原題:Cinderella Man

2005年6月3日全米公開

2005年/アメリカ/ 配給:ブエナビスタ・インターナショナル(ジャパン) 

2010年12月22日よりDVDリリース 2006年01月25日よりDVDリリース 2005年9月17日(土)より丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー

(C)Universal Pictures-Miramax Films-Imagine Entertainment All Rights Reserved

公開初日 2005/09/17

配給会社名 0069

解説


かつて、“シンデレラマン”と呼ばれた男がいた—-。
アメリカが希望を失った時代に、どん底の生活から一夜にして栄光をつかんだ伝説のボクサー、ジム・ブラドック。彼の姿は絶望の淵に立つ多くの人々に“希望”という言葉を思い出させた。人生は、時におとぎ話—-今は運に見放されていても、彼に起こった素晴らしい《奇跡》がいつか自分に起こらないなどと、誰に言い切ることができるだろうか…?
だが、国民的ヒーローとして崇められることなど、ジムにとって大きな意味はなかった。彼は一度たりとも勝利や名誉を求めたことはなく、ただ愛する家族を守りたかっただけなのだ。そして、命をかけて戦うことだけが、妻と3人の子供たちと慎ましく暮らしていくための唯一の手段だった…。

早くも本年度アカデミー賞最有力の呼び声高い「シンデレラマン」は、ひたむきに家族の幸せを願い続けた、一人の父親の物語である。彼の願いは誰もが抱くような平凡なものであったが、その思いの強さが彼を伝説の主人公にした。この物語の持つ強力な“磁力”は、ハリウッド最高のスタッフ&キャストを結びつける。監督は、「ビューティフル・マインド」でアカデミー賞に輝く名匠ロン・ハワード。主演に「グラディエーター」でアカデミー賞受賞のラッセル・クロウと、「コールドマウンテン」の演技で初のオスカーに輝いたレネー・ゼルウィガー。3人のオスカー受賞者が紡ぎだす至高の人間ドラマが、世界中をかつてない熱い涙で包み込む。

ジム(ジミー)・ブラドックの人生は、希望に満ちていたはずだった—-前途有望なボクサーとして、タイトル奪取は時間の問題。美しい妻メイと、天使のような3人の子供に恵まれ、家には笑い声が絶えることがなかった。だが、1929年、右手の故障がきっかけで勝利に見放されたジムは引退を余儀なくされる。時を同じくして、《大恐慌》がアメリカの経済を壊滅状態にし、人々の生活は困窮した。国中に溢れかえる失業者の一人となったジムは、過酷な肉体労働でわずかな日銭を稼ぐが、そんな仕事にすらありつけない日の方が多かった。
出口の見えない不況の中で、男たちはプライドを失い、自分自身を失っていったが、ジムは諦めなかった。子供を預けようという妻メイの苦渋の決断にも耳を貸さず、彼は家族が一緒にいることに固執する。全てを失った今、家族だけが彼の全て、彼が生きるただひとつの理由だったからだ。
人生の転機は、古くからの友人によってもたらされた。ボクサー時代のマネージャーだったジョー・グールドが、新進ボクサーとの試合の話を持ちかけてきたのだ。勝ち目などない、一夜限りのカムバック。だが、その報酬は今のブラドック家にとって大きな救いだった。夫の身を案じるメイをふりきり、ジムは再びリングに立つ。それが、アメリカ中を希望で包み込む《奇跡》の序章となるとは、気づきもせずに…。

実在した伝説のボクサー、ジム・ブラドックを演じるラッセル・クロウは、ボクサーである前にひとりの夫、ひとりの父親であった男の物語をこよなく愛し、その映画化に心血を注いだ。数々の傑作に出演してきた彼をして「脚本を読むたびに鳥肌が立つ」と言わしめる本作品は、間違いなくクロウの代表作となるだろう。
ジムの妻メイを演じるレネー・ゼルウィガーもまた、この物語に抗うことのできない魅力を感じた一人だ。どんなに苦しい時でも夫と子供たちを笑顔で包み込むメイの強さは、映画に清らかな輝きを与えてくれる。
ジムのマネージャー、ジョーを演じるポール・ジアマッティは「アメリカン・スプレンダー」「サイドウェイ」の好演によって、今最も注目されている俳優のひとり。口から生まれたような交渉上手のビジネスマンだが、心の奥底に熱い思いを秘めた人間くさいキャラクターを魅力的に演じている。
さらに、「ビューティフル・マインド」でオスカー受賞の製作ブライアン・グレイザーと、脚本のアキヴァ・ゴールズマンをはじめ、次回作「ダ・ヴィンチ・コード」でもロン・ハワードと組む撮影監督サルヴァトーレ・トチノ、「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」「ショーシャンクの空に」の音楽を手がけたトーマス・ニューマンなど、ハリウッドー流のスタッフが名を連ねている。

“シンデレラマン”がアメリカの伝説として人々の心に刻まれたあの日、ボクシングの殿堂であるマディソン・スクエア・ガーデンを埋め尽くした観客たちの歓声は、ジムの耳にどれだけ届いていただろうか?なぜなら、彼の《心》が聞きたかったのは、家族からの「おかえりなさい」という一言だけだったのだから…。

ストーリー



愛する妻のメイと、3人の子供たち、それはジム(ジミー)・ブラドックの何ものにもかえがたい、大切なもの。思いやりと笑顔の絶えない家が、彼の帰るところだ。そんな家族に囲まれたジムの人生は、希望に満ちている。前途有望な若きボクサーとして、強力な右ストレートを武器に栄光への階段を駆け上る彼が、タイトルを奪取するのは時間の問題。その手で家族を守っているという自負が、ジムを一層幸せな男にしている。

しかし、1929年、右手の負傷がきっかけとなり事態は一転。
さらにその年、追い討ちをかけるように、大恐慌が起こる。アメリカ経済を壊滅状態にし、多くの人が一夜にして財産を失った大惨事は、ジムをも襲った。すべてを失った彼は、ケガをおして出場してはいたずらに負けを重ね、ケガと敗戦と貧困の悪循環へと陥っていった。
それから4年。その夜も、完治していない腕で試合に臨み、結果、右手を骨折し惨敗。マネージャーのジョーの嘆願も虚しく、ついにボクサーのライセンスを剥奪されてしまった。国中に溢れかえる失業者のひとりとなったジムは、ケガを隠して、過酷な肉体労働で日銭を稼ぐが、そんな仕事にすらありつけない日の方が多かった。暮らしはさらに切迫するが、メイにとっては皮肉なことに、愛する夫の生死を案じて心乱すことなく、傷だらけで帰宅する彼も見ずにすむ、心の平安を得た初めての日々だった。
だが、次男が病に倒れたとき、メイは家族を守るために子供たちを親類の家に預けることを決意する。それは彼女の苦渋の選択だったが、ジムには許せなかった。彼にとって、子供を手放すことは、すべてをあきらめることだった。あきらめたくない—-。彼は家族を失うよりは、自分の最後のプライドを捨てることを選び、ついに生活保護の列に並ぶ。それでもまだ子供たちを連れ戻すには足りず、かつて彼を見捨てたボクシング委員会へ赴き、援助を求めた。
どんなに貧しい家でも、帰れたことを心から喜ぶむじゃきな子供たち。再び家の中には、愛しい者たちの顔が揃う。だが、明日の保証はどこにもない…。そんな彼の前に、かつてのマネージャー、ジョーが現れた。ジョーはジムに試合の話を持ってきた。世界ランキング2位、今最も勢いのある若手成長株との試合だった。対戦相手が見つからず、リングに上がって彼に打ちのめされてくれるならば、誰でも良い、そんな試合だった。
ジョーはすまなそうに申し出るが、その報酬はジムにとって何ものにもかえがたかった。彼は心からジョーに感謝してその話を引き受けた。それは、彼にとって、家族を救う最後の手段だった。
そして、運命の一夜。ボクシングの殿堂マディソン・スクエア・ガーデンという最高の舞台での最後の大試合。盛りを過ぎてしまった彼の本当の引退試合だ。配給にあぶれて空腹を抱えたまま、ジムはリングに立つ。誰もそんな彼に再起のチャンスがあるなどとは想像もしていなかった。だが、その夜、奇跡は起こった。利き腕をかばっての過酷な肉体労働は、いつしか彼に強烈な左パンチを与えていたのだ。そして、まさかの逆転劇が起こる。それは、これからアメリカ中が目撃することになる伝説の幕開けだった—-。
ジョーは彼のために奔走して試合を取り付け、ジムは次々と強敵を倒していった。そしてついに、ヘビー級世界チャンピオン、マックス・ベアへの挑戦権を得る。一度は夢破れながらも、家族のために、決してあきらめずに不可能を可能に変えてゆく父親の姿は、暗い時代に絶望した人々の心を打ち、彼は“シンデレラマン”と呼ばれた。ジムはいまや人々の希望と再生の象徴だった。だが、世界チャンピオンのベアは、リング上で二人の選手を殺したことのある選手だった。
今まで彼の勝利を複雑な気持ちで見守っていたメイも、今度こそ、試合を降りるようジムに迫る。「選手としてのあなたを黙って支えてきたわ。でもジミー、この試合だけはやめて。彼は2人も殺したのよ。何のために命を賭けるの?」メイの悲痛な叫びは、ジムの心に届かないはずはなかった。しかし、彼もメイに訴えかけるのだった。「人生をこの手で変えられると信じたいんだ。」それは、父として、夫として、家族に二度とつらい思いをさせたくない、そう一途に闘ってきた彼の最後の願いだった。
そして、ジムはメイに「必ず帰る」と約束し、大観衆が待ち受けるリングへと向かった—-。

スタッフ

監督:ロン・ハワード
脚本:クリフ・ホリングワース
   アキヴァ・ゴールズマン
ストーリー:クリフ・ホリングワース
製作:ブライアン・グレイザー
   ロン・ハワード
   ペニー・マーシャル
製作総指揮:トッド・ハロウェル
撮影監督:サルバトーレ・トチノ
プロダクション・デザイン:ウィン・トーマス
編集:マイク・ヒル,A.C.E.
   ダン・ハンリー,A.C.E.
衣装デザイン:ダニエル・オーランディ
音楽:トーマス・ニューマン   

キャスト

ジム・ブラドック:ラッセル・クロウ
メイ・ブラドック:レネー・ゼルウィガー
ジョー・グールド:ポール・ジアマッティ
マックス・ベア:クレイグ・ビアーコ
マイク・ウィルソン:パディ・コンシダイン
ジミー・ジョンストン:ブルース・マッギル
ジェイ・ブラドック:コナー・プライス
ローズマリー・ブラドック〈ロージー〉:アリエル・ウォーラー
ハワード・ブラドック:パトリック・ルイス
“スポーティ”ルイス:ニコラス・キャンベル

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