原題:Scent of Love

こんなに誰かを愛したことはありますか? こんなに誰かに愛されたことはありますか?

2003年/韓国/1時間49分/カラー/日本語字幕:根本理恵 配給:タキコーポレーション/リベロ

2005年02月04日よりビデオレンタル開始 2005年02月04日よりDVD発売開始 2004年10月16日よりキネカ大森・池袋シネマ・ロサ他、全国順次ロードショー

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サブ題名 世界でいちばん愛されたひと

公開初日 2004/10/16

配給会社名 0101

解説


 『八月のクリスマス』、『ラスト・プレゼント』、『ラブストーリー』、そして社会現象にもなったTVドラマ「冬のソナタ」と、涙を誘う純愛ドラマの数々を産み出してきた韓国で、今、新たな心揺さぶる愛の物語が誕生した。原作は、韓国のみならず広くアジアでベストセラーとなり、200万人以上の人々が泣いたキム・ハイン著「菊花の香り」(訳:宮本尚寛/PHP研究所刊)。‘韓国版「世界の中心で愛をさけぶ」’とも言うべきこの物語を、『シルミド』(03/04)の脚本家キム・ヒジェが、小説の持つしみじみとした味わいを損なうことなく、よりドラマティックな映画へと脚色した。
 愛する人の幸せが自分の幸せになり、苦しみが自分の苦しみになる。その人なしでは生きられないほどの激しく切ない愛…。そして、至福の愛で包んでくれた人を残して逝かなくてはならない身を切られるほどの哀しみ…。限られた時間だからこそ、二人で過ごす一瞬が永遠に刻まれる。自分ではなく、互いに愛する人のことだけを思いやる、この深く切ない大人の純愛物語に、韓国中が熱い涙を流した。 
 ひたむきな愛を体現するイナに、『殺人の追憶』(03/04)の容疑者役で強烈な印象を残し、今韓国で最も熱い注目を集める若手演技派俳優、パク・ヘイル。深い愛をくれたイナから死によって引き裂かれなくてはならないヒロイン、ヒジェの哀しみを切々と演じたのは、『反則王』(00/01)、『鳥肌』(01/未・青龍映画主演女優賞受賞ほか)のチャン・ジニョン。イナへの想いを隠して二人の愛を見守る女医ジョンナンには、『美術館の隣の動物園』(98/00)のソン・ソンミ。
監督は、俳優としての顔も持つイ・ジョンウク。本作が長編映画初監督作品となる彼は、「デジタル世代の観客をアナログのエモーションで感動させたい」と語る。

ストーリー

 大学新入生のイナ(パク・ヘイル)は、ある日、地下鉄で妊婦をかばって口論する若い女性、ヒジェ(チャン・ジニョン)を見かける。すれ違いざま、彼女の髪からさわやかな菊の香りを感じてイナの心はときめく。歴史研究会のサークルで、彼は、ヒジェと再会し胸踊らせる。きつい言葉もポンポン吐き、自信に満ちたヒジェはサークルの会長であり、イナの先輩にあたる学生だった。
 夏のある日、合宿の集合時間に、イナは遅刻する。船着き場でイナを待っていてくれたのは、ヒジェだった。イナの足に、彼女の蹴りが入る。憧れのヒジェとふたりきり、船上で金色に輝く空と海を見つめるイナは幸せだった。島の海で、溺れかけたヒジェを助け、愛を告白するイナ。ヒジェは、20歳のイナの一途な想いを冗談に紛らわし、彼の腹にパンチを見舞う。思わず唇を奪うイナだったが、恋人がいるヒジェはきつい言葉ではね除けた。「本当の愛は、相手の人生まで背負うことよ」

 ヒジェは卒業後、デザイナーとして活躍し、恋人と婚約する。彼女を忘れようと苦しむイナが兵役につき、厳しい訓練を受けている頃、ヒジェを突然の不幸が襲う。交通事故で婚約者と両親を失い、自身もやっと生き残るほどの大怪我をしたのだ。兵役から戻り、ラジオ番組のプロデューサーとなったイナは、ヒジェへの想いを、聴取者からの葉書という形に偽り、毎週ラジオで流す。そんなある日、イナはヒジェの親友でサークルの先輩のジョンナン(ソン・ソンミ)から、ヒジェと直接向き合うよう背中を押される。ヒジェにどう思われようと変わらぬ愛をぶつけ、長い間失ったままの彼女の笑顔を取り戻すために、自分ができることは何でもしようとイナは決意する。
 生きる意欲をなくし、食事もとらないというヒジェの家の前に、彼女の好きな町中のヨーグルトを積み上げるイナ。「何故私を愛してるの?」と聞くヒジェに、イナは「君だから。…君の命に感謝している」と答える。その言葉に、とうとう彼女の閉ざされた心は開く。結婚を反対していたイナの母が、「一途な夫に愛されるのは、辛いことだし、幸せなことよ」という言葉で、ついに祝福してくれた時、イナとヒジェの頬には、涙が光っていた。あの島の夏の日から7年の年月がたっていた。

 幸せな結婚生活が始まった。ヒジェが初めて声を出して笑ったとき、イナは感動のあまり涙を流す。3年後、ヒジェが妊娠した。イナの優しさに拍車がかかる。産科医となっていたジョンナンも、ヒジェに訪れた幸せを、自分のことのように喜ぶ。
 そんな冬の日、ラジオ番組にペンネーム「紙の国」という女性から葉書が届く。それは、胃ガンで余命数ヶ月と宣告された妊婦が、病気を夫には告げずに、子供を産もうと決意したという内容だった。「まだ見ぬ子供のために妻の命をあきらめる夫はいない。勝手に産むことを選択するなんて、夫に対して思いやりがなさすぎるよ」と怒るイナと、「でもこの女性の心はわかるわ」と語るヒジェ。二人の気持ちが初めてすれ違う。
 あまりにもつわりが激しいヒジェの様子を心配していたイナは、ある日の「紙の国」の文面に、ハッとする。「大好きだった夫のコロンの香り、その夫の匂いが、病気のせいで苦手になってきて、とても心が辛い」という内容。今朝、イナのコロンを、さり気なく避けたヒジェ…。「紙の国」はヒジェだったのか!?
 診察室に飛び込んできたイナの目を見て、ジョンナンは彼が全てを知ってしまったことを悟る。「ヒジェには知らないことにしていて。それが彼女の望みよ」ヒジェの親友であり、イナのこともずっと好きだったジョンナンの瞳から、苦悩の涙が溢れる。 地面に崩れ落ち、ひとり号泣するイナがいた。

 イナとヒジェの、病気に気づかぬふりをした、深い愛に満ちた生活が始まった。相手の苦しみや哀しみを思い、互いに隠れて声を殺して泣く二人。二人の命が吹き込まれた胎内の赤ん坊を守り切るために、ガンの治療を拒否し、何があっても残された時間を生き抜こうとするヒジェの壮絶な決心を、イナは、苦しくとも何も言わずに受け入れようとしていた。彼は休暇を取り、残された時を思い出の島で二人だけで過ごすことを決意する。
 海辺で過ごす幸せで切実な日々。ヒジェは、生まれてくる子のために、絵本を作り、自分の愛を遺そうとする。
「赤ちゃんが生まれたら、おしめはあなたが替えて。文字や数字を教えるのも、短気な私には無理だからあなたの仕事よ…」今や互いが全てを知っていることを知りながら、明るさを装う二人。だが、うなずくイナの瞳は濡れていた。
ガンは身体を蝕み、ヒジェを襲う痛みは隠しきれないものになってきた。身替わりになれない自分に苦悩するイナ。「私がいなくなったら、あなたの爪は誰が切るの?あなたはひとりで生きていけるの?」
溢れ出たヒジェの想いに、イナは嗚咽をこらえ切れない…。

 生死をかけた出産のときがやって来た。イナが握りしめていたヒジェの手が離れ、手術室の扉が閉まる…。

スタッフ

監督:イ・ジョンウク 
製作:テウォン・エンターテイメント・プロダクション
エグゼクティブ・プロデューサー:チョン・テウォン
プロデューサー:ユ・ジュンホ/キム・ヨンノ
脚本:キム・ヒジェ/イ・ジョンウク
撮影:イ・フゴン
照明:ウォン・ミョンジュン
編集:パク・コッチ
音楽:ムン・デヒョン
原作:「菊花の香り」(PHP研究所刊)

キャスト

ヒジェ:チャン・ジニョン
イナ:パク・ヘイル
チェ・ジョンナン:ソン・ソンミ
チョン・ウナ:チョン・ウナ
カン・ソンホ:キム・ユソク

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