原題:Revival Blues

2003年/カナダ・日本共同製作/114分/ドルビーSR 製作:ZUNO FILMS & ZERO PICTURES 配給:エレファント・ピクチャー

2004年10月9日、シアターイメージフォーラムにてロードショー

公開初日 2004/10/09

配給会社名 0244

解説


『リバイバル・ブルース』は、中年男たちの心の再生を描き、これからの生き方を問う“友情ドラマ”である。

1970年代、ひとつのブルースバンドが解散し、若者たちの青春も終わりを告げ、1曲のブルースだけが残った…。
26年後、スーツに身を包んだ経営者の中年男が消息不明だった幼なじみの男を訪ね、復活ライブを提案するところから物語は始まる。
かつてリードボーカルを担当していた女のバーで再会する3人。長い年月によって彼らの人生は大きく変わっていた。
だが彼らの“友情”は色槌せない。埃を被ったギター、懐かしいブルース、古ぼけたライブハウスとともに、彼らの“時間”は再び動き出す。
そして、彼らの眼前に現れた“末期癌”というリアルな現実。生き続ける者と、死に行く者。介護する者と介護される者。死の影に覆われていく友の横で、皮肉にも生き続ける男の生は輝き始める。対照的な男たちの間ににわかに蘇った“友情”を、女は半ば呆れながら静観してゆく。この男たちの関係は“究極の友情”なのか…?この答えはふたりにも分からない。ただ、立ち枯れていた中年男たちの胸に“生の充足”が再び訪れて来た事は真実だ。

監督は、カナダ人のクロ一ド・ガニオン。1979年に初監督した『Keiko』は日本監督協会新人賞、キネマ旬報の第3位(1位『復讐するは我にあり』、2位『太陽を盗んだ男』、4位『赤い髪の女』)を受賞、下半身切断の少年を描いた『ケニー」(1987)はモントリオール映画祭でグランプリを受賞し、世界40力国において上映されるなど国際的に活躍する映画監督。
“日本で再び新作を撮りたい”という彼の呼びかけに、内藤剛志、奥田瑛二、桃井かおりといった、70年代に映画デビューを果たしたベテラン俳優陣が賛同した。出演オファーを受けた桃井かおりは「21年間、あなたが私に映画に出てくれと頼んでくれるのをずっと待っていた」と即決したほど、70年代をリアルタイムに生きた世代にとって“伝説的な映画監督”と言っても過言ではない。出演者に要求されたことは、芝居から台詞まで全てを即興で行うこと。デビュー作の『Keiko』と同様のスタイルを用いた。俳優の会話劇が妙にナマっぼく、演技とも素とも判別しにくい“駆け合い”が、不思議な“風味”として全編を包み込む。「リバイバル・ナイト」に登場するバンド演奏もすべて俳優陣たちによる実演、ポーカルの桃井かおりによるステージパフォーマンスも見どころのひとつだ。

ストーリー



 1970年代、ひとつのブルースバンドが解散し、1曲のブルースだけが残った・・・。彼らは別々の人生を歩み始める。ゴールデン街に姿を消した女、沖縄へ逃避した男、そして企業戦士になった男。
そして、26年後、スーツに身を包んだビジネスマン・健(内藤剛志)は沖縄の地に降り立った。目的は、会社の出張に合わせ、元バンド仲間であった洋介(奥田瑛ニ)を訪ねること。やっとの思いで洋介の経営する店を探し出すが、洋介の態度は冷たかった。26年前バンドを解散へ追いやった原因が健にあったからだ。それでも健は仕事の合間をぬって店に足を運ぶ。再びバンドを組んで、自分たちがかつて出演したバーで“リバイバル・ナイト”を復活させるために。初めは一笑する洋介だったが、次第に“あの時代”は懐かしく、かけがいのない時間のように思えてきた。そんな時、洋介は発作で倒れ、病院から末期癌を通告される。
洋介は“リバイバル・ナイト”に参加することを決め、一緒に暮らしていた静香(渡辺ほなみ)と入籍、最期の大切な時間を過ごすため上京する。バンドのリードボーカルをしていた加代(桃井かおり)が経営する新宿の小さなバーにかつての仲間が再会し、ライブのリハーサルが始まった。この意外にも簡単に復活した“男たちの友情”を、加代は皮肉を込めて笑った。

「ばっかじゃないの!だから男って嫌なのよね!」

“リバイバル・ナイト”の本番は盛り上がり、3人は生きている喜びを実感する。だが、病は洋介の身体を確実に蝕んでいった。健が最期にしてやれること、それは洋介を自分のマンションで介護してやること。仕事を途中で中断し、介護用ベッドを購入し、食事から下の世話に至るまで、壮絶な闘病生活が始まった。友人を献身的に面倒する一方で、健はなぜか次々と複数の女性たちと関係を持っていく。皮肉にも、友の死を目の当たりにすることで、健は初めて自らの生(性)を実感できるようになったのだ。そして、ライブハウスで知り合った歌手志望の有紀(野村麻紀)と出会い、彼女と一緒にいる時だけは、心を開き自分自身を見つめ直すことができた。
しかし、こうした二重生活は冷め切っていた妻・恵子(久保京子)との結婚生活の終わりも意味していた。ただ無言で立ちつくす健の前を、恵子は荷物をまとめマンションを後にした。日に日に苦しみの増す健の姿を前に、どうしても加代は戸惑いを隠せない。彼女にしてやれることは、彼の手を握りベッドに寄り添ってあげること・・・。そこには、セックスを超えた、男女の愛の姿があった。ある日、洋介はバンドが解散してからの26年間を振り返り、介護を懸命にしてくれている健に最期の言葉を残す。

「俺が憎いのは自分自身なんだ。その憎しみの塊が、癌になったんだろうな・・・。
ちゃんとしろよ。俺の分までちゃんとしろ。」

そして、洋介は静かに息を引き取る。葬式を終えた後、健の姿は閑静な寺にあった。寺の床を吹き掃除し、座禅を組む毎日。その静かな生活を送る中で、健はかけがえのない親友の死を受け入れ、これからの自分の生き方を見つめていくのだった。

スタッフ

脚本・監督:クロード・ガニオン
プロデューサー:奥田瑛二、ユリ・ヨシムラ・ガニオン、サミュエル・ガニオン
ラインプロデューサー:中村和彦
助監督:山田智之
美術監督:青池良輔
照明:櫻井雅章
録音:川嶋一義
スクリプター:辛 美恵
製作助手:植田まや
撮影助手:宮平貴子
照明助手:常谷良男
美術助手:嶋田奈々青
メーク(桃井):福島久美子
スタイリスト(内藤):藤井享子
車両:桜田雅巳/原昌洋
沖縄スタッフ:小松利行、遊佐篤史、張替一喜、柳子憲二
気巧指導:高橋重子、志多伯のり子、志多伯のり子(沖縄)

キャスト

健:内藤剛志
洋介:奥田瑛二
加代:桃井かおり
静香:渡辺ほなみ
恵子:久保京子
有紀:野村麻紀(新人)
沢田:ミッキー・カーチス

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