原題:Plartform

旅をつづけよう 未来は待っててくれる

2000年ベネチア国際映画祭 最優秀アジア映画賞 2000年ナント三大陸映画祭 グランプリ・監督賞 2001年ブエノスアイレス国際映画祭 グランプリ

2000年/香港=日本=フランス共同製作/35ミリ/カラー/1:1.85/151分 提供:バンダイビジュアル、オフィス北野 配給:ビターズ・エンド

中国映画の全貌 2007にて上映::http://www.ks-cinema.com/schedule.html 2002年09月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2001年12月1日よりユーロスペースにてロードショー!

公開初日 2001/12/01

配給会社名 0071

公開日メモ 「変わり続ける時代を、“歴史”ではなく“気配”で描きたかった」と語る賈樟柯(ジャ・ジャンクー)は、普通の人々の日々の暮らしに中に起こる些細なできごとの積み重ねから、激変する社会が作り出す"時代"の姿を照らし出してゆく。

解説


ポップ・ミュージックによって
切り取られる時代の変遷。

●『プラットホーム』で描かれる“時代の変化”は、政治的、社会的な大きなできごとや事件ではなく、若者たちを魅了するポップ・ミュージックやファッションの変遷を通して切り取られる。劇団の出し物も、毛沢東主席を讃える芝居から、フラメンコ、そして、ブレイクダンスやロックミュージックへと変化してゆく。80年代半ばから、テレサ・テンの歌や「ジンギスカン」など、台湾や香港のヒット曲がラジオから流れ出す。若者たちは、こぞってそれを聴くようになる。「変わり続ける時代を、“歴史”ではなく“気配”で描きたかった」と語る賈樟柯(ジャ・ジャンクー)は、普通の人々の日々の暮らしに中に起こる些細なできごとの積み重ねから、激変する社会が作り出す”時代”の姿を照らし出してゆく。

●『プラットホーム』はまた、同時にロードムービーでもある。文化劇団のメンバーは、バスやトラックの荷台に乗り、巡業先の町へと向かって旅をしていく。劇団のあり方が変化する中で、彼らが手に入れるのは、自分たちの生き方を模索する「自由」だ。それはまた、新しい自分を見つける旅への出発でもある。地方の小さな町汾陽から、さらに小さな町を回り、彼らは悩み、迷いながら、一緒にいることから踏み出し、自らの一歩を決めて、歩き出していく。
21世紀の映画界を担う才能・賈樟柯

●2000年のベネチア国際映画祭。本作『プラットホーム』が上映され、そのあまりの完成度の高さに批評家やマスコミは大絶賛した。惜しくもグランプリは逃したものの最優秀アジア映画賞を受賞し、続くナント三大陸映画祭では、見事グランプリと監督賞を受賞したのである。監督は、中国新世代の最若手、賈樟柯。デビュー作『一瞬の夢』で、スリで生きる青年の日常をとおして、本作『プラットホーム』では、地方を旅する劇団員たちの10年間の姿を通して、中国の”現在”と、そこに息づく若者たちの感情の機微を鮮烈に描いてゆく。撮影は『一瞬の夢』に続き、余力為(ユー・リクウァイ)が担当。屋外シーンでの力強い長回しのカメラワークや、逆光を取り入れた室内での美しいシーンは、息を呑むばかりである。キャストは、明亮 (ミンリャン)役の王宏偉(ワン・ホンウェイ)以外は、初めて映画に出演する者たちばかりだが、彼らは、素人同然にも関わらず、登場人物たちの10年間を見事に演じきっている。

●90年代に入り、中国では市場経済への移行で国営の映画製作所にも独立採算制度が導入され、以前のように、国家予算で映画を作ってはいられなくなった。新世代の監督たちは、製作所を飛び出し、自力で資金調達をしローバジェットの映画製作に取り組み始める。これが、いわゆる中国インディーズ動きの始まりであった。『ただいま』のチャン・ユアンや『ふたりの人魚』のロウ・イエらは、独立プロダクションを設立したり、海外からの出資を獲得することで、映画製作を行っていった。賈樟柯の場合は、北京電影学院の卒業後に作ったビデオ作品「小山回家」が、香港インディペンデント映画賞の金賞を受賞したことから、香港の製作会社・胡同制作からの出資を獲得し、デビュー作『一瞬の夢』を製作する。この作品は、ベルリン国際映画祭での新人監督賞を始め、各国の映画祭で数々の賞を受賞し、各国に上映権が売れ製作費の回収も果たした。このことは、映画祭での受賞が投資に繋がることを証明し、インディーズでの映画製作においてひとつの可能性を示したという意味で、画期的なできごとであった。賈樟柯は、さらにグローバルに展開し、香港、フランス、日本からの出資を獲得し、本作『プラットホーム』を完成させた。

ストーリー



またひとつ青春映画の傑作が誕生した。

●中国山西省の小さな町・汾陽(フェンヤン)。文化劇団(文工団)のメンバーの明亮(ミンリャン)瑞娟 (ルイジュエン)、張軍 (チャンジュン)、鐘萍 (チョンピン)は幼なじみ。劇団の練習、地方巡業の旅と、いつも一緒の時間を過ごしていた。1980年代半ば、自由化の波がこの小さな町にも押し寄せてくる。政府の方針の変化で劇団への補助金が打ち切られ、劇団そのもののあり方も変わってしまう。そして、彼ら4人の関係も不安定になっていく。明亮、張軍、鐘萍の3人は、劇団に残り仲間たちと一緒に旅を続けるが、瑞娟だけは町に留まる。それぞれが自分の生き方を探し始める。

●『プラットホーム』は、改革開放のスローガンを掲げ、社会がダイナミックに変貌してゆく80年代の中国を背景に、地方を旅する文化劇団の4人の若者たちの10年間の歩みを綴ってゆく。文化開放政策により、新しい音楽やファッションが大陸へと入ってくる。人民服が、ラッパズボンやワンピースへと、革命歌が、台湾や香港のポップスや西洋のロックミュージックへと変わってゆく。女の子は、髪にパーマをかけ、化粧をし、隠れて煙草を吸う。男の子は、サングラスをかけ、ジーンズをはき、ラジカセから流れる最新の音楽で踊る。 未知なるものとの遭遇に、彼らの生活も少しずつ変化を見せてゆく。淡い恋をし、失恋もする。未来に対する希望をも持ちつつも、どこか不安をかかえている。そんな青春時代真っただ中の若者たちの10年を、『プラットホーム』は常に現在形で描いてゆく。それによって観る者は、若者たちの心の揺れ、痛み、喜びを、丸ごと感じるであろう。どんな時代、どんな場所にも存在する、普遍的な等身大の若者たちの姿がここある。

スタッフ

監督・脚本:ジャ・ジャンクー
撮影:ユー・リクウァイ
編集:コン・ジンレイ
録音:チャン・ヤン
音楽:半野喜弘
プロデューサー:リー・キットミン、市山尚三
エグゼクティブ・プロデューサー:森昌行
共同プロデューサー:ジョエル・ファルジュ、エリーズ・ジャラドゥー
製作:オフィス北野、ティー・マーク、胡同制作(香港)
製作協力:アルトカム(フランス)

キャスト

明亮(ミンリャン):ワン・ホンウェイ
瑞娟(ルイジュエン):チャオ・タオ
張軍(チャンジュン):リャン・チントン
鐘萍(チョンピン):ヤン・ティェンイー

LINK

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