原題:不見

2003年東京国際映画祭 2004年ロッテルダム国際映画祭 タイガーアワード、NETPAC賞 受賞

2004年/台湾/カラー/ビスタサイズ/88分/ 配給:プレノンアッシュ

2007年03月02日よりDVDリリース 2006年8月26日、ユーロスペースにて公開

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公開初日 2006/08/26

配給会社名 0065

解説


2003年の初め、リー・カンションは短編映画を撮ろうと脚本を書いていた。同じ頃、ツァイ・ミンリャンは短編「天橋不見了」(THE SKYWALK IS GONE)が成功をおさめ、次回作も短編映画を撮ろうと考えていた。こうして2作品を一緒に上映する短編映画の企画が誕生した。しかし実際撮影が始まると短編映画は2本の長編映画として完成し、別々に公開されたこの2本の映画は、ともにその年の興行収入ベスト3に入る成功を収めた。

長年蔡明亮作品の主演を努めてきたリー・カンションの初監督作品は、現代社会に潜む人間関係の希薄さを、大切なものを失ったときの喪失感や焦燥感とともに力強く描き上げている。孫を見失い公園のなかを半狂乱で捜しまわる祖母の姿をドキュメンタリータッチで追う10分間の緊迫のロングテイク。キャラクターの情況とカメラが追える範囲を役者に説明し、入念な打合せの後、失敗の許されないたった一度きりの撮影は行われた。通りすがりの人たちに撮り直しを要求できないからだ。そして、カメラは回った。崩れ落ちそうな祖母と彼女を心配する人たちを追うこのシーンには張り詰めた緊張感が溢れ、観客が息苦しくなるほどのリアリティを切り取ったものとなった。

2004年のロッテルダム国際映画祭で監督としての才能が高く評価され、グランプリ(タイガーアワード)を受賞したリー・カンション。その後もツァイ・ミンリャンとともにテレビドラマを監督し、その才能を磨いている。

『迷子』の原題「不見」は、同時進行で製作された蔡明亮監督の『楽日』(原題「不散」)と合わせて、友人同士の別れの挨拶のフレーズとして使われている。
不散不見、君にあえるまで、僕はここにいるよ。

ストーリー


原因不明の新しい伝染病が蔓延する台北の街。昼下がりの公園のトイレに、年配の女性が出たり入ったりを繰り返している。どうやらお腹を下しているらしい。公園でひとり待たせている3歳の孫のことも気になるが、これだけはどうにも仕方ない。
やっとの思いで公園に戻ると、今度はなんと孫がいない!!!

孫を預けたはずの老人は見当たらず、交番に駆け込んでもアナウンスしてくれるだけ。公園中を探し回るが孫の姿は見つからず、家族の誰とも連絡がつかない。
かくして台北の街を舞台に、おばあちゃんの必死の捜索が始まる。強引に他人のバイクの後に飛び乗り、流しの屋台のマイクからは孫の名前が流れ、だれ彼なく孫の行方を問いかけるが…。

一方同じ街の片隅では、祖父が作ってくれた弁当を公園の枝にくくり付けてファーストフードで食事をすませ、一日中インターネットカフェに入り浸っている少年がいる。祖父の不在を気にも留めず、ゲームに夢中になっている。

その頃、老女の孫探しを手伝うはめになった親切な運転手は、彼女の亡くなった夫が眠る墓地へとバイクを走らせる。老女は亡き夫の墓に供え物をし、孫を返してくれと訴えるが、応える人はいない。

夜の帳もすっかり落ちた公園をひとりぶらつく少年は、帰ってこない祖父が気になり始めている。そして、精も根も尽き果てた老女も、人気のなくなった公園でとうとう座り込んでしまう。

そのとき、ほんの一枚のフェンスで仕切られた公園のこちら側に、見覚えのある人影が近づいてくる…。

スタッフ

監督:李康生(リー・カンション)

キャスト

陸奕静(ルー・イーチン)
苗天(ミャオ・ティエン)

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