2006年/日本/カラー/96分/ドルビーデジタル/ビスタサイズ/ 配給:アンプラグド

2006年7月1日、テアトル新宿、テアトル梅田にてレイトショー

公開初日 2006/07/01

配給会社名 0712

解説


《もし、一生夏休みだったら?》
きっかけはこの一言からだった。
監督・三木聡と俳優・緋田康人、温水洋一が、ある時、大人たちが永遠の夏休みを手に入れたらどう生きるだろう? というアイデアを思いつき膨らませたところから映画『ダメジン』は生まれた。
フリーターやニートという言葉でくくられた、定職に付かない大人たちが急増し、社会問題になっている昨今。生涯を会社に託して定年までサラリーマンとして終えていくことが幸せだと思われた時代は終わり、今や人は生きていく意味を自分に問いかけなければいけない時代になった。

お金は無いけど、時間ならたっぷりある。子供なら遊んで暮らせるだろうが、大人だったらどうだろう? いや、案外大人でもなんとか暮らせるのではないだろうか。のんきな・・・・ダメジンたちは、「インドへ行けば一生働かなくてもいい」と聞いて、インド行きを決意する・・・。

《紆余曲折の末に劇場公開が決定!》
2002年初夏のこと。シティーボーイズを始めとして、舞台やテレビの構成作家として活躍していた三木聡が、初の劇場用映画として選んだのがこの企画であった。以前にも舞台用の短編映画として監督した作品『まぬけの殻』はあったものの、長編としては本作が初作品になるはずであった。同年夏に撮影された本作は順調にクランクアップ。ところが撮影終了まもなくして、映画は編集段階で中断。お蔵入り間近と思われた。一方で、『亀は意外と速く泳ぐ』、『イン・ザ・プール』など、後から企画された映画が順調に製作され、撮影された順とは逆の順番で作品が公開されるという異例の事態が起きた。そして2005年秋、ようやく目処が立ち、再び制作がスタート。編集・ポスプロも終了し、2006年夏に、無事公開を迎えることになった。

《脱力系という新しい笑いのジャンルを築いた三木聡の原点がここに!》
『イン・ザ・プール』、『亀は意外と速く泳ぐ』が連続して劇場公開され、どちらもクリーンヒット! テレビドラマ「時効警察」も深夜としては異例の高視聴率を記録した才人・三木聡の原点はすでに『ダメジン』に垣間見られる。ストーリーに、小ネタと独自のセリフを織り交ぜた不思議な世界観を構築するスタイルは、“脱力系”や“ゆる系”とも呼ばれているが、実は綿密に計算されている。セリフの間の取り方から、果ては役名の響きと性格の一致(例えばサ行の名前は神経質な性格)など、細部にわたって周到に練られている。アドリブを許さないことで知られる演出は本作からすでに始まっており、事前にすべての場面において本番同様のリハーサルを行い、脚本を作り込む、というスタイルを確立させた。

《あまりにも豪華なキャストが集合!》
今回は三木聡にとって理想的といえるキャスティングが実現した。ダメ人生の中にも希望だけは忘れないリョウスケ役には、「木更津キャッツアイ」(03)が大ヒットし、この秋続編も公開予定の佐藤隆太。好きな人がいながらリョウスケに惹かれていくチエミ役には、『blue』(03)でモスクワ国際映画祭最優秀女優賞を獲得した市川実日子。企画にも参加したヒラジ役の緋田康人、カホル役の温水洋一はリョウスケと共にダメな生活を送る仲間を演じる。また、伊東美咲を始め、岡田眞澄、菅原洋一など意外に見えるキャスティングも、みな脚本に惹かれて出演を決めた。『ALWAYS 三丁目の夕日』で2005年度日本アカデミー賞主演男優賞を受賞した吉岡秀隆は、“真面目なサラリーマン役にピッタリ”という三木の推薦でオファーしてみたところ、すんなり決定。今では三木組常連の岩松了も本作が最初の三木作品への出演であり、その他ふせえり、山崎一、村松利史、嶋田久作など、三木作品には欠かせない俳優たちも顔を揃えた。さらに篠井英介、麿赤兒、笹野高史、格闘家・謙吾、お笑いのザブングル加藤など個性溢れる役者たちが集まって、唯一無二の“ダメジン”ワールドが完成した!

ストーリー




いつまでも夏休みのように暮らしている、ダメな大人たちの物語。
川崎。ある暑い夏の日。
リョウスケ(佐藤隆太)、ヒラジ(緋田康人)、カホル(温水洋一)のダメジン3人組は、働かずに生きていける方法を日々考えて過ごしている。 “一生食い物に困らないためには何が食べられれば大丈夫か?”という実験を真剣に繰り返していた。
結局答えが出ないまま、暇つぶしに近所の猫じじい(笹野高史)の家へ。彼らは、浴槽で沸かしたコーヒを飲みながら、猫じじいから「ダラダラしているならインドへ行け。一生ブラブラしてても何とかなる」とインドの魅力を聞かされる。
彼らの幼なじみのチエミ(市川実日子)は親友タンク(伊東美咲)をトルエンで亡くし、恋人には突然失踪されるというくらい過去を持ち、自らもトルエン中毒に陥りながらさびれた靴屋でバイトをする日々を送っていた。
ある日、失踪したチエミの恋人ササキ(篠井英介)が3年ぶりに姿を現してから彼らの日々は少しづつ変化してゆく。
強制的にササキに誘われてドライブへ向かった彼らは、旅先で置きざりにされてしまい野宿をする羽目に。その夜、リョウスケ・ヒラジ・カホルは謎の宇宙人(ゴールデンチャイルド)のお告げを受ける。「君たち、インドへ行きなさい。そして人類を救いなさい」
インド行きを決意した彼らは100万円の旅費を貯めようとするが、もともと働くのが苦手なためまともな方法を思いつかない。郵便ポストを切断して切手を剥がして売ったりするが、お金は一向に貯まらない。リョウスケは仕方なくファーストフード店でアルバイトを始めてみるが、「1万円入ります!」すら言えないために、バイト先の店長・野際(岡田眞澄)に怒鳴られてばかり。
落胆したリョウスケはロケットのある秘密基地の土管に座って空を見上げるうち、土管にハマッて体が抜けなくなくなってしまっていることに気づく。偶然通りかかったチエミに助けられたことをきっかけに、2人の距離は徐々に縮まっていく。
そんな折リョウスケは、先輩のゲシル(謙吾)が倒産した銀行を襲撃するという噂を聞き、インドの旅費稼ぎのため一枚噛むことに。 
一方、チエミは、土管地帯のロケットでリョウスケと共に過ごすうち、恋人であったササキよりも、彼にほのかな恋心を抱くようになる。そんな彼女はリョウスケがヒラジとカホルと3人でインドへ行く話を聞いて、複雑な気持ちになる。
ついに銀行襲撃の日がやってきた。銀行に現金輸送車が到着した瞬間、ゲシルを先頭に100人以上の強盗団が銀行へ突入。各々現金を手に一斉に表へ出てくる。リョウスケたちは、危うく警察に捕まるところだったが、ゲシルの体を張った防御でなんとかすり抜ける。
インド永住というはじめての目標に全速力で走り続けるリョウスケ。
その時、土管のある基地から大きな炎があがっているのが見えたので駆けつけてみると、ロケットが一瞬にして、宇宙に向かって飛び立つ。が、すぐに横倒しになり炎に包まれてしまう。むなしさを残して派手にはじけるロケット。
やがて大粒の雨が落ちてきて、台風が近づいたことを知らせる。
果たして彼らのインド行きの夢はどうなるのか?

スタッフ

監督・脚本:三木聡
撮影:小林元 
企画:三木聡・緋田康人・温水洋一

キャスト

佐藤隆太
緋田康人
温水洋一
市川実日子
篠井英介
ふせえり
笹野高史
岩松了
山崎一
片桐はいり
麿赤兒
謙吾
村松利史
迫英雄
加藤歩(ザブングル)
菅原洋一
岡田眞澄
嶋田久作
伊東美咲
吉岡秀隆

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