象に通じ、人々が恐れるその闇を消し去る 最強の陰陽師———。 名は、安倍晴明(あべのせいめい)。 男はただ一人、平安の闇に立ち向かう。
2001年/日本/116min/ドルビーステレオ/ビスタサイズ 配給:東宝
2002年5月21日よりDVD発売 2002年4月24日ビデオレンタル開始 2001年10月6日より全国東宝系にてロードショー!
(C)2001 "陰陽師"製作委員会 東北新社 TBS 電通 角川書店 東宝
公開初日 2001/10/06
公開終了日 2001/12/14
配給会社名 0001
公開日メモ 1988年に発表され、大ベストセラーとなった夢枕獏氏の「陰陽師」。岡野玲子氏によって漫画化された同名コミックも大ヒットし、関連本も数多く出版されている人気シリーズの映画化
解説
1000年の時を超え甦る、安倍晴明。
その魅力の理由とは!?
今から遡ること1000年前、平安の時代に実在した闇の支配者、陰陽師・安倍晴明。「陰陽師」というミステリアスなキャラクターはもとより、晴明自身の内面の性格、平安の世を達観していたその感受性は21世紀に突入した現代もなお、大きなオーラを発散し、人々を魅了し続けている。
陰陽師あるいは安倍晴明に関連する書籍は、1988年に発表された夢枕獏の『陰陽師』シリーズを皮切りに、10年以上続くブームへと成長を見せている。そしてドラマ・舞台へと媒体を変えながら多方面で安倍晴明が姿を現しその魅力を拡大させた。その余波は、晴明所縁、京都の晴明神社において、休日にもなると3000人を超える参拝者が訪れるという現象さえ巻き起こしている。
ただ、この「陰陽師」ブームは近年に最も盛り上がりをみせているということで収まるものではない。振り返れば平安時代後期の『今昔物語』から鎌倉時代の『宇治拾遺物語』、江戸時代に入って歌舞伎、浄瑠璃、講釈で陰陽師・安倍晴明を扱った演目が繰り返し上演され続け、それぞれの時代で貴族から庶民にわたってあらゆる人々に語り続けられて来た。それゆえに、晴明が持つ魅力は日本人が最も愛し続ける不変のキャラクター=ヒーローといえるのではないだろうか。
400年の栄華を誇った平安時代は、多くの貴族たちが優美な時代を彩った一方で、人々の心の奥に潜む恨み妬みからおこる祟りを信じ、真の闇が広がる夜の世界に、彼らの邪悪の心から産まれた悪鬼やものの怪を心底から恐れ続けた…。
そして、現代日本。
昼夜問わず闇の世界がほぼ消滅したといわれる世の中で、人々は混迷した世情に対し拭い去ることの出来ない“心の闇”を持ち始めている。1000年の時空を超えた状況でも、共通する何かを感じる二つの似通った時代において、この状況を打破するニューヒーローにその役割を求めているのではないだろうか…。
森羅万象に通じ、陰陽道を完璧なまでに使いこなして人々を癒(ヒーリング)した男。今、我々はまさに「安倍晴明」を求めているのである。
「陰陽師・安倍晴明」ブームは、 新世紀、 最初の10月に最高の頂点を迎える!
出版界ではブームの火付け役となった夢枕獏氏の「陰陽師」シリーズを初めとして、正確にカウントすることが出来ないほどの陰陽師、安倍晴明関連本が出版され続けた。21世紀に突入した本年に入り、NHKでのテレビシリーズ化、成人向けコミックのジャンルでは驚異的なセールスを誇る岡野玲子のコミック版「陰陽師」(原作・夢枕獏)が手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞するなど、一連のブームはこれまでにない大きな盛り上がりを見せ始めた。
「エンターテインメント」全ての要素を凝縮した無限の映像世界!
このブームと平行して進められた「陰陽師」映画化は、卓越した演出センスと見事なストーリーテリングで日本映画界屈指の演出家の一人である滝田洋二郎を監督に迎え、原作者・夢枕氏自身が参加した脚本(福田靖「催眠」「HERO」、江良至「天国から来た男たち」の共同脚本)とともに製作がスタートした。どこを切り取っても見せ場満載、徹底したエンターテインメントを目指した本作品のシナリオには、その内容に相応しいテレビでは絶対に実現できない見事なキャスティングが実現した。
注目の主人公・安倍晴明役には、狂言界を象徴する存在の野村萬斎。伝統芸能の世界で培われた独特の雰囲気は映像の世界でも大きな注目を集め、日本を代表する多くの巨匠たちから出演のオファーを受け続けたという。あくまでも狂言の世界に重きを置く彼を映画「陰陽師」出演まで突き動かしたのは、安倍晴明が醸し出すミステリアスな魅力と夢枕氏の熱烈な出演依頼によるものであった。萬斎の映画「陰陽師」出演は、85年の黒澤明監督の「乱」以来16年ぶり、しかも本作品が初主演という記念すべき位置付けとなった。
“萬斎版安倍晴明”は、周囲が期待するそのプレッシャーを跳ね除け、セリフの発声から立ち振る舞いをはじめ、艶やかなる衣裳姿から伝えるそのオーラは、まさに晴明が乗り移ったといわんばかりの存在感をスクリーンに映し出した。「陰陽師」に携わった全スタッフの想像を遥かに超える安倍晴明がここに誕生した。
また、晴明を取り囲む個性的キャラクターには豪華な顔ぶれが揃った。晴明とともに平安の闇に潜むものの怪、悪霊たちと戦う源博雅役に伊藤英明。ストーリーの大きな縦軸になる《晴明と博雅》不思議な縁で結ばれた関係を見事に演じ、場面転換の要所要所で重要な役割を果たしている。また晴明に仕える式神(精霊)・蜜虫に元SPEEDのメインボーカリスト今井絵理子、蝶の化身として晴明に仕えその優雅な立ち姿は作品の中で清涼感を漂わせている。さらに物語に隠された全ての謎を解く鍵を握る青音役を小泉今日子が演じ、ミステリアスな世界観を十二分にスクリーンに反映させ、作品全体をハイグレードに昇華させた。そして晴明の最大の宿敵となる道尊を、真田広之が87年の「必殺4 恨みはらします」(深作欣二監督)以来の悪役として挑み、ニヒリズムに徹するそのヒールぶりは、異常に張り詰める緊張感を創り出している。特に晴明と繰り広げる殺陣シーンは、萬斎が初の殺陣とは思えないほどの息のあったコンビネーションでリードし、日本映画史に残る大アクションスペクタクルといえるワンシーンとなった。その上に、夏川結衣、宝生舞、萩原聖人、柄本明、岸部一徳という優れたキャストたちがバイプレーヤーとして脇を固め、テレビでは絶対に見ることの出来ない平安時代「陰陽師」の世界ときらびやかなる時代設定を作り上げた。
ストーリー
西暦794年——「長岡京」が成立から僅か10年しか経たずに「平安京」に遷都を行なった年。
それは、以降400年続く「平安時代」の幕開けであった。
まだ闇が闇として残っていた京の都・平安京——。
この世とあの世が曖昧に交差し、鬼・怨霊・妖怪たちが人と渾然と存在した時代。
暗黒の世を鎮め、この世との調和をとるものたちがいた…。
「陰陽師」と呼ばれる男たちである。
右近衛府中将・源博雅(伊藤英明)は、怨霊にとりつかれた上官の命を救うべく、当代切っての陰陽師・安倍晴明(野村萬斎)のもとを訪れた。晴明の家を訪ねた博雅を出迎えたのは式神の蜜虫(今井絵理子)。それが突然、目の前で蝶に変身してしまう摩訶不思議な世界に最初は戸惑いをおぼえたが、人 を食ったようでどこか憎めない晴明に魅力を感じ始めていた。そして晴明もまた殿 上人(てんじょうびと)には珍しく真っ直ぐな心を持つ博雅に心をひらいて行 く。ここに二人は運命的な出会いを果たしたのであった。
そのころ内裏では陰陽頭・道尊(真田広之)による奏聞(そうもん)の儀が執り行われていた。
その中で道尊は《都の守り人》の出現を予言する。それは帝の子を宿し臨月を迎えた、左大臣・藤原師輔の娘・任子のお腹の子を指していた。
ほどなく任子は男子を出産。敦平と命名された親王の存在は、左大臣・師 輔の地位を揺るぎ無いものにした。
収まらないのは既に娘・祐姫に帝の子、広平をもうけさせていた右大臣・ 藤原元方である。孫の将来と自身の地位が、あっという間にかき消されたのである。
一方で晴明は最近、都のあちこちでものの怪たちが蠢き始めたことを感じていた。ある夜、生まれたばかりの敦平親王の身に異変が起きたことを告げに、博雅が晴明の屋敷 に駆けこんできた。晴明はその話を聞くやすぐに、親王に強い“呪”がかけられていることを察知した。晴明はこの謎と呪を解くために、不思議な過去を持つ女・青音(小泉今日子)を呼び寄せ、博雅、蜜虫らとともに、帝がいる内裏に向かう。しかし親王に込められた呪の意味は、これから晴明たちの前に巻きおこる想 像を超える事件の前触れを告げたに過ぎなかった。
その事件は、長岡京が10年で遷都を強いられた「大いなる謎」と絡み、 避けることの出来ない宿命として、晴明たちを襲い始めた…。
スタッフ
製作総指揮:植村伴次郎
企画:近藤 晋
製作:原田俊明、塩原徹、瀬崎巖、阿部忠道、島谷能成
プロデューサー:林哲次、濱名一哉、遠谷信幸
原作:夢枕獏(『陰陽師』シリーズ)
脚本:福田靖、夢枕獏、江良至
音楽:梅林茂
共同プロデューサー:平野隆、田中渉
VFXエグゼクティブ:二宮清隆
製作協力:東北新社クリエイツ
VFX:オムニバス・ジャパン
企画協力:中川豊子(オフィス・オート)、中篠裕之(夢枕獏事務所)、野村朗子
キービジュアル・コンセプトデザイン:天野喜孝
製作:東北新社、TBS、電通、角川書店、東宝
監督:滝田洋二郎
キャスト
安倍晴明:野村萬斎
源 博雅:伊藤英明
蜜虫:今井絵理子
祐姫:夏川結衣
瓜の女:宝生舞
藤原師輔:矢島健一
藤原兼家:石井愃一
陰陽頭:石丸謙二郎
任子:国分佐智子
源忠正:螢雪次郎
小野清麻呂:下元史朗
橘右近:八巻健弐
垣武天皇:木下ほうか
綾子:立原瞳
早良親王:荻原聖人
藤原元方:柄本明
帝:岸辺一徳
青音:小泉今日子
道尊:真田広之
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