原題:Birth

2004年10月29日アメリカ公開

2004年/アメリカ映画/1時間40分/ビスタサイズ/日本語字幕:松浦美奈 配給:東芝エンタテインメント

2008年02月08日よりDVDリリース 2007年03月23日よりDVDリリース 2006年9月23日(土・祝)より日比谷シャンテシネ、新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー!

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公開初日 2006/09/28

配給会社名 0008

解説



ショーン、本当にあなたなの?
忘れられない想いが、よみがえる──。
どこまでも切ない、輪廻をめぐる愛のミステリー。
 10年前に愛する夫ショーンを突然の心臓発作で失った美しい未亡人アナ。彼女は喪失の悲しみから抜け出すまで何年も待ち続けてくれた男性ジョゼフと婚約する。そんなアナの前にある日、見知らぬ10歳の少年が現れこう告げる──「僕はショーン、君の夫だ」と。
 亡くなった夫の生まれかわりだと主張する少年のことを、最初は子どものいたずらだと思っていたアナや家族たち。だが、夫だけしか知らないはずの秘密を語る彼の言葉にアナの心は揺らぎはじめる。見かけはあどけない少年でありながら、大人の男性のような愛と情熱を秘めたまなざしでアナを見つめるショーン。
 ショーンは本当に夫の生まれかわりなのだろうか?そして彼女が知る衝撃的な事実とは── 。

いまだかつてないほどの美しさと切なさで
見せるニコール・キッドマンの新たな魅力!

 『めぐりあう時間たち』でアカデミー主演女優賞に輝き、名実ともハリウッドの頂点に立ったニコール・キッドマン。その後も、『コールド マウンテン』、『ドッグヴィル』などに精力的に出演を重ねている彼女は、比類なき演技力と美貌にますます磨きをかけ、世界中のファンを魅了し続けている。本作『記憶の棘』は、そんなニコールに、7度目のゴールデングローブ賞ノミネートをもたらした話題作。夫の生まれかわりだと主張する少年の出現によって、夫との愛の記憶を呼び覚まされるヒロインのアナ。美しく華奢なうなじを見せた大胆なショートヘアに変身したニコールが、胸がはりさけるほどの切ない心情を、繊細に演じきったミステリアスな愛の物語だ。
 少年が、夫の生まれかわりではないかと信じ始めたアナの困惑を、不安なまなざしにたたえた心理演技のうまさは、ニコールならでは。少年の中に夫の面影を見出していくアナが、母性と官能の入り交じった感情にかられていく様を、切なさをほとばしらせて演じ、観る者の共感をひきつける。
 そんなニコールと互角の共演ぶりを見せるのは、ショーン少年に扮したキャメロン・ブライト。『ウルトラヴァイオレット』、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』など、本作以降も立て続けに話題作に出演している彼は、カナダ出身の天才子役。10歳(撮影当時)とは思えないほど、成熟した大人の男の色気を感じさせる演技には、誰もが舌を巻かずにはいられないだろう。
 その他の共演者にも豪華な顔ぶれがそろった。上流階級出身のアナの母エレノアを、堂々たる品格を光らせて演じるのは、ニコールと『ドッグヴィル』でも共演している伝説の大女優ローレン・バコール。アナの婚約者ジョゼフには、監督出身で、俳優としても『ナイロビの蜂』や『アビエイター』で印象的な演技を見せているダニー・ヒューストン。アナの夫ショーンの親友クリフォード役は、『ブラザーズ・グリム』のピーター・ストーメア、その妻クララには、『6デイズ/7ナイツ』のアン・ヘッシュが扮している。

イギリスが生んだ稀代のヴィジュアリスト、
ジョナサン・グレイザー監督の斬新な映像!

 監督をつとめるのは、音楽界の天才的映像クリエイター、ジョナサン・グレイザー。ベン・キングズレーがオスカー候補になったことで話題を呼んだ『Sexy Beast』で颯爽と長編映画デビューを飾り、一躍世界に実力を認められた。ジャミロクワイのプロモーション・ビデオや、ナイキ、ギネスなどのCMで数々の国際的な賞を受賞し、天才的映像作家の定評を築いてきた彼は、今回、冬のニューヨークを舞台に独特の透明感あふれる世界を構築。スタンリー・キューブリック、バズ・ラーマン、ラース・フォン・トリアー、アンソニー・ミンゲラといった世界に名だたる巨匠たちと仕事をしてきたニコールに、「ジョナサンのヴィジョンの一部になれて光栄だった」と言わしめるほどの鬼才ぶりを発揮している。冒頭、雪で覆われたNYのセントラル・パークの長まわしのシーンからラストまで、その映像は観客の目を捉えて放さない。
 ジョナサン・グレイザー監督と共同でストーリーを執筆したのは、『存在の耐えられない軽さ』など3作でアカデミー賞にノミネートされているフランスのベテラン、ジャン=クロード・カリエール。輪廻をめぐるラブ・ストーリーという設定の中に、ヨーロッパの詩的な感性を盛り込んだ彼に加え、脚本を練り上げていく過程には、『チョコレート』でオスカー候補になったマイロ・アディカも参加。ニューヨーク出身者ならではのリアルな視点を盛り込むと同時に、登場人物たちの心模様が複雑な綾をなす、超一流の心理ドラマの味わいを深めている。
 撮影を手がけたのは、『エレファント』でニューヨーク映画批評家協会賞を受賞したハリス・サヴィデス。ガス・ヴァン・サント監督やデヴィッド・フィンチャー監督とのコラボレーションで知られる彼だが、本作では、透明感にこだわったグレイザー監督のヴィジョンを実現するために、フィルムの彩度をギリギリまで減らした撮影を行い、独自のヴィジュアル・スタイルを作り上げている。プロダクション・デザインは、『ステイ』のケヴィン・トンプソン、衣装デザインは、『ブロークン・フラワーズ』のジョン・ダンが担当。作品に寓話の香りを醸し出す幻想的な音楽は、『真珠の耳飾りの少女』と『シリアナ』でゴールデングローブ賞候補になったアレクサンドル・デプラが手がけている。

ストーリー



 アナ(ニコール・キッドマン)は、ニューヨークのアッパー・イースト・サイドで暮らす30代の美しい未亡人。10年前、最愛の夫ショーンがジョギング中に発作を起こし、突然この世を去って以来、悲しみの暗闇からなかなか抜け出せずにいた彼女だったが、ようやく人生の新しい章を始めようと決意。3年間、我慢強く待ち続けてくれたジョゼフ(ダニー・ヒューストン)のプロポーズを受け入れることにした。
 婚約パーティの夜。アナの豪華なアパートには、家族や友人たちが大勢集まってきた。その中には、ショーンの親友だったクリフォード(ピーター・ストーメア)と妻のクララ(アン・ヘッシュ)の姿もあった。アナを取り巻く上流社会の雰囲気に、なじめない様子のふたりだった。

 数日後、アナのアパートでは、母エレノア(ローレン・バコール)の誕生日パーティが開かれた。集まったのは、アナの姉のローラ(アリソン・エリオット)、その夫のボブ(アーリス・ハワード)、家族ぐるみで親しくつきあっているヒル夫人(ゾー・コールドウェル)といった顔ぶれだ。そこに、招かれざる客が出現したのは、エレノアが、ふたりの娘たちの手を借りてバースデー・ケーキのロウソクの火を吹き消したときのことだった。「アナに会いたい」。そう言いながら、何の遠慮もなく家族団欒の輪の中に飛び込んできたのは、10歳ぐらいの見知らぬ少年(キャメロン・ブライト)だった。「ふたりだけでキッチンで話したい」と言う少年のませた態度にあきれながらも、彼をキッチンに連れて行くアナ。そこで彼女は、信じられない言葉を耳にする。「僕はショーン、君の夫だ」。なんと少年は、自分がアナの夫ショーンの生まれかわりだと主張したのだ。驚きと怒りと困惑にかられたアナは、急いで少年を部屋の外につまみ出すと、ドアマンのジミー(マイロ・アディカ)に身柄を預け、家へ帰すように頼んだ。

 少年はおとなしく帰宅したが、今度は「ジョゼフとは結婚しないで欲しい」という手紙をアナの元に届ける。その手紙をアナが隠していたことに、胸騒ぎを覚えるジョゼフ。彼は、少年の父親が、同じアパートの202号室で家庭教師をしているコンテ氏(テッド・レヴィン)であることを知ると、アナを連れてコンテ氏に会いに行く。ジョゼフから事情を聞いて驚いたコンテ氏は、その場で少年に「二度とアナに近づかない」と誓わせようとするが、少年は断固として従わなかった。しびれを切らしてジョゼフとオペラへと出かける別れ際、少年が崩れ落ちるように倒れるのを目にしたアナは、その姿に、死の寸前の夫の面影を重ね合わせる。もしかしたら、彼は本当にショーンの生まれかわりかもしれない……。アナの胸中は複雑に揺れ動き、ワーグナーのワルキューレが上演されている舞台の歌声も、ジョゼフの声すらももはや彼女の耳には届かなかった──。

 少年が夫の生まれかわりかもしれないという思いは、少しずつアナの中で確信へと変わっていった。「あの場所で君を待っている」と電話をかけてきた少年は、ショーンが息を引き取った場所がセントラル・パーク内のどこであるかを、正確に知っていた。そればかりでなく、医者をしているアナの義兄のボブと会うことを自ら希望した少年は、アナ本人や家族しか知り得ないことをズバリと言い当てた。海岸での最初の出会い、30回も結婚式をあげたこと、ボブの家のソファーで愛し合ったこと……。
「僕の愛は永遠だ」という少年の言葉に、激しく心をかき乱されるアナ。彼女は、少年の母のコンテ夫人(カーラ・セイモア)に、「私が彼の目をさまさせる」と約束するが、その言葉とは裏腹に、彼女の少年への思いはどんどん強まっていった。少年をアパートに泊め、学校へ迎えに行き、ジョゼフと新居を見に行く約束も忘れ、デートのまねごとに興じる。そんなアナの態度に苛立ちをつのらせたジョゼフは、ある日アナの家族の前でショーンへの怒りを爆発させる。その行為をとがめるアナの冷たい視線にさらされ、いたたまれなくなった彼は、ボブとローラの改装中の家に引っ越していった。

   ジョゼフと入れ替わりにクリフォードがアパートを訪ねて来たとき、少年が夫の生まれかわりであると信じるアナの気持ちは、揺るぎないものになっていた。だが、クリフォードは「あの子はショーンじゃない」と主張する。
 少年は、ショーンの生まれかわりなのだろうか──。

スタッフ

監督:ジョナサン・グレイザー
脚本:ジャン=クロード・カリエール マイロ・アディカ ジョナサン・グレイザー
製作:ジャン=ルイ・ピエル ニック・モリス リジー・ガワー
エグゼクティブ・プロデューサー:ケリー・オレント マーク・オーデスキー
撮影監督:ハリス・サヴィデス,A.S.C.
プロダクション・デザイナー:ケヴィン・トンプソン
音楽:アレクサンドル・デプラ
衣装:ジョン・ダン
編集:サム・スニード クラウス・ウェーリッシュ
キャスティング:エイヴィ・カウフマン, CSA

キャスト

アナ:ニコール・キッドマン
ショーン(少年):キャメロン・ブライト
ジョゼフ:ダニー・ヒューストン
エレノア:ローレン・バコール
ローラ:アリソン・エリオット
ボブ:アーリス・ハワード
ショーン(夫):マイケル・デソーテルズ
クララ:アン・ヘッシュ
クリフォード:ピーター・ストーメア
ミスター・コンテ(ショーン父):テッド・レヴィン
ミセス・コンテ(ショーン母):カーラ・セイモア
リー:ノヴッラ・ネルソン
ミセス・ヒル:ゾー・コールドウェル
ジミー:マイロ・アディカ

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