原題:Werckmeister Harmonies

夢のよう! 世界一巨大なクジラ!

2001年2月1日ハンガリー初公開

2000年/ハンガリー、ドイツ、フランス/145分/モノクロ/ドルビーSR 配給:ビターズ・エンド

2010年2/6(土)〜 2/26(金)迄、シアター・イメージフォーラムにて 2003年01月25日よりDVD発売開始 2002年6月29日よりユーロスペースにてロードショー公開

公開初日 2002/06/29

配給会社名 0071

公開日メモ モノクロ7時間半の大作「サタンタンゴ」(94)で世界を震撼させた、ハンガリーの鬼才タル・ベーラ、2001年秋には、ニューヨーク近代美術館で特集上映が行なわれ、ジム・ジャームッシュ、ガス・ヴァン・サントなどの映像作家を驚嘆させた。その最新作がタル・ベーラ作品として初めて劇場公開される。

解説



連中は昨日、来た。確かなことは誰にもわからない。
まるで夢のよう。
そして、息をのむ。

ハンガリーの荒涼とした田舎町に暮らす住人達。その不気味な日常に、不穏な「石」が投げ込まれる。それは町の広場に忽然と現れた、移動サーカスと見せ物の“クジラ”、広場に響く“プリンス”と名乗る煽動者の声。彼らはどこから来てどこへ行くのか。煽られるように広場に群がる住人達。そして、不協和音が響くように町中の何かが歪み始めた。住人達の興奮は最高潮に達し、破壊とバイオレンスヘと向かい始める…。
漆黒の闇のようなモノクロ映像。未知のスペクタクルを観る者に喚起させるカメラワーク。2時間25分という上映時間に、たった37カット。その、時間という概念を無視するような長回しのショットは、永遠に宇宙の闇の中で輝く太陽のようだ。
天文学、爆発と炎、群衆の行進、暴動、戦車とヘリコプター、そしてクジラ…。現れては消え、あるものは、また現れる。どこからかやって来た、移動サーカスが見せ物であるように、この映画もひとつの“見せ物”であるかのようだ。観る者のイマジネーションをこれ程までにかき立てる、この作品こそ、まさに世界の周縁から現れた、「ファンタジー」である。

ジム・ジャームヅシュ、ガス・ヴァン・サントが驚嘆した
幻のハンガリーの鬼才、タル・べ一ラ

ヴイレツジ・ヴォイス紙が選ぶ“2001年のベストディレクター”として『マルホランド・ドライブ』のデヴィツド・リンチ、『花様年華』のウォン・カーウァイに次いで、本作とタル・べ一ラが選出!
モノクロ・7時間半の大作『サタンタンゴ』(1994)で世界を震憾させた、ハンガリーの鬼才タル・べ一ラ。東ヨーロッパとロシア、アジアに挟まれ、古代から様々な文化が交錯する神秘の国、ハンガリー。その作品も、東欧映画のように異質、アジア映画のように出鱈目で、ロシア映画のように硬質で、出会ったことがない未知の多様性を感じさせる。2001年秋には、ニューヨーク近代美術館(MOMA)で特集上映が行われ、ジム・ジャームッシュ、ガス・ヴァン・サントなどの映像作家を驚嘆させた。
本作『ヴェルクマイスター・ハーモニー』は、『サタンタンゴ』と同じくハンガリー人作家クロスナホルカイ・ラースローの小説「抵抗の憂欝」の映画化である。当初、タル・べ一うは本作の製作を考えていなかった。しかし、俳優ラルス・ルドルフとの運命的な出会いが彼を突き動かした。「彼こそがヴァルシュカ・ヤーノシュだ」との思いに取りつかれ、4年の歳月をかけて本作を完成させた。東・中ヨーロッパの歴史や風土を基にしながら“永遠”や“宇宙”というテーマにも触れる、“未知なる巨匠”タル・べ一ラが生み出した壮大な叙事詩である。そして本作が、タル・べ一ラ作品として初めての劇場公開作品となる。
ファスビンダー作品やゴダールの『パッション』等で知られる国際的女優、ハンナ・シグラが、「タル・べ一ラ作品なら」と9年振りに映画出演している。

ストーリー



すべては、“クジラ”が見ていた…。

雪も降らず、霜の他には何も覆うものがない、ハンガリーの田舎町。

ヴァルシュカ・ヤーノシュは、天文学を趣味に持つ、郵便配達だ。
彼は靴職人の工房に部屋を借りている。
仕事と家の往復の中、老音楽家エステルの世話をするのが日課となっている。
エステルは、ピアノのある部屋で、口述の記録を続けている。
それは、“ヴェルクマイスター”という18世紀の音楽家への批判のようにも聞こえる。

そんな、ある日、街角に1枚の張り紙が…。
“夢のよう!”“自然界の驚異!”“世界一巨大なクジラ!”“ゲストスター、プリンス!”
そして、夜の街を、巨大なトラックがゆっくり通り過ぎた。

エステル夫人が、ヤーノシュを訪ねて来る。
「風紀を正す運動に協力するように、エステルを説得して」彼女は何かに取り憑かれるいるかのようだ。
広場に何かが来ているという噂を耳にし、ヤーノシュは広場に向かう。そこには、トラックとそれを取り囲むように、数え切れないほどの住人達がいた。トラックの荷台が開く。木戸銭を払い、乗り込むヤーノシュ。そこで目にしたのは、“クジラ”だった。不気味に光るクジラの目。ヤーノシュは、それに魅了される。また、潜り込んだトラックの中で目にする“ゲストスター、プリンス”の影。彼らの目的は何なのか?どこから来て、どこへ向かうのか?。

スタッフ

監督:タル・べ一ラ
脚本:タル・べ一ラ、クラスナホルカイ・ラースロー
原作:クラスナホルカイ・ラースロー
撮影監督:メドヴィジ・ガーボル
音楽:ヴィーグ・ミハーイ

キャスト

ヴァルシュカ・ヤーノシュ:ラルス・ルドルフ
エステル氏:ぺ一ター・フイツツ
エステル夫人:ハンナ・シグラ

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