ユアン少年と小さな英雄
原題:Greyfriars Bobby
2005年/イギリス/カラー/104分 配給:アルバトロスフィルム
2007年3月24日、シャンテ・シネほか全国順次ロードショー!
公開初日 2007/03/24
配給会社名 0012
解説
スコットランドの人々の間で愛され続けている忠犬ボビー。19世紀に実在したテリア犬だ。主人の死後、14年間に渡ってその墓を守り続けたボビーのエピソードは代々に語り継がれ、スコットランドの首都エディンバラにはボビー像も建てられている。この有名な実話に当時の新聞に記されていた史実を加え、また魅力的な少年を架空の人物として配することで、大人も楽しめるハートウォーミングなドラマが誕生した。
少年ユアンは、警察官ジョン・グレイが飼っているテリア犬ボビーと大の仲良し。が、主人が死んでしまってからというもの、ボビーは教会墓地に眠る主人のそばを離れなくなる。それを疎ましく思う資本家の策略にも負けず、断固として墓を守り続けるボビー。一方、町のヒーローになっていく親友の活躍を喜ぶユアンに思わぬ試練が。さらに町では登録犬制度が施行され、ボビーは絶体絶命の危機に陥る。
主人と犬。少年と犬。それぞれの絆が感動を呼ぶのはもちろん、ボビーが町の人々を、いや町そのものを変えていく静かなスケール感も、本作のさらなる魅力だ。勇気と忠誠心溢れる1匹の犬と、貧しくも賢い少年が気持ちを通わせ町に奇蹟を起こすクライマックスは、観る者の心に温かな希望の灯りをともすだろう。
これまでも犬と少年を主人公にした映画は数多く発表され、人気も高い。ピュアな心で結ばれた者同士の友情は、いつの時代にも普遍的な美しさを感じさせるのだ。愛する主人を亡くしたボビー。やがて孤児院生活を余儀なくされるユアン。過酷な運命に巻き込まれながらも、互いに信頼し合い、苦境を乗り越えていく姿に胸を打たれる。
そうした感動をことさら盛り上げているのが、ボビーを演じる犬の名演だ。スクリーンを駆け回り、ときに驚くほどキュートな表情や動きを披露してくれる白いテリア犬。彼の名演なくして映画は成り立たなかっただろう。実はこの犬、本作のドッグ・トレーナーの飼い犬。ごく普通の家族犬として生きてきた犬が、大抜擢により、見事な演技をこなしてしまった。2年以上をかけたその訓練には、人が犬よりはるか上に立って教え込む昔ながらの方法ではなく、自発的、機能的な行動から発するトレーニングを取り入れたという。
また、スコットランドの緑豊かな自然も、犬と少年の物語を大いに引き立てる。ロケ地となった中部の町スターリングは、100年以上前のエディンバラを再現するのに格好の場所となった。スコットランドならではの教会や古城や自然の風景は、壮大なロマンを孕んでいる。
ベテランから新人まで、多彩な顔ぶれが並ぶキャスティングにも注目。主人公の少年ユアンを演じるのは、オーディションで選ばれた11歳の新人オリバー・ゴールディン。ロンドン郊外の町ウィンブルドン出身ながら、完璧なスコットランド訛りを身につけてフレッシュな演技を見せている。犬との交流を通して徐々に心優しい一面を見せていく教会の管理人ジェームス・ブラウンを、『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』ほか、ハリウッド大作でも活躍するスコットランドの人気俳優ジェームス・コスモが好演。リー牧師には、現在エマ・トンプソンの夫でもある演技派俳優グレッグ・ワイズ。ジョン・グレイ役に主に舞台で活躍しているトーマス・ロックヤー、その妻モーリン役に『ひかりのまち』『ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密』などのジーナ・マッキー。ボビーの友だちのココナッツ・タムに、アイルランド人俳優アーダル・オハンロン。そして、映画の鍵を握るチェンバース市長役を、イギリス映画界きっての大御所俳優クリストファー・リーが務めているのは大きなサプライズだ。
監督は、『永遠の夢/ネス湖伝説』や、英国映画テレビ芸術アカデミー賞受賞作品『床下の小さな住人たち』などで評価されたジョン・ヘンダーソン。
ストーリー
1958年、スコットランドのエディンバラ。貧困地区に母と暮らす少年ユアンは、警察官ジョン・グレイの忠誠なテリア犬ボビーと大の仲良し。ボビーは大きな雄牛を前にしても、決然たる視線でそれを立ち止まらせるほどの勇気を持っている。
ある日、暴漢をとらえようとしたグレイは危機一髪となるが、そこへボビーが現れ、主人の身代わりに男が取り出したナイフに刺されてしまう。この事態を耳にしたユアンがグレイ宅へ駆けつけると、軽症を負ったボビーと病床に伏すグレイがいた。彼が病に侵され死期が近いことは、妻モーリンも承知のことだった。ユアンに偉人伝を渡し、この中のひとりのようになってほしいと、グレイは別れの言葉を残す。
それからまもなく、グレイの葬儀が執り行われた。深い悲しみに暮れるボビーは、主人の眠るグレイフライアー教会の墓地に忍び込み、そこで暮らすようになる。
この教会を受け持つリー牧師は、町の人々の信頼を得る人気牧師だ。一方で、貧困地区復興を説く解放的な考え方は、教育委員会からは睨まれていた。
さて、どこからともなく教会の墓地に入り込み居座るボビーに、管理人ジェームス・ブラウンは最初腹を立てていたが、どんなに追い払われても戻ってくる熱意に気持ちを動かされていく。そんなとき、リー牧師をことさら目の敵にする地元の資本家で紡績工場の経営者スミシーと、反動主義的な孤児院の理事ジョンソンが、墓地に佇むボビーの存在を訝しく思いはじめる。リー神父の機転でこのピンチを乗り越えるも、ボビーにさらなる試練が。グレイの妻モーリンがボビーを連れて、エディンバラから何マイルも離れたダンバーに越してしまったのだ。それでも、ボビーは大自然を駆け抜け、墓地に戻ってくる。この勇姿はたちまち町に知れ渡り人々の賞賛を集めるが、スミシーとジョンソンは面白くない。彼らの罠に陥りそうになったボビーを、ユアンと彼の友だちシーナ、そして地元のならず者と呼ばれるココナッツ・タムは力を合わせ、見事に救出する。
ある夜、ユアンの家を含む老朽化した貧困地区の家屋が突然崩壊してしまう。がれきに埋もれたユアンはボビーに助け出されるものの、母親は死に、彼は孤児となる。そのままジョンソンが経営する暗く怖い孤児院に引き取られ、休日さえない労働を強いられるユアン。しかし、これほど過酷な状況に置かれても、ジョンソンに彼の事務所の掃除を命ぜられれば、こっそり棚から本をくすね、就寝時は月明かりで読書に耽る強さをユアンは忘れなかった。
一方、ボビーは懸命の探索の末、ユアンの居場所をつきとめる。ボビーはユアンに脱出するアイディアを与え、どうにか少年は孤児院からの脱出を成功させる。ユアンはシーナの父親から仕事をもらい、肉屋で働きながら新しい一歩を踏み出すのだった。
その頃、町では登録犬制度が施行されはじめていた。ボビーの主人はすでに死んでいるために、法的にはボビーは野良犬扱いになる。ユアンの脱走に激怒していたジョンソンとスミシーは、ボビーを未登録犬として通報。最悪なことに、ボビーは捕獲され動物収容所に入れられてしまう。
ボビーに対する判決は、正午に法廷で検討されることになった。ユアンは大胆にもエディンバラ市長チェンバースの執務室に侵入し、必死で助けを乞う。そして、今まさにボビーの判決が下ろうとしていたとき、ボビーを連れたチェンバースが法廷に現れる。ボビーは教会に住む犬であり、教会を運営する市議会の責任者は市長である。よってボビーは市長彼自身の犬だと、チェンバースは主張。しかし、法的にその論法は有効でないと裁判官に判断されてしまう。もはやボビーを助ける手段はないのか。聴衆席にいたユアンにあるアイディアがひらめく。それは、かつてボビーの主人グレイにもらった偉人伝からヒントを得た妙案だったーー。
スタッフ
監督:ジョン・ヘンダーソン
製作:クリストファー・フィッグ
脚本:ジョン・ヘンダーソン
リチャード・マシューズ
ネヴィル・ウォッチャースト
撮影:ジョン・イグナティウス
音楽:マーク・トーマス
キャスト
オリヴァー・ゴールディング
ジーナ・マッキー
クリストファー・リー
ジェームズ・コスモ
グレッグ・ワイズ
ショーン・パートウィー
アーダル・オハンロン
カースティ・ミッチェル
LINK
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