原題:Zwartboek / Black Book

鬼才ポール・バーホーベン監督待望の最新作! スピルバーグの『シンドラーのリスト』 ポランスキーの『戦場のピアニスト』 そしてバーホーベンの『ブラックブック』遂に登場!

■第79回米アカデミー賞外国語映画賞オランダ代表作品 ■第63回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品  ヤングシネマアワード:ベストインターナショナル・フィルム賞受賞 ■2006オランダ映画祭  作品賞/監督賞(ポール・バーホーベン)/主演女優賞(カリス・ファン・ハウテン)受賞 ■2007年度英アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品

2006/11/14

2006年/オランダ・ドイツ・イギリス・ベルギー合作映画/2時間24分/ スコープサイズ 日本語字幕:松浦美奈/オランダ語監修:池田みゆき 提供・配給:ハピネット

2007年08月24日よりDVDリリース 2007年3月24日、新宿テアトルタイムズスクエア、渋谷アミューズCQNほかにて全国ロードショー!

(c) 2006 Film & Entertainment VIP Medienfonds 4 Gmbh & Co. KG

公開初日 2007/03/24

配給会社名 0187

解説




 『氷の微笑』『ショーガール』『インビジブル』と、バイオレンスとエロティシズムを兼ねそなえた作品で、ハリウッドで数々のメガヒットを放った鬼才ポール・バーホーベン。『4番目の男』以来23年ぶりに故国オランダにもどって完成させた最新作『ブラックブック』は、人々の心をえぐる、史実に基づいた野心作となった。彼が20年もの間構想を練り、脚本を書き上げた渾身の一作である。
 1993年のスピルバーグの『シンドラーのリスト』、2003年のポランスキーの『戦場のピアニスト』に続き、2006年ベネチア国際映画祭でベールを脱いだバーホーベンの『ブラックブック』は、第二次大戦を背景にひとりの美しいユダヤ人女性エリスの波乱の半生を描きつつ、優れたエンタテインメント性を持つ映画となった。コンペ部門の公式上映で総立ちの拍手を受けた本作は、ヨーロッパ中に絶賛の嵐を巻き起こし、ヤングシネマアワードのベストインターナショナル・フィルム賞を受賞した。
 母国オランダでは、これまで英雄視されてきたレジスタンスの知られざる暗部を描いたことでセンセーショナルな注目を集め、ハリウッド製の『ワールド・トレード・センター』などの話題作を抑えて7週連続興行収入1位のメガヒットを記録。2006年のオランダ映画祭でも作品賞、監督賞、主演女優賞の主要3部門で受賞に輝いた。さらにアカデミー賞外国語映画賞部門のオランダ代表作品にも決定し、その評価はヨーロッパからアメリカへと広まりを見せている。

愛と裏切りが渦巻く第二次世界大戦ナチス・ドイツ占領下のオランダ。
過酷な運命に翻弄されながらも、戦火の中でこそひときわ強く美しく輝く女神<ミューズ>、エリス。

 舞台は1944年、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。若く美しいユダヤ人歌手ラヘルは、ドイツ軍から解放されたオランダ南部へ逃げようとするが、何者かの裏切りによって両親や弟をナチスに殺されてしまう。誰かが彼女たちの命を売ったのだ。
 名前をエリスと変え、ブルネットの髪をブロンドに染め、レジスタンスのスパイとして諜報部のトップであるドイツ将校ムンツェにその美貌と歌声を武器に近づいて行く。だが憎むべき敵であるはずのムンツェの優しさに触れ、彼女は次第に彼を愛するようになってしまう。一方レジスタンスたちは、ドイツ軍に囚われた仲間たちを救出しようと画策する。しかし作戦は失敗に終り、ドイツ側に寝返ったという濡れ衣がエリスに着せられてしまう——。
 果たして真の裏切り者は誰なのか?全ての鍵を握る”ブラックブック”とは?エリスはその謎を解くことができるのか。

シャロン・ストーンら多くの女優をスターダムに押し上げたバーホーベン監督の新しいミューズは、抜けるように白い肌が際立つオランダのクール・ビューティ、カリス・ファン・ハウテン。

 過酷な運命に翻弄されるエリス役を演じたのは、『ネコのミヌース』でオランダ映画祭主演女優賞に輝いたカリス・フォン・ハウテン。復讐のヒロインを毅然とした美しさで演じてみせた本作で、三度目の同賞受賞を果たした。
 敵でありながらエリスが愛してしまうドイツ軍将校ムンツェを演じるのは、『トンネル』『飛ぶ教室』などで数々の受賞に輝く名優セバスチャン・コッホ。レジスタンスの頼れる戦士ハンス役には『ドッグヴィル』『ミッションブルー』のトム・ホフマン。エリスの親友となる奔放な女性ロニーを演じたハリナ・ラインは、本作でオランダ映画祭助演女優賞にノミネート。レジスタンスのリーダーで時にはエリスと対立するヘルベンを演じたのは、『存在の耐えられない軽さ』『ディープ・インパクト』のデレク・デ・リント。またラヘルをかくまうハンサムな若者ロブを演じているのは『フィレーネのキライなこと』などで同主演男優賞にノミネートされ、オランダで圧倒的人気を誇る若手スター、ミヒル・ホイスマン。

オランダ映画史上最高の製作費をかけ、レジスタンスの光と影を生き抜いたヒロインの半生を壮大なスケールで描くサスペンス・エンタテインメント!

 『氷の微笑』『スターシップ・トゥルーパーズ』といった大ヒット作をハリウッドで撮り続けてきたバーホーベン監督。オランダ、ドイツ、英国、ベルギーの合作である本作は、製作費25億円というオランダ映画としては史上空前の超大作となった。
 ハリウッドという制約のある世界では望んでも撮ることのできなかった、彼の敬愛するデビッド・リーン映画のようなエピック・ドラマに真っ向から挑み、批評家と観客を驚かせてみせた。
 脚本はバーホーベン自身と、オランダ時代の彼の作品を多く手がけているジェラルド・ソエトマン。史実を数多く盛り込みながら、誰が敵で誰が味方か最後までわからないヒッチコック・スタイルのサスペンスに仕上げ、社会性と娯楽性の見事な両立を達成した。
 撮影監督は『インデペンデンス・デイ』など大作の経験豊富なドイツ人カメラマン、カール・ウォルター・リンデンローブ。音楽は『フル・モンティ』でアカデミー賞作曲賞を受賞しているアン・ダドリー。プロダクション・デザインは『ピーター・グリーナウェイの枕草子』『81/2の女たち』のウィルバート・ファン・ドルプ。衣装デザインを『ミナ』『八日目』のヤン・タックスが担当している。

ストーリー





 1944年9月、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。透き通るように白い肌が美しいユダヤ人女性ラヘル(カリス・ファン・ハウテン)はかつて歌手だったが、今はユダヤ人狩りを逃れるためにとあるオランダ人一家のもとに隠れていた。そんなある日、ラヘルが湖に出かけている時に、爆撃機が落とした爆弾が隠れ家を直撃。彼女は、湖で知り合った親切なオランダ人青年ロブ(ミヒル・ホイスマン)のところに身を寄せる。
 その夜、ひとりの男がラヘルの新たな隠れ家を訪ねてくる。彼は、ドイツ軍が彼女の行方を追っていて、彼女をかくまったロブも逮捕されるだろうと警告する。ナチスに抵抗して地下運動をしているレジスタンスのメンバーらしいその男に、ラヘルは助けを求めた。ファン・ハイン(ピーター・ブロック)という男は、既に連合軍によって解放されているオランダ南部への脱出を手引きすると約束するが、それには金が必要だった。
 翌日、ラヘルは公証人のスマール(ドルフ・デ・フリース)のオフィスを訪れる。事情を聞いたスマールは、彼女の父親から預かっていた金を渡してくれる。スマールを信用し札束を数えようとせずに受け取るラヘルを、「簡単に人を信用するな。今は危険な時代だ」と彼は戒める。 
 ファン・ハインの手引きにより水路で南部へと向かおうとするラヘルとロブ。船着き場で別のユダヤ人グループと合流し、離れ離れになっていたラヘルの両親や弟のマックスとも再会する。ファン・ハインに別れを告げ、一行は船に乗り込む。
 夜更け、彼らの船の前に突然ドイツ軍の船が現れた。銃弾の雨の中、なすすべなく倒れてゆくユダヤ人たち。両親や弟、そしてロブも殺され、とっさに川に飛び込んだラヘルだけが辛うじて生き残る。死体から容赦なく金品をはぎとるドイツ兵たち。水中に身を潜めながら、それを指揮する親衛隊将校の顔を、ラヘルはしっかりと目に焼き付ける。

 ハーグの葬儀店に一台の棺が運び込まれる。レジスタンスに協力する農民に助けられたラヘルは、チフスで亡くなった死体を装って検問を欺いたのだった。レジスタンスの青年ティム(ロナルド・アームブラスト)が、彼女を父であるリーダーのヘルベン・カイパース(デレク・デ・リント)に紹介する。ユダヤ人だと分かる名前を捨て、ブルネットの髪をブロンドに染め、今日から彼女は”エリス・デ・フリース”として、彼の無料食堂で働くのだ。
 単調な毎日が過ぎ5ヶ月経った時、エリスはレジスタンスの危険な仕事を手伝う気があるか問われる。命を失うかもしれない任務だったが、エリスにはもう守るべきものはなにもなかった。連合軍の爆撃機から投下される武器・物資を回収、移送するのだ。カップルに甘いドイツ兵の目を欺くために、女性が必要だった。指揮を執るのはレジスタンスの攻撃部隊に属する元医師のハンス・アッカーマンス(トム・ホフマン)だ。途中、ドイツ軍の攻撃を受けながらも、ハンスの機敏な反撃により作戦は成功する。
 帰路、恋人同士を装い列車に乗車したエリスとハンスに、検査官が近づいてくる。機転をきかせたエリスは、急にハンスをののしり、平手打ちを食わせた。あっけにとられるハンスと検査官。彼女は見つかってはまずい物資の入った鞄をつかむと、別の車両へ歩み去る。空席を探すうち、ナチス親衛隊将校ムンツェ大尉(セバスチャン・コッホ)の客室にたどり着くエリス。ムンツェはエリスを快く招き入れると、趣味の切手のコレクションを見せた。その紳士的な物腰に、不思議な安心感を覚えるエリス。ムンツェもまた、彼女の美しさに目を奪われた様子だった。

 ヘルベンたちにとってショッキングな事件が起きた。息子のティムと仲間二名が武器の輸送中、ドイツ兵に見つかり連行されたのだ。ヘルベンは、彼らを救うため、ナチス諜報部長であるムンツェと接触してほしいとエリスに言う。彼女はそれを潔く引き受ける。
 ムンツェの探していたヴィルヘルミナ女王の貴重な切手を入手し、エリスは早速ドイツ軍諜報部に彼を訪ねた。再会を喜んだムンツェは、彼女をパーティーに誘う。だが会場に着いたエリスは、ピアノを弾くムンツェの部下のフランケン(ワルデマー・コブス)という男を見て青ざめた。肉親たちを皆殺しにした、あのナチスの将校だったからだ。動揺を悟られまいとし、歌を披露するエリス。将校たちが彼女に拍手喝采を浴びせる。
 その夜、エリスはムンツェの腕に抱かれた。ムンツェは染めたエリスのブロンドの髪に気づきユダヤ人ではと疑うが、今の彼にとってそれは些細なことでしかなかった。彼は既にエリスを愛しはじめていたのである。ムンツェは、妻子を英国軍の爆撃で失ったことを彼女に明かす。彼もまた、エリスと同じく、深い喪失感の中に生きていたのだ。

 フランケン中尉の愛人であり、諜報部に務めるオランダ人女性のロニー(ハリナ・ライン)と親しくなったエリスは、一緒に働くことになる。エリスはロニーから、フランケンが金庫に宝石を山ほど隠し持っていることを聞く。彼は殺されたユダヤ人たちから奪った金品を着服していたのだ。
 公証人のスマールは、囚われているレジスタンス・メンバーの助命をムンツェと交渉する傍ら、エリスに諜報部に仕掛けるよう盗聴マイクを渡す。実は彼もレジスタンスの一員だったのだ。
 エリスが仕掛けたマイクにより、フランケンとファン・ハインが組んでユダヤ人を罠にかけていたことが明らかになる。ハンスやエリスは、新たなユダヤ人犠牲者が増えるのを食い止めるべきだと主張するが、ヘルベンとスマールは反対する。今、事を起こせば、人質の身が危険だからだ。
 納得のいかないハンスは、ファン・ハインを誘拐しようとする。が作戦は失敗し、ファン・ハインを殺すことを余儀なくされる。ハンスたちの暴走を知って激怒するヘルベン。こうなっては人質たちが報復のために処刑されるのは時間の問題だ。ヘルベンは危険を承知で、彼らの救出を決断する。
 その夜、エリスはムンツェのベッドで彼に銃を突きつけられる。ムンツェは、ファン・ハインの死にエリスが関わっていることを見抜いていた。エリスはすべてを話すよう迫られる……。

 翌日、ムンツェはカウトナー将軍(クリスチャン・ベルケル)とともにフランケンのオフィスに現れると、金庫を開けるよう命じた。だがムンツェの予想に反し、ユダヤ人から奪った金品は見つからない。それどころか、レジスタンスと交渉していたことをフランケンに告発され、ムンツェはその場で逮捕されてしまう。驚いたエリスは、ヘルベンに、レジスタンスの仲間を救い出すだけではなくムンツェも救出してほしいと訴えた。ヘルベンとハンスは彼女の意志が固いことを知り、約束する。
 ヒトラーの誕生日を祝うパーティーが始まる。ドレスに身を包んだエリスが舞台上で歌っている。一方、ドイツ兵を装って門を通過したハンスたちは、あらかじめエリスが開けておいた入口から内部に侵入。だが地下牢の鍵を開けた途端、待ち伏せしていたドイツ兵たちの銃口が火を吹いた。騒然となるパーティー会場の中、フランケンだけが笑みを浮かべている。ティムや仲間たちが殺される中、どうすることもできず、やっとの思いで逃げ帰るハンスたち。
 最悪の結果を聞き、呆然となるヘルベンの耳に、諜報部に仕掛けた盗聴器のマイクを通してフランケンがエリスをねぎらう声が聞こえてくる。フランケンは盗聴されていることを知っていたのだ。ヘルベンたちはエリスが裏切ったと思い込む。
 独房に投げ込まれるエリス。明日になれば彼女もムンツェとともに処刑されるのだ。万一、連合国がナチス・ドイツに勝利して、処刑を免れたとしても、レジスタンスから裏切り者のレッテルを貼られた彼女に、生きる場所はないだろう——家族を売り渡した真の裏切り者を突き止めることもできないまま……。
 道は永遠に閉ざされたかに思えたその時、独房の扉が開いた! 

 果たして真の裏切り者はどこに? 
 そしてエリスに復讐の機会は訪れるのだろうか?

スタッフ

監督 ポール・バーホーベン
プロデューサー FU WORKS PRODUCTIONS/サン・フー・マルサ/HECTOR /ヨス・ファン・デア・リンデン/MOTEL FILMS/フランス・ファン・ヒェステル/イェルン・ベーカー
プロデューサー(英国) CLOCKWORK PICTURES/テイン・ヒルテ
プロデューサー(ドイツ) EGOLI TOSSELL FILM/イェンス・モイラー

共同プロデューサー(ベルギー) MOTION INVESTMENT GROUP/アドリアン・ポリトフスキー/ジェレミー・バーデック/ナディア・カムリチ
共同プロデューサー マーク・ノーヨン
共同プロデューサー(オランダ) AVRO/ユスティネ・パーウ
エグゼクティブ・プロデューサー VIP/アンドレアス・グロシュ/アンドレアス・シュミット/マルクス・ショーファー /STUDIO BABELSBERG MOTION PICTURES/ヘニング・モルフェンター/カール・ウブケン/CONTENTFILM INTERNATIONAL/ジェイミー・カーマイケル/グラハム・ベッグ/サラ・ギレス

原案 ジェラルド・ソエトマン
脚本 ジェラルド・ソエトマン/ポール・バーホーベン
撮影監督 カール・ウォルター・リンデンローブ,acs,bvk
プロダクション・デザイナー  ウィルバート・ファン・ドルプ
編集 ヨブ・テル・ブルフ/ジェームス・ハーバート
音楽 アン・ダドリー
衣装デザイナー ヤン・タックス

キャスト

ラヘル/エリス:カリス・ファン・ハウテン
ルドウィグ・ムンツェ:セバスチャン・コッホ
ハンス・アッカーマンス:トム・ホフマン
ロニー:ハリナ・ライン
ギュンター・フランケン:ワルデマー・コブス
ヘルベン・カイパース:デレク・デ・リント
カウトナー将軍:クリスチャン・ベルケル
公証人 スマール:ドルフ・デ・フリース
ファン・ハイン:ピーター・ブロック
ロブ:ミヒル・ホイスマン
ティム・カイパース:ロナルド・アームブラスト
マールテン:サンダー・ストラート
スマール夫人:ディアーナ・ドーベルマン
ムンツェの運転手:ヨブスト・シュニベ
ヨゼフ:ボリス・サラン
シュタイン氏:ジャック・ヴェヒト
シュタイン夫人:ジャクリーン・ブロム
弟マックス:セス・カムプハイス
船長 ウィリー:ヘルマン・ボールマン
ロニーの夫:ジョージ:スキップ・ゴーリー

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