原題:Prezit svuj zivot

2010年/チェコ/カラー/35mm/108分/ヨーロピアン・ヴィスタ/ドルビーSRD 後援:駐日チェコ共和国大使館、CZECH CENTRE TOKYO 製作:Athanor, C-GA Film 提供:レン コーポレーション、ディーライツ、アウラ、ユーリアンドデザイン 配給:ディーライツ

2011年8月27日、シアター・イメージフォーラムにてロードショー

(C)ATHANOR

公開初日 2011/08/27

配給会社名 0794

解説


<世界中のクリエイターを熱狂させるアートアニメーションの巨匠、待望の最新作>
 20世紀の美術史に於いて、シュルレアリスムの登場は他の芸術分野への影響力の大きさという点で一つの事件であった。詩人のアンドレ・ブルトンを理論的指導者とし、画家のサルバドール・ダリやジョルジョ・デ・キリコらの作品によって世界中に衝撃を与えたシュルレアリスムは、人間の内なる精神に芸術の源泉を見い出し、20世紀後半のクリエイターたちに多大な影響を及ぼしたのである。初期のシュルレアリストたちは、絵画、彫刻、写真といった手段を用いて創作活動をしていたが、ここに20世紀が産んだ革新的メディアである映画を用いて、動く映像表現としてのシュルレアリスムを確立した男がいた。今年77歳になるチェコのヤン・シュヴァンクマイエルである。

<夢が暗示するものは何なのか>
世紀を超えて、今なおシュルレアリスム魂を頑なに守るシュヴァンクマイエル5年ぶりの長編作品が、昨年ヴェネチア国際映画祭でプレミア上映された本作「サヴァイヴィング ライフ」。憂うつな日常を脱出して夢の中をさまよう男のラブ・サスペンスである。夢の中で出会った美しい女は何者なのか?夢に登場する若い頃の自分にそっくりな男の正体は?夢と現実の二重生活を送る主人公が、フロイト、ユングばりの夢分析で解き明かす物語は、サスペンスにあふれ、衝撃のラストへと見るものを引きずり込む。

<CGや3Dを凌駕する驚異の映像世界>
フィルムのひとコマひとコマに執着するパラノイア的な創作姿勢や実写と写真をたくみに組み合わせたカットアウトアニメで、デジタル技術によるCGや3D映画をはるかに凌駕する映像作品を作り出すマエストロ、ヤン・シュヴァンクマイエルは、映画の王道をいく作家。アルフレッド・ヒッチコックさながらに本人が登場し、自虐的なコメントを述べ、人を喰ったオープニングで始まる本作は、メタモルフォーゼ、夢の具象化、エロスとタナトス、胎内回帰願望等、シュヴァンクマイエルが繰り返し表現してきたモチーフを隋所に散りばめ、老境にさしかかった作家が“人の一生”をシニカルに見つめた作品でもある。「サヴァイヴィング ライフ」と名づけられたこの映画は、夢をみることが生きていく支えになるという彼からのメッセージ。映像の錬金術師は、21世紀もまだアートの最前線にいます。

ストーリー





エフジェンは、うだつのあがらない中年の勤め人だ。彼の楽しみといえば寝る事ぐらい。家に帰ると口うるさい妻ミラダの愚痴を聞かなければならない。ある日彼は夢の中でエフジェニエという名の若く美しい女と出会う。彼女に誘われ部屋を訪れ、抱き合っていると彼女の息子ペトルにみつかり、気まずい思いをしてしまう。夢の記憶が気になるエフジェンは、精神分析医のホルボヴァー医師を訪ねる。医師のもとでカウンセリングを受けているとエフジェンが幼い頃に両親を亡くし、児童養護施設で育てられた経験が関係しているらしいとわかってくる。

エフジェンは、夢の操作法に関する本を探し、自分の意志で夢の世界に入っていく方法をみつける。誰にも邪魔されず、その儀式を行えるように、写真家だった老人のスタジオを借りる。妻には会社に行くふりをして毎日夢の中へ出かけるエフジェン。ある夢の中で彼は宝くじに当選し、エフジェニエに豪華なアパートを買ってやる。しかしまた別の夢では、エフジェニエの夫でペトルの父であると主張する自分にそっくりなミランという若い男が現れ、宝くじの賞金を半分よこせと脅される。

一方、夫の行動を怪しむ妻のミラダは、エフジェンを尾行する。精神分析医のホルボヴァーに会い、彼女が夫の浮気相手だと思い込むが、逆にエフジェンの二重生活を教えられ衝撃を受ける。ミラダは夫の尾行を続け、スタジオでのエフジェンの儀式を盗み見し、その真似をして彼の世界へ入り込む。やがて現実と夢の境界があやふやになり混ざり合う。

エフジェニエとは一体誰なのか?
息子ペトルは何者なのか?
エフジェンの過去と夢の中での出来事はどう関係しているのか?
エフジェンは夢の世界から戻ってこられるのだろうか?

やがて衝撃の結末があなたを待っている!!

スタッフ

監督・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影:ヤン・ルジチュカ、ユライ・ガルヴァーネック
アニメーション:マルティン・クブラーク、エヴァ・ヤコウプコヴァー、ヤロスラフ・ムラーゼック
音楽:イヴォ・シュパリ
編集:マリエ・ゼマノヴァー
衣装:ヴェロニカ・フルバー
プロデューサー:ヤロミール・カリスタ

後援:駐日チェコ共和国大使館、CZECH CENTRE TOKYO
製作:Athanor, C-GA Film
提供:レン コーポレーション、ディーライツ、アウラ、ユーリアンドデザイン
配給:ディーライツ

キャスト

ヴァーツラフ・ヘルシュス
クラーラ・イソヴァー
ズザナ・クロネロヴァー
エミーリア・ドシェコヴァー
ダニエラ・バケロヴァー

LINK

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