原題:Au Coeur du Mensonge

愛においては、誰もが犯罪者。 −−−僕は殺してない。 −−−彼とは寝てないわ。

1999年/フランス映画/1時間53分/カラー/ヴィスタ/ドルビーSRD/日本語字幕:寺尾次郎/配給:セテラ

2000年10月27日よりビデオ発売・レンタル開始 2000年1月22日よりお正月第2弾 キネカ大森にてロードショー

公開初日 2000/01/22

配給会社名 0117

解説

もう、誰も信じられない。少女殺人事件が田舎町を「嘘」の迷宮に変える

 ブルターニュの町で暮らす画家ルネと訪問看護婦ヴィヴィアンヌの夫婦を悪夢が襲った。ルネの絵画教室の生徒である少女が強姦され殺されたのだ。少女がレッスン後に殺害されたことから若き女警部ルサージュはルネを執勃に尋問、住人たちの疑惑の視線が彼に注がれる。そんな中人気作家のデモがヴィヴィアンヌに接近してきた。事件以来、外界を避ける夫に悩むヴィヴィアンヌは快活なデモに安らぎを感じ、次第に彼と親密な間柄になってゆく。そして偶然知った妻の「嘘」から、彼女の心がデモに傾きつつあることに気付き苦しむルネ−−−。殺人犯かも知れない夫。不貞を働いたかも知れない妻。町が疑心暗鬼に陥った中、第二の殺人が起きる…。

サスペンスの巨匠クロード・シャブロルが観客に仕掛けた最新の罠

 デピュー当初の才気溢れる『いとこ同志』(58)や『二重の鍵』(59)から近年では国外でも高い評価を受けた『主婦マリーがしたこと』(88)や『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇』(95)まで、常に第一級のサスペンス映画を発表し続ける巨匠クロード・シャブロル。通算51作目に当たる本作『嘘の心』では、先の読めないスリリングなストーリーを従来より抑えた演出で描いて新境地を見せ、40年を越える監督生活に於いて再び絶頂期を迎えたと賞賛を浴びた。
 主要スタッフはここ数年のシャブロル作品に携わった”シャブロル組”が集結。製作は『Poulet Au Vinaigre』(未・84)以降本作までのシャブロル監督のほぼ全作品を手掛ける敏腕プロデューサー、マラン・カルミッツ。共同脚本は『Violette Noziere』(未・78)や『ふくろうの叫び』(87)等で度々組んできたオディル・バルスキ。シャブロル監督とは『Docteur.M』(未・90)以来約10年ぶりのコラボレーション復活となった。ブルーを基調としたカメラで本作を更に謎めいたものにしている撮影のエデュアルド・セラは『髪結いの亭主』(90)から『鳩の翼』(97)等の大作まで手掛ける売れっ子。
 シャブロル作品には前作の『Rien Ne Va Plus』(未・97)に引き続きの登板である。その他編集のモニク・ファルデュリス、衣装のコリンヌ・ジョリー、音楽のマチュー・シャブロル等の常連たちが各パートで卓抜した仕事ぶりを見せ、作品を支えている。

現代フランス映画界屈指の実力派4人が奏でる“演技の四重奏”

 俳優使いの名人としても知られるシャブロル監督。これまでもジャン=クロード・ブリアリ、ベルナデット・ラフォン、ステファーヌ・オードランやイザベル・ユベールといった俳優たちの実力を開花させてきたが、今回の主演者4人からは“演技の四重奏”ともいえる競演を引き出している。妻ヴィヴィアンヌには鮮烈な印象を残した『沈黙の女〜』に続き二度目のシャブロル作品となるサンドリーヌ・ボネール。本作では生活感溢れる美しさと毅然とした表情が魅力的だ。夫ルネには個性的なマスクに繊細さが同居する『パリのレストラン』(95)の注目株ジャック・ガンブラン。殺人の嫌疑と妻の不倫の疑惑に苦しむ男の胸の内を最小限の演技で見事に表現した。ルサージュ警部には『ネネットとボニ』(96)『愛する者よ、列車に乗れ』(98)のヴァレリア・ブルーニ=テデスキ。意外な人選ではあるが、これまでになかった鋭さを感じさせる演技で監督のチョイスに応えた。そして物語をさらに複雑にする曲者デモ役に元人気キャスターで著作もあるアントワーヌ・ドゥ・コーヌ。今年セザール賞の候補になった彼、本作でもデモという男の魅力的な面と軽薄な面を絶妙なバランスで演じきった。この4人に加え最近は『エステサロン ヴィーナス・ヴューティ』(98)に出演のベテラン女優ピュル・オジエ、名脇役で製作者としての顔も持つベルナール・ヴェルレイ、シャブロル作品の常連ピエール・マルトと監督の息子トマ・シャブロル、『愛の地獄』(94)にも出ていた映画監督でもあるノエル・シムソロら多彩な顔ぶれが脇を固めている。
 『嘘の心』は殺人事件を描いたサスペンス映画であると同時に、様々な「嘘」に翻弄される人々と、「嘘」に試される男と女のドラマでもある。それを越えて、ルネとヴィヴィアンヌがとったある“行動”とは…。真犯人の解明よりも深い謎を残すラストを、あなたはどう受けとめるだろうか。

ストーリー

ブルターニュのある田舎町にて、10歳の幼い少女エロディの死体が発見された。

−−−絞殺であった。

 若くして警部に昇進したばかりのフレデリック・ルサージュ(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)は、絵画教室の講師ルネ(ジャック・ガンブラン)に捜査の目を向けている。彼の絵画レッスン後にエロディは殺害されており、つまりルネは生前のエロディに会った最後の人物なのである。

 ルネ夫妻、とりわけ訪問看護婦をしている妻ヴィヴィアンヌは、近隣の住民たちと上手く付き合ってはいたが、夫妻はいわゆる昔ながらの“土地の人間”ではなかった。ヴィヴィアンヌはこの狭い社会のごく小規模な世界に生きていた。夫ルネが仕事に恵まれず、すっかり自信喪失して落ち込んでいるためである。ルネの描く絵は売れず、生計を立てる為に、本意ではない絵画教室の講師をしているのだった。

 地元“スター”であるジェルマン・デモ(アントワーヌ・ドゥ・コーヌ)はメディアの注目を浴びる売れっ子の作家である。デモは物腰も柔らかく、人目を引く魅力的な男であり、恋の対象として十分な要素を兼ね備えていた。ヴィヴィアンヌはそんな彼に次第に惹かれていく。ルネは妻の気持ちのうつろいを薄々感じてはいるが、ただ戸惑うばかりだった。

 ルネに対する世間の疑惑の目は、日毎厳しくなり、とうとうルネの生徒は一人残らず去ってしまう。そんな中で、ヴィヴィアンヌは孤立奮闘していた。地元警官ルダン(ベルナール・ヴェルレイ)の助言に支えられて慎重に捜査を進める女警部を相手どり、苦戦するのだった。

 やがて第2の殺人が起こり、街に不安の色を一層濃くさせる。

 女警部は真相を追求すべく慎重に人々の言葉に耳を傾ける。街の人々は快く証言を続けるのだが……

スタッフ

監督:クロード・シャブロル
脚本・台詞:オディル・バルスキ、クロード・シャブロル
撮影:エデュアルド・セラ
音楽:マチュー・シャブロル
編集:モニク・ファルデュリス
録音:ジャン=ベルナール・トマソン、クロード・ヴィラン
フレーム:ミシェル・ティリエ
美術:フランソワーズ・ブノワ=フレスコ
衣装:コリンヌ・ジョリィ
記録:オーロール・シャブロル
助監督:セシル・メストル
製作担当:イヴォン・グレン

キャスト

ヴィヴィアンヌ:サンドリーヌ・ボネール
ルネ:ジャック・ガンブラン
フレデリック・ルサージュ:ヴァレリア・ブルー二=デデスキ
ジェルマン・ロラン・デモ:アントワーヌ・ドゥ・コーヌ
ルダン警部:ベルナール・ヴェルレイ
イヴリーヌ・ボルニエ:ピュル・オジエ
レジス・マーシャル:ピエール・マルト
ボルニエ:ノエル・シムソロ
ヴィクトール:ロドルフ・ポーリィ
アンナ:アドリエンヌ・ポーリィ
ベティ:ヴェロニク・ヴォルタ
マダム・ルモワンヌ:シルヴィ・フレップ
クリスチャン:エリック・サヴァン
ジョエル・サルヌ:プロラン・ジパシエ
レジスト医師:トマ・シャブロル
エロイーズ・ミシェル:ウェンディ・マルペリ
レティシア:アナスタシー・ロングル
ソフィー・ルサージュ:ジュリア・コットレ

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