2006年/日本/1時間59分/ビスタサイズ/ドルビーSRD 配給:アスミック・エース

2006年10月20日よりDVDリリース 2006年5月13日、恵比寿ガーデンシネマ、シネ・リーブル池袋、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!

公開初日 2006/05/13

配給会社名 0007

解説


 兄弟だからって一緒にいるわけじゃなく、兄弟であって友だち。季節や天気や気分に応じて、その日その日に楽しいことを満喫する。恋人もいた方がいいけど、いなくても良い。人はどうして、仕事に追われたり、面倒な人間関係に巻き込まれたりするのだろう。毎日はこんなに楽しいのに。
 毎日が楽しくないという人に、日常が楽しくなる方法を教えます。森田芳光監督最新作は、江國香織のキュートな原作「間宮兄弟」をチャーミングに映画化した『間宮兄弟』。小さな楽しさがいっぱいあふれている、楽しいライフスタイル提案します。
 間宮兄弟は30代になっても同居を続けている仲の良い兄弟。兄明信はビール会社研究員、弟徹信は小学校校務員をしている。日々、兄弟は様々な日常の歓びを重ね、楽しく生きている。テレビでスコアを付けながら野球を見たり、趣向を凝らしてビデオやDVDを連続で見たり、紙飛行機を作って飛ばしたり、日曜の昼に商店街にグリコじゃんけんで行って餃子を食べたり、寝ながら一日の反省会をしたり…。で、そんな兄弟に欠けているのは恋人。徹信は兄のために、同じ学校で働く葛原依子先生と、兄弟に微笑みかけてくれるレンタルビデオ店員の直美を誘ってカレーパーティを企画する。ふたりの美女は間宮兄弟宅にやってくることになるのだが…。
 近年の森田監督作品は『模倣犯』『阿修羅のごとく』『海猫』など文藝大作が多いが、本作は小説映画化という点は同じながら、そうした作品群からさらに発展している。原作「間宮兄弟」を忠実に脚色しながら、映画や小説の約束事にとらわれない世界を展開している。『の・ようなもの』『家族ゲーム』『ときめきに死す』など、初期作品群に通ずるようなプリミティヴな楽しさ、面白さにあふれながら、さらに自身がつくった指標を踏み超える世界を構築。森田エンタテインメントは進化を続け、『間宮兄弟』で最も新しいフィールドに到達した。
 森田監督を支えるのは鉄壁の森田組スタッフ陣。撮影は『失楽園』『39 刑法第三十九条』の高瀬比呂志、照明は『阿修羅のごとく』の渡邊孝一、美術は『阿修羅のごとく』『海猫』の山?秀満、録音は『海猫』の高野泰雄、編集は『失楽園』『阿修羅のごとく』の田中愼二、音楽は『失楽園』『模倣犯』『阿修羅のごとく』の大島ミチル、衣裳は『阿修羅のごとく』『海猫』の宮本まさ江、装飾は『黒い家』の湯澤幸夫、助監督は『の・ようなもの』『海猫』の杉山泰一。そして、主題歌は本作のためにRIP SLYMEが特別に書き下ろし、映画の鑑賞後感を盛り上げている。
 そして、本作の最高のセールス・ポイントは、森田監督の鋭い慧眼にかなったユニークで個性溢れるフレッシュなキャスト。まず、主役の間宮兄弟、兄明信に『電車男』『県庁の星』の佐々木蔵之介、弟徹信にお笑いコンビ ドランクドラゴンとして活躍中の塚地武雅。ヒロインの美女たち、葛原依子先生に『赤い月』『星になった少年』の常盤貴子、本間姉妹の姉直美に『パッチギ!』『SHINOBI』の沢尻エリカ、妹夕美に『ワイルドスピード3』でハリウッドデビューも決まった北川景子、間宮兄弟の母順子に日本を代表する歌手の中島みゆき、と想像を絶する期待のキャストが組まれている。間宮兄弟を囲むおかしな人々も非常に豪華、明信の会社の先輩・大垣に7年振りの映画出演となる高島政宏、その妻さおりに『女はバス停で服を着替えた』『八月のクリスマス』の戸田菜穂、浮気相手の女性上司安西に『郡上一揆』『新しき風〜若き日の依田勉三』の岩崎ひろみ、直美の彼氏浩太に『ローレライ』『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』の佐藤隆太、夕美の彼氏玉木に映画初出演で普段はスタイリストとして活躍中の横田鉄平、兄弟が行く薬局の女性店主に広田レオナ、兄弟の祖母に加藤治子とヴァラエティに富んだ錚々たるメンバーが、映画のワンダーワールドをつくりあげている。

ストーリー



 東京、下町のとあるマンション。間宮兄弟はここで一緒に暮らしている。
 兄、間宮明信は、ビール会社の商品開発研究員。子供のころから色水を作るのが大好きで、いつかその色があまりに気に入り、飲んでしまい下痢が収まらず、病院に運ばれたこともあった。
 弟、間宮徹信は、小学校の校務員になるため、真っ赤な顔して汗をかきながら途方もなくたくさんの講習を受けた。そんな彼は、何かとことん落ち込んだり哀しいことがあると必ず新幹線の操作場に行く。彼は新幹線が好きなのだ。
 彼らには共通の〝大好きなもの”と〝その楽しみ方”がある。横浜ベイスターズの試合をテレビ観戦する時は、ベイスターズの帽子をかぶりスコアを記入する(勝った時用の紙ふぶきも忘れない)。ビデオ鑑賞に欠かせないのはお気に入りの飲み物(明信はビール、徹信はコーヒー牛乳)と山盛りのポップコーン。休日の午後の昼寝、散歩、餃子じゃんけん、自転車、クロスワードパズル、紙飛行機etc…….彼らは自分たちの世界で、楽しく穏やかに何不自由なく暮らしている。お互い、恋人はいないけれど。
 「この部屋でカレーパーティーやろうか」
 ある日、徹信が兄に持ちかける。招待客は二人の女性だ。
 一人目は、徹信と同じ小学校で働く葛原依子先生。依子は、密かに同僚の教師、犬上と交際中だが、なかなか煮え切らない犬上の態度に苛立っている。教室で徹信に誘われた依子は、気晴らしにとOKする。
 二人目は、行きつけのビデオショップでアルバイトしている大学生の本間直美。直美には浩太というボーイフレンドがいるが、野球部の練習ばかりでろくにデートもしてくれず、不満を抱えている。お店で明信に誘われた直美は、暇つぶしと興味本位でOKした(本当は事前に徹信に頭を下げられ、断れきれなくなっていた)。
 カレーパーティー当日。カレーは3種類のチョイスカレー(チキン、ビーフ、シーフード)、テーブルの上には花、食後のボードゲーム、準備は完璧。
 緊張する兄弟をよそに、依子と直美は部屋にある様々な物(新幹線の模型、ボトルキャップのコレクション、最新型洗濯機、大量のゲーム、本etc.)を珍しそうに物色する。カレーは大好評、モノポリーは大興奮、パーティーは大成功に終わり、〝今日の反省会”は史上最高に盛り上がった。
 夏休み、間宮兄弟は、母と祖母の暮らす故郷・静岡に帰省する。母の大好きなお土産をたくさん買って、大好きな新幹線に乗って。
 新富士駅には母、順子が中古で買ったロールスロイスでお出迎え。田舎に帰れば兄弟は今も子供のまま。おこづかいをもらい、ここでもやっぱり昼寝をし、海水浴を楽しんだ。
仕事帰りに時々、明信はビール会社の先輩である大垣と安西とバーに立ち寄る。この日は、大垣と二人カウンターに座り、ある相談を受けていた。大垣は妻、さおりに離婚を切り出して以来、家に入れてもらえないという。そして離婚の原因は安西との不倫にあるというのだ。「さおりと安西の二人を知っているのはお前だけ。何とかしてくれ」と言われ、明信は唖然とする。
 数日後、大垣家のリビングで向かい合う大垣と明信、そしてさおり。離婚の話は平行線、さおりの用意した料理も手付かず……明信は大事な弟の待つ家に早く帰りたいと思っていた。
 しかし同じ夜、徹信は兄の帰りを待っていなかった。セクシーキャバクラで過ごした後、ゲームセンターで知り合った女エイコに誘われるがままバーに行き、「コーヒー牛乳2杯で10万円」というとんでもないぼったくりに遭っていた。
 怒りに震えながら家に帰った徹信を、明信が暖かく迎える。兄の得意の塩むすびを食べながら落ち着きを取り戻し、癒やされる徹信。幸福な深夜の風景。
 夏もそろそろ終わり。今日は、間宮兄弟の家で〝浴衣パーティー”。
 今回は依子と直美に加え、直美の妹の夕美とその彼氏の玉木も参加した。初めて来た夕美と玉木は、例によって兄弟の部屋のマニアぶりを見学。ベランダでは、依子が犬上と別れたことを直美に打ち明けている。神経衰弱、モノポリー、そして線香花火……最後の炎が消えたところでパーティーもお開き。〝今日の反省会”でさっきまでの出来事をかみ締めながら、明信は自分が直美に恋していることをあらためて実感する。
 明信が仙台出張の夜、間宮家の電話が鳴る。電話をしてきたのは大垣の妻、さおり。どうしても大垣に渡して欲しいものがあるとさおりが言い、徹信が代理で受け取りに行く。
喫茶店でさおりと対面する徹信。なぜ大垣はこんなに素敵な奥さんと離婚しようとしているのだろう?  そして、なぜ兄はその片棒を担いでいるのか?
 仙台から帰った明信を、むすっとした顔で迎える徹信。大好きな笹かまぼこにも見向きもせず、大垣の一件で兄を責める。徹信はさおりの美しく寂しげな表情が頭から離れなかった。
 直美のいるビデオショップに、今日は明信が一人でやってきた。勇気を振り絞って明信が言う。「どこかに二人でデートに行きませんか?」 ……直美は好きな人がいると告げた。明信はあっさりフラれてしまった。
 徹信を呼び出し、兄弟は行きつけの銭湯でリフレッシュし、夜の公園で紙飛行機を飛ばす。飛行機は修正すれば飛び方を変える。しかし、恋は修正がきかない……。

スタッフ

原作:江國香織
撮影:高瀬比呂志
照明:渡邊孝一
美術:山?秀満
録音:高野泰雄
編集:田中愼二
音楽:大島ミチル
衣裳:宮本まさ江
装飾:湯澤幸夫
助監督:杉山泰一
音響効果:伊藤進一
主題歌:RIP SLYME

キャスト

佐々木蔵之介
塚地武雅(ドランクドラゴン)
常盤貴子
沢尻エリカ
北川景子
戸田菜穂
岩崎ひろみ
佐藤隆太
横田鉄平
佐藤恒治
桂憲一
広田レオナ
加藤治子
鈴木拓(ドランクドラゴン)
嶋政宏
中島みゆき

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