原題:The Hottest State

第63回ベネチア国際映画祭 第31回トロント国際映画祭 正式出品作品

2006年/アメリカ/カラー/117分/ 配給:ショウゲート

2008年5月17日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

(c)2006 By Barracuda Films,LLC.All Rights Reserved.

公開初日 2008/05/17

配給会社名 0008

解説



「好きだけじゃ、どうしてダメなんだ?」
あの頃、僕たちは何もわかっていなかった
離れていく恋に、ただとまどい、もがいていた
それは初めて知った恋の痛み
誰もの記憶をくすぐる、甘くほろ苦い感覚
恋は痛い——初めて知ったあの頃、
その甘くもほろ苦い感覚を呼び起こす

 NY。ウィリアムは若手俳優。気軽な恋愛を楽しみ、仕事もまずまず、「それなり」の日々を過ごしていた。21歳の誕生日を前に彼は、行きつけのバーでシンガーソングライターを目指しNYに来たばかりのサラと出会う。自分でも信じられないぐらい彼女に恋をするウィリアム。サラも彼に惹かれていく。初めて二人で旅したメキシコ。その暑さそのままにのめりこむように恋をした二人は、結婚まで誓いあい、人生で最高に幸せな時間に浸る。しかしNYに戻るとサラの態度が微妙に違う。自分の将来も考え、恋人としての距離を欲しがるサラ。ウィリアムは、二人の気持ちの温度差にとまどい、いらだちを募らせるが・・・。
 好きだという気持ちを抑えきれない男と、それだけでは不安な女。同じ気持ちを抱きながらも、気持ちのバランスが取りきれず、お互いを傷つけあうことしかできなかった恋愛。
 初めて知る恋の痛みに囚われ翻弄されながらも、成長していく若者の姿を鮮明に、そして情感たっぷりに描き出した本作は、誰もの胸の奥底に隠れていた、甘くほろ苦い感覚を呼び起こしていく。

<イーサン・ホークが自伝的小説を自ら脚本・映画化>
『リアリティ・バイツ』(94)、『恋人までの距離〈ディスタンス〉』(95)、『ビフォア・サンセット』(04)といった恋愛映画に出演、恋人たちの微妙な心理をリアルに演じてきたイーサン・ホーク。俳優としてだけでなく、監督、そして作家としても活躍する彼が『チェルシーホテル』(01)以来、久しぶりに監督を務めたのが本作『痛いほどきみが好きなのに』。痛いほど純粋に恋愛に向き合う若いカップルを描いたほろ苦いラブストーリーの原作は、イーサンが、若かりし頃の体験を織り込みながら、書き上げた同名小説。不安定な若者の心情を見事に描き出したと高い評価を受けたこの処女小説で、イーサンは、俳優としてだけでなく、小説家としての才能を知らしめた。さらに『ビフォア・サンセット』では共同脚本を手掛け、脚本家としてアカデミー賞にノミネート。多才なイーサンが、本作では監督、脚本、出演の三役を務め、小説で思い描いた世界を見事にスクリーンに甦らせた。

<親近感をよぶリアルでナチュラルな描写>
ウィリアムとサラ、二人が交わすリアルな会話は、この映画の最大の魅力のひとつ。恋におちたときの高揚感やとまどい、焦り、それは時代も国も問わない普遍的な感情。初めての真剣な恋愛に身をおく二人の態度は、まるで昔の自分たちの恋愛を垣間見ているような錯覚に陥るほど自然だ。またアーティスト志望の多いNYロウアーイーストサイドの空気感をもとりこみ、俳優の卵、ミュージシャン志望という二人のキャラクターを立体的に、活き活きと描き出すことに成功。どこまでも自然で現実味のある描写は、単なるラブストーリーを超えた親近感をわきあがらせる。

<ノラ・ジョーンズ「Don’t Know Why」を手掛けたジェシー・ハリスが聴かせる音楽>
若かりし頃の恋愛を描いた本作の全編に流れ、ノスタルジックな切なさを醸し出すアコースティックなメロディ。音楽を担当するのは、世界的大ヒットとなった「Don’t Know Why」でグラミー賞を受賞したシンガーソングライター、ジェシー・ハリス。イーサンの友人でもある彼は、本編の中でもサラのバンド仲間として登場している。ジェシーの名の元にノラ・ジョーンズをはじめ、ジャンルを超えた様々なアーティストが集結。ジェシー・ハリスの楽曲をカヴァーして物語に彩りを添えている。

<実力派俳優たちがみせる自然な演技>
イーサン・ホークの若き分身ウィリアム役を演じるのは『チェルシーホテル』にも出演し、ウディ・アレン監督作『さよなら、さよならハリウッド』(02)やジム・ジャームッシュ監督作『ブロークン・フラワーズ』(05)などで存在感を示したマーク・ウェバー。サラ役は『そして、ひと粒のひかり』(04)でコロンビア人として初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされた期待の新人、カタリーナ・サンディノ・モレノ、少しハスキーな甘さのある歌声を披露している。演技派の二人が、恋にとまどい傷つけあっていく恋人たちをみずみずしく演じる。また、『ラブ・アクチュアリー』(03)、『イカとクジラ』(05)のローラ・リニー、『ブロークバック・マウンテン』(05)のミシェル・ウィリアムズ、そしてイーサン・ホークなどアカデミー賞ノミネート俳優たちが脇を固め、実力に裏づけされた自然な演技を披露している。

ストーリー

どうしようもない あの頃の僕たちが、ここにいる──

NY。ウィリアム(マーク・ウェバー)は若手俳優。気軽な恋愛も楽しみ、仕事もまずまず順調。それなりの日々を過ごしていた。
21歳の誕生日を前に、ウィリアムは行きつけのバーで、一人の女性に出会う。名前はサラ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)、シンガーソングライター志望だ。NYに来たばかりだというサラは、偶然にもウィリアムのアパートの真向かいに仮住まいをしていた。運命を感じた二人は、出会ったその夜、キスを交わす。ウィリアムは自分でも信じられないぐらい彼女に恋をした。

彼女は、美人でもスリムでもない
でも、たとえるならバスでうたたねしている乗客の頭が、がくんと揺れる、
そんな人間味が彼女にはあって、そこがたまらなくセクシーだった

サラのアパート。引っ越したばかりの部屋にぽつんとおかれたベッドで、寝転んでじゃれあう二人。そのままセックスにもつれこみそうになるが、サラは拒む。どこか煮え切らないサラの態度に不安になるウィリアム。
サラはウィリアムを母(ソニア・ブラガ)に紹介するため実家に連れて行く。母娘の漏れ聞いた会話から、サラの過去の失恋を知ったウィリアムは、新作映画の撮影旅行に便乗して彼女をメキシコへと誘う。
誰も知りあいのいないメキシコの街で二人は、遂に結ばれる。そのままのめりこむように恋におち、すぐさま結婚を誓いあう二人。人生で最高に幸せな時間を過ごし、サラは先にNYへと戻っていった。

「あなたは何をするにも大げさすぎるの」
「僕が何をしたっていうんだ?」
「私を本当に好きなら理解して」

撮影を終えてNYに帰ってきたウィリアムは、すぐさまサラの元へ行く。花束とお土産を抱えた彼を待っていたのはサラのよそよそしい態度。バンド仲間と練習を再開したサラは、歌手として自立するという夢と、ウィリアムへの恋の間で大きく揺れ動いていた。自分だけの時間が必要だと、しばらく距離を置くことを提案するサラ。あまりに急な態度の違いにウィリアムは動揺する。
自棄になったウィリアムは、元彼女サマンサ(ミシェル・ウィリアムズ)に会ってみるが、その軽い恋愛に逆にむなしさが募るだけだった。誕生日に久しぶりに母親(ローラ・リニー)に会うと、母には新しい恋人がいた。サラと同じようなことを言う母に、両親の離婚で父親(イーサン・ホーク)がいないから、男の心得がわからないとぼやくウィリアム。
ウィリアムにはどうしてもサラの気持ちがわからない。焦れば焦るほどサラとの溝は深まり、やり場のない感情をもてあましていく。
どうして自分と同じだけ彼女は愛してくれないのか?
どうして好きだけじゃダメなのか──?

スタッフ

監督・脚本・原作・出演:イーサン・ホーク(『リアリティ・バイツ』『恋人までの距離〈ディスタンス〉』『ビフォア・サンセット』)
音楽:ジェシー・ハリス/原作:「痛いほどきみが好きなのに」イーサン・ホーク著(ヴィレッジブックス刊)
オリジナルサウンドトラック:ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ

キャスト

マーク・ウェバー
カタリーナ・サンディノ・モレノ
ローラ・リニー
ミシェル・ウィリアムズ

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