原題:Moi César, 10 ans 1/2, 1m39

フランス映画祭横浜2004::http://www.unifrance.jp/yokohama/ フランス映画祭横浜2004観客賞受賞

2003年/フランス/カラー/91分/ 配給:アスミック・エース

2005年01月14日よりビデオレンタル開始 2005年01月14日よりDVD発売開始 2004年7月31日、日比谷スカラ座2、新宿武蔵野館ほかにてロードショー!

公開初日 2004/06/16

公開終了日 2004/06/20

配給会社名 0007

解説


毎日がプチ冒険
“大人の世界”をじーっと観察しながら、子供であることを利用し、そのくせ子供扱いされることを嫌う……10歳は、デリケートでムズカシイお年頃。
『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』は、フランスで暮らすシャイで好奇心いっぱいで甘い物に目がない”ヒーロー”セザールの”日常の大冒険”を描く、とびきりユニークでハートウォーミングな物語。大人になると何ということのない日常のあれこれ、でも子供たちにとっては毎日が冒険! セザールの日々もドキドキの連続です。学校、習い事、おつかい、パパの出張、田舎でのお泊り、そしてサラのこと……ついには両親に内緒でモルガンの父親探しにサラと3人でロンドンへ!!
 ちょっと小太りであることへの”羞恥心”と甘い物への”執着心”、モルガンとの”友情”とサラへの”愛情”……そんな、さまざまな葛藤に板ばさみになり、悩み、行動し、変わろうとするセザール。そして、エンディングでは「どんな小さな人間でも、自分の人生を変えられる」という爽やかな感動を届けてくれるのです。

子供のまなざし、1m39cmの世界
 セザールの視点から語ることにこだわった本作は、一貫して1m39cmのカメラポジションから撮影されました。目線が下がると世界は一変します……部屋はより広く、天井はより高く、廊下はより長く見える。子供たちには、上から見下ろす大人たちが威圧感タップリに映り、怒ったパパの平手打ちはとてつもなく怖く感じられます。
 さらには、時おり挿入されるナレーションがセザールの本音を表現します。顔には出さないように頑張っているけれど内心は穏やかではない……子供たちの繊細な心の揺らめきが手に取るようにわかります。
 こうして本作は、セザールの目と心を通して見た日常の風景をイキイキと映し出します。スクリーンに向きあいながら、私たちは自然とセザールの中に入り込んで、一緒に笑ったり、うなずいたり、ジーンとしたり。そして、いつの間にか忘れてしまっていたあの頃の懐かしい甘酸っぱい感情を思い起こすのです。

名優リシャール・ベリの思い入れが詰まった宝箱
キラ星のように輝く子役たち&フランス映画界を代表する個性派俳優
 監督は、『無伴奏「シャコンヌ」』『ペダル・ドゥース』の名優リシャール・ベリ。本作が監督二作目となる彼は「今も子供時代をひきずったまま」と自身を語り、長年抱いていた構想を本作でついに形にしました。
 言うまでもなく、子供たちを主役にした映画が成功する鍵はキャスティングにあり。主人公セザールには、『バティニョールおじさん』で絶賛を浴びたジュール・シトリュクが、ちょっぴり太めになって登場! 可笑しさと愛らしさが溢れ、一見鈍そうでいて実は機転のきく男の子を見事に演じています。美少女サラには、監督の愛娘ジョゼフィーヌ・べリ。俳優の両親を持つ彼女は、天性の気品と演技力と美貌でみんなを虜にします。そして親友モルガンには、またまた俳優を父に持つマボ・クヤテがあたり、本作が映画初出演ながら圧倒的な存在感をかもしだします。また、彼らを取り巻く少し風変わりな大人たちも魅力いっぱい。セザールのママに『パルプ・フィクション』のマリア・ド・メデイルシュ(大きなお腹は本当に妊娠中)。パパには『ぼくのバラ色の人生』のジャ=フィリップ・エコフェ。そしてゴダールの女神、アンナ・カリーナがパンキッシュなロンドンのカフェの女主人を演じています。個性派の役者陣が、子供たちをユーモアと暖かさで包み込みます。

ストーリー



ぼくの名前はセザール・プチ。10歳半、身長は1m39cm、
ちょっぴり太めだけどそのことは言われたくない。
 ぼくは甘いものが大好き。好きにしていいなら甘いものしか食べない。ちなみに学校では目立たない存在だ。1番だと皆に嫌われるし、ビリだと両親が怒るから。パパが何の仕事をしているのかよくわからない。ママはパートで働いていたけど今は産休中。
 今日はお父さんの仕事仲間、シュラキのお葬式。大人にとっては死は一大事らしいけど、ぼくにはお葬式は退屈でたまらない(でもママが泣いているのを見るのは悲しかった)。みんなシュラキのことを誉めてるけど、ママは前に「彼と組むのは危険よ」と言ってたのをぼくは知っている。
 ぼくはパンを買いに行くのが大好きだ。並んでいるケーキを眺めるのは最高。いろんな色と形でまるで色を塗った彫刻みたい。それにしても大人はすぐ、ぼくのことを”坊や”と呼ぶ。なぜ子供には敬語を使わないんだろう? パパも”大人の権威”ってやつで何の説明もしないで子供に命令する。見下ろされるのは嫌だ。早く大人になりたい。
 ぼくの親友はモルガン。ぼくから見てもモルガンはかっこいい。成績もスタイルもよくて、なんといっても大人っぽい。だからみんながモルガンを頼りにする。でも彼にもひとつ悩みがある。それは父親を知らないってこと。情報としては、名前がフィッツパトリックで、ロンドンに住んでるってこと、それだけ。
 ぼくは最近、恋に落ちた。サラは2週間前に転校してきたばかりの、学校一の美人。彼女のためなら命もおしくない。詩の朗読だって満点をとってみせる。でも彼女の前では二言以上は話せない。見つめるだけ。ぼくがサラにアピール出来るのは外見じゃないってこと、それは確か……。でも、10歳の女の子に男は中身だってことをわからせるのは……簡単じゃない。
 ある日、ぼくの家に警察が来た。子供のぼくには理由を教えてくれないけど、どうやらシュラキと関係があるらしい。心配だ。しかもパパが突然旅行の準備をしている。ぼくを傷つけまいとして隠してるけど、きっとパパは刑務所に行くんだ。パパにはもう2度と会えない。この最後の瞬間を胸に刻み付けておこう。次の日から学校ではぼくのパパが逮捕されたニュースで持ちきりだ。校長先生までぼくに優しくしてくれる。まるでヒーローになったみたい。
 パパが帰ってきた……。どうやらぼくのまちがいだったらしい。パパに叩かれたせいで鼓膜が破れたかもしれない。ぼくの学校での評判は一気に落ちた。優しくしてくれるのはサラとモルガンだけ。罰にぼくは田舎のおじいちゃんとおばあちゃん家に行かされることに。サラにもモルガンにも一週間も会えないなんて……追放された気分だ。田舎は嫌いだ。従姉妹も嫌いだ。
 サラのパパの家にモルガンと一緒に招待された。サラのパパと新しい恋人はなんだか変わってるけど、3人で泊まるのは楽しい。でも気になる。サラにはモルガンはどう映っているんだろう? カッコいい男だけがモテるのはなぜだろう?
サラが一人でぼくの家に泊まりに来た日、ぼくは自分をアピールするために、サラの前で生まれて初めて親に逆らってみた。パパは怒鳴るし、ママはオロオロ。モルガンが突然やってこなかったら、一体どうなっていたかわからない。
 その夜、モルガンから重大な秘密を打ち明けられた。ロンドンに実の父親を探しに行く決心をしたらしい! 英語が話せるサラも一緒に行くという。もちろんぼくも行くつもりだ。サラとモルガンを二人きりにはできないし、ぼくはパパの顔を見たくないから。
 初めての海外、初めての秘密、初めての恋。こうしてぼくの人生は変わり始めた……。

スタッフ

監督:リチャール・ベリ
製作:ミシェル・フェレール
原案:リシャール・ベリ
脚本:エリック・アスス
   リシャール・ベリ
製作助手:ミリエム・アルルマン
製作主任:フィリップ・ルー
撮影:トマ・ハードマイアー
録音:アモリード・ド・ネクソン
美術:ユーグ・ディサンディエ
衣装:ドミニク・ポール
編集:ロランス・プリオ
   リザ・ブフャイファー
音楽:レノ・イザーク

キャスト

ジュール・シトリユック
ジョセフィーヌ・ベリ
マボ・クヤテ
マリア・デ・メディロス
ジャン=フィリップ・エコフェ
アンナ・カリーナ
ステファーヌ・ギヨン
カトリーン・ブアマン
ギレーヌ・ロンデーズ
ジャン=ポール・ルーヴ
ジャン・ベンギギ(特別出演)
セシル・ド・フランス
マリー・ヘッド
ディディエ・ぺニョロ

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