青春☆金属バット
社交性はないが、未完成な愛があった。
2006年/日本/カラー/96分/PG-12 配給: ゼアリズエンタープライズ+日本出版販売
2007年02月21日よりDVDリリース 2006年8月26日、渋谷シネ・アミューズにてロードショー
(C)2006 古泉智浩・秋田書店/日本出版販売/ビクターエンタテインメント
公開初日 2006/08/26
配給会社名 0040/0434
解説
高校時代、野球部の万年補欠で「バナンバ」と馬鹿にされ、27歳の今でもバイト先とアパートの往復以外はバッティングセンターに行くだけの日々を送る難馬。彼のただひとつの目標は、“究極のスイング”を体得すること。そんな難馬の前に現われた呑んだくれで凶暴な巨乳自慢の女・エイコ。傍若無人なエイコに振り回され、いつしか「バット強盗」として追われる身になった難馬とエイコ。そんな彼らを見つけたのは不良警官の石岡。実は石岡はかつて難馬と一緒に野球に打ち込んだ仲だった…。青春に挫折した3人が、互いに否応なく影響されて、ラストで奇跡の輝きをみせる。その瞬間は誰の胸をもキュンとさせるだろう。始まりは、これからだ!
難馬を演じるのは、新世代フォーク・ロック・バンド野狐禅(やこぜん)のボーカル・ギターとして活動する竹原ピストル。映画初出演となる本作で、竹原は寡黙で鈍重な青年・難馬そのものになった見事な演技を披露している。
一方、高校時代に大きな挫折を味わい、すべてに投げやりになっている警官・石岡を演じるのは安藤政信。『キッズ・リターン』での鮮烈なデビューから10年を迎え、無気力で不機嫌な新たな役柄を難なくこなしただけでなく、ラストシーンでは『キッズ・リターン』の主人公・シンジを彷彿とさせる姿をスクリーンに刻み付ける。
また、酒瓶を手放さないエイコを演じた坂井真紀は、奔放さと同時に悲しみも表現、さらにコケティッシュな魅力も加味して忘れ難いキャラクターを作り出した。初の巨乳役であることも見逃せない。
個性派俳優・寺島進や、アヴァンギャルドな映画監督・若松孝二など脇を固める出演者にも注目だ。
古泉智浩の伝説的コミックを原作に、どこにでもいそうなダメ青年の恋と脱線劇、そして人生の始まりをみずみずしく描き出したのは熊切和嘉。連合赤軍リンチ事件をモチーフとしたデビュー作『鬼畜大宴会』以来、1作ごとにまったく異なる主題の作品を発表してきた熊切監督が、初めて“普通の”青春を描く。
脚本は『アンテナ』以降、熊切監督とコラボレーションを続けている宇治田隆史。音楽は熊切監督作品のほか、山下敦弘監督作品でもお馴染みの赤犬が担当。エンディングを飾るのは野狐禅の名曲「ならば、友よ」とともに、青春の焦燥を加速させる。
全編に青春のほろ苦さを染み渡らせながら、なお輝きを諦めない傑作ができあがった。
ストーリー
難馬邦秋、27歳(竹原ピストル)。コンビニのバイトをして冴えない人生を送っているが、バットの素振りには半端でなく打ち込んでいる。目指すは“究極のスイング”。それは10年前の高校時代、ひとりグラウンドに残って素振りをしていたときに、ベイブ・ルースの息子と称するオッチャン(若松孝二)から伝授されたものだ。
難馬がバイト仲間の女子高生(佐藤めぐみ)から冷たい言葉をかけられた帰り道、数日前にバッティングセンターで絡んできた巨乳の酔っ払い女が路上の車を蹴りまくっているのに遭遇。女が車の持ち主に取り押さえられると、難馬は車のフロントガラスに金属バットを振り下ろし、車の持ち主を殴り倒すと女を連れて逃げる。それが難馬とエイコ(坂井真紀)の出会いだった。
高校生の万引きを見逃してバイトのシフトから外された難馬がアパートに戻ると、エイコは難馬の500円玉貯金の缶を空け、新品のテレビで中日−巨人戦を食い入るように見ていた。中日が負けて大荒れのエイコは酒屋に行くが、難馬は酒を買う金も持っていない。エイコは道端のコギャルを張り倒して金を奪う。コギャルは彼氏を連れて仕返しに来るが、難馬とエイコは再びバットでふたりをやっつける。難馬が甲子園球児だったと知り、尊敬するエイコ。
コギャルと彼氏は派出所に被害届けを出しに行くが、警官の石岡(安藤政信)は面倒くさがってふたりを追い返す。石岡は万引きした美人主婦に「見逃してやる代わりにパンツを見せろ」と言うほどの不良警官だ。後輩と巡回に出た石岡は、バットを持った難馬とエイコの姿を見かけ声をかける。「バナンバ?」 石岡と難馬は、かつて同じ高校の野球部の仲間だったのだ——。
スタッフ
原作:古泉智浩(秋田書店・ヤングチャンピオンコミックス刊)
製作:古屋文明/相原裕美
監督:熊切和嘉
脚本:宇治田隆史
音楽:赤犬(P-VINE)
アソシエイトプロデューサー;山森哲郎/市橋雄二/小松茂明
撮影:橋本清明
照明:大坂章夫
録音:沼田和夫
美術:井上心平
記録:田口良子
スチル写真:平間至
助監督:野口克己
制作担当:板井茂樹
主題歌:「ならば、友よ」野狐禅(スピードスターレコード)
制作:ステアウェイ
製作:日本出版販売株式会社/ビクターエンタテインメント株式会社
配給:ゼアリズエンタープライズ+日本出版販売
キャスト
竹原ピストル
安藤政信
坂井真紀
上地雄輔
佐藤めぐみ
若松孝二
寺島進
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